転生先はゲームの世界(意図せず曇らせフラグをへし折る系男子) 作:アンダギー
「ミーネ様」
「なに?ニック」
「お気づきでしょう…私はもうすぐ死にます」
「いや、そんなこと…」
「だからこそ貴方にお願いがあるのです」
「ダメよニック!諦めちゃダメ!きっと町の人たちが…」
「残念ながら間に合わないでしょう…」
「いや…いやよ…貴方は私の恩人なのよ…」
「ふふ…そうですね…なら、最後にその恩を返してもらいましょうか」
「えっ…」
「お願いではなく恩返しです。それなら問題ないでしょう?」
「…うん。わかった…」
「では一つだけ…ミーネ様」
「強く生きてください」
困惑している彼女に矢継ぎ早に言葉を続ける
「あの悪党どもが話してたことは私も聞いておりました…魔法が使えず周りから邪険にされてることも…さぞ辛かったことでしょう…けれど逃げてはなりません。諦めてはなりません。貴方自身の心まで蝕まれてはなりません。貴方は貴方です。周りがなんて言おうとどんな評価をしようと貴方らしく強く生きてほしい」
「私らしく…」
「魔法が使えないからなんですか…魔法がダメなら違う分野を伸ばせばいい…周りの評価などそんなものいつでも取り返せるんです…だから、この世界で生きることを諦めないでください」
「貴方は立派な人です。その歳まで辛い中ずっと我慢して頑張ってこられた…ただ、他の生き方を教えてくれる人がいなかっただけなんです。だから、貴方は悪くありません」
「グス…私は…立派なんかじゃ…」
泣いている彼女にそっと手を伸ばし髪を撫でる
「ご立派です。普通は耐えられませんよ…何度でも言います。ミーネ様はご立派な方です。だから、そんなに自分を卑下なさらないでください」
途切れ途切れの意識の中最後の言葉を綴る
「だから…どうか、強く生きてください」
無事最後の言葉を送れた
「わかった…でも、貴方も私のお願いを一つ聞いてちょうだい」
「な…ん…ですか?」
「生きて…私とずっと一緒にいて…」
「ふふ…それは…なかなか…」
無理難題をおっしゃるお方だ…
「しょう…ち…し…」
「ニック?ニッ…!」
大丈夫ですよ。ミーネ様、諦めずに強く生きていければいずれ貴方のもとに貴方を慕ってくれる人たちが集まってきますから…そうすればきっともう寂しくはなりませんから…
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「ニック…?ねぇ!起きてニック!!」
彼の体を揺さぶるが反応がない
心臓に耳を傾ける
鼓動が小さくなっていく
「いや…いや…絶対にいや…せっかく私を認めてくれた人と出会えたのに…私のことをちゃんとみてくれる人を見つけたのに…」
彼の言葉が何度もこだまする
「ご立派です」「貴方は悪くない」そんなこと言われたのは初めてだった、嬉しかった
そんな彼が今、命尽きようとしている…許さない…
絶対に許せない…そんなことはさせない
彼は私の唯一の繋がりなんだ…
彼の体に手を置き回復魔法を叫び続ける
しかし、現実は無情であり、何一つ変わらぬ姿の彼がずっと目の前にあり続ける
やっぱり…私はダメなんだ
諦めかけ絶望しかけたその瞬間
「強く生きてください」
彼の言葉が頭に響く
「そうよ…諦めない…一回でいい…たった一回…だからお願い…彼を、どうかニックを治させて…一緒にいたいの…力を貸して…神様…」
彼と一緒にいたい、彼ともっと話したい、彼をもっと知りたい
だから…どうか…お願いします…
すると突然私達の体を光が包み込んだ
それと同時に私は意識を手放したのであった
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「おい!なんだあの光!!」
1人の衛兵が声を上げる
「まさか…」
その光にザックは駆け出した
腐っても金等級、目的地まではそうそう時間はかからない
「ニーナ様とニック?」
崩壊した建物の近くで
2人が重なるように眠っていた
まずは2人の身辺を確認する
特段変わりはない
2人とも怪我などはしていないようだ
では、この建物はいったい…いや、まずはすぐにこの2人を安全な場所に移動せねば
ザックは2人を背負い広場まで駆け出した