チェンソーにかける愛   作:皮入れ大根

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バイオハザード: デスアイランド大好き!


[第31話] DUG OUT

結論から言うと、俺は老いくんの死体をチェンソーマンに食わせた。

関連する知識等がガッツリ残っているのは、恐らく自分がこの世界の理から外れた存在だから…ということで納得している。

気合で何とかしていたマキマちゃんという前例もあったので、意外とその辺りはテキトー目なんだなと思いつつも

そもそも転生した際に様々な記憶を失っていなかった*1ため、確信を持って決断したことではあった。

チェンソーマンの理不尽さを体験し、それを覚えていられる事実に喜んだファン心理はここだけの話。

 

老いの概念を、一時的というレベルであっても消去に踏み切った理由は1つ。

ズバリ、日本政府と交渉…もっと言うと、彼らをライダー教会へ屈服させる材料にしたかったのである。

言うまでもなく、この一連の流れは日本の恥部というか控えめに表現しても大スキャンダルだ。

マキマちゃんとの契約だけでも、リークされたら国内が内乱に発展しかねない核弾頭だというのに

OBまで含めた国の中枢がまるっと噛んでいた老いくんの件は、公安を切り捨てるだけでは済むまい。

 

だから俺は、老いくんの死体をチェンソーマンに食わせた。

――今回の一切合切を、公共の電波に乗せてブチ撒けた後でな!

要は、連中にとって取り返しのつかない詰みセーブデータを作成・保持した上で

ライダー教会へ服従しなければロードしてやるぞ、と恫喝を仕掛けたというワケだ。

あの時の、秒単位で赤くなったり青くなったりする爺様婆様の顔と来たら。

 

ここで重要なのは、彼らを絞り上げ過ぎないこと。

開き直って無敵の人へジョグレス進化されてしまうと、当然のことながら誰も得をしない。

結果だけ見た時、戦略目標を達成した政府も公安も何も損はしていないどころか、日本児童という名のコストが浮いたと言って良い。

そこで俺は、アダムとイブを唆す蛇のように甘く優しく囁いた。

逆に考えるんだ、子供を生贄に捧げようとしていた過去すらも消し去った上で果実を得られた…と。

 

しかも、政権運営や各種利権に口出しする気は(クソ面倒だから)毛頭ないとも伝えた。

何、服従とはいってもケツの青いガキ1人()かわいいおねだり(無茶振り)をたまーに聞いてくれれば良い、というだけのこと。

教会の要求を呑んでいい理由を自ら提示してやった俺は、何と慈悲深くサービス精神に溢れていることだろう。

とはいえ、本件をどう矮小化しようとも傍から見た場合にはスケールがスケールであったから

実質的に、シーちゃんと俺が平和的にクーデターをやらかして日本国の実権を掌握したと形容しても過言ではなかったのだけれども。

 

(おかげで、最初の目的だった粛清の質が上がる。推定最終決戦を前にして、癌細胞の切除に動かない手はないよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

知らない内に何だかとんでもないことになってしまった、と思わざるを得ない。

チェンソーマンだとか呼ばれる姿から人間形態に戻るなり、すっかりお通夜ムードだった彼を身体で慰めていたのだが。

まー、関係各所から色んなニュースが飛び交うこと飛び交うこと。

アキ君とコベニちゃんは電撃退職するわ、ナユタちゃんはしれっと帰って来てデンジ君の指を甘噛みするわ。

翌日に4課へ辞表を叩きつけて3人でライダー教会へ転がり込んでみれば、待ってましたと言わんばかりに歓待を受けるわ…。

 

訊けば、どうやら今日中に私からのアクションが無ければ、慈郎君が直接引っこ抜きにかかっていたとのこと。

そこからはさながらハリケーンのような情報の渦に、身を任せるしかない時間が続いた。

公安は子供達を生贄に捧げる腹だった?銃の悪魔が作戦の成り行きで死んだ?生物には老化というメカニズムがあった?

キガちゃんの正体は死の悪魔?天使君がアキ君の身体を乗っ取って天使の魔人に?教会の設立目的はノストラダムスの大予言を回避すること?

原作漫画?私はとっくの昔に死んでるハズだった?デンジ君とは結ばれることもなかった?????

