地獄のヒーローになった男、青春に憧れる。   作:ナマエナガ

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今回は難産だったぜ…!
駄文が目立つかもしれませんが、ご容赦を。
評価・お気に入りありがとうございます!気付けば7人もの人に評価してもらえたみたいでありがたいです!


???・目覚め・入学

最初は、ユメ先輩の悪い癖がまた出たなと思った。

 

ユメ先輩は優しいから、色んな人を助けようとする。「困ったときはお互い様」そう言いながらユメ先輩は皆に手を差し伸ばして…そして、最後には自分ばかりが不幸になる。

 

だから今回もそうなると思ってた。ユメ先輩はこの人を助けたけど、この人はユメ先輩に感謝すら示さず立ち去っていく。

 

相変わらずアビドスは孤独なまま、ゆっくりと砂に飲まれて消えていく。

 

悲しいな、と思う。ユメ先輩と共に積み上げたものが崩れ去ってしまう。それが嫌で嫌で仕方なくて、今でもアビドスを復興させようとユメ先輩と二人で頑張ってる。

 

最近はとある大人…黒服と呼んでいるけれど、そいつに取引を持ちかけられることもあった。

 

一瞬、その内容に揺れてしまう自分がいた。私の身柄を黒服に渡す代わりに、アビドスの借金を肩代わりしてくれるという。

 

でも、何度も断っているうちに、次第に黒服は私に声をかけなくなった。前まではしつこく勧誘してきたくせに、突然それが止んだから不思議にも思ったけど、安心して過ごすことができた。

 

取引の持ちかけがなぜなくなったのか、今の私なら理解できる。当時の愚かな私はそれに気付けず…安穏とした気分で胡座をかいていた。

 

でも、それも一時的なものだった。

 

あの時拾った少年…デンジと共に過ごすようになって、色々変わった。初めて友達ができた。ユメ先輩以外に初めて頼りになる人ができた。

 

嬉しかった。とても、とても嬉しかった。やっと対等な友人ができた。やっと仲良くなれた。水族館にデートにも行ったし、ユメ先輩と三人で沢山はしゃいだ。

 

時には一緒にお昼寝をして、時には柴崎のお店でラーメンを食べた。皆で夜空を見上げて、皆で笑い合って…

 

デンジはエッチな事が好きで、ユメ先輩や私を時々そういう目で見ることもあったけど、それも慣れればどうって事なかった。むしろこんな私を女の子として見てくれている。そう分かっただけで嬉しかった。

 

とても、幸せだった。

 

あぁ、でも…私は…私が、その幸せを壊した。

 

仕方なかった。ユメ先輩を助けるにはああするしかなかった。私にとって、デンジよりもユメ先輩の方が大切だったから…

 

だから…私はデンジを…

 

は、はは…ははははは…!!

 

ふざけるな。何が仕方なかった、だ。道はもっとあったはずだ。選択肢はもっとあったはずだ。なのに…なのに!私は言い訳をして!言い繕って!

 

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい

 

デンジは私を信頼していた。デンジは私を認めてくれた。なのに、私はそれを裏切った。目先の利益を求めてデンジを…

 

殺した。

 

きっと、私は死んだら地獄に行くんだろう。唯一の友人を殺し、ユメ先輩を欺いた私には天国なんてほど遠い。

 

あぁ、でも…もし、私があの世でデンジと再会できたなら、私は私の全てを費やしてこう言うだろう。

 

「今度こそ、私の全部をデンジにあげます。デンジが幸せになれるように、私はなんだってします。

神様だろうと悪魔だろうと、私が全て薙ぎ倒して守ります。だから…もう、私から離れないでくださいね?」

 

醜い独占欲。自分からデンジを傷つけておいて、なにが離れないで、だ。矛盾だらけの考えに笑えてくる。

 

でも、デンジ…この気持ちだけは、本当のものだよ。

 

デンジ、好きです。きっと、好きでした。

 

◎ アビドス高校・保健室

 

「…ん、ぁ…」

 

ゆっくりと目を開けると、白い天井が視界に広がる。どこかで風がカーテンを揺らし、カタリと金属音を響かせた。

 

「知らねぇ天井だ…」

 

はい、言ってみたかったセリフ第三位!ようやく言えたな!

