地獄のヒーローになった男、青春に憧れる。   作:ナマエナガ

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義務教育・ヘルメット団・地雷

「そういえば、デンジはヘイローないんですね」

 

入学についての話が一区切り付いた後、ホシノがそう聞いてきた。

 

「ヘイロー?なんだそれ。頭に浮かんでるソレか?」

 

前々から気になっていたが、キヴォトスに住んでいる生徒には頭の上に変な輪っかがある。それが何なのか、よく分からない上に、特に俺の生活に関係するわけでもないから気にしてなかったけど…

 

「そうだよ!キヴォトスにいる生徒なら誰もが持ってるけど…外の世界だとないらしいね。」

 

ユメ先輩がそう言ってくれた。

 

ほえ~。キヴォトスの生徒にしかないってことは、それが生徒の頑丈さとかに繋がってんのかな。

 

「というかヘイローのことなんて小中学校で習うことでしょう?義務教育受けてないんですか?」

 

「お〜、俺受けてねぇよ」

 

まぁ、つってもキヴォトスの、だけどな。元の世界じゃ普通に高校通ってたし。

 

そして、固まる空気。ホシノは「え?本当ですか…?」みたいな顔で俺を見つめて冷や汗をかいてる。

 

なんだか悪いこと言った気分だなぁ…キヴォトスの義務教育は受けたことないだけって訂正するべきかコレ?

 

すると、ユメ先輩がホシノに顔を寄せてひそひそ話を始めた。

 

「ちょ、ちょっとホシノちゃん…!」

 

「す、すいません…まさか本当に受けていなかったなんて…」

 

あ~、これ絶対に訂正した方がいいよな?ホシノが悪い感じになってんのは俺も心苦しいし…

 

「あ~、いや俺別に…」

 

外の世界のやつなら受けてる…と言おうとした時、大きな爆発音が響いた。

 

ドッカーン!!バババババババッ!!

 

「おわっ!なんだァこの音!?」

 

「銃撃!?またアイツら!」

 

生徒会室を飛び出すホシノ。俺とユメ先輩はホシノを追って廊下に出る。

 

廊下の窓から見える景色には、ヘルメットを被った生徒たちが銃を構えて襲撃してきているものが映っていた。

 

「スケバンかぁ!?」

 

「違うよ!アレはヘルメット団。いつも学校を襲ってくるの!」

 

俺の疑問の声に答えたのはユメ先輩だ。その声には怯えと…小さな勇気が混じっているような気がした。

 

「デンジとユメ先輩はここに残っててください!私が行ってきます!」

 

そう言ってホシノは廊下の窓を開け…

 

「え〜マジィ!?」

 

ヒョイッと身を飛び出すと華麗に地面に着地してヘルメット団と交戦を始めた。ここ3階だぞぉ!?

 

◎ アビドス高校・グランド

 

「よぉし、お前ら!今日こそアビドスを落とすぞ!」

 

リーダー格の生徒がそう叫ぶ。それに呼応するようにヘルメット団の生徒たちは銃を構え、来る一人の少女に備える。

 

「来たぞお前ら!撃て撃てぇ!」

 

ババババババッ!!

 

グランドを走り抜けるホシノ。多勢に無勢、本来ならヘルメット団の圧勝で終るはずの戦いは、ホシノの有利に運んでいた。

 

素早い動きで襲い来る弾丸を躱し、一人一人を確実に撃ち倒していく。仲間が倒されていくことに気を取られた瞬間、また意識が刈り取られる。

 

「無駄ですよ。貴女たちじゃ、私は倒せません。さっさと降参して、もう私たちに関わらないでください」

 

ホシノはリーダー格の生徒にショットガンを向け、降参を促した。リーダー格の生徒は怯え、地面に尻もちをつきながらもホシノに言い返す。

 

「だ、誰が降参なんてするか!今回は負けても次は…!お前がいない時に襲ってやる!そうすればこの学校もお終いだ!」

 

ギリッと、ホシノが奥歯を噛み締める。ホシノの苛立った表情にリーダー格の生徒は完全に怯えきってしまってただ睨みつけることしかできない。

 

そんなとき、ホシノの背後で一人のヘルメット団員が立ち上がる。まだホシノにやられていなかったのか、一人意識のある彼女は音を立てないように立ち上がりホシノに銃口を向ける。

 

ニヤリ、とリーダーが笑う。このままホシノにバレることなく背後から後頭部を撃てれば…もしかしたら勝てるかもしれない。

 

ホシノは笑うリーダー格の生徒を怪訝な表情で見下しながらも、背後に立つヘルメット団員に気づけなかった。

 

そして…

 

パンッ!

