サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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あけましておめでとうございます。



その後の話…手掛かりゼロから始める黒幕探し

 

 

 

アラサカタワーでアダムスマッシャーとドンパチした後の話。

 

まぁ、あの後なんやかんやでヴィクターん所に担ぎ込まれて治療を受けて。俺が目を覚ました時には既に3日ほど経ってたと聞いて目が点になったが…この街に来て初めて長時間寝てたわ。んでもって今は寝てた時のあらましをジョンから聞いてるって訳だが。

 

デイビットの所は事実上の解散、メンバーは其々の道を行く事になったみたいだな。

 

「デイビットはルーシー…あの凄腕のネットランナーと月に行くとか何とか言ってましたぜ」

 

「月にねぇ…あの月面計画に乗っかるのは博打だと思うんだが…まぁ、アイツが決めたことならそれで良いんだろ多分」

 

アラサカが追っかけてこねえ場所は地球上には存在しねぇし、そう考えると月ってのも悪くない…いや、月面開発はアラサカも絡んでるんだったか?ま、何処行っても変わらねぇなら行きたいところに行くべきだな。

 

「キーウィはモナコだかアカプルコだかで隠居生活だそうで」

 

「悠々自適ってか?ま、悪くはねえだろ」

 

ナイトシティで生きてくのに疲れたんだろ。その辺は別に気にしねぇが…

 

「ファルコは一旦レベッカと組む形になったみたいでさぁ」

 

一流同士で組むなら不安もねぇ。借金のためにも頑張ってもらいてぇところだが…

 

「そういや幾ら請求するか決めてなかったな」

 

ヴィクター製のを5発位とオリジナルを1発、合計は…

 

「……流石に無理だなこりゃ」

 

一般市民の生涯年収3回分位になるわ。

…ヴィクター製15発分位に負けとくか。これならまぁ払い切れるだろ。

 

「あぁ、その件でデイビットから伝言がありますぜ」

 

「あのガキ、そんな余裕ねぇだろうが…」

 

アラサカに目を付けられてんだ。さっさと月でも火星でも行っちまえよ。

 

「『助かった。本当にありがとう』…序に結構な額置いていきましたよアイツ」

 

示された額を見て驚いた。

 

「おいおい、アイツ全財産置いてったのか?」

 

人生半分位は遊んで暮らせるぞ?

 

「一応逃避行代は確保してるそうですが…」

 

バカな野郎ですね。と呆れた表情のジョン。

 

「全くだ。俺の相棒代だけ抜いて叩き返せ…あぁいや、半分で良い」

 

レベッカの支払いに充てさせる。

それならレベッカの支払いも現実的な額になるだろ。そう告げると満足そうに頷く。

 

「そう言うと思いやして。既にたたき返してあります」

 

この野郎…と苦笑しながら

 

「判ってんじゃねぇか。…さて、そろそろ俺たちも行くか」

 

何時までもヴィクターに世話になってるわけにもいかねぇし。

上体を起こして身体のスキャンを実行する

 

「もう大丈夫なんで?」

 

「問題ねぇ。…絶好調とは言えないけどな」

 

スマッシャーに撃たれた左足の調子があんま良くねぇな。動くのは問題なさそうだが左手を使用する際は此方で反動受けるとまた壊れそうだ。

…暫く無理は禁物だな。

 

「ま、普段通りの仕事は出来るぜ」

 

「それならさっさと退院しろ」

 

ほれ、さっさと出ていけ。とヴィクターが奥から顔を出して手を振る。

 

「悪い、世話になったな」

 

「良いって事よ…アラサカで派手に騒いだのに生き残った新たな伝説の手助けが出来て光栄だ」

 

冗談交じりにそう答えたヴィクターは少しやつれて見えた。

…本当に世話に成っちまったな。

 

「この恩は忘れねぇ…何か困った事があったら言ってくれよ」

 

相手がアダムスマッシャーじゃなけりゃロハでやってやる。

俺も冗談交じりに返すと。

 

「はっ!お前さんに頼まなきゃならん様な事はそうそうないと思うが…覚えておくよ」

 

じゃあな、と手を振るヴィクターに後ろ手に手を振って診療所を後にした。

 

 

 

「これからどうしますか?」

 

「決まってんだろ?」

 

取り敢えず酒だ。スマッシャーを始末したんだから盛大にやるぜ!