——とか言ってる場合じゃねぇよな。

 

上体を起こした瞬間、頭の奥がズキンと痛んだ。

体が重い。血の味が口に残ってる。何がどうなってんだ。

 

「どこだ、ここ…?」

 

薄暗い部屋を見回す。

消毒液と薬草みたいな匂い。白いカーテン、並ぶベッド。

——保健室か。

 

でも、俺がいたのは砂の中だったはずだ。

なのに、今は…冷たいシーツの上。誰かが、俺を運んだのか。

 

「うっ…ぐ…」

 

ベッドに両手を付けて立ち上がる。フラつく体を何とか起こして保健室を出る。

 

学校なら生徒がいるはすだ。誰が俺を拾ったのか知らねぇけど、会ってお礼くらいは言うべきだよな。もしかしたら先生や黒服のことも知れるかもしれねぇし。

 

そう思って俺は廊下を歩く。廊下にも砂が入り込んでいてどうにも賑わっているとは言いづらい。

つーかさ…

 

シーン…

 

「なんか、静か過ぎね?」

 

今日が何曜日なのか知らないが、平日だったたらあり得ない静けさだ。何分か歩いたけど生徒が一人も見当たらない。

 

「う~ん…誰もいねぇな…もしかして、幽霊学校だったりするのか!?」

 

「しませんよ、失礼な方ですね」

 

と、俺が一人で騒いでいると後ろから声をかけられた。よかった~、幽霊学校とかじゃないのね。

 

「え、えっと…アンタが俺を助けてくれた人?」

 

目の前のピンク色の髪をした少女に聞く。短い髪とぴょんと飛び出たアホ毛。鋭い目付きが俺に向けられる。

 

「そうですよ。貴方が倒れていた所を私たちが発見してここまで運んできたんです。」

 

すると、少女に俺に背中を向けて歩き出した。

 

「付いてきてください。生徒会室に案内しますよ」

 

目付きや言葉遣いの割には優しいのな。俺は彼女の言葉に従って廊下を歩いた。

 

◎ アビドス生徒会室

 

「ユメ先輩、戻りましたよ」

 

「ホシノちゃん、おかえり!って、その人起きたんだ!」

 

なんかすっごい明るそうでアホそうな人がいた。

 

水色よりの緑の髪が長く伸びている。大きなアホ毛が垂れていて、優しい瞳が俺を見据えていた。お御足には沢山の絆創膏…どんなはしゃぎ方したらそうなるのそれ?

 

そして…大きなおっぱい!! 

 

デカい!まさか現実でこんな大きさのおっぱいを見ることができるなんて!ブルアカは最高だなぁ!

 

「私は梔子ユメ!ここ、アビドス生徒会の生徒会長をやってるんだ!」

 

「私は小鳥遊ホシノです。よろしくするつもりはありませんけど、よろしくお願いします」

 

二人の自己紹介を受けてハッとする。いけねぇ、胸に意識が向かってしまって二人の言葉を聞き逃すところだったぜ…

 

「俺は…デンジっす。よろしく」

 

「デンジ君だね!よろしく!」

 

と、凄い元気に返してくれるユメ。それとは対照的に、ホシノは怪訝そうな瞳で俺を見つめている。

 

「ユメ先輩、人助けはいいですけど、はしゃぎ過ぎですよ。その人だって、すぐにここを出ていくんですから」

 

うーん、冷たい言い方。この子はツンデレキャラなんだろうなぁ。……今の割とマジのトーンだったよな…?

 

というか、別にすぐにこの学校を出るつもりなかったんだけど…え?今のってさっさと出てけってこと…?

 

「いや、あの…俺ってすぐにこの学校出てかないといけないんすか?俺住む場所とかないんだけど…」

 

「そんなことないよ!むしろ、住む場所がないなら好きな教室を使ってもいいから!」

 

「ユメ先輩、私は反対ですよ。こんな得体のしれない人を住まわせるなんて。住む場所がないのは可哀想ですけど…私たちには関係ないことです」

 

ユメの言葉に反対するホシノ。俺としては住まわせてもらえるなら住みたいんだけどなぁ。それに久々にまともな人たちと関われたんだ。この関係は捨てるにりゃもったいない。

 

「うーん……」と少し考え込んだあと、ユメが俺に向き直る。

 

「じゃあ、こうしよう。デンジ君、もしよければ——このアビドス高校に入学してくれないかな?」

 

「入学、っすか?」

 

「うん。住む場所を用意する代わりに、生徒として学校を立て直すのを手伝ってほしいの。

生徒が一人でも増えれば、この学校もまだやっていけるかもしれないから」

 

……なるほど。

この廃れた学校を見れば、どんな事情かなんとなく察せる。

俺に住処をくれる代わりに、生徒として学校を支えてくれってことか。

 

悪くない取引だ。

むしろ、久々に人間らしい生活ができそうで最高の取引だぜ。

 

「その取引、乗ったっすよ。よろしくお願いします、ユメ先輩」

 

右手を差し出す。ユメ先輩は俺の言葉を嬉しそうに受け止め、握手を交わしてくれた。

 

「よろしくね、デンジ君!ようこそ、アビドスへ!」

 

「はぁ…どうなっても知りませんよ、ユメ先輩。」

 

ユメ先輩の嬉しそうな声と、ホシノの仕方なさそうなため息が生徒会室に響いた。

 

……つーかさ、ワンチャンユメ先輩の胸揉める可能性あるよな…?よし!頑張ろう!




ユメ先輩とか過去おじの口調って合ってるんですかね、コレ。
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