サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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俺達名無しの権兵衛!ヨロシクな!

 

 

 

 

ナイト・シティに来てもう数週間。何度か仕事を熟す内に段々とこの街のやり方に慣れてきた。

 

今日はバンを強奪して届けてくれって内容だったんだが…

 

 

 

「おいジョン!まだ時間掛かんのか!?」

 

適当に撃ち返しながら相棒のジョンへと怒鳴る。

 

『ちょ、待って下さいよ旦那!俺の頭じゃそんな速く割れませんて!』

 

「お前この間最新のテック入れたとかはしゃいでただろ!」

 

飛んできたグレネードを撃ち落としながらツッコむ。

 

『いや…その…アレは夜の為の奴でして…』

 

ゴニョゴニョと言いにくそうに喋るジョン。

 

「このベイビーが!まずは仕事優先して改造しろよ!」

 

怒鳴りながらも頭を出した間抜けをブチ抜く。ビューティフォー。

この分なら俺が片付ける方が早いんじゃねぇか?

チマチマと撃ち合ってると待望の

 

『……良し割れました!直ぐに車回します!』

 

ジョンから報告が上がると同時に建屋の窓から外に飛び出す。

ガラスの割れる音に紛れて相手のスマートガンから放たれた小型弾頭が空を切る音が聞こえた。

 

「甘いッ!」

 

視認出来たのは3発、全て勝手に動く右手が撃ち落とした。

すげーや、当てようと思う所に完璧に弾が飛んでくわ。

 

下にあったちょっと高そうな車をクッション代わりに着地すると上から悲鳴が聞こえた。

 

「俺の可愛い愛車が!?この野郎ぶっ殺してやる!!」

 

こんな丁度良いところに停めとくほうが悪い!

 

「賠償は弾丸で良いか?くたばりやがれ!」

 

額で煙草を吸えるようにしてやると途端に静かになった。

呑気に顔出して此方を撃ってくるからそうなるんだぜ?

 

「旦那、乗ってくだせぇ!」

 

「良いタイミングだ!」

 

今回のターゲットである大型バンを運転するジョンに返答しながら助手席に飛び乗る。

 

「飛ばせ!」

 

「了解!」

 

アクセル全開で倉庫を後にする。

邪魔する奴は粗方風穴開けてやったし追手も暫くは掛からんだろ。

 

「楽勝でしたね!」

 

「このラブリーが、お前が早けりゃもっと楽勝だったぜ!」

 

1発引っ叩いた。軽く頭の外装が歪んだっぽいがまぁいつもの事だな。

 

「へへッすみません…今度はちゃんと仕事用のインプラント入れますんで…」

 

「ったりめぇだベイビーが…次の仕事の時に下らねえテック入れてきやがったら喉から直接酒飲める様にしてやるよ」

 

ギロリと睨むと恐縮したように肩を竦めるジョン。

金の使い道は人其々とはいえ初手で快楽方面に改造すんじゃねえよ…

 

「そうでなきゃ俺だけでどうにか出来る仕事を選べ。…こーいうバンをパクって来るとかのハッキング技能が要らねぇ奴をだ」

 

出来れば誰かを始末してこい、派手にやって良い。みたいな奴がベストだな。隠密は向いてねぇわこの身体…目立つ事この上ない。

全員殺して良いなら話は別だが。端から順に絞殺して行けば誰にも見つからずに済ませる事は出来る。

 

「へ、へい!今度はちゃんとやりますんで…」

 

「ま、今日の所はうまく行って良かったが。さっさとフィクサーに連絡して報酬貰おうや。」

 

肩を叩いて水に流す。何時までも引き摺ってたら楽しくねぇもんな。

 

「今回は誰からだったっけか?」

 

「セバスチャン・イバラですね。通称パドレ、ヘイウッドの事なら何でも知ってる爺さんですよ」

 

ほー…こんな街で爺になるまで生き延びてるってのは相当デキる奴なんだな。

 

「…実は昔ちょっと世話になった事がありまして。勿論旦那が良ければなんですが是非会ってみたいと」

 

どうですかね?と此方を伺うジョン。

その老獪な爺さんが直接会いたいのか?俺と?