 

「最後に一番驚いてるのが俺なんだよね。知らん…何そのバタフライエフェクト、コワ~…ホテルでのアレは、ゲロキスされる運命にあったデンジくんが可哀想だっただけで…特に、他意は…」

 

挙句、慈郎君からは逆に引かれる始末である…何だかちょっと理不尽じゃないかなぁ!?酔った勢いで貪ったのは私だけどさぁ!!

 

「デンジくんと…ついでにレゼちゃんへ、酒とタバコも教えたでしょ姫野ちゃん。おいコラ警官。スリーアウト、チェンジ」

 

「元だもーん。デビルハンターたるもの、コレくらいハジケてないと務まんないしぃ?」

 

「基本は真面目ちゃんだけど、自分のやらかしには相ッ当ヌルいよね姫野ちゃん…はぁ、まあいいや」

 

一息。

 

「とにかく、セックスは我慢しなくていいから…暫く酒もタバコも控えてね?タバコはデンジくんとレゼちゃんも、だよ。ピンツイちゃんの探知に引っかかったんで、最後にもう1つ伝えるけど――姫野ちゃん、デキてるんだってさ」

 

俺のポンコツサーモじゃ、そこまでのチェックは出来ないんよねだとか

一度、今すぐでもいいから病院に行ってきなだとか

正直俺も、アンタの理想のパートナーはデンジくんだとは思うよだとか

そんな感じのことを、慈郎君は言っていたハズなのだが。

キッツい麻薬でもキメたかのような圧倒的多幸感が間欠泉の如く噴出を続ける私の脳内では、融けて蕩けて消えゆくだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、日本国外の諸国は相も変わらずグダグダとした混沌の渦中にあった。

宇枝が打った一手により、老いの悪魔についての諸々を突っつき回せなくなったのは何処も同じことだったのだ。

現状、政府と公安の蛮行は未遂とはいえ無かったことになってしまっているため、ライダー教会が日本を我が物とするに至った原因を誰も追及すらできない。

何か良からぬ取引があっただとかを声高に騒ぎ立てたところで、奇跡的に老いの悪魔の存在にまで辿り着かれたところで、物証も事実も何も残っていない。

加えて、実際に他国のスパイたちや息のかかった者らを弾圧しているのは教会の人間であるから、国としての抗議も全くと言っていいほど痛手にならない。

 

攻め手どころか銃の悪魔をも失ったアメリカは、すっかりモンロー主義めいて自国領へと引きこもり

孤立したドイツは蚕食の憂き目にあうと思いきや、ここでまさかの――老いの悪魔が消滅した影響で、莫大な人民を抱える国内に食糧危機の兆候が見られ、それどころではなくなった――中国が

ソ連支援から手を引いたことで、ポーランドを挟んで独ソの睨み合いが続いてしまっていた。

デタントどころか丁度塩をまぶしたように、世界情勢はガチガチに硬直化の一途を辿っていく…コレはもう、そういう流れだ。

 

願ったり叶ったりだと、この隙を見逃すことなく自由気ままに暴れ散らかしたのは我らが宇枝である。

周囲が"除雪作業"に四苦八苦する中、悠々と国賊を血祭りに上げつつ日和見を決め込んでいた新興国をメインに、ライダー教会の勢力圏拡大を図った結果

年明けの4月、物理的な雪解けを迎える頃には…最早、創設1年も迎えていない木っ端一カルトと呼称してよかった規模感を阿僧祇の彼方へと置き去りにして

いっそ、大国と形容していいほどのファン(総数にして約4億人、仏教の背中が射程圏内に入っている。)を抱えるに至っていた。

死の悪魔弱体化計画は、何物も寄せ付けないほどの衝撃波を放つ勢いをそのままに、とうとう最終段階へ。

 

ちっぽけな、しかしたった一機の抱えた極大の愛が今、チェンソーマン時空に駆ける。

*1
第3話参照




宇枝 慈郎:オリ主。日本征服完了。愛する嫁に、その全てを捧げようとしている。

デンジ:原作主人公。結婚が嫌なのは多分毒親のせい。お前もパパになるんだよ!

姫野:民間のデビルハンター。元公安のハジケリスト。魚雷ガールとの仲は超良好。

ナユタ:支配の悪魔。"妹"が出来ると大喜び。女ばかりで末っ子は辛いもんな…。
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