サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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更に更に評価と感想を頂いていたので気合いで書きました


物件選びってワクワクするけど面倒くせぇ…

 

 

ジャッキーと飲んでから数日。

ブッ飛んだ家の代わりに俺は今ボロ車で寝泊まりしている。

 

「旦那…起きて下さいよ…旦那!」

 

掛け声と共に肩を揺さぶられて目を開けると目の前にジョンが居た。

 

「んあ?…あぁ、もうそんな時間か。悪いなジョン」

 

体を起こす。そういや今日は朝から車使うっつってたな。

 

「あー…体痛ぇ…って事もねぇな」

 

この体、寝違えるとかねぇもんな。ありがてぇ事に。

 

「すみませんね旦那…多分午後には戻れると思いますが」

 

恐縮そうに伝えてくる。

 

「お前の車だろうが気にすんな。借りてんのは俺の方だぜ?」

 

気分転換に伸びをして答える。この行動にも意味は無いが人間らしさを忘れないためには必要だ。

 

「取り敢えずシティセンター辺りまで送ってくれ。そこからは適当に部屋探しするわ」

 

そう告げるとシートを起こす。ジョンも運転席に座っていつもの構図になった。

 

「了解です。…迎えは要りますか?」

 

今は俺の相棒(バイク)が不在だからな。流石に連続してぶっ壊し過ぎだって事で購入を止められてるし。良い単車を手に入れるにはジョンの協力が要るからしょうがねぇ…

 

「そうだな…まぁ、必要になったら呼ぶぜ。お前の都合が悪けりゃ最悪デラマンでも良いしな」

 

デラマン。ナイトシティで唯一の全てがAIで運営されてるとか言う高級ハイヤーだ。

コイツの登場で有人タクシー業界が大打撃を受けたとかいうヤバい奴だが…

 

「あのAI野郎に頼るくらいなら俺を使って下さいよ」

 

少々機嫌悪そうに答えるジョン。

元々タクシードライバーやってたって言ってたなそういや。

 

「じゃ、遠慮なく呼ばせてもらうぞ」

 

俺としちゃどっちでも良いしな。

 

「そうして下さい。…行きますよ」

 

郊外付近にあるトレーラーハウスを後にしてナイトシティへと向かう。

今日こそ良い物件が見つかると良いんだが…

 

 

 

 

まぁそう簡単に見つかるワケねぇわな。

 

「なぁブレンダン、どうしたもんかね?」

 

「何かお困りですかブートヒル様?…私でお役に立てるかは分かりませんが、取り敢えず一杯どうです?」

 

午前中で取り敢えず物件探しは中断してティータイムと洒落込んでいた。

 

「そうだな。じゃあいつもの奴をくれ……相変わらずラブリーな味だな」

 

出てきたコーヒーもどきを飲みながら相談?をする。

 

「この間家が無くなっちまってな。良い物件を探してんだが中々見つからねぇんだよ…」

 

この数日で見てきたところはこうなんていうか…

 

「めぼしい所は大体見て回ったんだがどうもしっくりこねぇ」

 

人間、一度上がった生活水準は簡単には下げられねぇって言うしな…

あの立地と広さ以上のものを求めると大体高級住宅地になっちまうんだよなぁ。

 

「なるほど…素敵なお家だったんですね」

 

否定せず、ただ追従する訳でもなく相槌を打ってくる。

 

「そうだったのかもな。案外気に入ってたのか…」

 

基本的にコレクションを置くのと寝るために帰る場所だと思ってたが。

こういうのは無くして初めて実感が湧くもんだな…

 

「…月並みな言葉ですみませんがきっと良い場所が見つかりますよ!ほら、私も此処に来る前は他の場所に立ってましたけど今はこうして幸せですし!」

 

明るく励ましてくれるブレンダン。

…お前、幸せとか感じてんのか?流石にリップサービスだろうが良くその言葉が出てくるもんだと感心するわ。

 

「そうだな。ま、気長に探すさ」

 

それまでは車上生活だが。と笑うと

 

「狭い所で寝てしまうと私みたいに体が凝り固まってしまいますよ?」

 

そんな冗談を飛ばしてくる。

相変わらず人間臭いなコイツ…

 

「俺の体も大体お前と同じようなもんだぜ?」

 

カラカラ笑って答えた。

大体9割機械の俺は割合としちゃ生身の人間よりもブレンダンみたいな機械の方が近い。

だからしばしば妙に人間くさい機械のコイツと話したくなる時がある。

 

「おや?ではブートヒル様と私は親戚の様なものでしょうか…それはとても素敵ですね!」

 

考えていた事と同じような事を言われて思わず笑ってしまう。確かに、この街で会った中じゃお前が1番割合が近いからな?

唯のSCSMのはずなんだがコイツとの会話は小気味良い。

 

「ギャハハ!だったらお前もウチに来るか?相棒は渋るだろうが俺は歓迎するぜ!」

 

そんなふうに俺が冗談を言っても。

 

「それは素敵な提案ですね!…でも私には自分で動ける足がありませんし、この仕事も気に入ってますので今回は見送らせていただきますね」

 

すまなそうな声色で柔軟に返してくる。

本当、コイツのコードを書いた奴は何者だ?

