チェンソーにかける愛   作:皮入れ大根

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インプリント~ぼっけえ、きょうてえ~大好き!


[第21話] ゲロれ!

今日は何とも珍しいことに、デンジ君と都内を巡回している。

彼の本来のバディであるパワーちゃんは、4課が誇る他の魔人や悪魔たちと共に

何やら師匠に呼び出されているようで、パトロールどころではないのだと。

そこで、私とアキ君に臨時再編のお鉢が回ってきたというワケだ。

今頃向こうは、コベニちゃん相手に上手くやっていると信じたいところだけど。

 

見ていて可哀そうになるほど追い詰められていたハズなのに

まだ公安を辞めていなかったのか、だとか。

同時に、ボーナスが支給された際は目の色を変えていたことを思い出し

アレもアレで根っこのところはかなり図太いな、だとか。

命がけの職務中とは思えない埒もない考えを、私はぐるぐると巡らせていた。

 

そう、ヒグマの群れと殺り合え等と命令される方がまだ生存率は高く見込める程度に

公安のデビルハンターとは、危険極まりないお仕事。

だというのに、ここまでボーっとしてしまう…出来てしまうのはやはり

きっと、私は脳を焼かれてしまったのだと思う。

立て続けに遭遇した未曽有の危機に、隣を鼻歌交じりに歩くこの男に。

 

永遠の悪魔との死闘、ズルズルと続く熱く蕩けそうな過ち、命を捨てての銃撃カバー。

敵の首魁を一刀両断、綿飴のように甘くふわふわした逢引、根源的恐怖の悪魔の介入。

急接近してきた間諜、短期間で両想いにさせてしまう痛恨、誂えた如きの臨時バディ。

心も身体も焦がす鮮烈な記憶と想いの数々を前に、どうかしない方がどうかしている。

ああ認めようじゃないか、私はデンジ君を愛していると。

 

「デンジ君さ、その…マキマさんのことだけど。公安の仕事は続けられそう?」

 

「分かんねぇ。どういう事情があってもよ~俺ぁ、マキマさんを殺しちまった。俺んせいで、ツラの良い美人が1人消えちまったんだ」

 

一息。

 

「マキマさんにはわりーけど、何日かすれば胸ん痛みも消えんだろって思ってたよ…でもさぁ、笑っちまうよな?俺ん中からマキマさんが消える気がしねぇ。しかも、最近じゃ俺に笑顔を向けてくるんだぜー…引きずりすぎだろ…」

 

「デンジ君…」

 

「そのくせ、ヤな感じもそこまでね~んだなコレが。ただちょっとばかし、マキマさんは遠いとこへ行っちまっただけみたいっつーか…ポチタに対する気持ちに近いのかもな」

 

「なるほどね、だから"分かんねぇ"ってこと。気が滅入ってるのか、そうじゃないのか…身体に何か影響出てたりしない?悪魔との戦闘とか」

 

「そこら辺は大丈V…なのか?どっちかっつうと、前に比べて身体は軽い気まですんぜ」

 

話を聞く限りでは、少なくとも喫緊の問題は無さそうに思える。

私を前にしているからと言って、無理をしている様子もカッコつけてる様子もない。

とはいえ、どこかギクシャクしている風であるのもまた事実。

シャキッとして欲しいな…と思った時には、身体が先に動いている。

視界の端に影を捉えたのは、行為のさなかであった。

 

「ひm…――っは」

 

時間にして1秒足らずの、ソフトなキス。

 

「どうだ!元気出たろ~」

 

耳まで真っ赤にするデンジ君へ、ニヤニヤとした揶揄うような笑みを向ける。

 

「出ました…」

 

もっと凄いことを何度も何度も繰り返しているはずなのに、この反応だ。

ああ、何と頼り甲斐のあって可愛らしい男の子なのだろう。

 

「さてはまだ気づいてないなキミぃ?今の私が好きな人さ、デンジ君だよ」

 

「――は?ぇ…え??えええええぇっ!!?」

 

次に晒されたのは、とてつもなく情けない表情。

何なんだその眉と目は、怪人二十面相も顔負けではないか。

 

「デンジ君、マキマさんのこと好き?」

 

「超好き…」

 

「私のことは?」

 

「超好きぃ!」

 

「デンジ君、それどういうこと?」

 

「!!?」

 

そこに満面の笑みを浮かべたレゼちゃんが、ひょっこりこんにちは。

ナチュラルに首のピンへと指をかけている上、目が全く笑っていないのだけど

――私にはわかる、アレは愉快なおもちゃを前にした子供の目だ。

刹那、アイコンタクトを取り合うと

 

(…油断も隙も無いね?)

