転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子) 作:アンダギー
「みたわね…みた以上、無事にこの部屋から出れると思わないことね…」
目の前には見目麗しい女性が業の詰まった部屋でエクスタシーを感じている。なぜあの時、私は止まらなかったのか…もし数十分前の自分が目の前にいたら気絶させてでも止めただろう。最悪の事態を想定していたら違う意味で最悪の事態に直面していた。どう足掻こうが絶望とはこのことを言うのだろう…後悔と自責の念を感じながら目の前の現実から目を背けるため瞳を閉じる。どうか…次はもっと平和でしがらみのない世界で生きられますようにと祈りながら
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遡ること数十分前
ミーネ様や国王様の策略により無事、お貴族様たちに私と言う存在が認知された。そのためやりたくもないがミーネ様と主要なお貴族様への挨拶回りを行なっている次第である。正直に言うとあの失礼な青年のお陰でお貴族様については少し…いや、かなり印象は悪いが、社会人の頃を思い出し冷静に挨拶周りをこなした。この世界にきて初めて前世の経験が役に立ったかもしれない。
無事、挨拶回りもある程度終わり、お手洗いでもと席を外す。勿論その際にもミーネ様が隣にいるのだが、今回はそのことが裏目になるのは当時の私には皆目見当もつかなかった
「あら。帰っていたのねミーネ」
目の前には年齢にして20歳ほどの見目麗しい女性が立っていた。金髪で青い瞳…ミーネ様に何処となく容姿が似ていた。もしかしたら…
「………お母…様……」
やはりか…目の前の女性はミーネ様のお母様。この国では第二王妃にあたるお方であった。しかし、主人の反応をみるにあまり仲はよろしくないのやもしれない。
「して、ミーネ。その隣の子どもは?」
王妃様は、私を指差し尋ねる
「彼は…」
「私めはニックと申します。今日よりミーネ様の付き人として務めることとなりました。王妃様へのご挨拶が遅れましたこと、誠に申し訳ございません。」
主人がいうより早く自己紹介を済ませる。王妃は私を一瞥するとともにせせら笑う
「……ふ…ミーネの付き人ね…あなたミーネがこの王室でどんな扱いをされてるかご存知ないのかしら?」
「えぇ、そこまで詳しくは存じておりません。そうですね…せっかくですし是非、王妃様からミーネ様について教えてくださりませんか?」
「…ニック…」
何が目的で今更王妃自らコンタクトを取ってきたかわからない。最大限の警戒をしながら会話を続ける
「…そうね…簡単に言えばこの子は出来損ないよ。本当にね…」
その言葉に主人がビクッと肩を振るわせる。なるほど…しかし、ここは穏便に済ませるとしよう
「なるほど…では、そのような狂言を放つ輩からお守りすることが私の役目という訳ですね!王妃様のご期待に応えれるよう、粉骨砕身で我が使命を全うさせていただきます!」
あえて元気に王妃様に答える。
「…そう…ね。どこまでその意思が貫けるか期待せずに拝見させてもらうわね。あと、ミーネ」
「…っ!?…はい…お母様…」
「……帰ってくるなら早めに連絡をしなさい。そんなこともわからないなんて一国の王女として、いえ、人として常識が足りないわよ。あと…今回は無事でよかったわね」
「…はい…お母様。申し訳ありませんでした…」
その言葉を皮切りに王妃様は少しため息をついて踵を返す。隣の主人は意気消沈としていた
「ごめんなさい…ニック…恥ずかしい姿をみせちゃって…」
少し震える主人の両肩に手を置き目線を合わせる
「恥ずかしい?何を恥じることがありますか。出会った時に言ったでしょう?これから見返していけばいいのです。焦らず2人で乗り越えていきましょう」
今は少しでも気が紛れるように、笑顔でミーネ様を激励する
「ニック……」
うん。付き人として最高のコミュができた。あまりのパーフェクトコミュケーションに惚れ惚れする
ドン!…
だからさミーネ様…
ことあるごとに抱きつくのはやめてくれませんか?
「ミーネ様!!痛い!痛いです!!前の時も思ってたのですが装飾品があたって胸が…がぁぁあ!!あつい!!あついです!!頭を擦らないでくださいませ!何卒ご勘弁を」
主人の戯れに付き合っていると後方からドンッと何かが壁に当たったような音がする
「…ミーネ様…少し離れていただいてもよろしいですか」
もしかしたら敵襲か?そう思い、音に気づかないまま頭を擦り続ける主人にお願いをする
「え?いや!絶対!!」
「黙っていたのですが…お手洗いに行きたくて…この場で粗相をすることになりますが…」
「!?」
やはり効果的であった。ミーネ様は頬を赤らめる。全くおませさんなんだから我が主人は
「……一応なんだけど…本当に一応聞くことなんだけど…」
ん?雲行きが怪しいぞ…まさかだと思うが…
「…命令だったら…その…あなたは…粗相を…その…」
「……うわぁ………」
「…っ…うん!早く行ってらっしゃい!!」
すみませんミーネ様…さすがにドン引きです。主人の性癖が少しヤバいことに恐怖を覚えるが今はそれより音の発信源への対応だ。決して主人の性癖について目を背けたわけではない。決して!
