サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜   作:ロックオン

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感想で頂いたモノにインスピレーションを頂いたので勢いで書きました。…なんか思ったのと違う感じになっちゃいましたが楽しんで頂けましたら幸いです。


他人の恋話はいじって楽しいが失恋話は対処に困る

 

 

目が覚めてから数週間後。

俺達はレベッカ達からの誘いで連中の打ち上げ的なものに誘われた俺とジョンはいつもとは違う店に来てる訳だが。

 

「ハァ〜…」

 

目の前のガキが何十回目か分からねぇ溜息をつきながらグラスに入った氷を指先で回している。

同じテーブルについちまって困った顔で俺を見てくるジョンと対処を押し付け合っていた。

 

 

"お前、何とかしろよ!"

 

"無理ですミンチにされます!"

 

 

押し付けあいが数回ラリーした後、テーブル下でのじゃんけんの結果負けた俺は溜息を吐いてから

 

「あー…その……めんどくせぇ…鬱陶しいわ!」

 

ダンッとテーブルが壊れない程度に加減してグラスを叩きつけると緩慢な動きで俺を見るレベッカに続けて文句を言う。

 

「お前らが誘った飲みの席だろうが!もっと盛り上げろよ!」

 

「あぁん?…あぁ…カンパーイ…」

 

ダメだ、完全に目が虚ろになってやがる…

 

「嬢ちゃん、何かあったんですか?」

 

ジョンがフォローする様に問いかけると

 

「デイビットの野郎がよ〜…」

 

と惚気始める始末。

………いやこれ相手お前じゃねぇな?

ルーシーとか言うネットランナーとデイビットの惚気話かよ。

そりゃ目も虚ろになるわ…

 

「……まぁ、ドンマイッス」

 

早々に気付いたジョンが戦線離脱する様にしれっと席を立った。

すかさず睨みつけながら目で合図を送るが…

 

"テメェ、逃げんじゃねえよ!"

 

"俺には無理っス!後は任せました!"

 

颯爽と別のテーブルへと向かうジョンは後でぶん殴るとして。

今はこの落ち込み具合いがマントルまで達してそうなガキを何とかしねぇと…

 

「…だからよぉ~別に良いんだけどよぉ〜」

 

ジョンが去ったにも関わらずクダを巻き続けるレベッカ。

割って入るならここだな。

 

「それなら良かったじゃねえか」

 

適当に相槌を打ちながら酒を煽る。

俺の方を向いたタイミングで問いかけた。

 

「お前、そうなるかも知れないって分かっててアラサカに俺を叩きつけたんだろうが」

 

デイビットが1人の女に相当入れ込んでるってのは昔っから知ってたし。あの純情小僧が命投げ打ってでも助けに行くような女相手じゃ流石に分が悪いだろうよ…

 

「それは…まぁ、そうだけどさ」

 

ちょっとは気分が上向いたか?

 

 

「あの女…ルーシーにも死んでほしくなかったから態々俺を雇ったんだろうが」

 

結果として全員生還とか言うミラクルCを決めた訳だ。

これ以上ないくらいの大戦果じゃねえか。

 

「それはまぁ…仲間、だし」

 

少し俯いてそう言うレベッカに苦笑しながら続ける。

 

「ならしょうがねぇだろ。あのガキに見る目が無かったと思いな」

 

俺、ルーシーの事知らねぇからなんとも言えねえけど。

少なくともお前が良い奴なのは分かるぜ?

何せ付き合ってもねぇ男のために一生借金してでも助けて欲しいだなんて頼んできやがったんだから。

 

「…なんでそう思うんだよ」

 

訝しげに問いかけてくるクソガキに

 

「そりゃあんだけ必死に追いかけてくれる様な女を差し置いて別の女に夢中なんだぜ?とんだ純情野郎じゃねえか」

 

カラカラ笑いながら返す。

まぁあのガキに2人も抱え込む甲斐性があるかってぇと怪しいが。

…性格的にも遊ばなさそうな奴だしなぁ。

 

「あーしにも、チャンスが合ったと思うか?」

 

…相当酔っ払ってんなこりゃ。

そんな事俺が知るかよ、と返したい所だが…

 

「順番の問題だったんじゃねぇの?」

 

出会った順番が逆ならお前に落ちてた可能性は十分あると思うぜ?