 

「そりゃ構わねぇが…」

 

そう答えると表情が一気に明るくなった。

現金な奴だな、と苦笑すると

 

「良かった!じゃあ早速連絡しちまいますね!」

 

喜び勇んで何処かに…多分セバスチャン・イバラとやらにだろう…連絡しだした。

 

ホロコールってのは便利なもんだ。声に出さなくても相手に伝えようとするだけで通話が可能、大抵はチップ程度の大きさのインプラントで事足りるから手ぶらで良いと来てる。

 

一応、俺にも後付けで装着出来る奴を装備してる。コレ、旧式なせいか通話選択も手動でやらなきゃいけないし何より無言通話が出来ねぇ。それを除けば花丸満点なんだがなぁ…

 

「…旦那!今から向かうそうでさぁ!」

 

「今から!?お前、このラブリーちゃんが!」

 

もう1発軽く叩く。このバカ野郎が!

 

「この格好でお偉いさんに会えってのか!?」

 

ルームミラーを自分に向けて覗くとさっき銃撃戦を終えたばかりで返り血でデコレーションされた服に硝煙で薫製された様な香りの色男がそこに居た。

 

「イタタ…すんません!でも別に大丈夫ですよ!傭兵なんてそんなもんですって!」

 

それもそうか?…ニッと笑うとギザ歯が覗いて愛嬌がある顔つきになる鏡の中の俺。ま、なんとかなるか。

 

「そういうもんかね?…そういうもんか。さっさと行くぞジョン!」

 

さっと気持ちを切り替えてジョンに声を掛ける。

 

「了解!」

 

アクセルを開けてヘイウッドへとひた走るバン。

…ナチュラルに乗り回してるけどこれ、一応引き渡す商品だよな?

ま、良いか。ちゃちゃっとセバスチャン・イバラと会って報酬貰っちまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…来ましたぜ。」

 

ジョンの言葉に意識を前方へと向ける。

裏路地の先に1台、高級とも言い切れない微妙なランクの車が停まっていた。

 

「あれか?」

 

ぶっちゃけもっといい車で来るかと思ってたが。

 

「…セバスチャン・イバラは凄腕です。見た目で侮らない方が良いですぜ?このナイト・シティで成り上がった傑物の1人でさぁ」

 

ジョンの忠告に気を引き締める。

 

「ま、この街で爺になってんだ…それなり以上のバケモンだろうよ」

 

肩を竦めてバンから降りる。

続いてジョンも下車すると裏路地奥の車から大男が降りて此方に向かって来た。

 

「お前がブートヒルか?」

 

「挨拶も無しか?躾のなってねぇ犬だな」

 

ジョンがすげー顔して俺を見る。悪い、口が滑った。

 

「んんッ…そうだ。」

 

「……パドレがお会いになる。あっちの車へ乗れ」

 

聞かなかった事にしたのかそのまま奥の車に促された。

ジョンはその大男と話し始めてるし、これは俺だけで行けって事か。

 

 

「…初めましてだな、ブートヒル。私はセバスチャン・イバラ。周りの者からはパドレと呼ばれている」

 

後部座席に乗り込むと横に座る爺さん…パドレから声を掛けられた。

 

「初めまして、パドレ。俺はブートヒル…ってもう知ってんだろうが」

 

既に知られてるのに自己紹介するってのも変な話だ。

 

「お前がジョンと組んで仕事を始めた辺りから目を掛けては居たが…最近大いに暴れているそうじゃないか」

 

「そりゃ認識の差だな。必要なモン揃えるのには金が入り用でよ。まぁそろそろゆっくりしようとは思ってるぜ?」

 

このペースで仕事受けてると過労死しそうだしな。

 

「そうか…まぁそれはいい。興味があるのはお前の過去だ」

 

じっと俺を見つめるパドレ。

 

「幾ら探ってもお前の痕跡は見当たらなかった。まるでパッと現れたかの様だな?」

 

少し間を取る。

 

「名前はおろか出身地すら不明。…お前は一体何者だ?」

 

そんなん俺が一番知りたいね。

 

「知らねぇよ。気付いた時にゃナイト・シティの裏路地に居たんだ…まぁ、俺をこんな目に合わせたベイビーはハニーな目に合わせてラブリーしてやるが」

 

クソがッ!言語統制のせいで間抜けに見える!

