チェンソーにかける愛   作:皮入れ大根

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グリーン・インフェルノ大好き!


[第29話] 銃、対応せい!

 

今朝からジロジロと、監視されるような気配がそこかしこから漂っていたことはとっくに気づいてた。

レゼの生まれ育った環境がそうさせた…というよりは、お願いですから気付いてくださいと主張しているようにしか思えない空気感であったため

姫野はおろかデンジでさえもソレを察知しており、表向きは普段通りにパトロールを続ける2人とそれをこっそり見守るボムという

言ってみればいつもの光景が展開されていたのだけれども、内心では真っ赤な!マークと警戒アラートが鳴りっぱなしであった。

決して、腕を絡ませた姫野が胸を押し当て過ぎだとかデンジがデレデレし過ぎだとかいったことへの嫉妬からではない。

 

であるからして、デンジと姫野の前に7課所属のデビルハンター:三船フミコを名乗る女がふらりと現れたその瞬間

大気が音を立てて震えそうなほどに、場を極度の緊張が支配したのは当然の帰結だと言えるだろう。

レゼはすぐさま電光石火の奇襲を仕掛けての無力化を検討していたが、周囲に悪魔の存在も確認できなければフミコ本人も丸腰と来ている。

暗器の類すら仕込まれていないと断ずる材料こそ欠片も存在しないものの、相手は腐っても公安。

国家権力による作戦へ対する破壊工作というテロ行為を繰り広げているライダー教会所属として、余計な瑕疵を作るのは後の正当化へ悪影響を及ぼすこと必至だ。

 

神の視点かつ結果論で語ることが傲慢にも許されるのであれば、デンジ・姫野・レゼが取るべき最適解とはフミコをスルーすることだった。

どういう意図であれ形であれ足を止めてしまったのが運の尽き、耳に入れるべきでなかったフミコの言葉がハッキリと浸透してしまう。

 

「4課のデンジさんで間違いありませんね?公安は、支配の悪魔の身柄を確保しました」

 

デンジの心臓を貫く爆弾発言に、物陰に潜んでいたレゼはたまらず飛び出て反論を繰り出した。

 

「嘘だよデンジ君。あんなの、口からでまかせに決まってる。だって、あの魔女の生まれ変わりは私たちが警護してて――」

 

「そう思うのでしたら、お仲間に連絡を入れてみたらいかがですか?ああ、彼女の通学先でも構いませんよ」

 

公安がナユタのもとへフミコ軍団を送り込んだのは、クァンシを釘付けにする以上の意味がない、嫌がらせ同然の作戦でしかなかったのだが

コレが老いの悪魔の放った最後っ屁と奇跡的なシナジーを発揮し、逆にレゼを追い詰めることになった。

何せフミコの対処にかかりきりとなっているクァンシとは連絡が取れず、ロンたちが全校生徒職員に避難誘導を行っているため学校側とも連絡が取れないので

まるでクァンシたちが出し抜かれてしまったような、そんな疑念が払拭できないという痛打が、彼女の脳へクリーンヒットしてしまったのだ。

 

「罪状は、内乱予備罪。彼女は姫野さんとレゼさん、両名に対し支配の権能を行使することで日本国への反逆を企てていました」

 

「?????…え、え!!?」

 

困惑するばかりの姫野を他所に、レゼはギリ…と唇を嚙んだ。

ここまでくれば馬鹿でも分かる、どこぞの不動産王でなくともフミコの次のセリフが分かってしまうから。

公安は"攻撃先をアキからデンジに切り替えた"のだと、分かってしまうから。

 

「支配の権能は、支配の悪魔自身の死によってのみ解除されます。よってデンジさん、貴方に上からの指示をお伝えします。可及的かつ速やかに、姫野とレゼを抹殺せよ…以上です」

 

「ざけろよ、ヤなこった…大体よぉ~?ナユタがやったっつうショーコはあんのか、ショーコは!」

 

チンピラのテンプレよろしく食い気味に反抗するデンジを、フミコは予想の範疇だと言わんばかりに受け流す。

コレが所謂レスバトルであったのならば、きっとデンジに軍配が上がったことであろう。

フミコの、公安側の主張は急造も急造の嘘っぱち、偽装工作すらも行っていないお粗末な与太話であるため

豆鉄砲にも劣るこの程度の理論武装では、デンジどころか幼児を言い負かすことにも難儀するのは想像に難くない。

しかし、あくまで大義名分でしかないモノの真偽など問題にはならないと言えた。

 

問題は、ここで行われているのが討論ではなく脅迫だということなのだ。

 

「支配の悪魔は何かと有用ですから、利用したいという意味でも利用されたくないという意味でも、公安としては殺したくありません。両名を抹殺した場合のみ、彼女の命だけは保障いたしましょう。いかなる理由であれ拒否される場合は――我々が支配の悪魔を処刑します」

 

「どっちもヤなこった!!」

 

マズい、とレゼは咄嗟に両手でデンジの口を塞ぎにかかったが時すでに遅し。

 

