地獄のヒーローになった男、青春に憧れる。   作:ナマエナガ

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けいおん一期見たんすけどスゲェ面白かった!次は二期を見て、あとベン・トーとか見てみたい!


アビドス開始のチェンソー
アビドスへ


 

◎ シャーレの部室

 

俺がシャーレを訪れた日から数日。とある午後のことである。

 

「…ねー、デンジ…」

 

 

「はぁ…なんスか…?」

 

 

「…そっちの書類、どれくらい終わった?」

 

 

「…まだ、半分くらいスっかね…」

 

 

「…それやるのに何時間かかった…?」

 

 

「十時あたりから始めたんで…四時間くらい…ッスかね…」

 

 

「…昨日、一昨日と徹夜してたのによくできるね…」

 

 

「…先生も似たようなもんじゃないっすか…それに俺は一時間は寝ましたよ…」

 

 

「…これってさ、後どれくらいで終るかな…?」

 

 

「さぁ…?後二日はかかるんじゃないっすかね」

 

 

「………デンジ、ごめんね」バタッ

 

 

「ちょっ!?先生!?ダメだー!寝るなー!寝たら死んじまうぞー!?」

 

 

先生は書類の山を目の前に体力をなくし、机にぐで~っと頬を着いた。目元には隈があり、涎を垂らして机に突伏している。

 

元は綺麗な大人の女性って感じなのにこうなっちまうなんて…仕事ってば恐ろしいぜ…俺は度々中途半端にチェンソーを出して痛みで寝ないようにしてたけど、流石に先生は限界か…

 

「あぁ~…もっとデビルハンターみてぇに色んなとこ行くと思ってたのによぉ…」

 

前世で友人から聞いてた話とチゲぇじゃねぇか…アイツ、先生は色んな学園を巡って生徒を助けつつセクハラしながらハーレムを作る作品とか言ってたくせによぉ…!

 

今更ながら前世の友人に腹が立ってきたぜ…!今度会えたらぶん殴ってやる。

 

それはそうと…今は先生とお仕事が重要か。

 

「せんせー、少し休んでていいぜ。俺も本気だしてやる…!」

 

着ていた上着を先生の肩にかけてやる。改めて俺の目の前にある書類の山に向き合って…

 

ヴヴン!!

 

胸のスターターを引いてチェンソーマンに変身する。腕と頭からチェンソーが突き出し、激痛と共に血が僅かに噴き出す。

 

「どうすりゃ不眠不休で働けるか、働き詰めの頭で俺ぁ考えたぜ。結論は…!」

 

痛みによるイカれ化だァ!!

 

ギャハハハハハ!!

 

コイツぁいいぜ!痛みのお陰で眠くねぇし妙に元気が湧いてきた!今から不良どもをブチのめして来てもいいくらいに元気いっぱいだぁ!

 

そうやって書類をバサバサさばいていく。腕のチェンソーは引っ込んであるので書類は切り裂けることはない。それはそれとして変身の時に出た血で書類が汚れてるけど気にしねぇ!

 

俺はバカ笑いしながら書類をさばき、イカれた頭でこうなった経緯を思い出していた。

 

――そんな彼の様子を、私は薄っすらと開いた瞼で眺めていた。

 

◎ 数日前

 

ヴヴン!!

 

「チェ、チェンソーマン…!?」

 

「おう。これから長い付き合いになると思うからよ…正体、明かさせてもらったぜ」

 

私の目の前に立つのは、一人の悪魔だ。赤い金属的な頭部。そこと両手から生えたチェンソー。まるで針のような剥き出しの牙。

 

シャーレの部室を取り戻すときの戦いでは遠目に見ていただけだから少し分かりづらかったけど…こうして見るとやっぱり怖い…それとそのチェンソーってどっから出てるのさ!?

 

「長い付き合いになるって…?もしかして、わ、私に何かするつもりじゃないよね…?」

 

不安気に聞いてみる。失礼なことを言うけど正直言って不安しかないよぉ…ガクブル

 

「何かするって…物騒なことはしねぇよ。さっきも言ったけど、俺は先生を助けるために来たんだしな」

 

そう言うと彼は変身を解いた。頭部のマスクがドロっと泥のようになって落ちて消えていく。再び金髪の自信ありげな表情の少年が現れる。

 

「なんか怖がられちまってるみてぇだけど…改めて、シャーレに入部させてくれ」

 

「そ、それは、まぁ…いいけど…」

 

でも、本当に彼を入部させて良いのだろうか…

 