 

「了解です…アフターライフで良いですかい?」

 

アラサカで暴れた直後じゃ流石に何時もの…エルコヨーテじゃ迷惑かかるかもしれないし、しょうがねぇか…

 

「そうだな…序に例の依頼についても聞いてみるか」

 

ローグなら何か知ってんだろ。

そうじゃなくても何かしらの手掛かりになるモノに繋がる可能性は高い。

 

「一応、依頼ってわけじゃありませんが話は通してありますよ」

 

多分ちょっとは調べてくれてると思います。と続けるジョン。

…お前、いつの間にそんな有能になったんだ?

 

そんな事を話しながらいつものボロ車に乗り込むとアフターライフへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

ローグの場合

 

 

まさか本当にアダムスマッシャーを始末するとはね…

 

アラサカタワー襲撃の報せを聞いて真っ先に確認したのはブートヒルの有無だったが。

 

「見事に暴れ回ったもんだ…」

 

死者80人を超える大立ち回りで今頃アラサカの連中は大慌てだろうよ。

 

「あの坊やがキーマンだったとは…私の目も曇ったかね」

 

一度けしかけようとした時は素っ気なかった癖にいざとなれば特攻するなんて誰が分かる?

まぁ結果としてアダムスマッシャーが負けてブートヒルが生き残った訳だから満足の行く結果と言える。

 

「問題は…」

 

 

()()()()()()()()()()

 

 

「私以外の誰かがあの男をけしかけた」

 

それも痕跡を残さずに。

偽の依頼、偽の音声、偽の発信源。

全てが嘘にも関わらず足取りを残さない見事としか言いようの無いやり口…

 

「癪に障るね」

 

全てを上回られた気分だ。

ジョンから話を聞いて原因を探る内に見えてきた第三者の存在。

 

手に持ったグラスが音を立てて軋んだ。

あの鉄屑を始末させるのは私がやるはずだったのに。

まるで鳶に油揚げをさらわれた様なもんじゃないか。

 

「気に食わない…あぁ、気に食わないとも」

 

仇敵が死んだのに、過去の傷が膿んだままジクジクと痛んでいる様な気分がするのは…

 

「私の関与しない所で終わっちまったのか…」

 

全くもって度し難い。

まだそんな青い感情が残ってたなんて知りたくもなかった。

 

「まだまだ若いって事かね…」

 

深呼吸を一つ。

気分を落ち着かせてグラスを煽った瞬間。

 

『…ローグ、あんたに客が来てる。例の二人組だ』

 

アフターライフのバーテンダーから連絡が入った。

…間が良いのか悪いのか。

溜息を吐いて返事を返した。

 

「通しな。…あぁ、ついでに良い酒も持って来させな。払いは私で良い」

 

飲まずに居られないね…

本来なら祝いの酒でもって迎えてやりたい位だが。

 

『分かった…ほら、何時ものブースに居るよ!』

 

最後の方はブートヒルに言ってたんだろうが大分仕上がってるのかね?まぁ無理もない。

 

生きた伝説(アダムスマッシャー)に終止符を打った男。

ナイトシティの新たな伝説にその名を刻んだんだ。

 

まぁ今日の所は祝うとしようじゃないか。

その名前が朽ち果てるまでどのくらい掛かるかは知らないが…

 

 

「よく来たねブートヒル、ジョン。今日は何の用があって来たんだい?」

 

ちょっと前に感じた青臭い感情を閉じ込めて迎え入れる。

私は何時も通りの"ローグ"をやれているだろうか?

 

「よーうローグ!ちょっと聞きたい事があってよぉ!」

 

何時もの様に犬歯を見せて笑う白黒頭のサイボーグは。

片手にへべれけ状態になった相棒を引き摺って現れた。

…アンタ達を観てると気が抜ける。

 

「…取り敢えずその酔っ払い(相棒)は置いときな。その持ち方じゃ気道が締まるよ」

 

その言葉を聞いてその辺の席に適当に降ろしたブートヒルがその横に座って話しかけてくる。

 

「おぉ…だから途中から静かになってたんだな!まぁいつもの事だけどよ!」

 

カラカラ笑いながらもう片方の手に持った酒瓶をテーブルに置くブートヒル。

 

「んでまぁ用事だったな…お前に頼みたい事があってな」

 

問答無用で置いた酒瓶から自分のグラスに酒を注ぐサイボーグ。

私が見ているのに気づいて渋々私の持ったグラスにも酒を注いできた。…この男、私が頼んだ酒だってのになんでこんな太々しくできるのかね?

