転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子) 作:アンダギー
ーーー約8年前ーーーー
「おとうさーん!僕にも剣術教えてよー」
「こらこら、マルスあまりお父さんを困らせるんじゃありません」
「えーーー!!だって僕もおとうさんみたいな冒険者に早くなりたいんだもん〜、ねーおとうさん〜だからさ教えてよ〜、お願い〜」
「そうだなぁ…よしマルス、そこまで言うならマルスが6歳になったら剣の稽古をしてあげよう」
「えーー!本当!?やったーー!約束だからねー!絶対忘れないでよね!!」
「あなた…」
「まぁまぁ、許してくれバゼット。大丈夫、怪我をしないように注意して稽古をつけるからさ。それと、今のうちに教えといた方が何かあった時に役に立つかもしれないしね」
「は〜…わかりました。でも、くれぐれも怪我をさせないようにね!」
それから数ヶ月後
「「マルス!お誕生日おめでとうー!!!」」
「ありがとー!!それよりおとうさん!6歳なった!約束どおり剣術教えてよ!」
「まぁ!この子ったらここ最近ずっとそのことばっかり!今日はせっかくの誕生日なのにこの美味しい料理やケーキは要らないのかしら?」
「あー!待ってよ母さん!食べる!食べるから!うん!美味しい!!おかあさんの料理は世界一だよ〜いつもありがとうね♪母さん」
「本当に調子がいいんだから…全く誰に似たのかしら」
「僕でないことは確かだよ」
「いいえ、貴方にそっくりよ」
「いやいや!君にそっくりだよ」
「「いやいやいや!」」
「もおー!おとうさんもおかあさんもイチャイチャしてるとご飯全部食べちゃうよ〜」
「おっと、それは聞き捨てならないな…いくら誕生日とはいえお母さんの料理は譲らないぞ〜」
「もぅ、本当に2人とも調子がいいんだから」
これまでは一つの家族の幸せな物語。腕っぷしの立つ夫と、気立ての良い妻、可愛い息子、とてもとても幸せな一つの家族の物語
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ここからは一つの家族の不幸せな物語。復讐に駆られた夫と、耐えきれなくなった妻、そして…とてもとてもは不幸せな一つの家族の物語
「おとうさん!明日こそ稽古つけてくれるんだよね?」
「そうだな…約束だったしな。よし!明日やるか!」
「やったーー!!ねぇねぇ!それでさ、一つお願いがあるんだけど…」
「ん?なんだあらたまって?」
「武器をさ買いたいんだ!自分で選んで。勿論1人で」
「1人でか?それはさすがに…」
「僕もお父さんみたいに立派な冒険者になるんだもん!買い物くらい1人でできるよー!お願い!おとうさん!」
「うーん…わかった!お金は渡しとくからいつもお父さんが行く装備屋さんで買ってきなさい」
「わーい!僕頑張るからねー!」
「あぁ!期待してるよマルス」
子どもの無邪気な姿。その姿に喜びを感じる父。幸せな日常
「それじゃおとうさん!いってきまーす!あ!ついてきちゃダメだからね!!すぐ帰ってくるから!安心して待ってなさい!!」
「はいはい、わかりましたよ。全く誰の真似をしてるのやら…」
装備屋までは徒歩で10分ほど。その間、稽古のメニューを考えるお父さん。おとうさんからもらったお金を握りしめ稽古に期待を膨らませて装備屋に歩みを進める息子。2人のやりとりを微笑ましく見つめるお母さん。その時間までは本当の幸せだった
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「さすがに遅すぎる…バゼット!少し装備屋まで行ってくる!家で待っててくれ!」
約束の時間を10分過ぎても息子が帰ってこなかった。何か巻き込まれたのやもしれない。そう思いギルバートは走り出す。目的地には3分ほどで辿り着き入口を勢いよく開ける
「店主!!マルスはきていないか!!」
「おーーギルバートか。どうした?そんなに慌てて」
「マルスは来ていないか?時間にして10分ほど前になると思うのだが…」
「お前の倅か?いや?来てはいないぞ?何かあったのか?」
「すまない邪魔した!!」
ギルバートはすぐに外にでて街中を駆け巡った。愛する息子の名前を呼びながらただひたすらに。しかし、彼の声に応えるものは誰1人いなかった
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「私どもも捜索をしておりますが今だに進展はございません…申し訳ございません…お力になれず」
フラフラとした足取りで役所を後にする愛する息子が失踪して1週間が経った。毎日毎日街を巡り毎日毎日愛する息子の名前を呼び続ける。あの時、一緒に行っていれば…僕が稽古をつけるなど言っていなければ…後悔だけがギルバートを襲い続ける
「ただいま…」
「…………」
夫婦の時間は息子がいなくなってから止まってしまった。数日前の団欒はたった一つの出来事で全てなくなってしまった
それからさらに一週間が経過した。しかしその日はいつもの日常とは少し違い朝イチから家のドアを叩く音から始まった