チェンソーマンはキヴォトスにおける要注意人物。そんな存在がシャーレにいると知られたら損害は私だけに及ばず、連邦生徒会にも生じるかもしれない。

 

そうなったら大変だ。シャーレはあくまで連邦生徒会の内にある一組織に過ぎない。最悪責任を取らされて私が解雇されることもあるかも…

 

そ、それは嫌だなぁ…私がこのキヴォトスで生きていけるのは先生という立場があるからだ。先生として生徒と向き合い、助けたいがために私はここにいる。

 

そんな私が"先生"という言わば私を守る盾を捨ててキヴォトスに放り投げられてしまえば…そこから先は言うまでもないだろう。

 

でも…デンジは、ずっとその状態で生きていたんだろうな…

 

デンジがしていることは人によっては迷惑になり、人によって助けになる事ばかりだ。不良を懲らしめるのも学園の公的機関を倒すのも彼なりの理由があるんだろう。

 

ずっと、誰にも理解されることなく、孤独に戦う…流石に誇張表現が過ぎるかもしれないけど、似たようなことだ。

 

人は、孤独を嫌う。人は自然に誰かに味方してほしいと願い、誰かに支えてほしいと縋るものだ。

 

でも、デンジにはそれがない。一人でキヴォトスを駆け回り、一人で戦い、一人で嗤う。それは、どれだけ寂しいものなんだろう。

 

なぜ、デンジは一人でも戦えるんだろう…?私には出来っこない。私では到底想像できない事を、デンジは平然と出来てしまうんだろう?

 

「…デンジは、なんで戦えるの?」

 

「なんでって…突然だな…?」

 

「えー…うーん…()を掴むため?」

 

私の問いに、彼は首を傾げて答えた。

 

夢を掴む…デンジは今までその為に戦ってきたのだろうか。その為に、何度も傷付いてきたのだろうか。

 

それなら、それなら…私がやることなんて決まってる。夢を追う生徒の背中を優しく押してやるのが私の仕事だ。シャーレに入部させることでデンジの夢が少しでも達成に近づくのなら…

 

「そっか…うん。いいよ、入部を許可します。これから、よろしくね」

 

そう言って、私は右手を差し出した。

 

「…?なんか良くわかんねぇけど…まあいいか!!よろしくなぁ!」

 

デンジは戸惑いながらも元気に私の手を握った。唐突に戦う理由を聞かれたんだ。私の問いにどんな意味があったのか分からないんだろう。

 

でも、それでもいい。先生とは誰とも知られず生徒を支えるものだ。報酬は生徒の笑顔と満足だけでいい。

 

そうやって、私はデンジを迎え入れたのだった。

 

◎ 現在・シャーレの部室

 

「ギャハハハハハ!!」

 

笑いながら書類作業を進めるデンジを薄っすらと見つめる。書類が幾つか血で汚れてるけど今は気にしない。

 

後でリンちゃんにしこたま怒られてちゃうんだろうなぁ…デンジ、一緒に頭を下げようね!

 

後のことに僅かな不安を抱きつつ、デンジを思う。

 

デンジには夢があると聞いた。シャーレに来たのも夢を叶えるためだろう。

 

私ってデンジの夢を叶えさせられてるのかなぁ…?ずっと書類仕事させてるし、私の生活もサポートさせてるし…これって先生失格では?

 

そもそもなんでデンジは夢の内容を語ってくれないのかな!聞いても半笑いで流されちゃうし、私も手伝いたいのに…

 

まぁ、今はそんなこと考えても仕方ないかな…早く書類仕事に戻らないと。

 

「ん、ん〜…」

 

「あ、先生起きた」

 

伸びをしながら眠りから起きた振りをする。

 

「デンジ、ごめんね。任せきりにしちゃって」

 

「全然構わねぇぜ!見ての通り順調だからな!」

 

う、うん…書類が血で濡れていることを除けばね…

 

「私もやるからデンジは少し休んでて。私が寝た分、デンジも寝ていいから」

 

「あぁ?いいのか?なら、そうさせてもらうぜ…俺も流石に疲れたしなァ」

 

デンジはそう言うと変身を解いた。いつも通りの金髪姿の少年が現れる。デンジは背もたれに沈み込み、静かに目を閉じる。ながて穏やかな寝息が聞こえてきた。

 

す、すごいな…疲れが溜まってたからってそんな数秒で寝れる…?私じゃできそうにないや。さっきだって寝ようとしたけど寝られなかったからデンジを見てたわけだし…

 

デンジから視線を外し、改めて顔を上げる。机に積もった書類を眺め、仕事に取り掛かる。そんなときだ、シッテムの箱にいるアロナから声をかけられた。

 