 

(1番を選ぶのはデンジ君だもーん。レゼちゃんだって、おちょくるつもりで出てきたでしょ)

 

(バレたか)

 

完全な意思疎通が図れたとの思いは、錯覚ではなかろう。

いよいよペンキを被ったかの如く、顔を真っ青にしたデンジ君を見て

私はお腹がよじれるほど笑い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いち公安のデビルハンターとしては失格もいいところ、との誹りも甘んじて受け入れよう。

常識的な思考ばかりを組み立てる、自分自身へ正直な気持ちをぶつけるとしたら。

俺が置かれたこの状況は、気まずいの一言に尽きた。

臨時で4課の長を担当することになった、先生より告げられた衝撃の真実。

"銃の悪魔は既に討伐されていて国の管理下にある"という爆弾発言により、ガタガタになった心も影響していると言えなくもなかったが。

 

まず、ファーストコンタクトからして最悪だ。

デンジとパワーに対するソレも――特に前者は自ら吹っ掛けたこともあり――相当なモノではあったものの

経緯がどうであれ、相手への明確な殺意によって振るわれたナイフで繋がれた関係には悪い意味で勝てるはずもなかろう。

ヤクザの奇襲を受けた時も、サンタクロースの強襲に遭った時も、互いに当事者でこそあったが

見事にすれ違い続け、ホテルでの一件が良くも悪くも更新されないまま今に至るわけである。

 

当の彼女、コベニの様子を目の動きだけでチラリと窺ってみる。

幾度となく俺の方を向いては今が真冬であるかの如く身体を震わせるその姿は、どうオブラートへ包んでも不審者にしか見えない。

現に、先ほどは職質を食らってしまった。(誰だってそうする、俺だってそうする。)

おおかた暴力か何かで縛っていると思われたのだろうが、普段のバディが暴力の魔人であることを考えると何とも言えない気分だ。

業務に支障が出ているため、何とか関係修復のフックを…と考える内に、新人歓迎会での出来事を思い出した俺は

 

「外、まだまだ暑いな。こう黒尽くめじゃ、へばっちまうだろ。そこでアイスでも食うか?」

 

食い物で釣ることにした。

あの2人をガムで手懐けた時といい、我ながら芸がないと自嘲するも

 

「ほえっ…!!?」

 

目を少女漫画のようにキラキラさせてやがる。

効果は抜群だった。

 

場所は変わって、都内の某公園。

俺とコベニはベンチに腰掛け、ソフトクリームで身体を冷やしている。

買ってやったのは何の変哲もない普通のバニラソフトなのだが、誕生日ケーキを頬張る子供のような喜び様だ。

聞けば、人生3度目のソフトクリーム喫食なんだとか。

どうして俺の周りにはスナック感覚で闇をボロボロ零す奴ばかりがと思いつつ、話を振った。

 

「もう気にしてねぇから、そうオドオドすんな。永遠の悪魔だって、デンジがキッチリ始末したんだ」

 

「あっ…えっと、ハイ。あの、申し訳ありませんでした…」

 

「謝んな…こう言うとまた謝りそうだな。まあいい、お前に訊きたいことがあったんだ」

 

「えっ…な、何ですか?」

 

「お前も聞かされただろ、銃の悪魔のこと。答えたくなかったら別にいいが…アレ、どう思った?」

 

「どう、って…私は他に選択肢が風俗くらいしかなかったから、仕方なくやってるだけですし。ですから別に、仕事へのやる気を無くしたりだとかは…はい」

 

どうやら、抜き打ちの面談が始まったと受け取られたらしい。

 

「上への不信感はないのか。あの口ぶりじゃ、銃の悪魔が飼われることになったのは昨日今日の話じゃないだろうに」

 

「…その、私なんかが考えても仕方ないことなので。それに、そういうのはどこも同じなんじゃないでしょうか」

 

「そうか。なら、お前に予知能力があったとして…上の隠している何かが、絶対に自分を殺す未来が見えたとしたら?」

 

「…抵抗します、思いっきり。もちろん、抵抗して死ぬのは嫌です。けど、そ…それで逃げたら、逃げたら…一生ソレに怯えて、殺されるのを待つ羽目に…」

 

「…」

 

「それが普通ですよ。どうせ死ぬなら、マシな方がいいに決まってます。惨めな気持ちで迎える最期なんて、絶対に…先輩?」

 

「抵抗…どうせ死ぬならマシな方…」

 

公園内には、いつしか一陣の風が吹いていた。




デンジ:原作主人公。ふたり…!ふたり選ぶっ!!(迫真)頭の中から誰かがガン見してますけど大丈夫なんですかね…。

レゼ:民間のデビルハンター。2番じゃダメなんですか?デンジの幸せが1番なので、姫野が死ぬと地雷系女子になる。

姫野:4課のデビルハンター。に、2番じゃダメなんですか?デンジの幸せが1番なので、レゼに何かあるとry

早川 アキ:4課のデビルハンター。メンタルリセット(二流デビルハンター)No1ヒーローのサイドキックから最悪の世代へ。

東山 コベニ:4課のデビルハンター。最高のタイミングでガルガリからのパスを繋いだ。辞表を出すタイミングは逃した。

早パイどうする?

  • 助けて…
  • おこがましいとは思わんかね
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