サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜 作:ロックオン
「旦那…何で今回はデイビットんとこと合同なんですか?」
運転席からジョンが尋ねてくる。いつもと違うからまぁ当たり前な事だな。
「ワカコがな…デイビットんとこに新人詰め込んだからいざという時のバックアップだとよ」
アイツん所は基本的にくるもの拒まずみたいな感じで一回は試用するから古参以外は面子が固定されねぇんだよな…今回は誰っつったっけか?
「デイビット。今回の新人くん?ちゃん?はどんな感じだ?」
ホロでデイビットに問いかけると
『浮き足立ってる。…これは死んだかもな』
諦観と共に口に出された言葉に驚く。
大分染まったよなコイツ。前までなら生かすように動いただろうに。
「そいつぁ御愁傷様…ってかそうと分かる位ならとっとと蹴り出せよ」
勝手に死ぬなら関係ねぇが足引っ張られんのはゴメンだ。
『悪いなブートヒル…申し訳ないけど今回は俺の仕切りじゃないから無理だ』
フィクサー直々の頼みだからな。そう続ける声には少しの疲労が見えた気がした。
「そうかい…ま、最悪は俺達でどうにかしてやるよ」
その
『…アンタに迷惑はかけないよ』
「そうだと良いがな…大口叩いて終わりにならねぇ事を祈るぜ」
カラカラと笑って通信を切った。
「…大丈夫ですかね?」
心配そうに言うジョンに答える。
「まぁ大丈夫だろ。ミスってもアイツが痛い目見るだけだ」
腕は悪くねぇんだから本人が死ぬようなことにはならねぇよ。
その周りがどうなるかってのは置いといて。
「今のデイビットなら旦那ともやり合えますかね?」
「ハッ、10年速ぇよ!まだ負ける気はしねぇな」
目の前でヨーイドンならだが。
不意打ちスタートだとどうなるかわかんねぇわ。
一撃で殺されなきゃどうとでもなるが…一発で殺される可能性も否めねぇ。
「最近飛ぶ鳥を落とす勢いのデイビットでもまだ届かないんですね…」
俺じゃもう勝ち目ねぇってのに。と笑うジョン。
「そりゃお前、純戦闘員がドライバー兼ネットランナー兼オペレーター兼準戦闘員に負けちまったら立つ瀬がねぇだろ」
呆れた様に笑う。お前
「……今思ったんですけど。俺の仕事多くないですかね?」
「何を今更…俺に出来ねぇ事をお前がやる、お前に出来ねぇ事は俺がやる。そう決めただろうが」
それとも俺の代わりにドンパチメインでやるか?と問いかけると。
遠慮しときます…とため息をつくジョン。
「ま、いつも通りやろうぜ。それで終いだ」
「…ですね。今回は楽出来そうですし」
デイビットんとこのネットランナー…キーウィとか言ったか?そいつが情報抜いた後だからな。
しかも俺たちは後詰みたいなもんだ。
「そろそろ着きますね」
「だな。お仕事開始だ」
停車した車から降りるとデイビット達も総員降りてきた。
…あの坊主が新入りか。ありゃ確かに死にそうだな。
「…ブートヒル、手筈は事前に説明した通りで行くけど…問題ないよな?」
デイビットから最終確認されたが。
今回はメイルストロームの拠点の一つを綺麗サッパリ片付けて来いってだけの簡単なお仕事だ。
手に入れた情報を元に皆殺しにするだけの正に俺向けと言って良い仕事なんだが。
今回はデイビットとくっついて来たオマケがいるからな…
ま、妙な事になりそうもなけりゃ放っといても良いだろ。
「別に構わねぇよ。チャッチャと片付けるとしようぜ」
お前のファンが待ちきれねぇって顔してんぞ。と伝えると
「あれはアンタのファンでもあるらしいから挨拶位してやったらどうだ?」
「冗談言うなよガキ…デイビット。俺はアーティストでも何でもねぇぞ」
デイビットに対してはガキって言い過ぎたせいか未だにコイツに関しては時折でちまう。
ソレを気にした様子もなく答えるデイビット。
「それもそうだな…じゃ、始めるか」
チームの連中の方へと向かうデイビットを目で追う。
いつぞやのショットガンのガキも居るじゃねぇか。…あれがルーシーか?思いっ切り肩殴られてるけど。
仲が良いようで何よりだなおい。
「ありゃ相当尻に敷かれてるな…」
既に頭が上がらないみたいだし。あれじゃ形無しだなデイビット…
それにしても女連れで依頼に来るとは…人ってのは変わるもんだ。
「何だぁテメェら!?俺たちに何か用かよ!?」
で、正面から堂々と乗り込んだわけだが。
「キーウィ、何とかできるか?」
デイビットが自分所のネットランナーと話してるが…
「…待て、あの白黒頭は…!?」
あ、俺か?
