サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜 作:ロックオン
アニメの二期が来ると聞いて衝動的に書き上げました
期待の新人とか聞くと懐かしく思うのは爺くさいか?
例のアラサカタワー襲撃から早数年。
その間もローグからの依頼を受けたり、レベッカと飲んだり依頼でかち合って撃ち合ったりと色々あったんだがまぁ普段と変わらない毎日を過ごして居た。
そんな俺達が今何をしているかと言うと、ハイウェイを暴走しながら逃げるターゲットを追っかけてる最中だ。
「あー…どうしますか?」
このまま張り付き続けるのも可能ですが…と運転席で尋ねてくるジョン。
コイツも数年で下っ端その1みたいな見た目から最新のクロームでかためた一端の傭兵に変化していた。
初めて会った時はまさか此処まで長い付き合いになると思ってなかった相棒の問いかけに
「どうするって?」
こうすんだよ!と助手席から身を乗り出して手にしたリボルバーから3連射。
前を走るターゲットの乗る車がパンクして盛大に横滑りをかます。
「おわっと…!」
それを見て危なげなくハンドルを切るジョン。
少し離れた位置にピタリと停めて軽く溜息を漏らした。
もう手慣れたものだ。
「ちょっと待ってろ」
間抜けなキューティーを引きずり出してくる。
そう告げて車を降りる。
「お気をつけて」
…いままで散々やって来た事と同じ様な仕事だってのに律儀なこった。
「あいよ」
後ろ手に手を振りながらガードレールに引っ掛かってる車からドアを捻じ切って中を確認すると、運転席はもぬけの殻だ。
自動運転か…最近多いなこう言うの。
事故った判定で停まったんなら既に応援を呼ばれてるだろうしグズグズしてる時間はねぇな、と後部座席のハッチを捩じ切って中を確認する。
「あー…コレか?」
バカでかい箱…冷凍装置付きのソレを片手で引きずり出しながらスキャンすると
「ナマモノとはまた希少な…」
多分カメレオンか何かが蹲って眠りこけているのが分かった。
ナイトシティじゃ珍しい、機械なしの100%フレッシュな生き物。
町中で見掛けられる人間以外の生き物は虫、運が良ければ野良猫が見られるかってなもんだ。
アンドロイドやらホログラムでいくらでも似たようなものを作れる癖にこんなモンに数十万エディもかけるモノ好きが居るとは…と呆れながら車に引き返す。
「良し、出せ」
「了解ッ!」
後部座席にポータブル冷蔵庫を放り込んで指示を出すとアクセルを踏み込むジョン。
蹴飛ばされた様な加速でその場を去っていった。
最近はドンパチが少なくて張り合いがねぇな…なんて思いながら。
『素晴らしい』
ホロコールから年老いた、それでいて尚現役だと思わせる精力的な声が響いた。
「別にどうってこたねぇだろ」
こんなんガキでも出来る。と鼻で笑う。
ホロコール先のフィクサー…パドレに返答すると
『確実性を求めるならお前達以外には居ないとも』
使い道は限られるがマスターキーの様なものだ。と嘯く。
結果に満足しているのか何時もより少し機嫌が良さそうだった。
思えばパドレとも長い付き合いになったもんだ。
個人的な付き合いがある数少ないフィクサーの一人であり、仕事絡みでなければ近所にいる気難しい爺さんそのものだ…ちょっと口うるさいのが玉に瑕だが。
『報酬は何時ものように?』
「それで構わねぇよ」
送金が行われた事を確認したジョンが親指を立てたのを確認して
「OK、確認した」
ドロップポイントに保管した荷物を一度見やってからその場を後にする。
足を進めたと同時に
『最近名を挙げ始めている二人組の事は知っているか?』
仕事中のパドレにしては珍しく、雑談の様な話題を振ってきた。
「新人か…どうだジョン?」
「さて…記憶にゃありませんが」
ジョンに聞いてみるも心当たりは無い様子。
ぶっちゃけこんな商売してりゃ後輩なんて山程出てくる。
山程増えて山程死んでいくから供給が需要を上回る事はないというヤクザすぎる商売でもある。
名を挙げたい荒くれ者は手っ取り早く箔をつけるために既に名が売れてる奴を襲撃して来たりもするが…
「またどっかの
以前鳴り物入りでアフターライフ入りした一団を返り討ちにした事を思い出しながら顔を歪める。
統制の取れた精鋭揃いの集団は殺し切るのが面倒なんだよな…確実に勝てると見た状況を作ってから仕掛けてくるから。
あん時は一回撃退した後にレベッカを雇って個別に襲撃、全殺しにしたんだったっけか…
少し前の事を懐かしんでいるとパドレが話を続ける。
『いや、お前たちも知ってる奴らだ』
…んー。知り合いで、まだ生きてて、傭兵稼業なんてヤクザな商売してる奴で、腕が立つ…?