『先生、お疲れのところすみません!少し不穏な手紙がありまして。これは一度先生に読んでもらった方がいいかな、と!』

 

「ん、ありがとうねアロナ。それじゃあ少し見せてくれない?」

 

そう言ってアロナに手紙を表示してもらう。寝ているデンジを起こさないようになるべく声を小さくして囁いた。

 

「なるほど…これは、すぐに行った方が良さそうかな…」

 

手紙の内容はこうだ。アビドス高校という学校からの手紙で、地域の暴力組織に学校が狙われているから助けてほしいというもの。

 

『アビドス高等学校ですか…昔はとても大きな自治区でしたが、今は気候の変化で難しい状況になっていると聞きます。行くのなら最大限の準備が必要ですね。』

 

「そっか…なら、地図と支給物資の弾薬の準備をお願いしていい?私はそれ以外の準備をするよ」

 

『はい!おまかせください!』

 

さて、ひとまずアビドスに向かうとして、デンジは…

 

「すー…すー…Zzz…」

 

スヤスヤと寝ているデンジを見やる。安らかな表情は彼がチェンソーマンであることを忘れさせてしまうほどに穏やかだ。

 

「連れて行くのは、やめておこうかな」

 

疲れているデンジを連れて行って酷使したくはないし…それに、デンジにはあまり闘ってほしくない。彼だって私と同じ身体の脆い人間だ。回復できるとは言え傷付く姿は見たくない。

 

「メモくらいは残しておいた方がいいかな」

 

突然いなくなったらデンジが起きた時に困ってしまうからね。さて、カキカキっと…

 

【デンジ、少しアビドスに行ってくるね!暫くしたら戻って来るからそれまでここはよろしく!】

 

うん。こんなものでいいだろう。

 

…ん?いや、別に書類仕事をデンジに押し付けたり、リンちゃんの説教を回避しようとしてるわけじゃないよ?これは生徒を助けるための行動だからね、うん。

 

『先生!準備完了しました!』

 

「よし!それじゃあアビドスに出発だ!」

 

そう言って、私はシャーレの部室を旅立った。

 

◎ シャーレの部室

 

「デ…さん」

 

ん、んん…先生うるせぇよ…もう少し寝かせてくれって…

 

「デンジさん!」

 

だから少し静かに…ん?デンジ"さん"?

 

「起きてください!」

 

「は、はい!」

 

ガバっと身体を起き上がらせる。どうやら俺を起こしたのは先生…ではなく、連邦生徒会の首席行政官である七神リンだった。

 

そんなリンは何やら物凄く怒った表情で俺を見下ろしていた。

 

「デンジさん、これは、どういうことですか?」

 

「こ、これって…」

 

リンが指差しているのは血まみれの書類。俺がチェンソーマンに変身したときに出血したやつがかかったものだ。

 

「書類の提出が矢鱈と遅いと思って来てみれば、先生は居らず残っていたのは寝ている貴方と血まみれの書類とメモ書きだけ…どういうことか、説明して頂けますよね?」

 

「…は?先生いねぇの!?」

 

リンの言葉に驚き、周囲を見渡す。シャーレの部室には俺とリンしか居らず、先生の姿はどこにもなかった。

 

「先生の行方については、このメモに書いてありましたよ」

 

そう言ってリンが見せてきたのは一つのメモ書きだ。そこには…

 

【デンジ、少しアビドスに行ってくるね!暫くしたら戻って来るからそれまでここはよろしく!】

 

先生ぇ!?何してんだぁ!?

 

「どうやら、貴方もこれは知らなかったようですね…はぁ、先生には後でお説教ですね。それはそれとして…」

 

リンは溜息を吐くと血まみれの書類をトントン叩きながら冷た~い笑顔を浮かべた。

 

「書類、新しく用意するので全て書き直してください。あと、反省文も50枚ほど書いて頂くので、わかりましたね?」

 

その笑顔には隠しきれない怒りと軽蔑が宿っていた。あまりの気迫に反抗する気も起きず、俺は小さく震えて頷くしかない。

 

「は、はい…」

 

先生のバカ野郎ー!!次会ったら覚えとけよー!!

 

そして、俺は書類地獄へと戻ることになったのだった。クソが!!




ぶっちゃけ、まあいいか!!よろしくな!を書きたくて書いたまである。
それはそれとして次からアビドス編行くぞー!ホシノと再会するのかな?しないのかな?どっちなんだい!?わーかーらーなーいっ!!
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