機械に感情みたいな複雑なモノを搭載できる…搭載している様に見せられるなんて最早神業だろ。

 

「ま、そうだろうな。…話せて良かったぜブレンダン。じゃあな」

 

「えぇ、私も楽しかったですよブートヒル様。またのお越しをお待ちしております」

 

いつもの様に定型文で別れを告げるブレンダンを背に、圧縮した空き缶をゴミ箱へと投げる。

するといきなり風が吹いて狙いが外れてしまった。…面倒な。

拾ってゴミ箱へと捨てると背後から“風さえ無ければ!…でも次は成功しますよ!”と言う声が聞こえた。…やっぱアイツ中に人入ってんじゃね?

 

 

 

「…で、結局此処に戻ってきちまった訳だが」

 

「それを聞いて俺にどうしろってんだよ…」

 

適当に物件を見て回った後、今はアフターライフのバーカウンターで飲んでいると偶々奥から歩いて来たメインをとっ捕まえて話し相手になってもらっているところだ。

 

「別に?暇そうにしてたから丁度良いと思っただけだぜ?」

 

そう言うと疲れた様に溜め息をつくメイン。

どうした?溜め息ばっかついてっと幸運が逃げるとか何とか言うぞ?

 

「今回は主にお前のせいだ…で、結局家は決まったのか?」

 

何のかんの言いながら相談には乗ってくれるのが良いところだな。そう言うところは好きだぜ?

 

「なかなか良い物件がなくてな…良い穴場とか知らねぇか?ある程度広くて爆撃に耐えられて酒場が近けりゃなお良しなんだが」

 

そう言うとさらに深い溜め息をつく。

 

「そんな場所ねぇよ。…あったとしても高すぎて借りられねぇだろうが」

 

金の問題はどうしようもねぇな…

 

「…いっその事郊外にでも行ってみるか」

 

依頼で行ったことがあるが何もない荒野に砂に塗れた道路、走ってると時折現れるモーテルとスタンドしかない様な荒地だが。むしろそう言った所の方が新鮮で良いかも知れねぇな…

 

「辞めとけ。ラフェンシヴやらノーマッドやらの縄張りに手を出してロクな目にあった奴はいねぇ。大人しくナイトシティで見つける事だな」

 

真剣な声色で忠告された。

なんかされたことあんのかね?まぁどうでも良いが。

 

「んじゃま、適当に部屋探すか…」

 

ありがとよ、と酒代をバーテンダーに渡すと席を立つ。

カウンターを背にした時、後ろからメインに声をかけられた。

 

「ブートヒル…………いや、何でもねぇ。引き止めて悪かったな」

 

何かを言いかけて飲み込んだ様子に違和感を覚えながらも店を後にする。

なんだってんだよ…と鼻を鳴らして表へ出た。

いつの間にか空が暗くなって来ている。

…もう今日は終いにするか。面倒くさくなってきたし。

 

「おいジョン?飲みに行こうぜ!」

 

『旦那?部屋は見つかったんで?』

 

ホロコールを掛けるとすぐに繋がった。

 

「いや?まぁ気長に探すさ。今は酒が俺を呼んでる」

 

少し間が空いて答えるジョン。

 

『了解です…今どこですか?』

 

「アフターライフを出たところだな」

 

『もう飲んでんじゃないですか!?』

 

「あんなん呑んだ内に入らねぇよ。じゃ、待ってるぜ」

 

偶には全く銃を使わない日に呑むのも悪くねぇだろ!

その辺のガードレールに腰掛けながら街の喧騒に耳を傾ける。

相変わらず騒がしいが…こんな日も悪くはねぇな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本気であの(化け物)とやり合う気なのか、ファラデー…」

 

店を出て行ったブートヒルの背中を思い出して独り呟く。

あのクロームの塊(サイボーグ)は普段の態度の軽さとは裏腹に敵対者には容赦がない。

噂じゃ100や200じゃ効かない人数を殺害しているし、実際に確認出来ただけでもその半分は真実だ。この短期間で名を上げた理由は依頼を失敗した事が無いってのは勿論の事だが…

 

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「俺は乗る船を間違えたかもな」

 

今更後悔しても遅いが。と少し肩を落とす。

キーウィも奴のICEは抜けない、そもそもスタンドアローンの可能性があるとか言っていたからネット経由での無力化も不可能。

かと言って数を頼みに殺り切れるかと言うとそれも難しい。良くて全員で相討ち、最悪は逃げられた後に確固撃破されるのがオチだ。

 

罠を張るのも考えたが…アイツの相棒はやけにカンが鋭い。

これまでに仕掛けられた罠を全て潜り抜けて来たのがその証拠だ…唯の腰巾着じゃねぇ。

 

「あの試作品(ブツ)が通用するならまだ目があったんだがな」

 

グロリアから購入する予定だったサンデヴィスタン。あの軍用試作品ならあるいは、と考えていたんだが。装着したデイビットからあっさり抑え込まれたと聞いた時は軽く眩暈がしたもんだ。

 

「どうしたものか…」

 

頭を抱えたくなるがそう言うわけにもいかない。

最悪ファラデーを見捨てれば生き残れるがこの信用商売でそんな真似したと周囲に知られたら…

 

「考えたくもないな」

 

やはりどうにかしてファラデーに考えを変えてもらうしかない。

それが出来なかった時は…

 

「…覚悟を決めるしかない、か」

 

チーム全員の意思確認は必須だな、と席を立つ。

 

依頼人(ファラデー)が翻意してくれるように祈りながら店を出る。

全く…どうしてこんなことになったんだか…





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