サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜 作:ロックオン
ファラデーのカス野郎を始末した数日後の昼下がり。
相変わらず依頼をこなしながらナイトシティを満喫している訳だが…
「で、お前はあのガキとどう言う関係なんだ?」
俺達は今、道端を歩いてたデイビットを誘って適当な屋台で酒を飲んでいる。
「どんなも何も…仲間だよ」
少し面食らった様子で答えるデイビットにジョンが問い詰める。
「ただの仲間があんな形相で追っかけてくるか?」
お前攫った時凄かったぞ?ショットガンぶっ放しながら走って来てたくらいだ。と続ける。
「随分愛されてるじゃねぇか小僧!」
ジョンのからかう声に対して
「や、やめろって!そんなんじゃないっての!」
少し慌てて訂正するデイビット。
慌てて否定する所が怪しいなおい。
「じゃあどんな関係なんだよ?」
「だからアイツはただの仲間だって!」
ほーん?アイツは、ねぇ?
「本命は別にいるってか?お前も隅におけねぇな!」
笑いながら酒を飲む。
「なんでアンタたちが気にしてくんだよ…」
疲れたように項垂れるデイビット。そりゃお前…
「面白そうだからに決まってんだろうが。あの時のガキが一丁前に色気付いてんだぜ?」
ギャーギャー噛み付いて来た日が懐かしいな?と笑いかけると憮然とした顔で
「その話はもう止めてくれよ…反省してんだから」
「冗談に決まってんだろ?もう気にしてねぇよ」
飲むか?と酒を勧めるが…
「遠慮しとく。これからちょっと野暮用が…」
言いかけてしまった!と言う顔をするデイビット。
分かりやすい野郎だな…単純な奴は好きだぜ?
「なんだ!邪魔しちまったみたいですよ旦那!」
「そうか…悪かったなデイビット」
わざとらしく頭を下げると憤懣遣る方ないと言った感じで
「だから違うって!仕事の話だよ!」
と言ってそっぽを向く。耳が赤いぜデイビット?
「仕事ね。まぁ恋愛も慣れてきたら仕事と同じようなもんだしな?」
「旦那、それは違いますよ!こんくらいの歳ならそれはもう猿のように…」
ジョンと一緒になって更にからかうともう良い…と肩を落とす。
「悪い悪い…お前の反応が面白くてな」
ガキの恋愛事情はどうでも良いがからかうのは良い肴になる。
「そうだぜデイビット。…上手くヤるコツ教えてやろうか?」
ジョン、ソイツはもろにセクハラじゃねぇか?
「だーかーらー!違うって言ってんだろぉ!」
机に突っ伏して耳を塞いだ。
「ギャハハ!まぁこのくらいで勘弁してやるか!」
乾杯!とジョンと酒を酌み交わす。
飲んだ後に真剣に忠告する。
「まぁ何にせよ、だ。…大事にしてるもんが有るなら足洗う事も考える事だな」
いつ誰の恨みを買うか分かったもんじゃねぇぞ?と続ける。
「そん時に一緒に死んでくれる様な女なら良いが…お前そういうの苦手だろ?」
母親の時もそうだったように。
コイツは身内の死に耐えられるような奴かと言うと大分怪しい。
「………考えとくよ」
真剣な表情で答えるデイビットにニンマリと笑って
「やっぱ女いるんじゃねぇか!何がただの仲間だよ!」
ゲラゲラ笑いながら酒を飲む。
「引っ掛けやがったな!?」
「引っ掛かる間抜けが悪い!あーおもしれぇ!」
良い酒の肴だぜコイツ!
「もう良い!」
と怒りながら去っていくデイビット。
…もうちょいからかいたかったがしょうがねぇか。
「いやー、笑わせてもらいましたね」
「だな。ま、これでこの間の件はチャラだ」
滅茶苦茶笑わせて貰ったしな?
