サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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更に評価をいただいてしまったので気合いと根性で書きました


突然の再会って言うと感動的だが実際はどうなんだろうな

ファラデー復帰の情報から特に何も変わる事もなく…ってわけでもないか。

ジョンの奴はピリピリしてやがるし、時折変な視線を感じる様になった。

多分ネットランナーだと思うんだが…

 

どっかしらを経由されると俺の身体に搭載されてるクロームじゃ場所まで判別出来ねぇんだよな。

ハッキングされるような柔な作りじゃないが…それでも日に何回もスキャンっぽい何かを受けると神経に触る。

 

「はぁ…引きこもり野郎は専門外なんだよな…」

 

見つけられれば瞬殺できるが見つけるまでが面倒だ。

アイツらネットさえ繋がってりゃ良いから最悪別地区から覗いてる可能性だってある。

…流石にそんだけ距離が開いてたら俺のセキュリティを抜くなんざ100%無理だが。

 

ネットランナー、雇ってみるか?

ジョンも頑張ってくれてるがアイツは良いとこ二流、良いインプラントを積んでようやく一流の下の方だって話だし。

本人の適性はどう考えてもドライバーだからな。

でもなぁ…

 

「裏切らねぇ保証がねぇんだよな…」

 

俺がジョンを切らない理由もそこに集約するんだが。

この街において信頼をおける奴ってのは天然物の茶葉よりも貴重。

いつぞやの話でも出てきたが基本は金、自分本位だし裏切りは日常茶飯事だ。

依頼でも特に多いのが裏切り者の始末だし。

 

「どっかに凄腕で裏切る心配のねぇネットランナーでも落ちてないもんかね」

 

あり得ない事を考えながら通りを歩いていると背後から声を掛けられた。

 

「あ、あの!」

 

どっかで聞いた声だな?と振り返るといつぞやのガキだった。

 

「あ?…あぁ!あん時のガキじゃねぇか!」

 

元気そうで何よりだ。…何か変わったか?雰囲気のせいか…?

 

「お久しぶりです。えーと…」

 

口籠るガキを見て金の無心かと勘繰る。

 

「何の用だ?金をせびりに来たってんなら見逃してやるからとっとと失せな」

 

普段なら血の海に沈めるがわざわざ助けたガキを殺すのも寝覚が悪い。

 

「いや、そうじゃなくて…あぁ!もう!」

 

頭を掻きむしるガキ。どっかイカれちまってんのか…可哀想に。

 

「悪いが精神科は専門外だ。医者に掛かりたいならリパーの所にでも行くんだな」

 

「俺は正常だよ!そうじゃなくて名前、名前聞いてなかったから!」

 

名前だぁ?

 

「人に名前聞くならまずはお前から名乗るべきだろ?」

 

また礼節について説教しなきゃならんのか俺は。

 

「…すみません。デイビット・マルティネスです。あの時はありがとうございました」

 

素直なのは美徳だがそれ以外がなってねぇ…ま、俺も人の事言えた義理じゃねぇけど。

 

「ブートヒルだ。覚えなくて良いぜ?」

 

直接関わることはねぇだろうし。

 

「で、そのデイビットくんが何の様だ?」

 

「いや、その…例のサンデヴィスタンなんだけど…」

 

と話し始めた口を塞いで裏路地に連れ込む。

 

「バカかお前!?あんな大通りで話す事じゃねぇだろうが!」

 

小声で怒鳴る。

サンデヴィスタンってだけで超が三つはつく高級品なのにコイツが持ってるのは更に上、値段なんてつけられない程の特級品だ。下手に話されるとどこから情報が漏れるかわかったもんじゃねぇ。

別に情報が漏れるのは構わねぇんだがどこぞの馬の骨とも判らん雑魚から絡まれるのはちょいと面倒くさい。

どうせならアラサカとかミリテク辺りの大物にバレてもらいたいもんだ。

 

「す、すみません…」

 

「わかってくれたなら良い…場所を変えるか」

 

着いてきな、と先導すると大人しく着いてくるデイビット。

コイツ、素直すぎて怖ぇな…俺が騙してるとか考えないのか?

まぁ、今は都合が良いから何も言わねぇけど。

 

 

 

 

 

「さて、それじゃ話を聞こうかデイビット?」

 

「…あの、この人は?」

 

場所を移す…っても俺の家に上げるわけにも行かねぇし、どうしたもんかと考えた末に思いついたのは…

 

「旦那…いきなり呼び出して何事かと思えばまたこのガキ絡みですかい?」

 

呆れた表情で運転するジョン。

分かりやすく密室で、つい最近電子的に洗浄したばっかりの我らが愛車が一番だ。

 

「まぁそう言うなって。デイビット、コイツはジョン。俺の相棒であの時お前ら親子をリパーに連れてってくれた奴だ」

 

そう伝えると驚いた表情で運転席を見やるデイビット。

 

「…まぁ、間違っちゃいませんが。俺は旦那が助けるっつったから手伝っただけですよ」

 

だから礼を言うなら旦那にしな、と運転に集中しだすジョン。

 

「こういう奴だ。ま、時々ツッコミを入れてくる運転手程度に思ってくれりゃ良い」

 

そりゃねぇですよ旦那…と項垂れるジョンを尻目にデイビットへ話すように促す。

 

「んで?サンデヴィスタンがどうしたって?」

 

もう手放したんならわざわざ話に上げたりしねぇだろうし、俺に買い取れって話か?

