仮面ライダーローサー×カルヴァリア ~守りし想い、交わりて~   作:虎ノ門ブチアナ

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#5 ふたつの世界・エピローグ

「もう加減はしない! 皆殺しだ貴様らはァ!!」

 

 激昂するミスケレを前にライダーらが身構える。

 

「奴が吸収した怪人の力は制した筈ですが、先程も見せていた単純なパワーが脅威ですわ」

 

 分析するシャーリィに、現状パワーで劣るライダー達は何か策が無いか考える。

 

「そういえばミスケレの背中には毒袋がある様ですが、あれは自分にも効くのでしょうか」

「いけそうです、アレをミスケレ自身に注入できれば強心作用を起こすって算段……アリですね」

 

 カルヴァリアの問いに、ローサーは親指を立てる。

 

「だが悠長に作戦会議している時間は……無い様だな」

「皆殺しはウソ! 今の内に撤退だッ!!」

 

 逃避の態勢を取るミスケレを見ながらラータスが告げると、(カマルダッタ)を引く。

 一方のミスケレは煙幕を張るが、放たれた矢によって煙が払われてしまう。

 

《Jet》

《Set Import……Jet》

 

 ラータスの行射と同時にモータルザッパーにジェットイートリッジを装填し飛行したカルヴァリアがミスケレに追いつく。

 

「借り物の力が無ければ私でも追いつけるスピードね」

「ッ……!」

 

 モータルザッパーの斬撃がミスケレを狙う。なんとか回避するミスケレだったが、そこまでは誰もが読んでいた。

 

「集中が信濃に行った、今だ!」

 

 ラータスの声を合図にシャーリィの短槍が何本も飛翔、ミスケレの背部にある毒袋を切り裂く。それにより内部から毒が溢れ出す。

 

「!? 何だッ」

 

 驚くミスケレの背後にはローサー。彼女のローズカリバーがミスケレを背中から切りつける。その傷口から毒がミスケレの体内に流れ込んでいく。

 

「あ!? ハァッ! グバァッ!!」

 

 血流の過度な促進が始まり、ミスケレがその場で倒れ込み、転がり続ける。

 

「畜生ォォォォッ!!」

 

 もがき悶えるミスケレを前に、ローサーがローズカリバーを構え直す。

 

「手負いの敵にとどめを刺すのは気が引けるけど……ここまでやらかしたアンタが悪いって事で手打ちにしようぜ……!」

 

 最後の一撃を与えんとするローサーだったが、違和感が彼女を襲う。

 ミスケレの全身をキョウチクトウの花が覆い始めている。

 

「何なの……?」

「そんなのはいい! 深紅、とどめを!」

 

 ラータスが叫ぶが、一瞬遅かった。

 

 何事も無かったかの様に立ち上がったミスケレは目の前にいたローサーへと拳を振るった。

 

「死ねェェェェ!!」

 

 が、その振りかぶった拳は、腕ごとカルヴァリアによって裁断されていた。

 

「言ったでしょう、守り切るって!」

 

《Mortal Slash……Jet》

 

 モータルザッパーのレバーを引き強化された斬撃がミスケレの体を切り裂く。

 が、レーマの回復力をヴィードの蔦と合わせて体を補修しながら歪に再生していく。

 蔦が絡み体の至る部分に花を咲かせたミスケレが体を蔦で巨大化させ、醜悪な花の怪物といった様相に変化していく。それと同時に蔦が体の内部に侵食していき、苦悶の声を上げながらミスケレの意識すら蝕まれていく。

 レーマの持つ回復力が作用して毒さえも克服させていたが、それが成長によりその身を伸ばし絡んでいく植物の特性と不和を起こしたらしい。

 

「チカラ……チカラダ……コレガ……!!」

「理性が吹き飛んだか!」

 

 ラータスが巨大化したミスケレの体躯目掛けて矢を射るが、何度刺されてもその場から回復してしまい意味をなさない。

 力に溺れ自我を失い始めたミスケレが無差別な破壊を繰り返しながら街へと進攻を始める。

 

「さだめちゃん、あいつ街を破壊しようと!」

「させない!」

 

 プロトヴィヴレとカルヴァリアがミスケレを追う。が、ローサーがちょっと待った、と2人を制止する。

 

「ここは私の考えに乗ってもらっていいですか?」

「おっ何かいい策が!?」

「……やってみないと分からないです!」

「ははっ」

 

 ローサーの割り切った言動にプロトヴィヴレが笑う。だがやってみる価値はあると全員で準備態勢に入る。

 

「まずは注意を街から外しつつ、私の動きも悟らせない様にしてください!」

 