「ギルバートさん…捜索隊から息子さんが見つかったとの報告がありました…」
「マルス……マルスが!!マルスが見つかったのですか!!息子は…息子は無事で…」
「落ち着いて聞いてください…ギルバートさん」
「バゼット!起きてくれ!マルスが!!マルスが見つかったって…」
「息子さんは…残念ながら…✖️✖️していました」
「………は?………」
し?し?し?なんだそれは?違う…そんなことはずはない。約束したんだ、稽古をつけるって、買ってきた武器を僕に見せて僕みたいに強くなるんだって言って楽しく稽古をして、これからもずっと家族みんなで過ごしていくんだ。それなのになんだこいつは…
「冗談はやめてください!息子はどこにいるんです?おーい!!マルス!!早く買ってきた武器をお父さんにみせてくれー!いつまでも隠れてないでさ!早く出てきてくれ!」
「ギルバートさん!ギルバートさん!!しっかりしてください…お願いです…お願いだから…」
「マルス!!いい加減にしないとお父さん怒るぞ!あ、そうだお母さんもマルスのこと心配してるんだから早くでておいで!美味しいご飯をみんなで食べよう」
「ギルバートさん…すみません。失礼します」
「やめろ!離せ!!何をする!!マルス!!バゼット!!早く…」
キュッと首を絞められ意識を失わう
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そこからは何も思い出せない。役所の職員が事件の現場がどうこう言っていたがなんのことかさっぱりだ。息子は生きてる。✖️✖️していない。事件など起きていない。事件など…
「ギルバートさん。目を逸らしていても息子さんは帰ってきません」
「うるさい!!マルスは生きている!!嘘をつくな!」
「ギルバートさん…いや、ギルバート。これを受け取りなさい」
「これは?」
「犯人の資料です。息子さんは亡くなる前に犯人の衣服の一部を剥ぎ取っていたのです。それにより犯人を特定するに至りました。それを貴方に渡します」
「隻眼のドーズ…こいつが…息子を…」
「貴方の大事な息子さんを無惨な姿にしたのはこいつで間違いありません。しかし、私達には情けないことにこいつを倒す力がない…行政では捌けないのです…罪を償わせることもできない。でも、貴方なら。こいつを捕まえることができるはずです。どうか…どうか立ち上がってください」
「いや…息子はしん…」
「ギルバートさん!!」
「息子さんが残した唯一の手掛かりなんです。本当はどうすべきかわかったいるのでしょう?認めるしかないのです。進むしかないのです。あなたのために息子さんのために」
「う、っ……うぅ…」
「…ギルバートさん。私は席を外します…」
「うぅ…」
『おとうさん!ぼくね!おとうさんみたいな立派に冒険者になる!』
『おとうさん!みてみて!でっかいお魚さん!綺麗だな〜、冒険者になったらもっといろんなものが見れるのかな』
『えへへ!みてみて!おとうさんの似顔絵かいたの!がんばったんだよ〜』
「うぅあ…あぁぁぁ…うぁぁぁぁ!!!!」
『おとうさん!おとうさん!おとうさん!おとうさん!』
『だいすき!!』
「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」
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「こいつじゃない…こいつでもない…どこだ…どこにいる…殺してやる…殺してやる…ドーズ…クソ野郎が…」
そこからは家にも帰らずただひたすらにお尋ね者を殺し続ける日々をおくっていた。違う街を転々とし目的の男を殺すためただそのためだけな生きていた。いつもと変わらずただ悪党どもを殺す毎日。もう何年経ったのだろうか…何年…それにさて今日はやけに外が騒がしい…なんだあのカップルは…結婚のサプライズ…結婚……嫁…バゼット…バゼット!!
ふと、妻のことを思い出す。そうだ…バゼット、私の愛した妻、何をしていたのだ…私は!!何も伝えず勝手にでていってしまった!バゼット!!急足で元住んでいた家に足を進める
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家に帰ると鍵は閉められていなかった
何故かわからないが不安が頭をよぎる
妻は許してくれるだろうか…こんな身勝手で勝手にでていった私を…また話してくれるだろうか
リビングを抜けて2人の寝室に足を進める
ガチャとどひらを開けるとギシギシと何かを吊るす音が部屋から聞こえた
「バゼット?どうしたんだい?そんなところにぶら下がって…ちゃんと謝るからさ。しっかり話をしよう。私が悪かった…だから…だから…お願いだから…」
吊るされていたのは愛する妻だった
「バゼット!!!バゼット!!!ごめん!!!ごめんよ!!!お願いだから返事をしてくれ…お願いだから…」
懇願しても、謝罪をしてもなにもかえってこない。あの時と同じように。愛する息子を失ったあの時のように