「皆殺…!」
言いかけた奴を撃ち抜いた。
危ねぇ、バレるところだった…大声で喚かれると逃げる奴が出てきて面倒だし。
「何してんだアンタ(お前)!?」
驚いたデイビット達が声を荒げるが…
「撃て撃て撃てッ!ここで息の根止めろぉ!」
メイルストロームの連中がバカスカ撃って来やがってるからそんな暇ねぇぞ?
「1人、2人…まとめて8人っと。さっさと撃ち返せデイビット。お前らも撃てよ」
淡々と片付けてると漸く打ち始めるデイビットチーム。
始めちまえばこっちのモンだな。
「段取りと違うだろ!?」
「別に変わんねぇだろうが…ラブリー共を皆殺しにするならこっちの方が速い」
俺の顔見て騒ぎ出すキューティがいたから逃げる奴を追っかけるの面倒くせぇし。
そう続けながらも右手の発砲は止まらない。弾が切れたらリロード、即発砲。
少しの間繰り返すとすぐに相手が静かになった。
「これで終いっと。…な?こっちの方が速かっただろ」
その場に居た全員を処理するのに2分も掛かってねぇし。
損害も0。言うことなしだな。
「…アンタと一緒に仕事した奴が口を噤む理由が判った気がする」
ため息と共にデイビットが愚痴をこぼす。
「お前ならこの程度の奴らに作戦なんざ要らねぇだろ」
積み込んだクロームとサンデヴィスタンで速攻で終わんだろうが。
「だとしてもだ。俺たちはチームで動いてんだから勝手にされたら困る」
「そいつはすまなかったな」
まぁ今回は俺が反射的に撃っちまったのが悪いか。
手順やら何やらをシカトしてぶっ殺しちまったのは俺の非だ。
「…まぁ全員無事だし今回は良いけど。この後は俺の仕切りでやらせてもらうぞ」
「へいへい…お前に任せるよ」
片手をぷらぷらと振って了承すると横に居たルーシー?が突っかかってきた。
「おいおい!アーシ達を危険に晒しておいてその態度は何だよ!?」
「危険…あの程度でか?」
随分温い仕事して来てんだな、と溢すと更にヒートアップしたのか
「テメェ…!ここで風穴開けてやろうか!?」
おぉ怖、と思っているとこの女マジで銃口俺に向けようとしてんな?
ショットガンの銃口が俺に向く…途中でデイビットが割って入った。
「止めろ!今ここで争う意味はないだろ!」
…やっぱ速ぇなコイツ。目の端で捉えたと思ったらもう目の前に居やがる。
「アンタもだ、ブートヒル。…銃を向けようとしたのは謝罪するから収めてくれ」
俺が反射的に向けたリボルバーを抑えながらそう告げる。
「…手ぇ離せガキ。別に撃ちゃしねぇよ」
本気で殺す気なら
そう続けると漸く解放されたリボルバーをホルスターに収めた。
「悪かったな、お前の男を危険に晒しちまって」
ルーシー?に謝罪する。多分その事の方がムカついてんだろコイツ。
まぁあの程度で危険だってんならあんまこの仕事向いてねぇと思うが。
「…アーシも、カッとなって悪かったよ」
目を逸らしながらの謝罪を受けとった。
…何か少し上機嫌になってねぇか?
