①デンジとレゼ
(コレが…フツーってやつか。何かよぉ、ちょっと思ってたのと違うぜ)
「あ、デンジ君が黄昏れてる。どうしたんですかー?」
「レゼ!あー…と、あんさ?前に、学校へ忍び込んだろ?そん時、教室で俺に色々言ったよな」
「言いましたねぇ、なつかしー!素敵な思い出だろ~このこのー」
「ああ、最高の思い出だよ。だからさ、俺ぁ思ったんだ。フツーの16歳は、こんなに楽しく生きてやがんのかってな」
「…ん。それで?」
「それで、それでよ。こう、ワクワクしてたんだよ。ちゃんと学校に行ける、ってなった時はさ。けど…」
「分かった、思ったより楽しくなかったんだな~?アハハ!図星でしょ?」
「いいや?んなこたぁねえよ?ジュギョーはおもしれぇし、友達も何人か出来たしな。なのに、こうやってレゼが傍に居てくれなきゃ…何つぅの?頭ん中で"楽しい"がピカピカしね~。楽しかったことだけ覚えてて、次の日にゃ中身をぜーんぶ忘れちまってる。何でだ??」
「!!!!!」
「だから、今日の俺は素晴らしき1日を送ってる。何かよっぽどクソなことがなきゃ、一生忘れることは無いだろうぜ」
「パブロフの犬…」
「ぱぶ…おっパブ?前も言ったけど、俺ぁ犬じゃねーぞ」
「動物実験の話!犬にエサを与える時、必ずベルを鳴らすようにしてたらね?なんと、その犬はベルの音を聞くだけでよだれが出るようになっちゃったんだって!」
「えぇ~!俺がその、何とかの犬みたいってことかよぉ~?」
「そう、あったりー!デンジ君の脳みそ、きっと楽しい学生生活に私が紐づいちゃったんだよ。だからさ、逆に私と一緒なら何でも楽しいんじゃないのか~?」
「ああ…そりゃそうだな。俺ぁレゼんことが超好きだ、殺されてもいいくらい愛してっからよ。一緒に死ぬでも、食われるでも、そん時はハッピーだろ。俺の血や肉、マズくなかったか?」
「サンタクロースと戦ってた時の話?んー…あぁー…ドブ味だった!!」
「えぇ~!!?」
「アッはハハハ!忘れられない味、ってことですよ?デンジ君、ミルクで誤魔化して無理やりコーヒー飲んでた時に、何となくだけどそう言いたげだったもんね!それでも、"ツラの良い美人にサービスされたコーヒーは"美味しかったでしょ?」
「俺の言ったこと、全部覚えてるじゃん…」
「最高の思い出だもん、忘れるわけないじゃん。私も犬だね、わんわんっ!――デンジ君、糞好き。自分の全部を捨ててもいいくらい愛してる」
「レゼ…」
「デンジ君…」
この日、校舎のそこかしこからもげろだの爆発しろだのと祝言(?)が飛び交ったのだとか。
そして、通学路に出現した嫉妬の悪魔は"クリスマス撲滅!サンタクロース廃絶!"と喚き散らかしていたという。
②デンジとナユタ
「ねえねえ、ナユタちゃん」
「…何?今、授業中だよ。しかも参観日。今日、恥ずかしい思いするのは嫌でしょ」
「あれ、あの金髪の人。ナユタちゃんのお兄ちゃん?(ガンスルー)」
「はぁ~あ…デンジはね、私のお義父さん!」
「わか~!いいなあ、ウチのパパなんてオジサンなのにさ。それこそ恥ずかしいよ」
「!!――ふふん、そうでしょそうでしょ。自慢の家族だもーん」
「でも、珍しいね。ウチと同じで、お母さんじゃなくてお父さんが来るなんて。働いてるのは、お母さんの方?」
「お義母さんは居ないよ…"今のとこ"。デンジとも血は繋がってないし」
「ふーん…フクザツ!けど、それってさ。ナユタちゃんのパパはふりーってことでしょ?ウチ、狙っちゃおうかな~」
「!!?」
「ワイルドな感じのイケメンでぇ、声も超カッコいいし!多分、お料理だって上手なんじゃない?」
