転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子)   作:アンダギー

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 知らぬが仏?

 

 訓練と公務、更に主人の機嫌取りなどで、目まぐるしい毎日を送っていると、あっという間月日は経ち、なんと今年にやっと12歳を迎える年となった。その事実にニックは歓喜の踊りを自室で踊る

 

 「やった!やった!12歳〜!あと数ヶ月でミーネ様は♪ミーネ様は♪お貴族様の学校でスクールライフ♪私はその間に屋敷でスローライフ♪待ちに待った♪スローライフ〜♪」

 

 完全に浮かれていた。側から見たら気でも狂ったのかと思われるかもしれないが当の本人は全く気にせず踊り狂っていた

 

 ニックの頭には今後の生活のビジョンとして、まずギルバートに園芸を学ぶことと、メイドの人たちに教えてもらいながらであるが、料理やお菓子作りなどの家庭的な面を培っていこうなどと、能天気様々な考えで埋め尽くされていた。その姿を主人がみたらどう思うかなど全く考えていないほど浮かれていた。しかし、ニックは気づいていなかった。水面下でずっと進み続けていた、主人の計画に…

 

ーーーーーーーー

 

 審判の刻は、夕食の時間に唐突に訪れた

 

 「ニック、貴方。剣術と魔法、どちらを優先して伸ばしたいの?」

 

 いつものように、主人と共に食事をとっていると、唐突に質問を投げかけられた

 

 「そうですね…やはり、剣術ですかね!なにより、師匠から教わった技術をこれからも磨いていきたいですし!」

 

 その言葉と共に師匠であるギルバートに微笑みかける

 

 「…ふっ…まだまだひょっこだがな。ま、そこまで言ってくれるのは悪い気はしないな」

 

 付き合いが続いて約6年ほどであるが、師匠はかなりの照れ屋さんであることも把握している。みんなの前では素直に喜べないが、部屋に帰ってから今は亡き家族に嬉し恥ずかしく自慢することだろう。勿論、根拠は現場を見てしまったことがあるからである。その時は、めちゃくちゃ可愛い人だなと、男のツンデレの良さに気付かされたものだ

 

 「そう…わかったわ。一応、学科の希望にはその旨を記載して学校に提出しておくわね」

 

 「ミーネ様?それはどういう…あ、なるほど!さすがミーネ様!承知しました。不詳ニック、誠心誠意ミーネ様の剣術の講師を務めさせていただきます!」

 

 ニックは、先程の主人の言葉のこのように理解した。

 

 魔法の訓練は卒業→参考にニックは、魔法と剣術どっちに重きを置いてるか聞いてみよう!→やっぱり魔法より剣術なんだね!→よし、私も剣術鍛えよう!と

 

 「…え?何言ってるの?私は特に剣術を覚える予定はないわよ?」

 

 「え?」

 

 では、どういう意味であったのだろうとニックは考える。その間に、食事場では暫しの沈黙が訪れた

 

 「学校に提出されるのですよね?学科の希望を」

 

 「えぇ」

 

 あっけらかんと主人は答える。その回答にニックはより一層困惑をすることとなる

 

 「ミーネ様、では先程の質問はただのお戯ですか?先程の発言を読み取るにまるで私の学科の希望を学校に…」

 

 その時、ニックに頭に衝撃が走る。記憶の片隅にずっとあった違和感。そう、それは8歳の時、それこそミーネが魔法を使えることを黙認することを選んだ際に言っていたことを思い出す。ミーネは、12歳になった際の試験で、今まで馬鹿してきたみんなを見返すこと。それを言っていた。それと同時に、試験を合格して、学校に行くことも。しかし、それは私がではなく、私達と言っていたような…その記憶が何故か今、時を経て蘇る

 

 そこでようやく愚かな使用人は気づく。というか、何故今まで気づかなかったのか反省をする。しかし、それは仕方ないことである。ニックの生活は主人ファーストの生活であるため、ニックはミーネが試験に合格できるよう、魔法、勉学、教養などの点を早い段階で習得し、主人に教えていた。それは一概に主人のため。それがまさか、自分の首を絞めるとは思ってもいなかった

 

 動揺するニックに主人は微笑みながら問いかける

 

 「あら?どうしたのかしらニック?やっぱり魔法の方がいい?ニックの希望の学科は魔法にしとく?」

 

 今度は正確に、かつ、わかりやすく主人は質問をしてきた。貴方の学科と。はっきりと

 

 「そうな…ばかな…ありえない…いつ…」

 

 「ん?」

 

 「何故ですか!私は学校に行くなどと言った覚えはありません!それに、クラスの希望などと…明らかに入学の手続きが進んでいるではありませんか!まさか、試験も…」

 

 目の前の主人に五月雨のこどく質問をぶつける、しかし、当の本人は涼しい顔をしながら、さも当然かのよう答える

 

 「あら?それはごめんなさい…貴方はてっきり私と一緒の学校に通うと思っていたから…つい、親切心で手続きを進めてしまったわ。勿論、試験の申し込みも同様に。でも大丈夫!ニックは絶対受かるわ!なんせ、私の自慢の執事なんですから!」と

