サイバーパンク2077〜変なのを添えて〜 作:ロックオン
あの
『すまない、依頼に行き違いがあった様だ』
第一声は謝罪だったが、そんなんで納得できる訳がねぇだろうが。
「舐めてんのかファラデー。きっちり嵌める気満々だったじゃねぇか」
怒りを抑えて問い詰める。
「直前で渡されたデータも役に立たねぇ、突入してみたら同業者が片付けた後でそいつに奇襲されてんだぜ?どう考えたってお前が描いた絵だろうがよ」
下手くそな絵で見てらんねぇが。と続ける。
「俺達は新入りだから買い叩けると思ったか?大間違いだぜ」
「あいつは何て言ってました?」
「依頼の行き違いだってよ。笑わせてくれる」
運転するジョンに答えるとジョンの表情が歪んだ。
「メジャー初日からケチがついちまいましたね…」
「ま、切り替えていこうや。…あのキロシ野郎は
確定事項を告げて助手席で愛用のリボルバーに銃弾を装填していく。
ついでに一発使った左腕にも。
「高くついたな…こいつ一発で依頼料の半分が飛ぶってのに」
左腕に仕込まれてる大型弾倉及びキャノンは市販されてるサイバネと違って特注品らしく、弾も特注しないといけないような代物だ。
その分威力は段違いだが…
「またヴィクターにどやされるな」
リパーの仕事じゃねぇ…とぼやきながらも渋々用意してくれる馴染みのリパードクを思い浮かべながら苦笑する。
「苦労かけちまうのは心苦しいですが…カス野郎を吹き飛ばせるなら安いもんでさ」
「違いねぇ…お前は車で待て。ホロで3分待っても声が聞こえなけりゃ逃げていい」
アフターライフ近くまで来てからジョンに伝える。
ホロコールは繋ぎっぱなしにしておくが…調子あんま良くねぇし最悪帰りは徒歩だな。
「何言ってんですか旦那。旦那が倒れるんなら俺も一緒に逝きますよ」
ジョンは笑いながら答えた。
「…バカな奴だなお前も。勝手にしな」
俺も笑いながら答えると車を出てアフターライフへと歩く。
地下墓地で死ぬなら葬儀も要らねぇから楽だろうよ。とくだらない事を考えながら足を進める。
入り口でバウンサーの男に止められるが無視して入った。
後ろで騒いでるが撃たれる気配はない。
「ファラデーは何処だ?」
バーカウンターに居る姉ちゃんに聞く。
少しビビっている様子だが別にアンタには何もしねぇよ…と再度尋ねようとした時
「此処には居ないよ」
後ろから声が掛かる。年季の入った女の声だ。
振り返ると声の割には若い見た目の女が目に入る。
「アンタは誰だ…なんてのはどうでもいい。ファラデーの
「少しは落ち着きな。…着いてきな」
そう言って先に歩いていく女に着いていくとボックス席に入って座る。
「そこに掛けな」
顎で指定された席に腰掛けると酒の入ったグラスを勧められた。
「悪いが酒は依頼達成後に飲むことにしてんだ。…今はまだ飲めねぇな」
ファラデーの首を取ったら祝杯を上げる。と暗に伝えるとため息と共に答えられる。
「あの小僧もやらかしたもんだ…こんな判りやすい狂犬に安い手を仕掛けるなんてね…」
女は自分だけ酒を煽ると話し始める。
「まずは自己紹介からだ。私はローグ、此処じゃちょっとした顔役をやってる」
ジョンから聞いたことがある名前だ。確かシルヴァーハンド何ちゃらと一緒にアラサカを襲撃したレジェンドの1人だとか何とか。
「ブートヒル。傭兵をやってる…んで、そのローグが何の用だ」
とっととファラデーをぶっ殺して酒飲みてぇんだが。
「
「当たり前だろうが。いくら傭兵相手だとしても落とし前ってのは必要だろ?」
罠を仕掛けてしくじった間抜けは死んで当然だ。