 

「あのガキ、聞くところによるとアラサカのスクールに通ってたらしいじゃねぇか」

 

メインから聞いた話だが。

あいつの母親…グロリア・マルティネスは息子をエリートにする為に死体からクロームを抜いては売り払うとか言う危ない橋を渡り続けてたらしいし。

 

そんな環境でマトモに恋愛なんかしたことねぇだろあのガキ。

周りは超金持ちが集まってんのに1人だけ価値観が別世界の異物。

まともな友人付き合いが有ったかどうかも怪しいもんだ。

 

「箱入りの坊っちゃんがストリートに出て初めて見たのがルーシーだったんだろうよ」

 

これもメインから聞かされた事だが。

デイビットをチームに連れてきたのはルーシーだったんだと。

あのガキが運命的な何かを感じちまってもおかしかねぇだろ。

 

「ほらあの…鳥が初めて見たモンを親だと思うアレみたいなもんだ」

 

「インプリンティング?」

 

「そうそれだ!そんな刺激的な世界に誘った張本人といい感じになりゃあの年頃の男はコロッと行っちまうわな」

 

たからまぁ…

 

「巡り合わせが悪かった。そんだけの話だろうぜ」

 

少なくとも俺にお前がデイビットの女だと思わせる位には仲が良いように見えたからな。

 

そう続けるとなぜかしんみりした空気になった。

…ここで慰めりゃ完璧だな!

 

「だからまぁ…なんだ…ドンマイ?」

 

ダメだ…いい言葉が浮かばねぇ…!

 

「テメーら揃って同じ事しか言えねーのか!」

 

やべぇ、キレ始めたぞ!?

何でいきなり怒りはじめてんだよ訳わかんねぇ…

 

「あーしだって分かってんだよぉ!」

 

もう割って入る余地がねぇ事なんて分かりきってんだよ!と大声を上げながら空のグラスを振り回す。

まぁそれはそうだろうな…デイビットが相当入れ込んでるのは傍から見ても分かりきってる事だ。

 

さてどうしたもんかと何気なく目線を振ると一本の酒瓶が目に入った。うーん…流石にコイツはヤバいか?いや、いざとなりゃ肝臓交換すりゃ何とでもなるか!

 

「どうどう…落ち着けって」

 

ほら飲め、と空いたグラスにとっておきの酒を注いでやると一気に口に入れるレベッカ。

顔が青ざめて…赤らめてんのか?肌の色イジってるからイマイチ変化がわからん。

 

「かぁッ!何だよコレ!?」

 

そんな事を考えていると吐かないように何とか飲み干したレベッカが文句を言ってくるが…

 

「最上級のモルトジュースだ。火薬で燻した様な香りがたまんねぇだろ?」

 

中々手に入らねぇ逸品だぜ?と自分のグラスに注いで一気に飲み干す。…たまらねぇ!コイツが一番美味い!

 

「舌がイカれてんだな…」

 

その哀れむ視線を止めろ。

この味がわかんねぇお前が貧乏舌だってだけだろうが。

 

「これが分からねぇ内はまだまだガキだってこったな」

 

子供舌にゃわからん旨さがあるんだよコイツには。

 

「……いや、これは毒物系の何かだろ」

 

消毒液飲んだのかと思ったわ…と続けるレベッカ。

そんなひでぇ味じゃねぇだろうが。

 

「ベイビーが、あんなモンと比べんな…消毒液はもっと喉が焼け爛れて不味いだろうが」

 

その違いが分かんねぇなら味覚センサー換えた方が良いぞ?

お前、本当に子供舌だな…と哀れみの視線を向けると。

 

「例えだろうが…え、本当に飲んだことあんの?」

 

目をパチクリさせながら問いかけてくる。

…まぁ、一応。

 

「一口だけな。ありゃ飲むもんじゃねぇわ」

 

同じアルコールならワンチャン行けんじゃねぇかと思ったんだが。

そう答えると馬鹿みたいに笑い出すレベッカ。

 

「当たり前だろ!そんなん子供でも分かるぜ!」

 

とんだ馬鹿野郎だな!と大笑いするのを尻目に瓶から直接モルトを飲む。

 

「うるせぇ!あん時ゃ金が無かったんだよ!」

 

駆け出しも駆け出しで報酬が装備代に消えるのもざらだったしなぁ。

結局その光景を見たジョンが酒代だけは残す様に提案してきたから結果オーライだったが。

 

「ひー…アンタも人間臭い所あんだな」

 

ようやく笑いが収まったのかそんな感想を述べてくるレベッカ。

 

「失礼な女だなおい。俺ほど人生を楽しんでる奴はいねぇってのに」

 

少なくともこの街に来てからはやりたい事だけやって来たつもりだ。それより前のことは知らん。

 

「そっか。そりゃ失礼」

 

「わかりゃ良い。…ま、とりあえず飲もうぜ」

 

結局デイビット達は来れなかったし、キーウィもあれから連絡がつかないとかで不参加。

何時ものメンツって訳にはいかないだろうが…

そんな思いが伝わったのか小さな声で礼を言われた。

 

「あんがとよ…」

 

「別に構わねぇよ」

 

ここの払いは俺じゃねぇし。と笑うと

 

「バーカ!そうじゃねぇっての!」

 

そう笑いながら酒を酌み交わした。

やっぱ葬式以外の酒の席でしんみりしてんのは性に合わねぇわ!

