サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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急に降ってきた感じの後半導入部です

感想やここすきなど入れて頂いて少し気合いが入ったので投稿します


数年後。時が経つのは早い…いや、この街が騒がし過ぎるせいか

 

 

「…もう一回、言ってくれるか?」

 

耳を疑う言葉を聞いた気がしたんだが?

 

「依頼人がトんだ。…待て待て待て!話はまだ終わってねぇ!」

 

よし殺そう。とリボルバーを頭に向けるとムアマル…エル・キャピタンは慌てて説明しだす。

 

「つ、つまりだな?今回運んでもらう予定だった奴が…その…なんだ」

 

歯切れが悪いな?と銃口を向けたまま先を促す。

 

「ソイツがどうしたって?」

 

「護衛がアンタ達だって伝えたら音信不通で何処にも居なくなっちまったんだ!本当!マジの話だって!」

 

ほぉ…?俺達じゃ役者不足だって言いてぇのかお前。

 

「旦那。前に見逃した連中の1人じゃないですかね?」

 

ジョンの言葉を聞いて少し記憶を漁る。

今回の依頼人は…タイガークロウズの離反者だったよな。

郊外まで護衛して連れて行くのが仕事だったはずなんだが指定された場所に行っても影も形もねぇ。しびれを切らして今回のフィクサーであるムアマルに連絡して現在に至る、と。

 

「…覚えがねぇんだが。タイガークロウズで見逃した奴なんていたか?」

 

ヴァレンティーノズはちょいちょい見逃してる気がするがタイガークロウズは大抵裏切り者の粛清だから皆殺しにしてるはず…

 

「ほら、この間の逃走中に喧嘩ふっかけてきたアホですよ」

 

「……あー。居たなそんな奴」

 

仕事終わりに頂いた目標を持って逃げる最中に事故りかけた相手か。

いきなり銃を持ち出してきたから反射的に4人中2人撃ち殺して手打ちにした時の。

…確かに2人見逃してやってたわ。

 

「ちゃんとは覚えてませんが…こんなクローム入れてた気がしますよ」

 

此処です。と映像を指差す場所を見ると確かに見覚えのあるゴーグル一体型のクロームだった。

確かに次見かけたら頭撃ち抜くぞって言ったわ。

 

「まぁ、とにかくだ!今回の件は他の奴に任せることにするから…」

 

「帰れってんならお前の腕引っこ抜いて行くけど構わねぇよな?」

 

肩を回しながら恫喝する。

お前が最近フィクサー始めたって言うからこんな安い報酬でも受けたってのに。

幾ら知り合いでも無駄骨折っただけで帰れってんならお前の骨もへし折るぜ?

 

「いやいやいや!まさかタダで帰らせる訳ないだろ!?報酬って訳じゃないが…受け取ってくれ」

 

部下に合図を送るムアマル。

数でどうにか出来るって考えてるならお前のフィクサー適性は0だぞ?

騙して悪いがみたいな展開はもう飽き飽きしてんだが。

 

そんな心配をよそに話し続けるムアマル。

 

「ブートヒル。アンタ確か足がねぇっつってたよな?」

 

「あぁ。先代(23代目)は1ヶ月前にハイウェイで吹っ飛んだ」

 

装甲トラックと相討ちならコストパフォーマンスは10倍じゃ効かねぇ大戦果だぜ。

…まぁそのお陰でジョンから購入禁止令(6回目)を食らってる訳だが。

 

「実は最近いい物が手に入ってな…コイツだ」

 

部下が押して持ってきたバイクを目にして驚いた。

 

「ヤイバ・クサナギ…それも限定モデルのチューンナップ品だ。このじゃじゃ馬をアンタに譲る」

 

だから今回は見逃してくれないか?とすまなそうな顔をするムアマルを無視して単車に跨る。

 

「悪くねぇ…むしろ最高だなコイツは」

 

機器のレイアウトなんかは18代目の市販品と変わらねぇから運転に支障はない。

ただ一つ難点なのは…

 

「好みとは少しズレるが…気に入ったぜ!」

 

コイツ(クサナギ)、バカほど滑るんだよな…暫く運転してなかったから慣れるために運転しとかねぇと。

 

「…まぁ今回はしょうがないですね。旦那、簡単にぶっ壊さないで下さいよ?」

 

レッカーもタダじゃないんですからね。とため息混じりに続けるジョン。

5代目からは原型を少しでも留めている場合はムアマルに送り届ける様にしてるからな。

大抵はスクラップになるだけだろうに態々送りつけるのも律儀な事だ。

 