その覚悟がねぇなら最初からやるなって話だろうが。
「そこだよ。ファラデーの馬鹿には落とし前をつけてもらうけどそれは命じゃあない」
あいつにはまだ貸しがある。今死んでもらっちゃ困るんだよ、と続けるローグ。
「それが俺達に何の関係がある?お前の事情なんざ知ったことか」
吐き捨てるように伝える。
「俺達を嵌めようとした
今までもそうだったし、これからも同じだ。
「邪魔するならお前も同じようにしてやるが」
右手をホルスターにかける。返答次第じゃここで撃つ。
「ハァ…若すぎるってのも考えものだね…いいかい、此処でファラデーを殺すならアフターライフでの活動は諦めなって言ってんのさ」
一言一言、ゆっくりと区切るように話すローグ。
「逆に言えばファラデーの処分を私に任せるなら割りの良い依頼を回してやることだって出来る。良く考えな…アンタの相棒と相談してみると良い」
そう言うとボックス席にさっき振り切ったバウンサーに連れられてジョンが現れた。
「旦那…すみません…」
あー…もうちょい離れた位置で待機させてた方が良かったかこりゃ。
「ジョンよぉ…簡単に捕まってんじゃねぇよ」
ため息混じりに愚痴る。
コイツが居たんじゃ派手にブチかませない。巻き込んじまうわ。
「話は聞いてたな?ファラデーを見逃すならローグが此処での融通を効かしてやるし落とし前もつけさせるってよ」
どうする?と確認を取る。
「…悪い話じゃない所か破格ですね?」
驚くジョン。…そんなに偉いのかこの女?
「旦那、ここは一つ怒りを収めて話に乗っかりませんか?」
「お前、あの
「カス野郎は許せませんがそれ以上に此処で繋がりを持てる方が遥かに大事ですよ」
何せアフターライフの女王が直々に話をしてくれてるんですから!と興奮を隠しきれない声で答えてくる。
「落とし前はちゃんとつけさせるさね。…取り敢えず今回の依頼料は建て替えておくよ」
ジョンへと送金しているローグ。この辺のやりとりが出来ないのも面倒いな俺の身体…
「…は!?こんなに貰って良いんですか!?」
「迷惑料と慰謝料込みだ。…今後もご贔屓にしてくれりゃ構わないとも」
耳打ちで振り込まれた金額を聞いて驚く。この額なら高級車だって一括で買えちまう。
「で、どうする?」
ローグの言葉に少し考え込むが…
「……わかった。今回はアンタの顔を立ててやるよ」
ジョンの奴も乗り気だしな。と続けてテーブルの上の酒を手に取る。
空いてるグラスに注ぐとジョンに渡して乾杯。
「…美味いなこれ!おい、これ貰ってっていいか?」
「好きにしな…」
若干呆れた様子のローグを尻目にボトルを手に取って席を立つ。
「行くぞジョン。話せて良かったぜローグ」
「次はもっと建設的な話をしたいもんだね」
話は終わった、とばかりに酒を煽るローグを後にアフターライフを出た。
「そんじゃ、飲みに行くか!」
「旦那、切り替え速いっスね…」
当たり前だろうが。依頼は終了、臨時収入もあった。
あのカス野郎の息の根を止められなかったのは残念だが…
「取り敢えずメジャー初日は終えたんだ。めでたしめでたしだろうよ」
「そう言うところ好きっスよ…あ、そう言う意味じゃないですが」
馬鹿野郎、態々言わなくても判ってるっての!と笑いながら頭を叩く。
いつも通りの日常に戻った気がして少し安心感を覚える。
こうして俺達のメジャーでの初依頼は幕を閉じた。
まぁ、ファラデーとの因縁の始まりでもあった訳だが…
それはまた別の機会にさせてもらうとしよう。
デバイスを変えて初の投稿です。読みにくかったらすみません…
修正しました。久々に書くとブートヒル語を忘れがちになってしまう…