 

その後、フラリと戻って来やがったジョンを羽交締めにしてボトルを一気に飲ませたり。

タダ酒なら飲まねえと損だな、と浴びるように飲んだり。

メインがそれを見て止めに入ったりとどんちゃん騒ぎは朝まで続いた。

知ってる顔ばっかだからか変に絡まれることもなく。

偶にはこう言うのも悪くねぇな…

 

 

 

 

「おいジョン、そろそろ帰るぞ!」

 

「…後2時間下さい……」

 

ダメだな、完全に潰れてらぁ。

 

「しょうがねぇ野郎だな…」

 

いつもの様に相棒を片手にぶら下げながら店を出ると珍しく晴れ渡った空が出迎えた。

都市部の端っこだからか空を遮る高層ビルが視界に入らず、空気も清々しい様な気がする。

駐車場に停めてあるいつものボロ車へとジョンを放り込み、ポケットから煙草を取り出して一服する。

 

「…あー、やっぱ不味ぃなコレ…」

 

ジリジリと短くなる煙草の火を眺めながら。

 

「さて、これからどうするかね…」

 

俺らを嵌めたカス野郎は血祭りに上げるとして。

それ以外で何すっかな…

 

「反響がデカいだろうとは思ってたが…」

 

スマッシャーを始末したってネームバリューは思っていたよりもデカかったらしい。

名を挙げたいって理由でこの数週間で絡まれた回数は8回。

全員ぶっ殺したらチームアップして来やがったのが4回。

それも返り討ちにしてようやく静かになってきたんだが…まだ襲撃は時折発生するイベントみたいになっている。

 

「依頼もなぁ…」

 

全部が全部って訳じゃねぇがスマッシャーと同等以上ってのが一人歩きしてんのか、やけに特殊部隊ムーブを求められるもんばっかになっちまってんだよなぁ。

あの機械人形、相当器用だったんだな…見かけによらねぇもんだ。

 

 

「取り敢えずベイビー共を全員黙らせるか」

 

ジリジリと囲まれてる状況を把握して呟く。

何時もの闇討ちかと軽く嘆息しながら背後から放たれた弾丸を首を傾げて躱す。

反射的に引き抜いたリボルバーを肩越しに発砲すると俺を撃ってきたチンピラの頭を吹き飛ばした。

 

「悪ぃ、いきなりだったもんで驚いちまった…んで、なんか用か?」

 

ぐるりと周囲を見渡すと8人のチンピラがボロ車を囲む様に囲んでいるのが分かった。

 

「無駄な時間を使わせんなよ…折角人が良い気分だったってのに」

 

半分まで吸った煙草を手で握りつぶして消火、圧縮してBB弾位の大きさになったそれを指で弾く。

 

「だっ!?」

 

「そこだ」

 

スキャンした通りの位置に弾き飛ばした吸い殻(圧縮済み)に当たって声を上げた間抜けに発砲した弾丸が隠れてた茂みごと撃ち抜いた。

 

この程度で動揺しやがって…そんなザマで襲撃とは舐められたモンだなおい?

 

「はい3人目ー、4人目ー、5、6、7人目ーっと」

 

5人目までは銃撃で、6、7人目は思いっきりぶん殴って静かにしてやった。…首から上がコの字に変形したから多分死んだだろ。

 

「後はお前だけだ」

 

あっと言う間に7つの死体を作り上げてやったからか、理解の追いついてない顔のチンピラに問いかける。

 

「で、なんの用だ?」

 

名を挙げたい阿呆どもにしちゃ練度がなってないぞこいつら…

震えるばかりで答えない野郎の肩に優しく手を置いて話し続ける。

 

「黙ってちゃ分かんねぇよ?」

 

まさか喋れねぇ訳でも無いだろ?と続けながら肩に置いた手を一気に握り締めた。骨やら金属やらが一瞬抵抗したが関係なく一緒くたに握り潰す。

 

「ギッ…!」

 

「おっと!」

 

叫び声を上げそうになったチンピラの口を塞ぐ。

こんな時間に大声上げたら近所迷惑だろうが!