「…先に進むぞ」
少し疲れた様子のデイビットの言葉で奥へと進む。
流石にさっきの場所ほど多くはないがまだまだ居るメイルストローム共を弾いて行く事になったんだが…
「こ、此処は通さねぇ!テメェら全員ブッ殺す!!」
身体のデケェメイルストロームがバカみてぇなハンマーを携えて通せんぼしてやがる。
「あの野郎…!」
新入りくんがショットガンを構えるが、それを制止するデイビット。
「持ってろ」
仲間に上着を預けると上裸になって左手の確認をしている。
…一対一でやるってか。サービス精神旺盛なこった。
「舐めるなチビ!!」
デカ男がハンマーを振り上げると同時にデイビットが加速する。
一瞬で懐に潜り込んだかと思うとデカ男も加速を開始し始めた。
最近サンデヴィスタン積んでる野郎が増えてる気がするな…と内心で辟易してると。
振り下ろしたハンマーを掻い潜って跳躍したデイビットがデカ男の背後に回って左腕の仕込み武器で発砲。呆気なくデカ男の頭が吹き飛んだ。
…まぁ、デカ男のサンデヴィスタンの加速倍率じゃデイビットには敵わねぇわな。同じ土俵で戦うにしても純粋に2倍くらいの差があるんじゃどうしようもねぇ。
「おぉ〜スゲェ!シュッシュ!スゲェスタイリッシュ!」
新人くんは大騒ぎだ。あの瞬間移動じみた戦闘見て分かることなんざねぇだろうに。
「ヤバいっすね!ね!俺もいつかああなりたいっす!」
俺に向かってキラキラした目で聞いてくる。
ありゃデイビットが特別だから出来る事でお前にゃ無理だぜ?
…まぁ夢壊してやる事もねぇか。
「そうだな…あのキューティを弾くのはちょいと骨かもな」
ちょっとしたリップサービスも加えて答えてやると更に舞い上がった様子の新人がウキウキした様子で先に進もうとした。
「いやー、さすがデイビットさん!一瞬で良くわかんなかったですけど!」
あー…放っといたら死ぬなアイツ。地雷に気づいてねぇわ。
「止まれ新人。じゃなきゃ死ぬぞ」
一応声をかける。別に死んでも構わねぇが。
「はい!?何ですかブートヒルさん!」
意外と素直に止まった。命拾いしたな?
素直に言うこと聞く所は好きだぜ?
「こっち戻ってこい」
疑問を顔に浮かべながら戻ってくる新人を見ながらため息をつく。
「デイビット。お前の管轄だろうが…ちゃんと見てろよ」
上着を着直してるバカの頭を軽く叩く。
イテェッ!?と軽く叫ぶデイビットを尻目に地雷を撃ち抜く。
爆発と共に通路がぐちゃぐちゃに散らばる。
「目の前で新人くんがミンチになるとこだったぞ」
そう言うと少しすまなそうな顔で
「…悪い、助かった」
「お前もだ新人。死にたくなきゃ
軽く頭を叩く。…何で嬉しそうなんだコイツ?
「はい!ありがとうございます!!」
何かより興奮してねぇか?
ドMかよ…と少し引いてると。
「………わかった。皆、撤収するぞ」
デイビットからの指示で撤収が決まった。
どうやらチームのネットランナーから目標全滅の報告を受けた様だ。
…あのデカブツが最後の1人だったのか。さっさと逃げりゃ良いのに態々殴りかかってくる辺り
「ん〜…終わったか。損失0、これならワカコも文句ねぇだろ」
そう呟いてさっさとメイルストロームのアジトを後にする。
「じゃあなデイビット。報告は任せるぜ」
「わかった…今回は助かったよブートヒル」
おかげで1人も死なずに済んだ、と続けるデイビットに。
「…ま、
多分放置したら次の依頼で死ぬぞ?と釘を刺してから別れた。
後はまぁいつも通りだ。
ジョンと合流してエルコヨーテで酒盛りして。
ベロベロに酔ったジョンを車に押し込んで昼まで爆睡。
偶にはこんな依頼も悪くはねぇが…やっぱ俺は1人で殴り込む方が性に合ってるわ。
面倒な作戦に付き合わなくて良いし、ガキのお守りもゴメンだ。
そう思ってたんだけどな…
思った以上に俺は面倒見が良かったらしいと気付かされるのはもう少し後の事だ。
その話はまたいずれ、別の機会にするとしよう。