 

 その言葉にがっかりと項垂れる。まだ現実を理解していない。いや、必死に目を逸らそうとしていた。コツコツとした足音した後、ニックの耳元で声が投げかけられた

 

 

 「言ったでしょ?逃がさないって」

 

 

ーーーーーーーー

 

 「ニック、そろそろ稽古の時間だぞ。早く準備をしなさい」

 

 部屋の外から師匠の声が聞こえる

 

 あの魔の通告から、全く記憶がない。師匠の呼びかけを聞く限り、一夜明けてしまったのだろう。重たい足をベットからおろし部屋の扉を開ける

 

 「師匠…おはようございます」

 

 「…あぁ…おはよう」

 

 いつもとは打って変わって、まるで葬儀の後のような雰囲気で挨拶を交わす。師匠もどうしていいのか迷っているようで2人に間に変な空気が漂っていた

 

 「…やっぱり今日はやめとおくか…」

 

 唐突に師匠は訓練の中止を提示する

 

 「いえ…大丈夫です。すぐに準備を…」

 

 準備に取り掛かかろうとすると、師匠は腕を優しく取り、静止を促した

 

 「取り敢えず、庭のテラスまで行こう。少しは気がまぎれるだろうし、今日は訓練より、お前の話を聞くことにする」

 

 「いえ!そんな…」

 

 「師匠命令!さ、ほら!早く着替えて師弟のトーク時間が減っていくぞ!」

 

 「…すぐに取り掛かります…」

 

 師匠命令なら、仕方ない。そう思い、足早に支度を済ませて、2人で庭のテラスまで向かうのであった

 

ーーーーーーーー

 

 外は自分の気分とは相反して、雲一つとない晴天であり、庭のテラスを飾るかのように色とりどりの花達もニック達を迎えてくれていた。2人はテラス席に向かい合うように座る

 

 「…ニックよ」

 

 少しの沈黙の後、空気を打ち破らんかのごとく師匠が話しかける

 

 「まぁ、なんだ…お嬢様も悪気があってやったことではないだろうし、その…まぁ、許すとか許さないとかは置いといて!!まぁ、割り切っていくしかないのかもしれないなぁ〜」

 

 「…ふふ…」

 

 その発言に失笑が漏れる。その声に師匠はビクッと肩を振るわせた

 

 「師匠〜悪気がなかった?そう言いましたか?ん?どうなんですか?言いましたよね?ね?ね?」

 

 「あ…いや〜、言ったような…言ってないような…」

 

 歯切れの悪い言葉についにニックの感情も爆発する

 

 「あーーー!!!もう!いいです!この際だからはっきり言いますよ!!絶対!故意ですよ!今回の申し込みについては!確実に!私に相談したら断られることがわかっていたから水面下で進めたんです!もぅーーーー!!!してやられました!!悔しいーーー!!!私の計画では、ミーネ様が学校に入られた際は、この屋敷で師匠から園芸を学ぶ予定だったんです!それなのにーー!!うぅぅぅぅぅ……私のスローライフが…師匠との園芸が…憩いの時間が…未来のフィアンセが…」

 

 いきなり怒鳴ったと思えば、今度はシクシクと泣き始めるニックを見て、ギルバートはただたどたどしく背中を撫で続けるだけなのであった。ちなみに一緒に園芸をしたいとの発言はとても嬉しかったのでその夜に家族に報告したのであった

 

 

 「あーーー!!!すっきりしました!!ありがとうございました!師匠!!」

 

 数分泣いたことにより、気分がかなり晴れやかになった。というか、吹っ切れた。もうやるしかない。この際だから、2度目の学園生活楽しんでやるぞ!と、ニックは胸に誓っていた。それと、未来のフィアンセ探しも

 

 「元気が出たならよかった。それにしても、お前の泣いた姿を見たのはこれで2度目だな…」

 

 そういうと、何故かポンポンと頭を撫でられる。何故かそれが気持ちよくて目を細めてしまう。これでは、師弟のラブコメが始まってしまうのでは?とアホなことが頭をよぎる

 

 「ふふ…お前もやっぱりまだ子どもだな」

 

 その言葉に少しムッとした表情見せる

 

 「はは!すまない!すまない!気を悪くしたかい?まぁ、なんだ、僕が言いたかったのは、お前はまだ子どもなんだから、辛い時やしんどい時、悲しい時や泣きたい時は、師匠である僕を頼りなってこと!」

 

 師匠はそういう時再度頭をポンポンと触る。やはり優しい人だなぁとニックは感銘を覚えた

 

 「あ、それと、一つ忠告だ」

 

 先程の空気とは打って変わって神妙な面持ちで見つめる

 

 「フィアンセ探しはお嬢様がいるところでは絶対にやめとけ。後悔することになるぞ」

 

 最後に不穏な言葉を残して、再び2人の間でなんとも言えない空気が流れたのであった

 

 

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