主人を待たせるわけにはいかないので音のあった方に肉体強化魔法を施して向かう。すると壁に少し凹みができている場所を見つけることができた。傷の新しさからやはり聞き間違いではないことがわかる。もしかしたらと周辺に索敵を行うこととした
「この反応…もしかして!?」
少し先に一つだけ反応がある。その方向を向かうとやはり、王妃であることが確認できた。もしかしたらなにかわかるかもしれない。そう思い王妃の後を尾行することにした
王妃はある程度進むと一つの部屋に入り込む。その部屋は至ってシンプルな部屋であったが、王妃が部屋に入ると同時になにかリモコンのようなものを操作すると、からくり屋敷のように部屋の内装の変わる。それにはかなり衝撃を受ける
部屋全体にミーネ様の写真が貼られていた。いや、写真だけではない、ミーネ様が書い絵や、ミーネ様の洋服なども飾られてもいた
「あーーんミーネ!私のミーネ!なんて天使なの!!それなのに…なんであんな男に!!全く!!トール様もトール様だわ…私のミーネに悪い虫がついたじゃない…あーー!!クソッ!クソッ!ニックーー…あのクソガキが…何よあのスカした態度は!せっかくあの子の付き人から解放してあげようとしたのに…なにがお母様よ!誰があんたのお母様よ!あーーイライラする!!こんな時、さっき魔法で撮ったミーネの写真を…うーーん!!キマル!!これは聞くわ〜」
「…う…そ…だろ…?」
頭をトンカチで殴られたような感覚である。目の前に広がる景色に眩暈がする。あの厳格で少し厳しめの見た目をしていた王妃が娘の写真でキマっていたのだ。誰だって驚く。というか、ドン引く。この一家は私をどれだけドン引かせればいいんだ…いやまじで泣きたくなってきた。まぁ、家族愛が行きすぎていることはわかったし、この様子であればミーネ様の襲撃事件には関わっていないことがわかった。それだけでも収穫としよう。というか、早く出たいこの部屋から。一刻も早く
「…あ……」
早く逃げないとと足早に扉の前に移動するが足の震えが止まらず、扉に激突するのであった
そして冒頭に戻る
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殺される…目を閉じて数秒、特に何も起こらないことに恐怖し、薄目で王妃を確認する。すると目の前にドアップで王妃様の顔が現れた
「…ワァ…ワァ〜…」
恐怖のあまり涙が出る。いかんせん顔がいい分より一層恐怖を引き立てる。目の前の王妃様はなにも言わずただ私を見続ける。時間にして数秒いや、数分?数時間?わからないがこの硬直状態からやっと進展が起きる
「ねぇ、ニック?」
「ヒッ!?」
「あー…驚くわよね…うん。泣いてるあなたを見て私も冷静になったわ。取って食べたりしないから話を聞きなさい」
話を…?
「あの…殺さないんですか?」
「ふーー…そうしてほしいの?」
「いえ!そんなことは天地がひっくり返ってもありえません!生きていたいです!」
「そうよね、わかるわ。それじゃ、取引と行きましょう」
「取引ですか?」
「えぇ、本来であればこの部屋に入った時点で不敬罪。即刻打首の所なのだけど、私は寛容なの。貴方が今日見たことを忘れるなら許してあげる」
その言葉に首が千切れんばかりに頷く
「それと追加で貴方には定期的にミーネのことを私に報告する条件で見逃してあげる」
「ご報告ですか…」
「もしこの条件がのめないのであれば…会ったばかりで悲しいけどお別れになるわね」
「忠を尽くさせいただきたく存じます」
「理解が早い子は好きよ、また、細かい詳細についてはあの子の今の使用人に伝えておくからよろしくね」
「…はい…」
「あと、あの子には絶対気づかれないように」
「あの…なぜバレたらまずいのですか…憚りながら、愛されてるってわかったらミーネ様との関係も改善されるのでは…」
「そうね…まぁ言うに言えない事情があるのよ」
「そうですが…残念です…」
「あなた、いけ好かない子と思っていたけど、ちゃんとミーネのこと考えてくれてるのね…少し安心したわ。けれど私の目が黒いうちはミーネと良い関係になれるとは思わないことね」
「はい!肝に銘じます」
そこは国王と同じなのね…似た者夫婦だ
それにしても事情か…貴族とはなんてめんどくさい。しかし主人の幸せを守るのが私の役目、必要であればこの親子の関係も改善させてあげたいものだ。まぁいきすぎてるとはいえちゃんと愛してるんだし……うん!素晴らしいことだ
「それじゃ、よろしく。私はもう少し楽しんでから部屋を出るから先に出てなさい」
「あ、承知しました」
前言撤回。家族愛より狂愛だわこれ
ミーネ様…そこは似たのかな〜…
すみません。次回更新少し遅くなるやもしれません。
また、飽きずに見てくれたら幸いです