「任せろ…3ヶ月は持たせてみせる」

 

その間は借り物の如く大事に使うとしよう。

命の危機以外で振り回さなければそんくらいは持つはずだ…9代目は3ヶ月持ったし。

3ヶ月持った記念で飲んだ翌日にはラフェンのカスと一緒にお釈迦になっちまったが。

 

「そういやアンタの単車、オイル交換した試しがないんだが…」

 

「その頃には燃え尽きてるからな。交換する対象がねぇからしょうがねぇだろ」

 

爆発四散したエンジンのオイル交換とか意味ねぇだろうが。

 

「…まぁ、良い。大事に使ってやってくれよ?…ジョン、頼んだぞ」

 

「まぁ出来るだけな。旦那の使い方荒っぽいから」

 

2人だけで何通じ合ってんのか知らねぇけど…今はコイツの試運転が先だ。

 

「じゃ先に失礼するぜ。ジョン、今日はもう終いだ。俺はコイツの慣らし運転に行ってくる」

 

「了解です。また何かあったら連絡下さい」

 

そう言うが早いか一気にスロットルを開けてかっ飛ばす。

良い加速だ…これなら100m先の相手でも簡単に鉄屑に出来る。

上機嫌になりながら俺は風になった。

 

 

 

 

「ようブレンダン!また来たぜ!」

 

「これはこれはブートヒル様。1週間ぶりですね!」

 

ツーリングがてら適当に走り回った後、まだ日も高いしとブレンダンと茶を飲みに来ていた。

 

「今日は何にします?いつもの奴以外にも新しいコーヒーフレーバーが追加されてますよ?」

 

「珍しいな?この系統はあんま人気ねぇって言ってたじゃねぇか」

 

コーヒーっぽい何かは不人気なのかあまり新作が作られない。

まぁ酒の割物にするにしてもコーヒー味ってだけで無理あるからしょうがないが。

 

「えぇ、今回の新作は実に4年ぶりだそうで。本物より本物みたいなフレーバー!、がキャッチコピーですよ!…一本いかがですか?」

 

どうせまたコーヒー成分なんざ1mlもねぇ癖に大胆だなおい。

 

「んじゃ折角だしそいつを貰うとするか」

 

「はいヨロコンデー!」

 

…また変な語彙増えてんな?まぁ人間臭さが増してるから別に良いんだけどよ。

受け取り口から出てきたいつもとは違うデザインのコーヒーもどきを受け取って口に運ぶ。

 

「…うん。まぁ…コーヒーではねぇな」

 

それっぽい何かではあるが。

何時もの奴と比べてどうかと言えば…

 

「材料が違う感じか?コーヒー豆が違う程度には差があるが本物より本物ってのは大分誇張してんぞコイツ」

 

そう言いながら一口飲むと残念そうな口調で話しだすブレンダン。

 

「そうでしたか…すみませんブートヒル様。お口に合わなかったようで」

 

「気にするなよブレンダン。別に味を求めてきてる訳じゃねぇ」

 

笑いながら答えると少し朗らかになった口調で

 

「そう言っていただけるのは嬉しいですね!…でもこのキャッチコピーは今後使用しない様にしないといけませんね」

 

詐欺になってしまいますし。と続けるブレンダン。

 

「いやキャッチコピーなんて言ったもん勝ちだろ?好きに使って良いんじゃねぇか」

 

それこそクレームは制作会社にして下さい、で済む話だろ。

 

「いえいえ、この場で対応できるのは私だけですから…大事なお客様に嘘を言ってオススメする訳にはいきませんよ」

 

人が出来てる…いや機械が出来てる?奴だなブレンダン…

 

「心が痛むってか?」

 

笑いながら問いかけると

 

「この感覚を心と呼ぶのなら、そうかもしれませんね?」

 

曖昧な表現で返してくる。

相変わらずの調子に苦笑しながら

 

「だったら面白いけどな?SCSMに心が芽生えるとか前代未聞だろ」

 

それっぽい何かが芽生えたとしたら。機械と人の差が更に無くなるからな…

 

「そうですね…まぁ私はただのSCSMで満足ですが」

 

こうして偶にお話し出来るなら何であれ構いませんよ、と続けるブレンダン。

 

「そりゃ慎ましい事だな…ま、本人の望みなんて他人にゃわからねぇもんだが」

 

技術の革新やらシンギュラリティがどうとか、色々頭を過ぎるが…全部が全部ハッキリさせなきゃいけねぇ訳でもない。曖昧なままで居た方がコイツとの会話は楽しいだろうしな。