 

「あ、あぁ…実は馴染みのリパーに入れてもらったんだけど…」

 

…あ??今コイツとんでもねぇ事言わなかったか?

 

「ちょ、ちょっと待て小僧!お前、アレ入れちまったのか!?」

 

ジョンがたまらずツッコんだ。すげぇな、俺はまだ情報をちゃんと呑み込めねぇよ…

 

「デイビット。お前アレがどんな代物か判ってて入れたのか?」

 

「試作品だろ?強力な代わりに反動も大きいって聞いたけど」

 

思わず笑い声が漏れる。こりゃ色々御破算だな?

 

「だ、旦那…?」

 

ジョンが心配そうに尋ねてくるが一旦無視する。

 

「お前、相当イカれてんな!あんな厄ネタ入れるかよ普通!」

 

ダメだ、腹痛ぇ!

 

「良く正気を保ててるもんだ!屈強な軍人がサイバーサイコ化しかねない程の代物だぜそれは!」

 

感心と同時にやっぱ馬鹿だろコイツって感想が先にくる。

 

「し、しょうがねぇだろ!?二束三文で買い叩かれるくらいなら自分で使おうって考えるのは!」

 

若さ故の無鉄砲か、コイツが特別阿呆なのか。

どっちにしろこれで俺達まで遡って追われる可能性は限りなく低くなったわけだ。

何せ実物を装着しちまった奴がいる。

データを取るにせよ実物を確保するにせよ狙われるのはデイビットが最初だ。

 

「…はー。笑わせてもらったぜ」

 

ぶすっとした顔のデイビットを見てまた笑いが込み上げてくるが何とか我慢する。

 

「そんでそんな厄ネタ突っ込んでお前は何がしてぇんだ?」

 

ようやく核心を話せると本腰を入れてデイビットが話しだす。

 

「金が入り用でね…あぁ、貸してくれとか言うつもりはないよ」

 

俺の方を見ながら訂正する。まぁ最初に言ったしな。

 

「アンタ達の仲間にしてくれよ。こう見えて腕に自信はあるんだ」

 

自信満々なのは結構。でもなぁ…

 

「…お前、何が出来んだ?どう見てもただのヒョロいガキだが」

 

「サンデヴィスタン。コイツを俺は使える」

 

そう言うと一瞬でデイビットの姿が()()()

 

「っと!手癖の悪いガキだなおい」

 

俺のホルスターから銃を盗も(パクろ)うとした腕を掴む。

 

「え!?あ、何で!?」

 

狼狽しているのを見て使い慣れてないのも判った。

 

「そりゃ見えたら防ぐのは当たり前だろうが」

 

掴んだ手を話すと呆然と俺を見るデイビット。

 

「…まぁ、相手が悪いな。旦那が負ける所は想像できねぇし」

 

と運転席からぼやく様に話すジョン。

 

「見ての通りだデイビット。うちは戦闘員の募集はしてねぇんだ」

 

俺1人で事足りる。むしろ他の奴が居たら足手纏いになりかねない。

 

「残念だが他を当たりな」

 

お前が厄ネタ搭載してなくてかつネットランナーなら採用してもよかったんだが…

 

「わかった…今回は諦めるよ」

 

悔しそうな顔でそう答えた。

 

「まぁ、他ん所なら引く手数多だろうよ」

 

何せイカれた倍率のサンデヴィスタン持ちだ。

適当にライフルでも持たせて突っ込ませりゃ一瞬で死体の山が出来上がる。

 

「家まで送るぜ。…ジョン、頼んだ」

 

「了解です」

 

その後は無言でデイビットをメガビルディングまで送り届けた。

 

 

その帰り道でジョンが口を開く。

 

「…で、実際に見えてたんですか?」

 

()()()()()()()()()()

 

平然と答える。

 

「ありゃ反則だな。目の前で加速し始めたから動きの出掛かりを見て抑えられた。視界の外から飛んで来られたら対処は難しいだろうよ」

 

普通のサンデヴィスタンが3だとするとアイツのは6()()8()位の倍率だな。と伝えると

 

「それなら仲間にしても良かったんじゃないですか?アレが敵に回る事を考えると少なくとも味方にいた方が良いでしょうに」

 

それも最もな意見だが。

 

「特急の厄ネタ搭載してる時限爆弾みたいなもんだぞ?今はまだ良いがその内サイバーサイコ化したら手が着けられなくなる可能性の方が高い」

 

味方にするには時限爆弾が怖いし、敵に回すには面倒な性能。

だったら中立でいた方がマシだろうが。

 

「それに敵に回るならそっちの方がやりやすい」

 

殺して良いなら別に問題なく処理できる程度のモノだ。

 

俺の弾丸(左腕の弾)よりは遅いからな。撃って当たるなら別に脅威じゃねぇよ」

 

座席に深く腰掛けてそういうと納得したようなしてないような顔で返答するジョン。

 

「旦那にあの小僧が撃てるとも思えませんが…」

 

「確かにできる限り撃ちたくはねぇが…俺達の邪魔をするなら話は別だろ」

 

別にそこまで思い入れがあるわけでもなし。

殺しにくるなら遠慮なく撃ち殺せるぞ俺は。

 

「そういうもんですかね?」

 

「そういうもんだ」

 

それ以降は言葉を交わす事もなく。

ただ黙々と暗くなる街が窓の外を通り過ぎるのを眺めていた。

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