サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜 作:ロックオン
「どうしますか旦那?」
迎えに来たジョンの車に乗り込むとさっさと走り出させる。
運転席から心配そうに尋ねてくるが…
「勿論
俺ん家はヘイウッド…グレンにあるアパートの一室だ。
それなりにデカくて綺麗めなところが気に入ってたんだが…それが今は瓦礫の山な訳だ。
「ヘイウッドの事ならパドレに聞きゃ話が早ぇだろうよ」
あの爺さんなら何か知ってるかも知れん。
何も知らなけりゃ外部の人間、それも一流の仕事ってことが判る。
ホロコールでパドレを呼び出す。
『ブートヒル。お前から掛けてくるとは珍しい事もあったものだな』
少しの驚きを隠さずに伝えてくる声に何時もなら軽口を返すところだったが…
「前置きは無しだ。…今さっきヘイウッドのグレン地区で爆発事故があったのは?」
『勿論知っている』
この辺りは私の庭も同然だ。何を今更と言った口調で答えた。
「なら話は早い。ソレをやらかした間抜けを探してんだが何か知らねぇか?」
『…そう言えばお前の住処が有った辺りだったな』
一発で事情を理解してくれるのは楽で良い。
頭が回る爺さんは嫌いじゃねぇ…こういう時はな。
『少し時間をもらうぞ。それで全てがハッキリするだろう』
「悪いな…恩に着る」
そう言うとホロは切れた。
「…パドレは何と?」
「少し時間が要るってよ…気長に待つとするか」
その間に報復するための準備が要るな。
「取り敢えず適当に何か食いに行こうぜ」
ジョンを促してグレン地区から離れる。
…狙われてるとしたらいつもん所は避けた方がいいか。
「ドライブスルーで良いですかい?」
少し考え込む俺を見て気を効かせたのかそう聞いてくるジョン。そうだな…
「そうだな…ホーリーハニーを始末したら盛大に飲むぞ」
間抜けを殺した後は鬱憤晴らしで呑み明かす!と告げるとジョンは少し疲れた顔をして
「またですか?…まぁ付き合いますけど」
俺も酒は好きですしね。と笑う。
「楽しみがなけりゃやってられねぇからな」
俺も同じように笑った。
「飯食いながらで悪いんだがちと寄ってほしい所があんだけどよ」
ドライブスルーで何の肉か判らんハンバーガーを買って口にしながらジョンに言う。
「何か買うものでも?弾なら後部座席に積んできてますが」
チラリとルームミラーを見るジョン。それはありがてぇんだけどな…
「足が要る。この前ぶっ壊れたナザレの代わりが」
そう言うとスゲェ顔で俺を見るジョン。
「え、旦那また単車買うんですか!?どうせ最後は叩きつけて壊すのに!?」
失礼な野郎だ…別に壊したくて壊してんじゃねぇよ。
「想定以上に脆いのが悪い。…まぁ
この間質量爆弾にジョブチェンジさせたナザレを思う。
あれは中々良い代物だった。次もああいうのが良いんだが…
「いっそ装甲車でも買ったらどうです?流石にそれなら旦那でも壊せないでしょう?」
呆れたように答えるジョンに
「バカ野郎、装甲車なんて重いもん振り回せる訳ねぇだろうが。…ぶっ壊すだけならまぁ行けなくもないが」
左手を握ったり開いたりしながら答えるとデカい溜め息と共に諦めた様な声で
「そうですか…あぁ哀れな被害
言いたい放題だなこの野郎。
「良いからさっさと行けっての。ほら、前に買い取った奴らの…何て名前だったっけか…」
記憶力は良い方…てかナイトシティで目覚めてからは思い出せない事なんか無いんだが記憶を漁るのにちと時間がかかる。
「
「ソイツだ!二台目は安くするとか抜かしてただろ?約束通り安くして貰おうじゃねぇか」
多分そういう意味じゃねぇと思いますが…と言いかけるジョンに
「まぁ、別に安くなくても良い…壊れないならな」
「旦那の使い方は移動方法じゃなくて武器としてでしょうに」
何処の世界に走行中に飛び上がって単車叩きつける人間が居るってんですか…と呆れるジョン。
「普通に乗る分には壊れないんですからそうして下さいよ」
「できる限りそうしてるだろうが。偶々近くに有ったのが悪い」
そもそも手頃な大きさと質量で自走も可能とか最高すぎるのが悪い。
「はぁ…まぁ行きますけども」
渋々了承して運転に集中するジョンを見てちと思う。
…別に俺おかしくねぇよな?車で轢き殺す奴が居るんだから単車で殴り殺すのもアリだろ?
