転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子)   作:アンダギー

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 嘘の代償

 

 王妃様との邂逅を果たした後、足早に主人の元へ駆けつける。私の顔色の悪さを過剰に心配している主人をなんとか宥め、会場に戻ることとした。それからまた色々とあったのだが、脳の疲れが限界突破したため記憶が定かではない。多分、無事乗り切ったのだと思う。保証はできないが多分、大丈夫だと信じたい。

 

 終わりしなミーネ様に挨拶を交わした際、夕食はどうするか聞かれたのだが全く胃に食べ物が入る気がしないため辞退をさせていただいた。それと同時にお風呂場を教えてもらい使用できる時間なども聞き、現在、絶賛入浴中なのである

 

 「はー…疲れた…本当に疲れた…なんだよあのファミリー…これからやっていけるのか不安だよ…マジで」

 

 大きな浴槽に1人だけという所謂、貸切状態で本来は喜ばしいことなのだが、この先のことばかり考え少し憂鬱な気持ちが漏れる。湯船の中でこれからのことを考える。まず王妃様への報告、それに、できればお二人の仲の改善、ミーネ様を襲った刺客の捜査、更にミーネ様の護衛にお世話。うん。やることがいっぱいだ…仕方ない。なるようになるだろう。今日はもう割り切ってゆっくりこの時間を堪能することとしよう

 

 まずは目のマッサージに更に足も揉みほぐしておくか…にしても使用人のお風呂がここまで大きいとか、さすが王族だな…ミーネ様たちの浴室はもっと凄いのかな…ガラガラ…それはそれとして、夕食を断ったのはさすがに失礼、…ピシャ…だったかな…明日でもミーネ様に謝っておかないと…、バシャバシャ…、でもあの様子だとそこまで怒られるという感じではないような…チャプ…もしかしたら不敬罪で解任!とか言われるかもな!はは!それはそれで…、ニギニギ…、ん?なんかさっきから手をにぎにぎされてるよう……な……な…なぜ…ここに?

 

 「ミーネ様…」

 

 「来ちゃった…」

 

 「あ、いやいや、来ちゃったって…そんな可愛く言われても…へへ…どうしましょう。逆に笑えてきましたよ」

 

 「喜んでくれてなによりよ。初めてのお風呂…少し緊張するけどニックと一緒にいれて嬉しい気持ちの方が強いわ…私達、相思相愛ね」

 

 「はは!こっちは違う意味でドキドキしてますけどね!一方通行のことを相愛と表現するとはミーネ様はお茶目さんですね♪」

 

 「あ、私もドキドキしてるわ!緊張よりドキドキの方が表現として合ってるわね…確かめてみる?」

 

 「うるさいですよ滑走路のくせに。このおませさん」

 

 「ニック!?」

 

 疲れすぎてつい主人に暴言を吐いてしまった。しかし許して欲しい、せっかくの安寧の時を邪魔されたらさすがの私も少し怒る。ましてや、悩みの原因に凸られたら我慢ができなくなってしまう

 

 「ミーネ様。私は国王様より節度ある付き合いをするように言われております。さて、節度ある付き合いとはどういう意味でしょうか?簡潔にお答えください」

 

 「滑走路って…いや仕方ないじゃない…まだこのボディは発展途上…今後ニックも驚くくらいのナイスバディになるんだから…でも、さすがにキレそう…なによ滑走路って…女の子に言うことじゃなくない…ニックはデリカシーというものがないのね。あ、でもそれはそれで悪い虫が寄りつかないから良いかも…ここはニックのデリカシーのなさに免じて不毛としてあげようかしら…でも、さっきの暴言を元に少しニックを脅せば色々と…」

 

 全然話聞かないなこのお嬢様…なんか、ブツブツ言ってるし…ここは一つおふざけでもしてみるか

 

 「ミーネ様!好きです!」

 

 「私も大好きよニック♪」

 

 自分の聞きたいことしか聞かないなんて暴君すぎますよミーネ様

 

 「ミーネ様、私は先に出ておりますので、ミーネ様はどうかごゆっくりなされてください。それでは」

 

 湯船でくねくねしている主人を後目にそそくさと退出をする。ミーネ様にとって好きと言う言葉の効果は抜群だが多用すると引き返せなくなりそうなので緊急時のみに今後は使用することを誓うのであった。

 

ーーーーーーーー

 

 「ニック〜!」

 

 部屋のソファで一息ついていると主人の声が扉越しに響く。やはりきたか…と言う気持ちとともにため息が溢れる。お昼からお風呂までずっと気を遣っていたのだ。少しは休ませて欲しい。本当に…

 

 「あら…返事がないわね…もしかしてお手洗いかしら?」

 

 急ぎ扉を開けようとした際に、主人の声が漏れて聞こえる。これは使えるやも…私がいないとなればさすがにミーネ様も自室に戻られることだろう。ミーネ様も今日一日中頑張っておられてお疲れだろう。もしかしたらこのまま自室で休まれるかもしれない。ここは良心が痛むがやり過ごしてしまおう。それがお互いのためだ。そうだ…これはミーネ様のご健康のためでもあるのだ。だから私は悪くないのだ。

 

 自己解決し扉の前で数秒ボーッとする。するとミーネ様はコンコンとおとなしめに扉をノックし、私の名前を呼んだのち、仕方ないわねとボソッと呟いた。その後はコツコツと扉から離れていく音を扉越しに確認する。めちゃくちゃ良心が痛んだがなんとかやり過ごすことができた。ミーネ様に心の中で謝罪をするとともにベットに横になる。さぁ夢の世界いざダイブ

 

 コンコン、コンコン、コンコン

 

 しようとしたが、意識を戻される。何故だかわからないがまだ扉を叩く音が聞こえる。面倒だがまた扉の前に向かう

 

 コンコン、コンドン、ドンドン、ドン!ドン!

