サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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またもや評価を頂けたので気合いで書きました


デカい花火が上がる予感、でも日常はそんな変わらねぇもんだ

 

最悪の場合でも最後まで走り続ける覚悟を見せたあの日から数日。

今のところは特に何事もなく、今日も今日とて依頼実行中だ。

 

 

「旦那!早く乗って下さい!!」

 

「おうよ…逃げ足だけは早いなベイビーが」

 

今回のターゲットはヴァレンティーノズのゴミクズだ。

ヘイウッドじゃ良くある話では有るんだが通りがかりの少年を気分で嬲り殺したとかでその父親が復讐のためにパドレに依頼をしたって経緯。

 

まぁ生け捕りにしろってわけでもなし、今回もとっととぶっ殺してお終いだな。と楽観視してたんだがこれがまぁ逃げ回ることこの上ない。俺達が近づくと直様場所を変える様に移動しやがる。

おかげでもう6回目のリトライだクソが…!

 

 

「なんでバレてんですかね…?」

 

「この車が目立ってんじゃねーのか?」

 

ボロ車は此処じゃ珍しくないがあからさまに車体に合ってないスピードと音だしよ…

 

「いや、2回目からは消音モードで行ってるじゃないですか?…旦那が目立ってんスよ」

 

「はぁ?…いやまぁ目立つか。うーん…髪でも切ってみるか…?」

 

チラリと前髪をつまむ。流石に長すぎだとは思ってんだが…

 

「…前にヴィクターに“切ったら伸びるか判らんぞ”って言われて諦めたじゃないですか」

 

…生身の部分じゃねぇしなぁ。生体パーツなら伸びるかもだが…そんな賭けはしたくねぇわ。

 

「もうコイツでぶつかって直接ラブリー(愉快な死体)にしてやらねぇ?そっちの方が速いぜ」

 

ダッシュボードを叩きながら提案するがすげなく断られた。

 

「ダメですよ!コイツは俺の相棒なんですから!」

 

イヤイヤと首を振るジョンにため息を吐く。

 

「面倒くせぇ…いっその事コレで消し炭にしてやるか?」

 

左腕をプラプラと振る。

奥の手ではあるが別に秘密兵器って訳でもなし。

 

「いや、ソイツは止めときましょう…地道に追い続ければいずれは追いつきますし」

 

反対されたからにゃしょうがねぇ。

 

「…それならよ?俺とお前で別々に追うってのはどうだ?」

 

ふと思いついたが。俺はナザレ(単車)でお前はコイツ(ボロ車)で其々追いかけてみりゃどっちが察知されてんのか判るだろ?

 

そう続けると納得した顔で頷いた。

 

「やってみますか…ご武運を」

 

「気ぃつけろよー」

 

軽口を叩きながら車を降りると直ぐに自分のバイクを呼び出した。

おお、良い子だ(グッドボーイ)。ちゃんとご主人の元まで走ってこれて偉いぞー。

ひょいと跨るとジョンとホロコールを繋いで走り出す。

 

「そっちはどうだ?」

 

『ダメですね。多分俺…と言うより車になんか仕掛けられてるかも知れないですわ』

 

あっけらかんと言うがそれ一大事じゃねぇか?

 

『ま、爆発物やら走行妨害(デーモン)の類いじゃないのは確認済みなんでそっちまで追い込みますよ』

 

「お前が良いなら良いんだけどよ…」

 

肝が据わってるのか若干イカれてんのか判断に困るな…

 

『そろそろキャピトラ通りですが…旦那?』

 

「わかってるっての…よし、正面から仕掛けるぞ」

 

身体を倒しながらコーナーを抜けると目の前に目標地点が見えた。

 

「行くぜジョン!!」

 

勢い良く階段を下った先の柵を腕力で前輪を浮かせて落下防止柵に前輪を引っ掛け、更にアクセルを吹かす。後輪が急に回転数を上げて更に加速する車体を無理矢理前方向に倒して力任せに柵を乗り越えた。

 

『今です!』

 

「ようやく会えたなスウィートハニー!!」

 