「…レベッカか?」
今さっき思い返してた知り合いの名前を上げる。
エッジランナーズを解散してからはファルコと組んでたしな。
今更有名になってきたってのも変な話だが…元々はデイビッドのチームで、有名だったのもデイビッドの方だからなぁ…
何にせよアイツならまぁ分からなくもない。
ちょっと血の気が多いが腕はピカイチだからな。
そんな事を考えていると予想外の名前が通信越しに飛び出した。
『ジャッキー・ウェルズ。目を掛けていただろう?』
ジャッキーか…まぁ腕は悪くはない。
一流かと言われればまだ少し足りないとは思うが。
比較対象がレベッカなのが悪いと言われればその通りだがアイツが一種の足切りラインなのは間違いない。
ジョン以外で背中を任せられるのはアイツくらいだ。
ここ数年で組んだり競争相手になったりと忙しなかった相手を思い出しながら答える。
「アイツが誰かと組んだのか?」
自分の力でメジャーを目指す!と息巻いてた跳ねっ返りを思い出して聞き返す。
メインのチーム…エッジランナーズ入りを断ってた位だからこだわりがあんのかと思ってたんだがなぁ。
『今はVと言う男と組んでいる』
「…知らねぇ名前だ」
記憶を漁るが一切ヒットしない。
Vが頭文字のやつも同様に。
『少し前までアタランタへ出ていた男だ…腕は立つ』
パドレの言葉からヘイウッド辺りで生きてた奴だってのはわかるが…
「知ってるか?ジョン」
「えぇ…名前くらいは」
地元じゃちょっとは名が売れてた奴でさぁ。と答えるジョン。
「もっともチンピラの中では、って括りにゃなりますがね」
要は地元で喧嘩が強い、って程度か。
ますますわからん…その程度なら掃いて捨てる程いるだろうに。
「で?その期待の新人がどうかしたのか?」
『…最近、妙な事に首を突っ込んでいる様でな』
少し迷った後にパドレが口にした言葉に驚きを隠せない。
「新人をアンタが気にする?明日は榴弾の雨だなこりゃ」
ナイトシティ最期の日がこんなに早く来るとはな、と笑う。
パドレはフィクサーにしちゃ懐が深い方だがたかが傭兵の生き死にに拘泥するほど優しい男ではない。
『私とて心はあるぞブートヒル。小さな頃から知っている男なら尚更だ』
憮然と返すパドレに笑いながら先を促す。
「分かった分かった。で、何が心配なんだ?」
知らねぇ仲でもないし聞くだけ聞いてやるよ。
『デクスター・デショーン。聞き覚えは?』
デクスター…誰だ?