「ま、旦那が良いなら良いですけど」
やっぱあの小僧に甘いですよね?と続けるジョン。
「面白い奴だからな」
あの時。メインの頭を吹き飛ばす直前で割って入ってきた度胸とその後の機転は褒めるべきだろうよ。
「アイツのお陰で死体が一つで済んだんだしな」
カス野郎はあの後ローグの手の者が片付けたらしいし、めでたしめでたしだ。
「そうですね…」
苦い顔しながら酒を煽るジョン。
「まだ取り逃した事気にしてんのか?」
後部座席に拘束してた筈のデイビットがいつの間にか抜け出してた件。ありゃ驚いたが…
「互いに死ななくて良かったで良いじゃねぇか」
拘束解いたデイビットがコイツを殺してた可能性だってあった訳で。
「そりゃまぁそうなんですがね」
不甲斐ないのに違いはないですよ。と酒を煽る。
「ま、次はキッチリ始末してから行くとしようじゃねぇか」
死んでりゃ逃げられる事もねぇだろ。
「いや、多分旦那はあの小僧を撃てないッスよ…」
小さい声でボソッと呟くジョン。
「あん?なんでそう思うんだよ?」
「さっきもそうですが…旦那はデイビットに甘いですから」
情が湧いてんじゃないですか?と続ける。
「態々忠告までしてやって…入れ込んでる証拠でしょう?」
さっき?あぁ、大事なもの云々か。
「…まぁ、あのガキが
身内が巻き込まれても良いと思えねぇなら向いてないと思うんだが…
母親が死んで取り乱してたガキが、好きな女が死んでどうするかなんてのは想像に難くねぇ。
「ましてや
この街ではそんな野郎に近しい奴が居るなら、ソイツを人質にするも良し、憂さ晴らしに殺しても良しと考えるカス野郎は残念ながら多い。
「そうなってからガチ切れたガキが何をするか?…まぁ復讐だろうな。それに必要なら何でもするだろうぜ」
口約束とは言え意識が朦朧としている状態で母親を助けてくれるなら何でもする、と口に出す奴だ。
サイバーサイコシス発症ギリギリまでクロームを満載してもおかしくねぇ。
「時限爆弾が一気にカウントを進めるって訳だ。アイツがサイバーサイコになったら最悪だろうな」
純粋に速い。それだけで他の全てがガキでもヤベェレベルだ。
更に言えばアイツとクロームの親和性の高さもマイナス要素になる。…どんなバケモンになるんだろうな?
「…そこまで考えての事ですかい?」
懐疑的な目を向けて来るジョン。
「いや、今考えた。それっぽいだろ?」
呆れた顔でそんなこったろうと思いましたよ…と呟くジョンに
「でもま、本当にそんな事になった時はちゃんとトドメ刺してやる位には目を掛けてるぜ?」
そうならねぇのが1番だけどな、とグラスに残った酒を流し込む。
「そうですね…」
ま、辛気臭い事考えててもしょうがねぇ。
「ま、アイツの事はメインが何とかするだろうし今考えても仕方ねぇよ」
お前も呑め、とグラスに酒を注ぐ。
「将来的にどう転ぶかは神のみぞ知る、ですかい?」
「俺達に神様なんて高尚なもんは居ねぇだろうが」
俺も、お前も。信じてるのは自分達の腕だけだろ?
「運が悪けりゃそうなるし、そん時ゃしっかり始末をつけるさ」
自分のグラスにも酒を注ぐ。
スッと持ち上げてから
「俺達の更なる飛躍に!」
「ついでにあの小僧の無事を祈って!」
今日何度目か忘れた乾杯して飲み干した。
なんやかんや言ってデイビットの事気に入ってんのはお前もじゃねぇかよ。アレでネットランナーならメインの所から引抜こうと思うんだが…
ま、しょうがねぇか。考えても仕方ねぇ事は明日以降の俺に任せるとしよう!