一気に空中へと飛び出した車体の真ん前に標的の車が来た。

バイクを蹴って空中へと身を投げ出す。…視界の端でエンジン音を響かせながら標的へと飛んでいく相棒(ナザレ)

 

着地…と言うよりも着弾に近いか。まぁ兎に角盛大に事故った。

 

さよならだナザレ…お前は中々良い相棒だったぜ。

心の中で砲弾にジョブチェンジしたバイク(相棒)に黙祷を捧げながら着地。

 

相棒の最初で最後の被害者になった相手はまぁ酷い有様だった。

フロント…ってか殆どガラス部分からバイク突っ込ませたから当たり前だがもう鉄くずだなありゃ。

 

内装がグチャグチャになった車から何とか這い出る標的の…名前なんだったっけか?まぁ、誰でもいいか…に銃口を突きつける。

 

「ゲームオーバーだ」

 

額に一発。まぁ楽に死ねた方だろうよ…身体のあちこちから何か分かんねぇ機械やら骨やら飛び出してたし。

 

『旦那、無事ですか!?』

 

「問題ねぇ。…ナザレ(相棒)は星になっちまったけどな」

 

アイツも最後に役目を果たせて満足だろう。

 

『…やっぱ、旦那に乗り物持たせるのは早いッスよ…』

 

溜息と共に返された言葉に疑問を浮かべる。

 

「別に運転が下手な訳じゃねぇだろうが。偶々手元にいい感じの弾があったら撃ち込むだろ?」

 

それが今回はナザレ(相棒)だったってだけで。

それなりに質量が有って速度も出る。難点は値段が張るって事位だ。…最後のが致命的か。

 

「ま、何にせよ依頼は成功したんだ。さっさと報告して飯行こうぜ!」

 

『あー…いや、旦那。今回の報告は旦那が直接来てくれって連絡がありましたよ?』

 

やだよ面倒くさい。

 

「どうせまたお小言と神の言葉関連だろうが。お前代わりに行ってこいよ」

 

パドレと話すと疲れんだよ…

頭が回って口も巧い爺さんの相手なんかごめん被る。

 

「ダメですよ…ほら、さっさと乗ってください」

 

俺は相棒に付けられてるトラッカーその他諸々を洗い出さないといけないんですから。と駄々っ子を宥めるような顔で伝えてきた。

 

「チッ…」

 

舌打ちを一つ。まぁ、しょうがねぇか…

何時ものボロ車に渋々乗り込むと静かに走り出す。

 

「…消音モードも悪くねぇな?」

 

「ですかね?あんま運転してる気がしなくて俺は好みじゃありませんが」

 

「じゃあ何時ものやたらパンパン弾ける音出しながら行きゃ良いじゃねぇか」

 

「パドレに会いに行くのにあの状態じゃ後で絞られちまいますから仕方なくですよ」

 

ヘイウッド育ちはあの爺さんに頭が上がらねぇとは聞いたが…

 

「ま、どうでも良いか…さっさと行こうぜ」

 

へいへい、と適当な返事と共にヘイウッドへと帰還した。

 

 

 

 

 

 

「終わったら迎えにこいよ?俺の相棒オシャカにしちまったし」

 

「了解です。連絡くれたらすぐに向かいますよ」

 

ジョンと軽口を交わして車を降りるとそこには何時かと同じ、高級車なんだろうがそれなりに年季の入った車が待っていた。

横に立つ大男が後部座席のドアを開けて入れと促す。

乗り込むと以前と同じくセバスチャン・イバラ…パドレが待っていた。

 

「ブートヒル。待っていたぞ」

 

「そいつはすまねぇなパドレ。ハニーが予想以上に粘りやがったからちょいと遅れた」

 

ちゃんとハニーはラブリースウィートにしてやったが。と続けると満足そうに頷くパドレ。

 

「罪人は無事地獄へ堕ちたか。お前達に頼んで正解だった」

 

最近は俺のイカれ翻訳にも慣れたのか一切動じなくなってやがる。

…変換機自体はクソだがそれで戸惑うパドレは面白かったんだが。

 

「んで?わざわざ労うためだけに呼んだ訳じゃねぇんだろ?」

 

