地獄のヒーローになった男、青春に憧れる。   作:ナマエナガ

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ニワメー


夢・スケバン・チェンソー

「はぁ…どうすりゃいいんだよ…」

 

路地裏に座り込んで背中をビルの冷たい外壁に付ける。

 

ここは恐らくキヴォトスって所だろうな。ブルーアーカイブというゲームに登場する学園都市ってことだけど…。

 

だがなぁ…

 

「俺ブルアカやったことねぇよ…」

 

そう、俺はブルアカなんてやったことがない。友達がやっていてその話をちょいちょい聞いていただけだ。

 

「確か先生が主人公なんだよな」

 

取り敢えず、友達から聞いたブルアカの情報をまとめてみよう。

 

まず、主人公は先生。優しい性格で色んな生徒から信頼されてる。

 

んでもって先生はシャーレっていう部活の顧問で色んな学校に行って問題を解決していく。

 

終わり!いや知識少ねえな!

 

「つーか今のキヴォトスっていつのキヴォトスなんだ?」

 

先生がいるならシャーレに駆け込めば何とかなるかもしれない。デンジはまだ高校生だったし、前の世界でも俺は高校生してた。

 

先生は生徒が相手なら助けようとする。そういう人種の人らしい。

 

上手く先生を利用すりゃ、このキヴォトスでも生きていく事が出来るかもしれねぇ。

 

「まずは先生を探さねぇと…」

 

立ち上がって路地裏の奥の方に足を勧める。大通りに出たら流れ弾で死にかねないからなぁ。今は路地裏で細々と過ごすしかない。

 

「でもなぁ、先生と出会ってキヴォトスで生活出来るようになったら…どうしよ」

 

俺はキヴォトスでどうするべきだろうか。デンジの体…というかチェンソーマンになれるなら結構好き勝手できるだろ。

 

基本死なないし、チェンソーマンになれば戦うこともできる。

 

「でもアレ、くっそ痛えらしいからなぁ…」

 

デンジがチェンソーマンに変身する際、両腕と頭からチェンソーが突き出してくる。その痛みは尋常なものじゃない。

 

「基本変身はしない方向で…」

 

俺ぁ、痛いのは嫌いなんだ。体はデンジでも心は普通の男子高校生。

 

「はぁ…暗いこと考えんのはやめだ!やめ!明るいこと考えよう!」

 

そうだな…夢!俺もデンジみたいに夢持とう!

 

元の世界じゃ腐っていくだけだった俺がデンジの身体になってキヴォトスにいるんだ。最高の環境()じゃねぇか!

 

「そうだなぁ〜…デンジは確か…」

 

…胸だったな。デンジはマキマさんの胸を揉むために最初は頑張ってたっけ。

 

…つーかさ、ブルアカって美少女ばっかりだよな?ならよぉ…俺もさ、

 

「胸揉んでみてぇ…!」

 

ブルアカは美少女ばっかり!先生だけモテるっつーのはズルいよなぁ…?それによぉ、俺だってモテても不自然じゃねぇよなぁ!?だってデンジだし!

 

やっぱり、俺の夢は胸だぁ!

 

「おい、そこのあんちゃん」

 

…なんか人いたわ。しかも三人。…ていうかなんで君たちヘルメット被ってるの?

 

気付いたら結構歩いていたらしい。思ったよりも深く路地裏を突き進んでいたようだ。

 

「アタシたちに乱暴されたくなきゃ、持ってる金全部置いていきな」

 

そう言って俺に銃を向けるスケバン風の少女。

 

や、やべぇ…俺撃たれたら普通に死んじゃうよ!チェンソーマンなりゃ、生き返れるだろうけどなりたくねぇし…!

 

「おいおい、コイツここらへんじゃみない顔だぜ?優しくしてやれよw」

 

と、俺に銃を向ける少女の隣にいる、また別のスケバン風の少女が笑って言う。

 

クッソ…!コッチは生身だからって調子に乗りやがって!こうなったら、チェンソーマンになってでもバチボコにぃ…!

 

「すんません!これで許してください!」

 

そしてパンツ一丁になって土下座している俺。

 

いやぁ…ね?だってさぁ…死んじゃうじゃん?俺死にたくないもん。取り敢えず身包み剥いで渡しときゃ、お相手さんだって納得してくれるでしょ…?

 

「素直でいいじゃねぇか。」

 

「そんじゃ、持ち物はっと…」

 

と、俺の服を漁っているスケバン達。俺特になんも持ってないけど、キレたりしないよね?

 

「おいおい!コイツなんも持ってねぇじゃねぇか!」

 

あっ、ダメでした。

 

「ちっ!無駄に時間食わせやがってよ!オラ!さっさと行くぞ!」

 

「まぁまぁ、金は貰ったんだからいいだろ」

 

スタスタ…

 

あ、あぶねぇ…!スケバン達は文句を言いながらも立ち去っていった。その背中を見ながら安堵の息を吐いて立ち上がる。

 

「あぶねぇ…つーか俺の服は返してくれないのね…」

 

はぁ…キヴォトスに来て早々コレかよ。美少女版GTAとはよく言ったもんだ。

 

チクリッ…

 

…なんか、さっきから胸に痛みが走ってんだけど。それになんか頭ん中がモヤモヤしてきて…すっげ~気持ち悪い気分だ。

 

「…そうか」

 

そうか。俺、怒ってんだ。あのスケバン達にもだけど、簡単に屈した俺自身に。

 

ふと、遠くなっていくスケバン達の後ろ姿を見る。

 

「アイツらは、なんでこんな事やってんのかな…」

 

仕方ない理由があるのかな。親にネグレクトされてるとか、学校でボッチになってるとか。それで今みたいに簡単に人に銃を向けられるようになっちまったのかな。

 

それなら、しょうがねぇよな。俺が似たような立場だったら何するか分からねぇもん。

 

でも、でもよぉ…。しょうがねぇけどよぉ…。

 

「デンジとポチタなら、こうはならねぇよな…」

 

別にデンジみたいに生きたいわけじゃねぇ。俺は俺なりに好きに生きて好きに死にたい。だから、今考えてることをする必要はないのかもしれない。

 

だけど、俺は今すっごく不満に思ってる。めちゃくちゃに怒ってる。

 

だからよぉ…!

 

「…あ?おい、なんか用かよ」

 

「別に、特に用事があるわけじゃねぇよ。ただ…」

 

走ってスケバン達の前に立つ。目の前にいるスケバン達を睨みながら、鬱憤を曝け出すように呟く。

 

「しょうがねぇと思うよ。人が悪事をするときには、必ず理由がある。お前らにもそういう理由があるんだろうけどよぉ…」

 

「あぁん?何が言いてぇ?」

 

胸にぶら下がってるスターターの輪っかに親指を入れる。

 

痛いのは嫌だ。死ぬもの嫌だ。ただ…このままコイツらに舐められたまま生きていくのも同じくらいに嫌だ!

 

だからぁ…!

 

「だから!俺の邪魔ぁすんなら…!」

 

思っいっきりスターターを引っ張る。

 

「死ね!」

 

ヴヴン!!

 

チェンソーのうねり声が路地裏に響いた。




ちなみに主人公はチェンソーマンの217話(現在の最新話)まで読んでます。これからリアルの方でチェンソーマンが更新される度に主人公くんもその話まで読んでるってことにして進めてきます。
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