転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子)   作:アンダギー

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一章 始まりの町
 転生


 

「お疲れ様です!お先に失礼します!」

仕事を終え、帰路に就く。

今日は待ちに待った金曜日

 

「やっとゲームができる…」

嬉しさのあまり独り言を呟いてしまう。

 

社会人になってから仕事に慣れるまで約3年。

やっと自分の時間を作れるようになったので

学生の頃の趣味であったゲームを再開することにしたのである。

 

ゲームタイトルは確か『ファンシーストーリー』

RPG要素があるがどっちかと言えばストーリーに重きを置いており

アクションが苦手な人でもできるという感じのゲームである。

あらすじは読んでないのでそこもまた楽しみの一つである。

 

(どんな内容なのかな…パッケージの女の子はかなり好みだったが…)

そんなことを考えていると

隣からものすごい物音が近づいてきていることに気づく

 

トラックであった。

 

「あ…」

多分居眠りか何かなのだろう

身体を動かそうとしたが全く反応できない。

こんなことなら考え事なんかしなければよかったなんて思ったと同時に意識が途絶えた。

 

ーーーーーーーー

 

うっすらと灯が差し込む

「あれ…ここは…」

目を開けると真っ白な空間が広がっていた。

 

私はトラックに轢かれて死んだはずでは…

 

「お目覚めですか、人の子よ」

背後から声が聞こえたため振り返るとそこには見目麗しい女性が立っていた。

「あなたは?」

「私の名はウェンビィ、あなたの世界では女神と言われる存在です。」

 

「女神様…なぜ私のようなものの前に?もしや死んだ人間はみな女神様に会うのですか?」

「いいえ、私は滅多にあなた方の前には現れません。今回は特別なのです。」

 

「特別とは?」

「私はあなたの過去を知っております。あなたのご両親のことも」

「私の…過去…」

 

思い出したくない蓋をしていた過去が蘇る

目を伏せたくなるような感覚が襲ってくる

 

「人の子よ、あなたは前世でかなりの苦しみを味わいました。それなのに曲がらず真っ直ぐに精一杯生き続けた。そのような善良な魂を持つあなたに対して女神として一つ褒美をと思いましてね。」

 

「褒美ですか?」

「えぇ、褒美として第二の人生を与えます。転生というものです。さぁ、望みの世界を言いなさい。」

 

「第二の人生…」

突然のことで呆然としてしまう。

望んだ世界…もし可能であるならば

前世でできなかったあのゲームの世界になど行けるのだろうか

 

「女神様、質問を一つ宜しいでしょうか?」

「えぇ、構いませんよ。」

 

「ありがとうございます。単刀直入にいいますと、創作物、私たちの世界でいうゲームの世界に行くことも可能なのでしょうか?」

「その程度造作もありません。」

 

よし、問題ないみたいだ

「では、女神様。私めを『ファンシーストーリー』というゲームの世界に行かせていただきたく思います。」

 

「そのゲームの世界とやらを確認するので暫しお待ちなさい…なるほど…問題ありません。今からでも送り届けられますよ。」

 

待つように指示があって数秒ほどで確認が取れるとは

本当にすごい神様なんだな…しかもすぐ転送とはなんとも仕事がお早い

 

「では、すぐに転送をお願いできますか?」

「わかりました。すぐに執り行いますのでその場で待機を。して、一つ確認なのですがこのゲームの世界ではスキルなるものがあるようですね。」

 

あー…RPG要素もあるって感じだったしな

確かにスキルの一つや二つはあるか

 

「すみません。私もそれほど詳しくはなくて…ところで何故そのことを私に?」

「せっかくなので一つあなたにスキルを与えようかと、何もなしで転生とは些か不安でしょうし。」

 

なんというご慈悲

というより、私が無計画すぎるのかもしれない

ここはお言葉に甘えておこう。

 

「是非、スキルを頂戴できるのであれば。」

「では、この成長スキルを捧げておきます。このスキルはあなたのレベルが通常より上がりやすくなるものとなってます。重なって魔法やスキルもです。もちろん努力を怠れば宝の持ち腐れになりますので悪しからず。」

 

魔法もあるのか…知らなかったな。

というか、本当に何も知らないな私。

 

「スキルの贈与感謝いたします。」

お礼と同時に足元から魔法陣のようなものが浮かび上がった。

「これは…」

 

「転送の陣です。これからあなたは新しい世界に旅立ちます。あなたの人生に幸福を。それでは良き旅を」

 

女神様のお別れの挨拶と共に意識が途絶えた

 

ーーーーーーーー

 

「…ぉ…ぃ…お…」

なにか声が聞こえる。男の人の声のようだ

「…ティ……ティオ」

段々意識がはっきりしてきて声も聞き取れるようになっている

「ティオ!!無事産まれたぞ!!男の子だ!」

 

なるほど…転生とはまさしく赤ちゃんからやり直すのか

一応喋れるか試してみるか。

『アギャー、オンギャー!ウンニャー!』

うん。喋れないな。

 

私の声を聞くと大柄な男は涙を流していた。

多分この人が私の父親なのだろう。

よろしく頼むという意を込めて

抱いてくれている指を握った

 

その度に大きな声で嗚咽を漏らすもので

みかねた周りの人達が私を父から離し今現在母親の腕の中にいる

 

無事転生できたのだな

一安心すると共に眠気が襲ってきた

暫し休息することとしよう。

 

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