サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜 作:ロックオン
仕事のトラブルで遅れました&短めですが評価と感想をいただきましたので書き上げてきました…
「おいおい…めっちゃ追いかけて来てねぇか?」
アフターライフへ向かう道中でコイツの仲間であろう連中がすげぇスピードで追ってきてた。根性あるなぁ…
「ですねぇ。どうします?」
撒きますか?とバックミラーをチラリと見たジョンが問いかける。
此処で片付けるなら準備しますが、と続けるが…
「そうだな…いや、流石に今やっちまうのは不味い」
まだ確定じゃねぇし。…大方真っ黒だがまだギリ灰色と言いはれなくもないレベルで。
「撒けるか?無理なら2、3発叩き込んで黙らせるぜ」
リボルバーに手を掛けながら聞くと。
「それには及びません。…一応シートベルト締めて下さいよ?旦那なら飛び出しても平気でしょうが」
冗談ぽく言ったかと思うといきなり反対車線に飛び出して前方の車列を追い越し始める。
一気に加速して追っ手を引き離しにかかるが…
「おぉー随分と気合い入ってんぞアイツら」
同じように反対車線に乗り出して来るデイビットの仲間達(仮)。
なかなか良いドライバーが居るじゃねぇか。
…助手席からあの派手色ボディのガキがギャーギャー騒いでんな?
「何言ってんのか分かんねぇけど滅茶苦茶キレてんな」
なんだアイツ?そんなにデイビットにご執心なのか?
「惚れた腫れたは専門外ですが…」
面白い話が聞けそうですね、と楽しそうに呟くジョン。
「状況が許すならデイビットの奴を叩き起こして酒のつまみにしてやる所なんだがな…」
残念だ。良い酒の肴になっただろうに。
その後も延々と追いかけっこが続くかと思っていたんだが、ハイウェイでもないのにメーターが130を超えて更に加速してきた辺りで少しずつ距離を離していく。
「馬力の差で勝てますね」
なんて事はないと言った具合にそう呟くジョン。
「それだけの話とは思えねぇがな」
凄いスピードで流れていく景色を観ながら呆れたようにそう答えると
「そう言って貰えるのは嬉しいですけどね…相手も良い腕してますよ」
少しずつ離されていく追っ手をチラリと見ながらそう言うと
「でもまぁこの分ならさっさと千切って終いですな」
此処からはほぼ直線ですから。と呟いて車を更に加速させる。
「…どんだけイジったんだお前?」
そういや最初に見た時…乗った時はせいぜい100が限界だっただろうが。
「聞いてくれるんですか!?いやーもうこの間の…」
「…あー、やっぱ良い。そういうのはムアマルとでも話してろ」
どうせ聞いても判らん。と答えてジョンが少し肩を落とした辺りで俺のホロコールに呼び出しがあった。
「この忙しい時に…」
まぁほぼ逃げ切ったし、今のところ俺の仕事はねぇし別にいいか、とホロに出る。
「あーこちらブートヒル…」
『テメェ…うちのモンに手を出すとは何考えてんだ』
噂をすれば影と言うが…本人登場ってのは話が早くて助かる。
「よぉメイン。相変わらず湿気た声で囀ってんな!」
『ふざけてんのか?』
どっちがだ?
「ふざけてんのはお前らだろ?」
ワントーン低い声で問いかける。
「俺達の周りをコソコソ嗅ぎ回りやがって…いい加減我慢の限界だぜ」
『待て、それは…』
「あぁ!それと今回はネズミまで贈りつけてくれた見てぇじゃねえか?」
『ネズミだと?』
「…なぁおい。お前、このガキ相手なら俺が甘くなるとでも思ってんのか?」
白を切るつもりかはたまた知らねぇのか定かじゃねぇが。
「コイツがお前に何話したのか知らねぇが…俺は容赦しねぇぞ」
『待て、お前が攫ったんだよな?』
「仲間連れてコソコソつけ回してやがったからな。俺はストーカーされて喜ぶ趣味はねぇ」
少し間が空く。
「何処のどいつが描いた絵か知らねぇが…こう見えても結構頭に来てんだぜ?このガキがそんな絵描ける様な頭してねぇのは知ってる。だからまぁ…今回の件はお前が主導だろ、メインさんよ?」
何かを言いかけて止まった様な、少し身動ぎした雰囲気がしたが無視して話し続ける。
「さっさとラブリーにしてやっても良かったんだが。一応お前の言い分も聞いてやろうと思ってよ」
お前の普段の行動に感謝しろよ?問答無用でブッ殺すにはちょっと惜しいからこうして手間暇掛けてやってんだから。
「…今行くからそこで待ってろ。俺達とやり合うつもりなら準備しとけよ?」
居なかったら俺の言い分を肯定したと見做してテメェら全員探し出して始末する。それでこの件は終いだ。
『ッ待て…!』
「俺にしちゃ十分待っただろうが。なにせ此処数日間は我慢してたんだぜ?それに一応お前の話を聞いてやろうってんだ」
その後どうなるかはまぁさておいて。
…その結果で全部失ったとしても自業自得だろうが?