首から下を改造しまくれば誰だって出来る事だ。
うん、俺は間違ってねぇな!納得した俺は流れる景色に目をやって到着までの時間を潰した。
「よーうムアマル!また来てやったぞー」
サントドミンゴにある小さな町工場…に偽装されてるアジトへと顔を出すとオカッパ頭の男が出てくる。
「ブートヒルか!この間のナザレはどうだ?掘り出し物だったろ!」
うんうんと頷きながら答える。
「凄ぇ役に立ったぜ!最期は標的と相討ちになって見事に散っていったしな!」
加速と言い重さと言い最高だった!と告げると意味が判らなかったのか再度聞いてくる。
「んん?ちょっと意味が分かんなかったんだが…」
頭が悪いのか?…いや、悪いのは耳だな。コイツ相当頭回るし。
「この間のナザレな。先日スウィートダーリンの車に叩き込んでオシャカになっちまったから新しい足が要るんだよ」
端的に伝えると呆然とした顔で再度聞いてくる。
「お前…あの単車を、芸術品を、どうしたって?」
雲行きが怪しくなってきたか?
まぁ隠すことでもねぇから正直に言うが。
「ダーリンの車と一緒に華々しく散ってった。そりゃもう見事に」
右手を持ち上げて目の前でパッと開く。
「相手の車もグチャグチャになってたからお相子だが」
まぁ流石に一方勝ちは出来ねぇわ…と続ける。
「だからよ、アレと同レベルとは言わねぇから適当な単車を1台、至急手配してくれよ」
そう言うと肩を落としながら答えるムアマル。
「…ハァ。お前の使い方はよーくわかった。」
おお。話せば分かるってのはいいことだ。
「そこら辺のやつを適当に持っていけ…全く、ぶっ壊したなら引きずってでもうちに持ってこいよ…」
あれは希少品だったのに…と落ち込むムアマル。
「……なんか、悪いな?」
流石にちょっと良心が痛んだ。
多分今頃は解体工場で他の鉄くずと一緒くたになってるだろうし。
「もう良い…さっさと行っちまえ…」
「おう…また来るぜ」
近くに置いてあった単車を掴んで押していく。
後ろに控えてたジョンがムアマルに支払いを済ませたあとも少し話し込んでいたが…
「さ、行きましょうか旦那!」
何話してたんだか分かんねぇけどムアマルの奴、手下に元気に指示出し始めてやがる。
「一体どんな話してんだ?」
「ま、まぁ良いじゃないですか。さ、行きましょう!」
急かす様に先導するジョンに着いて工場を後にする。
俺らに不都合がないなら何でも良いんだけどよ…
車好きの考えてることは分かんねぇわ。
『旦那、単車の方はどうですか?』
「可もなく不可もなくって所だな」
新しい相棒はまぁよく言って普通、悪く言えば尖ってない劣等生って感じだ。
…同じ
『それ、ムアマルの前では言わない方が良いですよ…』
ジョンが続けて説明してくれた所によると。
何でもナザレってもピンキリあるそうだ。
この間の相棒は上澄の奴で今乗ってるのが通常品だとか。
「…惜しい奴を亡くしたか。ま、やっちまったもんはしょうがねぇ」
短い付き合いかも知れんがよろしく頼むぜ
『…既に壊すの前提じゃないですか』
「
コイツが逝ったとしても少なくとも俺のコレクションの仇は討てる。
なんだ、ウィンウィンじゃねぇか。
『…旦那。パドレから連絡がありました』
その言葉を聞いて頭が切り替わる。
「内容は?」
『下手人はヴァレンティーノズ…この間旦那が単車でぶっ潰した奴の上司ですね。そいつが手下をやられて報復と見せしめのために行った事だって話です。
ヴァレンティーノズは
10や20じゃ効かない数を率いてる、ちょっとしたグループですなこれは…と続ける。
「居場所」
『廃教会を改築して集会所にしてますね』
つまりは郊外に近いと。
好き勝手暴れても問題ねぇのは大好きだ。
「パドレに礼は後ですると伝えておけ。…今はそのラブリーハニー共が優先だ」
そんだけ数が居りゃさぞかし目立つことだろう。
カシミロ、テメェは手下諸共必ず鏖殺してやる。
「んじゃま、落とし前をつけてもらいに行くか」
アクセルを開けて指定されたポイントへと向かう。
……やっぱコレ、遅くね?
次に買うのはまたカリカリにチューンされてる奴にしてもらおう。
…素直に売ってくれなさそうだが、ジョンを仲介すりゃ何とかなんだろ。