 

 次第に音が大きくなる。それと同時に私な鼓動も大きくなる。刹那、何故ミーネ様が引き返してきたのか理解する。ミーネ様はお手洗いを確認しに行ったのだ。しかしお手洗いにも私がいないことを確認するや否やまたこちらに向かってきた。しかも、私が寝てるかもしれないことを考慮して今度は強めに扉を叩く。違う意味で考慮して欲しいのだが…開けないと酷い目にあわされそうなので、あくまで今起きたかを装いながら扉を開けることとした

 

 「…ふぁ…何事ですか…ミ、ミーネ様!?どうかなされたのですか!?」

 

 迫真の演技である。

 

 「…ふ〜…起こしちゃたかしらニック。ごめんなさい…遅くに」

 

 本当ですよ。できればそのまま回れ右して帰ってください

 

 「いえ!お気になさらないでください。で、ご用件は?」

 

 「その前に、確認したいことがあるの…」

 

 可愛く首を傾げる。普通であれば可愛いなぁと思うところであるが、何故かわからないが寒気を感じる

 

 「…はい…なんでしょうか?」

 

 「本当に今起きたの?」

 

 「…はぃ…」

 

 「そう…わかった。なら一つ確認をさせてちょうだい」

 

 「確認…ですか?」

 

 「そう。単なる確認。そのためにも貴方の部屋に入らないといけないの…もし確認ができて、貴方の言ってることが本当だったらすぐに帰るわ…その代わり嘘だったら…いいえ、そんなことありえないわよね。ごめんなさい」

 

 あ…あぁ…だめだ…だめだ!だめだ!断らないと!絶対に!

 

 「あの…その…」

 

 「私って最低だと思うの…貴方が今起きたって話をしたことを疑ってしまうなんて…でも、もし、もしも貴方が私のことを騙していたならそこはこれからずっと一緒にいる上で貴方が治さないといけないことだと思うの。勿論私の不安症なところも。2人にとって大事なことだと思うから…だから…」

 

 ぅ…ぅ…あぁ…なんで…なんでこんな…やめとけばよかった…すぐに扉を開けとけばよかった…

 

 

 

 「お部屋にいれてくれるわよね?」

 

 

ーーーーーーーー

 

 「来客用の部屋に入るなんて初めて♪」

 

 「…は…はは!そうですか…楽しそうでなによりであります…」

 

 「さて…」

 

 ミーネ様は、一直線にベッドに向かう

 

 「あ、その前に確認なんだけど…寝てた時間は?」

 

 「あ…えっと…30分ほど前かと…」

 

 「そう…では失礼して…あら?あらあら?」

 

 バサッと布団を捲りミーネ様が横になる

 

 「なんで…こんなに冷えてるのかしら?」

 

 はは!まいった!こりゃ弁明の余地もないわ!!仕方あるまい…かくなる上は…

 

 「ねぇ?私は貴方に聞いてるのよ…なんで今の今まで寝てたのにこんなに冷えてるのかしら?」

 

 逃げることも…できないな…足が震えていうこと聞かないもん…

 

 「申し訳ございませんでしたーーー!!!」

 

 こんな少女にまさか土下座をすることになるとは…悔しい…悔しいよぉ…ちょっとゆっくりしたかっただけなのに…ひどいよ…あんまりだよ

 

 「で?」

 

 「え?」

 

 「その謝罪になんの価値があるのかしら?」

 

 う…そ…だろ…

 

 「いえ…その…出来心といいますか…タイミングが悪かったといいますか…」

 

 ボン!と目の前で小さな爆発がおき、尻餅をついてしまう

 

 これは私が前にやった水と炎の融合魔法…それのミニバージョンとは…恐れ入る。ふふ…もう足腰立たないや

 

 「あー!ごめんなさい!話してる最中だったわね。それで?えっと…出来心がなんとか」

 

 「ぅ…グス…グス…私が愚かでした…何卒…何卒ご慈悲を…ミーネ様…何卒」

 

 泣いた。自然と涙が出た。

 

 「ふふ…ご慈悲ね…うーん」

 

 「ミーネ様!ミーネ様!!何卒!!どうか!」

 

 「そうね、なら今から言うことをしてくれたら許してあげる」

 

 「…え!?許してくださるのですか?」

 

 「私が言うことをしてくれたらね」

 

 何はともあれ死ぬよりはマシだ、ここは素直に従っておこう

 

 「この紙に名前を書きなさい」

 

 ミーネ様はピラっと一枚の紙を差し出す。見た限りただの白紙のように思えるが…

 

 「白紙でありますが…」

 

 「いいから、この付箋がついてるところに名前を。はやく!!」

 

 「はい!!」

 

 あまりの剣幕に言われるがまま記入をする

 

 「これでよろしいでしょうか…」

 

 書き終わるや否や紙を奪われる。

 

 「よくできました♪今回はこれで許すけど、今度からは嘘つかないでね。じゃないと怖いわよ…」

 

 全力で首を上下に動かす

 

 「それじゃ、明日のために早めに今度こそは寝ましょうか。一緒に」

 

 「えっ!?さすがに一緒は…」

 

 「んー?なんて?」

 

 「はい…お供させていただきます」

 

 書いた紙のことがかなり気になるが今は命があることだけありがたく思おう。こうして、あまりに長い1日を終え、コアラのように引っ付く主人と一夜を過ごすのであった

 





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