「拒否される、と。それでは仕方ありません、忸怩たる思いですが…」

 

フミコが片手を勢いよく上げると、彼女とデンジらの間へ更にもっと勢いよく何かが落下した。

果物が潰れるような音がしたので、原型の残っていない可能性も考えられたが…元がどういうモノだったのかをハッキリ想像できる程度には、杞憂だったらしい。

歩道にへばりついたのは、ナユタの頭だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ…本当に出てきた」

 

シーちゃんの足元へ、唾液塗れで転がった俺とアキ(天使)くんとおじさんを、アサちゃんが引き気味に見つめる。

ぬぅ…教会幹部としては、さすシー!と彼女を褒めちぎって欲しいところではあるのだが、とにかく計画通りだ。

 

「や、アサちゃん。さっきぶりだね、戦況は?」

 

老いくん謹製の精神と〇の部屋に無策で閉じ込められた場合、イコールで詰みと結んでも過言ではなかったため

いつ彼と事を構えても憂いが無いよう、脱出手段を練っておくという備えは必要不可欠であった。

作戦の一つとして俺が着目したのは、シーちゃんの口の中…もっと言うと、中に広がる謎空間である。

前提として、原作における死の悪魔という存在は臓器を全摘しているハズなのに、口から眷属と化した飢餓の悪魔と偽チェンソーマンを取り出していた。

つまり、デンジくんのガーベラのように体内から直接取り出したわけではないとの推測が立ったのだ。

 

また、手を突っ込んだ先が現実空間だろうと異空間だろうと、自動・手動問わず座標指定はマストだとも考えられた。

こちらも、原作における"デンジーマン"が校舎内でガメていた大量のオブジェの描写から得た着想であり――

あんなモノが雑然と放り込まれているスペースから、何の種も仕掛けも無しにピンポイントで必要な子を選べるわけがないだろ!となったワケだ。

以上の仮説をもとに色々と実験を繰り返した結果、召喚の意志を持ったシーちゃんが自分の口の中に手を入れた際には、取り出したいオブジェへの自動アクセスが発生する…というメカニズムが成立していることを発見した。

身も蓋もない例えをすればズバリ、ド〇えもんの取り寄せバッグそのものだと言えよう。

 

こうなれば、後はとてもとても易しい。

あらかじめオブジェを持っておくだけでいいのだから、こんなにシンプルで楽な対策もないだろう。

応用の幅を持たせるため、右手の場合はそのまま脱出・左手の場合は攻撃に転用(逆に敵を掴んで引きずり込む)といった具合に

干渉後のパターンを用意しておけば言うことなしだ。

 

「あ…は、はい!それが、その…まず吉田ヒロフミの拘束には成功しました。落下の悪魔の重力障壁も、破られていません。ですが…」

 

「ですが?」

 

「ついさっき、レゼから連絡があって…公安に一杯食わされて、チェンソーマンの覚醒を許してしまった…と」

 

「…?????あ゛ー…あぁ、なるほど?分かった、そういうこと。多分、アキくんかパワーちゃんかナユタちゃんかその全員かの、"惨殺死体"を用意されたな。やるじゃん」

 

「ま、正にその通りです!ナユタの生首を見せつけられたデンジが怒りに我を忘れて…何故、分かったんですか?」

 

「落下ちゃんの防御が抜かれてない上、クァンシちゃんがヘマをするとも考えにくい。なら、後は絶望をでっち上げるしかないと思ってね。この世界じゃ出会ってないけど、変身能力を持った皮の悪魔って奴が居てさ?公安が似たようなのを地下で飼ってるとしたら…まあ、投入してくるかなって」

 

一息。

 

「てなわけで、出番だよヨルちゃん。チェンソーマンをやっつけるチャンスだぜ?銃の悪魔を武器化するの、今でしょ。もう一度、彼の心臓にライフル弾をブチ込んでやりな」




宇枝 慈郎:オリ主。(敵に回すと)厄介(極まりない)オタク。負ける姿が作者も想像できない(おこ

死の悪魔:最強の悪魔。原作描写と矛盾させずに設定補完。ワープ能力持ち疑惑は当小説において保留。

デンジ:原作主人公。回転寿司回避ならず。大切な男への精神攻撃に内なる生姜焼きがバチギレしてる。

レゼ:民間のデビルハンター。ツイッターでダンスしたり紅白に出演したりで大忙し。国内100億の女。

姫野:4課のデビルハンター。デンジを連れて民間への転職を決意した。ボムガールもよう手招きしとる。

早川 アキ:4課のデビルハンター。勝手に復讐が達成されそう。滅茶苦茶に微妙な表情を浮かべている。

三鷹 アサ:原作主人公。公安の作戦が悪辣すぎてテロ行為への忌避感は消えた。ノリノリで選手交代。

三船 フミコ:7課のデビルハンター。原作で老いの悪魔の贄となった個体。チェンソーマンにより斬殺。

82年前のデビルハンター:モブ。14代目のやべーやつとはニアミス。走って唸るのは平行世界だってば。
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