 

「はい!俺の勝ち〜!ユメ先輩後でジュース奢れなぁ〜!」

 

「ひ、ひぃぃん!それデンジ君が勝手にふっかけてきた賭けじゃーん!」

 

ホシノは背後からした音に驚き、振り向いた。

 

そこにはまさに倒れる瞬間の団員と、廊下の窓から拳銃を構えているデンジがいた。

 

「……助けてくれたんだ…」

 

思わず漏れたその声に、自分でも少し驚く。

 

窓の向こうでデンジはにやりと笑い、まるでふざけてるみたいに楽しそうにしていた。ユメ先輩もデンジにしがみ付き、いつものように弱々しく泣きながらも楽しそうにしている。

 

そんな二人を見て、思わず笑ってしまう。戦いとはほど遠い雰囲気をまとう二人に気が抜けてしまった。

 

「…ふふ」

 

いけないいけない、と気を取り直してリーダー格の生徒と向かい合う。

 

「万策尽きたでしょ。さぁ…これ以上、痛み目に遭いたくなければ…」

 

「あ、ぁぁ……ご、ごめんなさーい!!」

 

リーダー格の生徒は自身を睨むホシノに怯え、走り去って逃げてしまった。それを見送りながらホシノはグランドを見渡す。

 

「まったく、この人たちも連れて行ってくださいよ…」

 

周囲に倒れているヘルメット団員を眺めて仕方なさそうにため息を吐いた。

 

◎ アビドス高校・生徒会室

 

「さっきの"勝ち"とか"賭け"とか何だったんですか?」

 

ヘルメット団との争いが終わり、生徒会室に戻ってきたホシノは俺とユメ先輩にそう聞いた。

 

「あ~、あれな。ホシノの後ろでまだ意識のある奴見つけてよ。」

 

「デンジ君が予備の拳銃を使って狙撃できたらデンジ君の勝ち、できなかったら私の負けっていう賭けが唐突に始まって…」

 

俺の言葉から続けてユメ先輩が説明してくれた。

 

俺としちゃ、あそこでチェンソーマンになって戦いたくはなかったからな。普通に人外だってバレたくなかったし…どうせバレるならもっといいシチュエーションでバレてぇからなぁ!

 

ホシノやユメ先輩のピンチに現れる俺!そしてチェンソーマンに変身し、敵を薙ぎ倒す!更にキヴォトス中で活躍を果たして衝撃の正体を明かすんだ!

 

「あのですね…私が必死に戦ってる間に何やってるんですか…」

 

ホシノは呆れたような顔で俺を見つめている。

 

いやぁ、だってよぉ〜あの状況でもホシノなら勝てただろ。ホシノの無双ぶりを見るに、一度頭を撃たれたからって負けるとは思えないし…

 

それにやっぱりチェンソーマンってバレるならもっとカッコよくバレたいし…

 

「まぁ、アレだアレ。ホシノを信頼してってやつ」

 

まぁ、出会って数時間の仲だけどな。ホシノも同じことを思ったのか苦言を呈してきた。

 

「私たちそんなに仲良くないでしょう…」

 

ジト目で呆れたように声を出すホシノ。声は相変わらず冷たい…が、なんだか優しげな声にも聞こえた。

 

すると、一瞬だけ俺を見つめて、すぐに視線を逸らした。……なんか、さっきよりトゲが抜けた顔してんな。

ま、気のせいかもしれねぇけど。

 

そんなホシノをユメ先輩は温かな瞳で見守り、パッと顔を上げて気分転換でもするかのように口を開いた。

 

「そういえば、デンジ君ってなんであそこで倒れてたの?」

 

あそこって言うと俺が倒れてた道か。確かに、俺がアビドスに来た理由は話してなかったっけ。

 

「人探ししてて…んで、偶々アビドスに寄ったんすよ。そしたら遭難して…」

 

そういや先生や黒服のことって二人に聞いてなかったな。二人も何か知ってるかもしれねぇし聞いておくか。

 

「それについてなんだけどさ、先生って人知らね?」

 

「先生?つまり教師ってことですか?そんなのどこの学校にもいないと思いますけど…」

 

まじかー…ホシノたちが知らないだけかもしれないが、今は"先生が来る前"のキヴォトスってことか。

 

じゃあ、もう一人の方は分かるか?

 

「じゃあ、黒服って人は分かるか?」

 

「……は?」

 

……地雷踏み抜いちまったか、これ?




あー速くデンジ君を派手に戦わせて〜!今はホシノ達と着実に絆を繋ぐ日常回なので少々お待ちを。
痛い目に遭いながらも笑顔なデンジ君が好きです。なので2部のデンジ君は見てて苦しくて苦しくて…頼むからデンジ君は幸せになってほしいよね!
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