転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子)   作:アンダギー

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 嫉妬と警告

 

 ギルバートさんから屋敷の案内をしてもらい、気づいたら日が傾いていた。そういえば夕食をミーネ様と一緒に食べることを約束していたことを思い出しギルバートさんにお礼を言葉を残し足早に食事場に向かう

 

 食事場に着くと我が主人はまだ来ておらず何とか間に合ったことに安堵する。食事場で待機していると、キッチンからは良い匂いが漂ってきた。好奇心と本能には抗えず匂いにつられるまま中に入っていく。キッチンの中を覗き見るとメイド長であるサターニャ?さんと複数の使用人が料調理を行っていた。さすがに厨房まで入るのは衛生的に悪いためサターニャ?さんに声をかけることとする

 

 「あの…サターニャさん?」

 その言葉に反応して先ほど指示を出していた彼女はピタッと動きをとめる私の方を向く

 

 「あ〜泥棒犬ですか」

 

 泥棒犬?その言葉の意味がわからずキョロキョロと周りを見渡す

 

 「あ、安心してください。貴方のことですよ。ニッパさん」

 

 「…あ、私のことでしたか、一応訂正なのですが、私の名はニックです」

 

 「すみません。主人以外の名前を覚える気がありませんので…ごめんなさいナップさん」

 

 「ふふ…お茶目な方なんですね♪サターニャさんは」

 

 あくまで大人の対応を行うこととする。年齢で言えばまだ20代前半くらいの女性に目くじらは立てない。私は寛容なのだ

 

 「は?先程から人の名前なに間違えてるんですか?私の名はスターニャです。人としての常識が欠落してますよ?このモップさん」

 

 「…ふ〜…すみません。人の名前を間違えるなんて人として最低な行為でしたね。今後は気をつけますスターニャさん」

 

 深呼吸をして息を整える。社会人の鉄則、アンガーマネージメントである。ここでイライラしたら彼女の思うツボだ。本当は彼女の赤色の髪の毛をめちゃくちゃにしてやりたい衝動を抑え冷静に対応する

 

 「なんですか?私に対する当てつけですか?そうですかそうですか、私は人として最低って言いたいってことですね。さすがお嬢様の執事であらせられる人。それなのに私達をその歳のくせにいやらしい目で見てたなんて…このケダモノ」

 

 「ねぇ!あなたさ!いちいち私のこと誹謗中傷しないと生きていけないの!?さすがに傷つくんだけど!!」

 

 「はっ!さすが沸点が低いですわね!!お猿さんと同じですわ!この猿!私も話ができること感謝なさい!!」

 

 「キーーーーー!!!!!!!」

 

 猿のような奇声が食事場で響く。その姿を見てスターニャさんはご満悦としていた。この人生粋のSだ。極力相手にしないように心に誓う

 

 「トックさん?どうなされたの?頭大丈夫?」

 

 「キーーー!!キーーー!!」

 

 相手にしたくないの煽られ続けてつい元祖返りしてしまう。しかもいまだに名前呼んでくれないし…このアマ…絶対いつか泣かし

 

 「…随分と楽しそうね…」

 

 その時、私の時が止まった

 

 

ーーーーーーーー

 

 カチャカチャとフォークとナイフの音が食事場に広がる。音の主は親愛なるミーネ様のバトラーである私ことニックとミーネ様である。それはそれとして周りの視線が痛い。現在一緒に食事をとる約束をしたことを絶賛後悔中なのである。なぜ周りの視線が痛いかというと、この広い食事場で、何故か2人だけが食事をしており他の使用人はその光景をただ見守っているという、なんとも奇妙な状態が広がっているからである。それに一番の要因はというと

 

 「ニック、はい。あーん」

 

 これである

 

 ミーネ様は私にご飯を食べさせてようとしてくる

 

 普通の主従関係ではあり得ない光景である。逆ならまだしも何故主人が使用人ごときに世話を焼くのか甚だ疑問である

 

 「あーん」

 

 しかし主従関係のため逆らえない。突き出されたスプーンを口に含み咀嚼を行う

 

 「おふちにあふたかふら」

 

 主人は私の口から離れたスプーンすぐに自分の口に含みながら話しかける。多分お口にあったかしらと伝えたかったのだろう。正直、周りの空気によりあまり味を楽しむ余裕がないし、主人の奇行にドン引きしているためより一層味がわからなかった

 

 「スターニャ」

 

 「はっ!」

 

 「ニックはあなたの料理は口に合わないみたい…」

 

 「…っ…申し訳ございません…ミーネ様…」

 

 「ニックったら…ニックの実家で私が作った料理はおいしい!おいしい!ってあんなに喜んで食べてたのに、やはり愛の差なのかしらね…ごめんなさいスターニャあなたよりやはりニックは私のことが好きみたいなの…気を落とさないでね!」

 

 「えっ?はっ…はい…」

 

 「あと周りのみんなも聞いて欲しいのだけど…ニックったら私の作る料理がものすごく好きで、あ!もちろん私のことも大好きって毎日言っくるの。だからみんなには申し訳ないのだけどニックのことは諦めた方がいいわ。なんせ、私のお父様から直々に認められた男なんだから!もしニックのことが少しでもいいなぁ〜とか思っちゃったら、お父様に相談しなくてはいけなくなるから気をつけてね!お父様もニックに見合った人をちゃんと見繕う必要があるって考えだから!ま、もちろんそんな人は私以外あり得ないんだけど…それと、報告、連絡、相談それは守って欲しいわ。この屋敷で働く以上、淑女としてのマナーを今のうちにみんなにはつけてもらいたいの。もちろんニックのことの報告、連絡、相談だから。何かニックについて気になることがあったらすぐに私に伝えること。わかったかしら?」

 

 シーンと食事場に静寂が訪れる

 

 「ニックさん…ご愁傷様です」

 

 哀れみの顔をしながらスターニャさんから慰めの言葉をもらう

 

 初めて名前を呼ばれたが全然嬉しくなかった

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