 

「ブートヒル様?」

 

少しの間黙り込んで考えているとブレンダンから心配の声が上がる。

 

「…あぁすまねぇ。少し考え事してた」

 

まぁどうでも良い事か。

仮にコイツのそれっぽいもんが芽生えてようがそうじゃなかろうが。ただのSCSMだとしてもいつも通り偶に寄って話をするのは変わらねぇ。

 

「悪いなブレンダン。また来るぜ」

 

新作のコーヒーもどきの空き缶を片手で圧縮してゴミ箱へと放る。

綺麗にシュートが入ったのを見たブレンダンの『相変わらず素晴らしいお手前です!』の声を後にしてその場を去った。

 

 

 

 

「…って訳でよ。機械にも心って宿ると思うか?」

 

「それを聞いて俺にどうしろって言うんだよ…」

 

今は何時ものようにアフターライフへと向かって酒を飲もうとしたら偶々見かけたデイビットをとっ捕まえて話し相手になってもらっている。

 

「別に?お前が暇そうだったから話し相手になってもらおうとしただけだぜ?」

 

何時も仲間と一緒で中々絡めねぇからな。と笑いながら酒を煽る。

 

「…まぁ良いけどさ。で、なんでまたそのSCSMの話をしてきたんだ?」

 

言っとくけど俺AI周りの話なんて殆ど分かんないぞ、と続けるデイビット。

 

「大した意味はねぇよ。酒の肴程度の感覚だっての」

 

そうじゃなきゃお前の女関係でも良いけどな?と揶揄う様に言うが

 

「もうその手には乗らないよ…ルーシーとは上手くやってんだから」

 

スンとした顔で酒を煽るデイビット。

…此処数年で身体もデカくなっちまって可愛げが無くなっちまったな?

 

「チッ…図体がデカくなっただけかと思いきやちゃんと考える頭も付いてきたか」

 

面白くねぇの。と苦笑しながらデイビットを見る。

身長が伸びたのもそうだが筋肉量…搭載してるクローム量がまた増えてやがるな。

 

「…またサイバーウェア増やしたのかお前。その内狂うぞ?」

 

「アンタに言われたくないけど…別に大丈夫。俺は()()だから」

 

むしろ機械を入れた方が調子が良いんだ。と続ける。

 

「前からこうだったって感じでシックリくる。だから何も問題はない」

 

イカれてんのか自信過剰なのかわかんねぇが。

 

「そうかい…ま、せいぜい狂わねぇ様に祈る事だな」

 

そん時はお前の周り全員巻き込んで鉄屑になってんだろうし。

 

「言われなくても。アンタこそ大丈夫なのかよ?」

 

少し心配と煽る様な口調で言ってくる。

 

「俺は()()だからな。お前らとは違う」

 

そもそも製造規格が違うっぽいからな。消耗品は互換性があって助かるがそれ以外はさっぱりだ。

 

「…アンタこそ狂うのは勘弁してくれよブートヒル」

 

アンタが狂ったら場所によっては大惨事だ、と続けるデイビット。

 

「ギャハハッ!もしそうなるならこの数年で狂ってんだろうがよ!」

 

今んところ何の兆候もないし今までもなかった。

これ以上入れたらわかんねぇが現状維持なら何の問題もねぇと思うぜ?

 

「そうかよ…っと、呼び出しだ。悪いけどこの辺でお暇させてもらう」

 

通信を受けて席を立つデイビット。

改めて見てもデカくなり過ぎじゃね?肩幅なんてジョンの倍はあるだろこれ。

 

「じゃあなデイビット」

 

そんな感想を抱きながらも平然と別れの言葉を伝えると。

デイビットが後ろ手に手を振ってアフターライフから出ていくのを見て時の流れを感じる。

 

「今まではメインが仕切ってたが…まさかデイビットが後釜とはな」

 

あの大男が半分引退するような形になってからはや1年。

奴の引き連れて居た傭兵集団は今やデイビットを頭とした新体制へと移行していた。

 

あの野郎が後見してんなら問題はねぇと思うが…

 

「最近またきな臭くなってきてるからな…」

 

アラサカお抱えのネットランナーが連続して消えてるって話だし。

ミリテクの連中も大物を用意し始めてるって噂だ。

 

 

ナイトシティを舞台にド派手な花火が打ち上がる予感しかしねぇな?

そこに参加するのか、傍観するのかはまだ未定だが…

楽しいことになるなら大歓迎だ。

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