転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子)   作:アンダギー

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 馬車と愚者

 

 身体の節々に痛みを感じながら朝一に主人を起こし部屋に戻してから王室の使用人と朝食をいただく。非常に残念なことにミーネ様とともに朝食を取るというイベントは起きなかった。めちゃくちゃミーネ様はゴネていたが仕方がなかった。本当に残念だ。しかし、顔に出ていたのかミーネ様が「なにか嬉しそうね…あとで覚えておきなさい」と耳元で呟いたものだから本当に残念だと思い込むようにしている。それにしても平和な朝だ。使用人の人たちも気を遣って話しかけてこないので久々に1人の時間を満喫した

 

 それから数時間後、ミーネ様の統治する領土への出立の時間となった。今は、ミーネ様の隣でミーネ様と国王様の話が終わるのを待機中である

 

 「何か困ったことがあったらなんでも言うんだぞミーネ」

 

 「はい、お父様。あと、今回の件、改めてお礼申し上げます」

 

 「よいよい。可愛い娘の頼み、助力は惜しまぬよ」

 

 「また、近いうちに2人で顔を出しますね」

 2人?嫌だなぁ…別な人が護衛で行ってくれないかなぁ…

 

 「うーむ…ミーネだけでいいんだがな…」

 聞こえてるぞ国王。まぁ賛成だけど

 

 「…お父様?」

 

 「いや…楽しみにしておるぞ。あと、ニックよ」

 

 「はい」

 

 「ミーネのこと、よろしく頼む」

 

 「仰せつかまつりました」

 

 「あと、適度な距離感を…「お父様?」…いやなんでもない。気をつけてな」

 

 「は…はい…」

 

 国王様、気迫で負けてんじゃんよ…なんか、ミーネ様日に日に逞しくなっていってるんだけどもうこれ王位継承できるのでは?そういえば、第一王妃と王女を一切見てないけど…まぁいいか、おいおい交流するだろうし今は取り敢えずこの場から離れよう

 

 「それではお父様。また」

 

 「おお。十分に気をつけてな」

 

 その言葉を皮切りに馬車に乗り込み城をあとした

 

ーーーーーーーー

 

 「朝食は楽しめたかしら?」

 

 ふとミーネ様が私に尋ねる。勿論馬車の中であるため逃げることもできない。だがしかしその質問は予習済みである

 

 「えぇ、とても美味しくご飯は楽しめました」

 

 「ご飯は?」

 

 「はい。強いていえばなのですが、実家では家族みんなでご飯を食べる風習でしたので少し寂しく感じました…あと、ミーネ様に何か起きてないか不安になりました」

 

 半分ほんとで半分嘘である。少し寂しさがあったことは本当であるが、ミーネ様に何か起きてないか不安ではなく、ミーネ様がなにかよからぬことを言ってないか不安であった。まぁ、部分的に嘘をついただけなのでセーフである

 

 「そう…それにしても私が一緒にご飯を食べるように勧めた時は嫌な顔してたじゃない。それについて勿論説明してもらえるのよね?」

 

 「はい。それについては、国王様とミーネ様。そして、王妃様との家族の時間の邪魔をすることが憚れると思いあのような表情になったのです。私にとっても苦渋の選択だったんです。何卒ご容赦くださいませ」

 

 「じゃあ、私たち家族のみで食事することが決まった時に嬉しそうだったのは…」

 

 「はい。ご家族の団欒を邪魔しなくてよかったという、安堵の気持ちが漏れたのです。それで、ついはしたないのですが微笑んでしまいました。以後、気をつけていく所存です」

 

 さぁ、どうだ!ていうか、完璧じゃないかこれ。抜け目なし。朝食の時考えててよかったよ本当に。それはそれとしてごめんなさいねミーネ様。これが大人と子どもの経験の差なんよ

 

 「そう…それなのにごめんなさい…ニックを責めるようなことを言ってしまって」

 

 「いえいえ!そんな…誘っていただけて嬉しかったのは事実です。ですから、謝らないでください」

 

 うーん!主人のフォローも欠かさない。素晴らしいと自分を褒めてあげたいところだよ

 

 「でも、よかったわ」

 

 いやー私もよかったよ

 

 「貴方、嬉しかったのよね?私に誘われて」

 

 もうそりゃ!嬉しかったよ計画的にいって

 

 「それはもう!本当に残念でした…ですがそこは割り切って「なら、次からは安心して」……え?」

 

 「次は同席できるように話しておいたから」

 

 え?

 

 「一応ね、朝食の際にお父様にお願いしてみたの。ニックが1人で寂しい思いをしてるかもしれないから今度から一緒に食事をとれないかって。それで、お父様からニックが一緒に同席したいと言うのであれば良いって。特別に許可をするって言ってたの。だからね…今度からは寂しい思いも不安になる必要もないわニック。次、お城に戻る時が楽しみね♪」

 

 「はい!!(泣)」

 

 なんだよ…このやりとり意味あったのかよ…悪質だよ〜。しかも国王絶対、私が断る前提で話進めてるじゃん…全てが裏目にでたよ…ある意味国王の責任でもあるからな。今度行った時許してもらお

 

 そこからやけに上機嫌お嬢様と悔し涙が止まらない愚かな執事を乗せた馬車は目的地にただひたすら突き進むのであった

 

 

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