 その指示を受けてラータス、シャーリィが矢と短槍でミスケレの意識を自分達に向けさせる。どうやら敵を認識する程度の知能は残っていたらしい。

 ミスケレの動きが止まった内にローサーがローズカリバーを地に突き刺す。すると茨がミスケレを拘束し、動きを制する。

 

「あまり長い間止めてられないから早く!!」

 

 ローサーの号令に合わせて各員が必殺の態勢に入る。

 

《Decisive Boost……DEATH・STEAM》

《Decisive Boost……UNDEAD・HOPPER》

 

 ベルトの操作により能力を解放させるカルヴァリア、プロトヴィヴレに合わせてラータス、シャーリィも自らの得物の力を最大限発揮させる。

 

「グオオァァッ!!」

 

 ローサーの茨を引き千切るミスケレだったが、仮面ライダー達に時間を与えてしまった事で完全に勝機を失っていた。

 

 眼前から巨大な剣が突き刺さり、続いてローサー、カルヴァリア、プロトヴィヴレの跳び蹴りが迫る。

 同時に何百本もの矢と短槍が次々と体を突いていく。

 蹴撃と突撃が重なり、ミスケレの体を崩壊させる。

 全身に生えていた花々は散り、体は赤い粒子を噴き出しながら体を徐々に爆散させていく。

 最期の瞬間、ようやく自我を取り戻したミスケレが消滅していく体を見渡しながら恐怖と怒りを含んだ絶叫をライダーらに浴びせる。

 

「吾輩の、わがはいの全てがァァアァァァアアッッ!!」

 

 優勢に立てば煽り散らかし、劣勢に立てば逃げようとする卑劣な怪人に相応しい、なんの中身も無い虚ろな断末魔。それを聞いてローサーが拳を緩める。散る花びらが戦いの終焉を告げている様だった。

 

「──みんなお疲れ!」

 

 ローサーが変身を解くと、ラータス、シャーリィも元の姿へと戻る。

 

「敵性体、ミスケレ……撃滅を確認、戦闘を終了──花恋さん?」

 

 変身を解こうとするカルヴァリアが小刻みに震えるプロトヴィヴレへと声をかける。

 と、プロトヴィヴレの全身から煙が噴き出し、装甲が爆裂しながら変身が強制的に解除されてしまった。

 

「っあ~……危なかった、今の攻撃で完全にブッ壊れましたワ──」

 

 と、さだめが花恋の手を握る。

 

「ありがとう、花恋さん。あなたのおかげで、みんなを守れた」

「……さだめちゃんったら、みんなが見てるのにダイタンなのねん……♡」

「えっ……あ、いや……そういうのじゃ……」

「なんだこの初々しい2人」

 

 お互いに照れ臭そうにするさだめと花恋に深紅まで微笑む。

 

「まぁ何はともあれ、2人共、協力ありがとうございました」

「いえいえ、人として当然の事をしたまでです」

 

 とりあえずと言わんばかりに社交辞令的な挨拶を交える深紅と花恋に愛華、さだめが笑みを浮かべる。

 

「信濃様、来て良かったと思えましたか?」

「えと、はい。私が何者であろうと、誰かを助けられるって嬉しい事だなって……思いました」

「やはり貴方は──」

 

 言い淀んだ愛華がさだめから花恋へと視線を移す。

 

「那珂様、よろしいでしょうか」

「はいなんでしょ?」

「信濃様の様な純粋なお方をこのまま死刑にするなんて……いえ、出過ぎた言葉でしたわ」

「大丈夫です、さだめちゃんは死なせません! 私の命に代えても!」

「命に代えちゃ意味ないでしょ……」

 

 反射的につっこむ深紅に確かに、と花恋が頭をかく。

 と、さだめと花恋の体が輝き出す。時間が来たらしい。

 

「私たちも帰る時間が来たみたいですね! なにはともあれ皆さんありがとうございました!」

 

 花恋が深々と頭を下げると、深紅らもにこやかに会釈する。

 

「信濃さん…いや、さだめちゃん。これは私達からの餞別です」

 

 さだめの名を呼ぶ深紅から手渡されたのは、1本のUSBメモリであった。

 

「カミセンがそっちの研究者さんにって」

「ありがとうございます、いただきます」

「それで、さだめちゃん……自分の罪と向き合いながらも誰かの為に戦うあなたは、とても強く、カッコよかったです」

 

 自信の無さそうなさだめを見つめ、深紅が口角を上げて笑む。

 

「前も言いましたけど、誰かの為に戦えるのなら、誰かの為に生きる事だってできるハズです。きっと」

 