 

「………お前の言葉は難しいな。私では判別しにくい」

 

困惑した様子のパドレ。それも直ぐに収めて話を続けるのは大した面の皮だが。

 

「お前自身も知らないとなると…相当な厄ネタだな」

 

そのクローム、互換性はあれどほぼオーダーメイドだろう。と続けるパドレ。

 

「企業、または国の介入がある可能性は否めない。なればこそ今の内に処分すべきかと思っていたのだが」

 

胡乱げに俺を見やる。

 

「…この件は保留としよう。ブートヒル…吊られたガンマン。お前の道行きに神の加護があらん事を」

 

もう行って良いと言わんばかりに下車を勧められた。

 

「あぁ、パドレ。アンタにも銃弾の雨が降らんことを祈るぜ」

 

下車する時に声を掛けられた。

 

「待て。…私の連絡先だ。必要があれば連絡しろ」

 

答えるとは限らんが。と言い残すとそのまま沈黙するパドレ。

有り難く頂いておく。…いざという時には役に立つかもな。

 

 

 

 

 

「んー!はぁ…口が強い爺さんの相手は疲れる…」

 

「気に入られたみたいで良かったですよ旦那!」

 

ジョンと合流すると大男がパドレの車に戻って颯爽と路地裏に消えていった。

 

バンもいつの間にか回収されたのか影も形も無い。

代わりにいつものボロい車が鎮座している。

さっさと助手席に乗り込むと運転席に乗り込んでくるジョン。

いつも通りになりつつある構図で裏路地から出た。

流れる景色を眺めながら呟く。

 

「食えない爺さんだったな」

 

「昔っからそうですよ?気に入った奴には直に連絡先を渡すってのもそうですが」

 

俺はコツコツ頑張って自分から聞きに行ったもんです…と恥ずかしそうに告げるジョン。

 

「これで旦那も晴れて一端の傭兵って訳ですが…これからどうするんで?」

 

少し不安そうに此方を見てくる。

なんだ?何か付いてんのか?

 

「あん?そうだなぁ…取り敢えずこの間の店に行くとするか!」

 

仕事も一段落した事だしな。

仕事終わりにゃ美味い飯と酒が無きゃ嘘だろ!

 

「へい!…いや、そうじゃなくてですね」

 

パドレに認められた今、仕事を貰うのに俺は要らんでしょう?と聞くジョン。

 

「あぁ?…あぁ、そういう事か」

 

このバカはコンビ解消にビビってる訳だ。

 

「メジャーに行くんだろ?別にお前が居ちゃ行けねぇ訳でもない」

 

良いから黙って運転しろ、とダッシュボードを軽く叩く。

 

「…へい!了解です!」

 

不安が消えた様子のジョンを見やりながら単純な野郎だな、と苦笑しつつ自分の記憶について思考を巡らせていた。

 

なんで自分の記憶が無いのに訳わからん記憶が有るんだろうか。

ぼーっと考えているといつの間にか到着したようでジョンが声を掛けてくる。

 

「旦那!着きましたぜ!」

 

考えんのやーめた!取り敢えず飯と酒だ!

 

「よーし!今日は飲み明かすぜ兄弟!」

 

 

 

 

 

その日は夜が更けて、明けるまで飲み明かした。

最終的にグダグダになったジョンを連れて店を出たのは朝になってからの事。ま、いつもの事だな。

 

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