 

「…俺達をハメたホーリーベイビーが何処の誰かを突き止めてぇんだが。どうも綺麗サッパリ足取りが掴めなくてよ」

 

ジョンとの会話ログまで消されてる始末だ。と続ける。

 

「ちょいとお手上げって訳だ。…アンタなら何か知ってんじゃねぇかと思ってな?」

 

ジロリと私を睨見つける。

第一候補は私って訳かい?良い線行ってるけどね…

 

「その話ならそこの酔っ払いから聞いてる」

 

椅子の上でのびてるジョンをチラリと見やってからグラスを傾ける。

 

「…悪いけど此方でもサッパリさ。でもまぁそのおかげで対象は絞られるがね」

 

一息着きながら答えると殺気がブートヒルから放たれているのを感じる。…全く、病み上がりだろうに血気盛んな奴だね。

 

「…心当たりはあるんだな?」

 

「当然」

 

私でも足取りが掴めないとなると必然的に対象は限られてくる。

 

ネットウォッチ。

国際機関としてネットを監視してる能動的な引籠り共。

連中の上澄みなら痕跡を残さずに偽の通信をでっち上げられるだろう。

 

ヴードゥーボーイズ。

ナイトシティ随一のネットランナー集団。

あのカルト共も同様だ。上澄みの連中ならネットウォッチとためを張れる超一流…同じ事が出来ないとは思えない。

 

あとは…ありえないとも言えないアラサカやミリテクなんかの大企業。

…奴らの倫理観を無視した表に出てこない眉唾物の技術関連。

悪名高いソウルキラーなんかの人間をデータ化する様な技術の発展系ならあり得なくもない…そんなものが存在するなら、だけども。

 

大凡考えられる可能性は上からこの3つだ。

3つ目を除外するとしても上2つを探るのは砂漠で針を探すようなもんだね。

 

「幾らでやってくれんだ?」

 

「…まぁ、今回はスマッシャーを始末した記念でロハで良いさね」

 

どうせこれ以上の事は分からない。

奴らが本気で隠蔽した事実を詳らかにするには莫大な労力と時間を必要とする。

…一つ一つ調べ上げるのは現実的じゃない。

そう話を結びながら先の3つの心当たりを伝えた。

 

「この街で私の耳に入ってこない事柄は大抵この3つが絡んでる時くらいなもんさね」

 

凄腕と言う言葉が生温く感じる程の狂気の集団。

最早現実世界よりもネットの世界に生きる狂人達。

若しくはイカれた科学者の倫理観を無視した技術だ。

…ソウルキラー。思い出したくもない例の産物で文字通りネットの住人になった存在なら…なんてのは荒唐無稽かね?

 

「…どうするつもりだい?」

 

「決まってんだろ…全員見つけ出してホーリースウィートな目に合わせてやる」

 

グラスを煽ったブートヒルが淡々と答えた。

この男ならどんな手を使ってでもやりかねないが…

 

「まぁ、気をつけることだね。今のアンタ達の名前は既に天井知らずに上がっちまってる。一挙手一投足が見られてると思いな」

 

スマッシャーに勝ったってのはそう言う事だ。

そう忠告するとニヒルな笑顔を見せながら

 

「ソイツはありがたい話だな…それならネズミが巣から出てくるまで焼いてやるまでだ」

 

大虐殺宣言をかましてきた。

人の話を聞いてないのかいこの男は…

額を軽く抑えながら忠告する。

 

「派手に動くなっていったつもりだけどね…この街を巻き込んで火の海にしようってんなら流石に黙っちゃいないよ」

 

それこそどんな手を使ってでも止めてやる。

そんな覚悟を悟ったのかバツが悪そうな顔で答えるブートヒル。

 

「冗談に決まってんだろ…ま、気長に殺るとするさ」

 

下手人は絶対殺す。そんな殺意が溢れた笑顔で答えられても信用できるもんかね…

まぁ、実際に暴走しないならどうでも良い事だけども。

 

「…好きにしな。あぁ、言い忘れてたね」

 

酒を互いのグラスに注ぎなから疑問を顔に浮かべるブートヒルに

 

「スマッシャーの始末と新たな伝説に」

 

「…ありがとよ」

 

乾杯した。

 

 

少なくともこれからはアダムスマッシャーの影を見ることもなくなる訳だ。…ジョニーに聞かれたら女々しいと笑われるか?

そんな益体もない事を考えながら酒を酌み交わす。

 

全部が全部良かったって訳じゃないが…それもこの街らしくて良いのかも知れない。

 

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