どっかで聞いた事がある名前だが…と記憶を漁っていると隣で聞いてたジョンが呆れたように口を挟む。
「旦那…この間声かけられたじゃないすか…」
アフターライフで、あの趣味が悪いクローム着けた…とジョンが説明してようやく思い出した。
「あぁ!あの大物気取りか!」
気持ちよく飲んでる所に話しかけて来やがったフィクサーの!と手を叩いて納得していると
「思い出しやしたか。でも…」
そこまで言って少し口籠るジョンの続きを言葉にした。
「ありゃ駄目だろ」
ちょっと話せばわかる。
完全に此方を見下してて、駒としか見ちゃいない。
報酬の割合も舐め腐ってやがったからな…
「出戻りじゃ今の相場も知らねぇんでしょう」
呆れた様に呟いたジョンの言葉に頷く。
「昔どんだけブイブイ言わせてたか知らねぇが…今はその辺のベイビーと変わりゃしねえよ」
傭兵業なんてヤクザな商売をしてる奴らは山程いる。
そんな連中を扱うフィクサーなんて奴らも大概だが…仕事を割り振る以上、明確に雇用主と従業者とも言える関係にある。
その辺は他のフィクサーも変わらねぇが、上手いことやってる奴はそう言う態度は表に出さねぇもんだ。
ワカコや、パドレ、ローグ…ムアマルもそうだ。
仕事中の上下関係はハッキリさせるが此方を侮る様な真似はしない。
ソレがフィクサーと傭兵の健全な関係ってもんだと俺は思ってる。
「長生きしねぇタイプだな」
どっかでコロッと死んでても不思議じゃねぇよ。
その内恨みを買って殺されんじゃねぇの?と続けると
『そのデクスターと手を組んでるそうだ』
呆れたような口振りで呟いたパドレに
「貧乏クジを引きに行ったのか」
あのハニーが。と吐き捨てるように同意する。
ジャッキーは良い奴だが功を焦りすぎるきらいがあった。
それにしても泥舟に過ぎる選択を取るほど焦る理由もねぇだろうに…と考えていると
「なんでソレを旦那に?」
ジョンがパドレに問いかける。
『一応、伝えておこうと思ったまでだ』
顔馴染みなんだろう?と答えるパドレ。
「まぁ知らねぇ仲じゃないが…ただの顔馴染みだぜ?」
それでくたばるならソレまでの男だったってだけの話だな。と答えると
『…顔馴染みのためにアラサカに喧嘩を売った男の言葉とは思えんがな』
とにかく、今回はご苦労だった。
そう告げると苦笑する雰囲気と共にホロコールは切れた。
「…で、どうしますか?」
ジャッキーとは知らない仲じゃない。
まだアイツが駆け出しの頃に少しだけ世話した覚えもある。
「男が自分で決めた事に口出すのは野暮ってもんだろ」
パドレはあぁ言ってたが、アラサカタワーの時はレベッカが依頼してきたから加勢しただけだ。
アイツが何も言わなけりゃ選別にくれてやった相棒の代わりを買いにムアマルんとこに行って、下手人であろうカス野郎をぶっ殺しに行ってた所だ。
…まだカス野郎探しは絶賛継続中だが。
最近じゃ中々尻尾を掴ませねえ辺り既に死んじまってる可能性すらあると見てる。
それはともかくとして。
「アイツが助けてくれってんならまだしも、だ」
そうはならねぇだろうなぁ…と一人ごちる。
ジャッキー・ウェルズは一本芯の通った男だ。
自分の夢のためなら命を賭けられる大馬鹿野郎でもある。
付き合いも悪くねぇしどちらかと言えば好きな部類のバカ野郎だが…
「態々世話焼いてやる必要もねぇだろ」
ガキじゃあるまいし。とため息交じりに話を結ぶ。
「少し、寂しくなりますね」
この街じゃ珍しく裏表のない奴なのに…としんみりするジョン。
「なぁに、まだ死ぬときまった訳じゃねぇだろ!」
どんな仕事か知らねぇが案外生き残るかも知れないぜ?と肩を叩く。
「そうですね…」
まだ少し気落ちしてる様子のジョンが運転席に乗り込む。
身内判定が広いのは美徳だがコイツのはちょっと行き過ぎてる節があんな…と呆れながら
「…久しぶりにエル・コヨーテにでも顔出すか」
最近はアフターライフで呑んでばっかだったしな、と助手席に乗り込みつつ口にすると
「ヘヘッ…旦那のそういう所は好きですぜ」
勿論、そう言う意味じゃねえですが。と戯けるジョンの肩を殴りつけた。
「バカ言ってんじゃねぇよ、キューティーが!」
照れ隠しだと取ったのか曖昧に笑いながら車を出すジョン。
ナイトシティの街並みが車窓の外を流れていく。
何時もと変わらないネオンの光を見つめていると柄にもなく少し感傷に浸ってしまう。
次から次へと面倒事が起こるもんだ。
まぁソレがこの街らしい所でもあるんだが…本当、柄じゃねえな。と苦笑して視線を前に戻す。
何にせよなるようにしかならねぇわな、と被っている帽子を目深に被って目を閉じた。
この時話に上がった二人組…Vとの出会いが、この街における一大事件の幕開けになるとはこの時は思っても見なかった訳だが。
それはまた別の話である。
アニメ超楽しみです!
見切り発車で書いたので続きは未定です…