 さだめが花恋を見て、先程彼女と繋いだ手へと視線を移す。

 明確な返答ができないまま言い淀むさだめに深紅はまいっか、と笑う。

 

「いつかどうしようか決めればいいんです、死ぬにはまだ時間があると思うんで」

「……はい、もう少し、自分の事……考えてみます、でも」

 

 さだめが笑う。

 

「皇さん達が私の事を想ってくれた事、忘れません」

 

 深紅、瀧、愛華がそれを聞いて微笑む。

 

「ありがとうございました、皆さん。私、まだ、もう少し、生きます」

「って言葉を引き出してくれて感謝感激雨アライブです!!」

 

 礼と合わせて頭を下げるさだめに、ピースする花恋。2人を見て深紅らは手を振って見送る。

 

「またいつか、さだめちゃん!」

「元気でな、さだめちゃん」

「どうかご自愛くださいませさだめちゃん様~」

「めっちゃさだめちゃん呼び馴染んでない!?」

 

 さだめが照れると、そのまま花恋と共に元の世界へと帰っていってしまう。

 それを見て深紅が吹き出す。

 

「ふっ、はは、最後も締まらないや」

「誰のせいだと思っているんだ」

「さだめちゃんと続けて呼んだ瀧様のせいでは?」

「いやそういうお前はなんださだめちゃん様って、ふざけすぎだろ」

「みんなふざけすぎでしょうがー!!」

 

 深紅がさらに笑うと、瀧、愛華も笑う。

 

──────────────────

 

「──それで別世界とこの世界ではどの様な変化が!? 言語に違いは!? 食事に差異は!? 時代のズレとかはあったの!?」

「えっと……」

 

 金剛からの質問攻めに戸惑うさだめを見て正義が金剛の肩を叩いてたしなめる。

 

「まずはよく戦ってくれた。君らの様子を見た限りミスケレは撃破できた様だが、プロトヴィヴレの稼働に問題は無かったか?」

「はい! リミッター解除したら故障しましたけど、何とか戦えました」

「そうか、内部に残ったデータを藤村先生が確認して今後の戦闘用に改修してくれるだろう。あとはそうだな──」

 

 少し正義が思考を巡らせてから、新たな質問を投げかける。

 

「仮面ライダーと呼ばれている別世界の戦士と出会って、何か刺激を受けた事はあるか?」

「? なにゆえそんな質問を?」

「君らが成長したか知りたいだけだ」

 

 そですか、と花恋が笑うと、さだめと視線を交わしてうなずく。

 

「皇さん達と会って私は……誰かの為に戦う覚悟を決めました。仮面ライダーはその為にあるんだと、実感しました」

「私もそんな感じです。それと仮面ライダーって名前に責任みたいなモノがあるって……私は思わされました」

「誰かの為に戦う、仮面ライダー……その責任か」

 

 正義が押し黙ると、自らもその“責任”を負った戦士になる事を意識させられる。

 

「分かった、2人共休んでくれ」

「はい」

「了解でっす」

 

 部屋に戻るさだめと花恋の表情は、少し前よりも凛々しくなっている様に正義は感じた。

 

「いやぁさっきは悪かったね三隈君、こちらとは異なる世界があるっつってワクワクしちゃって」

「いえ」

「? なんかめっちゃイイ顔してんね、もしやあの子達の成長が嬉しかったり?」

「……そう、思っているんですかね」

 

 正義が笑うと、金剛も笑みを返して先程もらったUSBメモリを見る。

 

 

 部屋に戻ったさだめと花恋は、強大な敵を前にしても怯まず戦った先達の戦士らの勇姿を思い出していた。

 

「さだめちゃん、一緒にカッコいい仮面ライダーになろうね!」

「……うん……!」

 

 

 仮面ライダーローサー、彼女の持つ人を守りし想い。世界の交わりによってそれは仮面ライダーカルヴァリアに伝搬し、人々の平和と自由を守る戦士を開花させたのだった。

 

 

──────────────────

 

失&深「今日のカミセンの無駄発明~」

 

深「──って、えっ、このコーナー、コラボでもやるんですか?」

 

失「当然さ、私達の物語でもあるからねハハハ。今回はコイツだ!!」

 

深「って例のフラフープじゃないですか、世界同士を移動するヤツ」

 

失「ノンノン、これは『即席瞬間移動装置』。即席なのだよ」

 

深「即席って……何が違うんです?」

 

失「世界ではなく、半径10メートル以内にある対となる出口へと移動するんだ。便利だしアジトに付けるのはどうかな?」

 

深「邪魔じゃないですか?」

 

失「……」

 

深「……」

 

失「……ではまたいつか!」

 

 

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