先を促すと徐に座席の真ん中…何て言うんだあれ?まぁ冷蔵庫みたいになってる所からグラスと酒瓶を取り出した。

 

「勿論それもある。…一杯どうだ?」

 

酒を注いだグラスを受け取ると自分も手に取ったグラスへと酒を注ぐ。

 

「哀れなアルフレドに。その魂が迷う事なく天に昇らんことを」

 

「アルフレドに」

 

………誰だっけ?とは言えない雰囲気だが、多分被害者の少年の名前だろう。

飲み干すと此処からが本題だ、と話しだすパドレ。

もうちょい飲ませろよ…

 

「お前達、アフターライフで最初にファラデーの小僧から招待を受けたんだったな」

 

…久々に聴いた名前で少し驚いた。

最近じゃめっきり聞くこともなく、勿論アフターライフで見かける事もなかったからな。

 

「…そうだ。舐めた真似しやがったから落とし前をつける途中でローグに任せる流れになった」

 

パドレが置いた酒瓶を取ってグラスに注ぐ。

少し驚きながら見つめているパドレを気にせず二杯目を煽った。

 

「それがどうかしたか?」

 

「最近また名前を聞くようになってきたからな…一応知らせておくかと思ったまでだ」

 

あのキロシ野郎、またフィクサーやってんのか?

 

「おかしな話じゃねぇか?ローグが落とし前つけさせたんだろう?」

 

話に聞くアフターライフの女王が直々に落とし前つけさせたってんなら再起不能になってるとばかり思ってたんだが。

 

「ファラデーはああ見えても伝手は多い。利用できると踏んだらまた使うだろうな」

 

以前と変わりなく、とは行かないだろうが。と続ける。

 

「子飼いの傭兵集団も未だ健在だ。…気をつける事だな」

 

傭兵もピンキリだが奴らは一流と呼んで差し支えない。そう言うと酒瓶に手を伸ばした俺の手をピシャリと叩いた。ケチくせぇなパドレ。

 

「話は終わりだ。…神のご加護が在らんことを」

 

「あいよ。アンタに銃弾の雨が降らんことを」

 

何時かと同じ別れの言葉を交わして車を降りた。

待機していた大男が運転席に乗り込むとパドレを乗せた車はすぐに大通りへと抜けていく。

 

ファラデー。メジャー初日からケチをつけてくれたカス野郎。

また手ぇ出してくるなら今度は誰が止めようと必ずぶっ殺してやる。

 

…ま、関わってこないなら関係ねぇ話だが。

 

 

ホロコールでジョンを呼び出す。

 

『旦那、話は終わったんで?』

 

「終わったぜ。んでもって悪いニュースが一つある」

 

何でもない様に続ける。

 

「ファラデーのホーリーベイビー(カス野郎)が復帰したらしいぜ」

 

『あのカス野郎が!?』

 

まぁそういう反応になるわな。

 

「パドレが警告…いや忠告か?してきたから間違いねぇな」

 

『…ぶっ殺しますか?』

 

「ベイビーが。そんな真似したらローグの面目丸潰れだろうが」

 

血の気の多い野郎だ…最初はビビリだったのに誰の影響だよ。

 

「取り敢えず手打ちは済んでる…事になってるからな。次になんか有ったら容赦しねぇが」

 

あの野郎の子飼いがまだいるらしいから気をつけろよ?と話を結ぶ。

 

『わかりました…ってことは何時もと変わりませんね?』

 

そう言うことだな。

何かデカいイベントでも起きない限りは何時もの日常が続くもんだ。

んでもってそんな大イベントが起きるとなりゃ盛大に死人が出るのがこの街、ナイトシティだってのは身に染みて覚えている。

 

「ま、その内盛大に破裂するだろうから…そん時は大いに騒ぐとしようぜ?」

 

きっと楽しいぞ?

盛大に撃ち合って、殺して殺されて。

最後に立ってるのが俺達ならもう言うことがない位には。

相手がアラサカやミリテクなら文句なしだ。

 

そんな事を考えながら、路地裏から覗く狭い空を見る。

ま、なるようにしかならねぇか。

あんま先の事考えてもしょうがねぇし、取り敢えず依頼達成祝いの酒だな!

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