 

「喋れるじゃねぇか。さっさとゲロっちまえよ」

 

話すならお前は生かして帰してやっても良い。

そう続けると痛みに耐えながら答えるチンピラ。

 

「…アンタか、アンタの相棒を、始末すりゃ…大金をくれるって」

 

「んな阿呆な依頼をしてんのは何処のどいつだ?」

 

黙り込むチンピラくん。…しょうがねぇなぁ。

溜息をつきながら反対側の肩に手を乗せると小鳥の様に囀りだした。

 

「や、止めてくれ!詳しくは、分からねぇんだ!」

 

「そんなふんわりした依頼で俺等にちょっかい掛けてくるとか正気か?」

 

最近じゃ少しは名が売れてきてると思ってたんだが。

特にスマッシャーとやり合ってからは腕に覚えのある新人が襲撃してくることが度々有ったし…来る奴を全員始末してたらローグ辺りからストップが掛かったのか最近は少なくなったもんだが。

そんな事を考えていると

 

「男だった!背の高い…ガタイの良い黒人系だ!」

 

クソの役にも立たねぇ情報をありがとよ。

身長やら性別やら肌の色が宛になる場所じゃねぇだろ此処は。

 

「名前は?」

 

「知らねぇ!酒の席で頼まれたんだ!」

 

マジかよ…そんな小遣い稼ぎ程度の感覚で?

あまりの事に肩から力が抜けるのを感じながら更に問い詰める。

 

「何処で受けた?」

 

「パシフィカ、パシフィカだよ!」

 

パシフィカ、あの無法地帯かよ…

 

「…役に立たねぇなお前」

 

ジロリと睨みつけて解放する。

 

「さっさと失せろ…次見掛けたら」

 

容赦しねぇぞ?と続けると這々の体で走り去るチンピラ。

…んー、どうすっかな?

パシフィカには伝手がねぇ。最悪ローグかパドレ辺りに頼れば何とかなるだろうがあんま借りを作りたくねぇんだよな…

 

 

「旦那ー、うるせぇんですけど…」

 

そんな事を考えているとボロ車に放り込んだジョンが寝ぼけ眼を擦りながら顔を出した。

 

「悪いな、ちと客が来ててよ」

 

もう片付いたが。と辺りに散らばる死体を指差して答えると

 

「…あぁ、またですかい」

 

欠伸混じりにそう答えるジョン。

もう慣れたもんだな。

 

「今回はちと趣向が変わってたぞ。…誰かに依頼されたらしいぜ?」

 

そう告げると目が覚めたのかハッキリとした表情で

 

「…何処のどいつです?」

 

「パシフィカのデカい男だとよ。…お前パシフィカに知り合い居るか?」

 

少し記憶を辿るような顔をしていたが

 

「すんません、生きてる奴は居ないッス…」

 

全員死んでますわ、とすまなそうに続けるジョン。

誰も生き残ってねぇとか治安終わってんじゃん…

 

「…適当に乗り込んで片っ端から殺るか?」

 

多分アニマルズだろ。あの辺は彼奴等の縄張りだったはずだし。

見掛けたやつを順番にシバきゃいつか真犯人に当たんだろきっと。

 

「それは不味くないですかね…?」

 

嘘ですよね?冗談ですよね?と不安そうな顔で聞いてくる。

 

「ま、それは最終手段だな。…取り敢えずパシフィカに詳しい奴にあっちの状況を聞くとしようや」

 

舐められてそのままってのは気分が悪い。

少なくとも巫山戯た依頼を出した野郎は確実に殺す。

 

「1人、居るじゃないですか?」

 

それも貸しを作った相手が。と続けるジョン。

 

あー…?

 

「…誰だ?」

 

頭を捻っても出てこない。

記憶に無いって事は聞いたことが無いって事だが…

 

「レベッカが確かパシフィカまで足延ばしてたって話ですよ?」

 

流石に奴の兄貴と一緒にですが。と続ける。

 

「そうなのか…ま、聞くだけ聞いてみるか」

 

昨日の今日で悪いがまぁ構わねぇだろ。

ホロコールでレベッカへと連絡を繋いだ。

 

 

 

 

 

 

この日からちょっとの間レベッカと行動を共にする事になる。

まぁ腕は確かだし、その辺は疑問視してなかったんだが…

 

「…テメー今なんつった!?」

 

「落ち着けこのベイビーが!」

 

まさか俺より導火線の短い奴が居るとは思わなかった。

失恋したばっかで気が立ってんのかと思いきやそれだけでもなさそうだし…その性格でよく今日まで生きて来れたな?

 

まぁ呆れることも多かったが楽しくなかったと言ったら嘘になる位にはウマが合ったわ…偶に組むのも悪くはないかもな。

常に組むとジョンの胃が終わりかねないからNGだが。

 

 






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