そう告げるとホロを切った。
「何か言ってましたか?」
「いや?ちっとばかし慌ててたがそれくらいだな」
ジョンに話すがまぁ詳しく聞いたわけじゃねえ。
そう言うのは会ってから聞いてやろうじゃねえか。
…撃ち合いになったとしても最期の言葉として聞いてやる。
「準備しておけ。野郎の返答次第じゃ派手にやるぜ」
十中八九そうなるだろうが、と続ける。
「…その時は
後部座席のミイラもどきをミラー越しに見て問いかけるジョン。
「どうもこうもこのまま始末して終わりだろ?」
折角無力化してんだからサックリ死んでもらうとしよう。
「えぇ…本当に良いんですか?」
ドン引いた表情で言うけどよ…
「見逃したとして、だ。その後に復讐でも考えられたら俺はともかくお前は死ぬぞ?」
コイツは今はまだどうにでも出来るが、そんな現状でもクローム入れまくったら手が付けられない化物が出来上がるだろう。
酒を飲んでる時、寝てる時、街を歩いてる時。
どのタイミングでも相手に気づかれる前に殺せる位にはイカれた加速倍率だってのを分かってんだろうな?
それでも俺だけなら何とか出来るだろうが…
「このガキに気づく前にお前の首から上はさよならだな」
中堅、ベテランと新人の差を一瞬で埋める事が可能な程のイカれたクロームだ。
だからこそ他の何よりも先に対処方法を考えた訳だしな。
「敵に回るなら確実に始末するべきだ」
「あ!じゃあそのサンデヴィスタン抜いちまえば…」
これなら殺さなくてもいいんじゃないですかね?と続ける。
溜息を一つ。入れ込むのは結構だがそれで頭の回転が鈍るのは勘弁だぜジョン…
「そもそもコイツにサンデヴィスタンへの適性があるってのが問題なんだ。お前にとっちゃ廉価版だろうが高級品だろうが関係ねぇだろうが」
どっちにしろ反応出来ねぇんだから。
「こればっかりは譲らねぇ。敵の加速野郎は殺す」
絶対にだ。と念を押すとジョンは神妙な顔で頷いた。
理解してくれて何よりだ。
「よし……覚悟決めろよ?」
メインからどんな事情が聞けんのか楽しみだ。
笑い話になるなら酒の肴としちゃ上出来だし、やり合うってんなら派手に暴れて美味い酒を呑んで終いだ。
「あの野郎とそのチームは一流だって話だからな」
ちょっと苦労するかも知れねぇが…
「何時もの様に、邪魔する奴はスクラップにして…」
「欲しいものを頂いて逃げる、ですね」
判ってんじゃねぇか。
何時も通りやりゃ良いだけだ。ちょいと相手が面倒なだけで何も変わりゃしねぇ。
それに…
「事と次第によっちゃキロシ野郎までオマケで付いてくるかもしれねぇしな?」
ファラデーが絡んでるなら話は簡単だ。
今度こそブチ殺して落とし前を着けてやる。
「どうですかね…そこまでバカとは思えませんよ?」
懐疑的な声を上げるジョンに
「理解できねぇ事をするからバカなんだぜ?」
それに、もしそんな馬鹿なら遠慮は要らねぇだろ。
今度こそアイツの命で落とし前着けて貰おうじゃねぇか。