「止めときなって…でっ、デンジはさ?とんでもないエロで、ヤリチンだよ!?二股かけてるし!!」
「あれれ、おかしいぞー?ナユタちゃん、さっきは"自慢の家族"だって言ってたのに。嘘っぽくはなかったんだけど」
(何で、こんなっ…!急に鋭くなって!子供には偏見がないから、たまにあることだけど――)
「あ、だからお義母さんが居ないのか!はーん、4人で仲良くやってるんだ。おっとなー、ただれてるー」
「~~~~~ッ」
「なら、ウチが手をあげてもいいよね?ウチも、ナユタちゃんの"お義母さん"になりたいなぁ」
「シバく」
「ひゃー、ナユタちゃんが怒った!コワ~…」
「――動物の群れには、色々な形があります!ペンギンみたいに一夫一妻制を取る子たちもいれば、アザラシみたいに一夫多妻制を取る子たちもいて…」
「失礼。ええと、ナユタちゃんのところの…?」
「…ん?おお、ホゴシャってやつですよ」
「娘がいつもお世話になっております。誰に似たのか、生意気に育ちましてね…今後とも、仲良くしてやってくださると助かります」
「ああ…まあ、そりゃ別に構わねぇっすけど。こっちの方こそ、ナユタの奴が何かしでかしてないっすかね?」
「とんでもない!昨日だって~…」
(レゼが夜の教室で言ってたこと、ありゃマジだったんだな。親ってのは子供のことを考えるモンで、子供は学校に行くモン…か。姫野が俺んガキを孕んでくれたのはいいけど、気ィつけねーと。とりあえず、殴ったり蹴ったり酒瓶投げたりタバコを押し付けたりはアウトだろ、ぜってぇ)
不幸の形は定型、されど幸福の形は不定形。
普通を知らないまま大人になろうとしていたデンジだからこそ、普通ではない幸せに手が届いたのかもしれない。
③デンジと…?
「デビルハンター部ぅ?」
「そうだ!失礼ながら、調べさせてもらった。君、公安所属のデビルハンターだったんだろう?」
「まあ、そうだな」
「今、ヒトは悪魔たちと戦争を繰り広げていると言っても過言じゃない。だと言うのに、どいつもこいつも平和ボケ…否、見ないフリをしているのだ。自分には関係ない、自分だけは何とかなるといった、無根拠な信仰だけを支えにな!」
「…はぁ」
「そこで、我々デビルハンター部は立ち上がったのだ!学生の時分から悪魔と真剣に向き合うことによる危機意識の啓発と醸成促進、これを目的としている!しかし、実戦から学びを得るのは余りにも危険だし…"講師"を招致するコネもカネもない。だからこそ君だ、デンジ君!」
「要は、俺にセンセーの真似事しろってコトかよ?」
「ああ、君がメインで講演するわけではないから安心したまえ。もちろんタダでとは言わん。1度のセミナーごとに、昼食代を肩代わりしようじゃないか――どうだ?」
「乗った。けど、代金は後でソーダンな、ソーダン。10円渡して、ガムでも食ってろとか言うのはナシだぜ」
「恩に着る」
「でもよぉ、んな大した話は出来ねーぞ?」
「それは我々が決めることだ。そうだな…差し支えなければ、お試しで話してもらえないか?テーマは悪魔が怖がるモノ、で頼む」
「頭んネジがぶっ飛んだやつ」
「えっ」
「1回ベロチューするために、死なねぇ悪魔を寝ないでおミンチにしてよ~…痛みで自殺させるような奴ぁ、連中も怖がんだろ」
「…」
「逆に、お前らはカモだなカモ。悪魔にビビってなきゃこんなことしねーだろうし、実戦から~ってゲロってんじゃん?頭がかてぇかてぇ」
「我々の努力は、無意味どころか有害だと。そう、言いたいのかね」
「おう。だからさ、違う努力をした方がいいと思うぜ?頭んネジを緩めるのは日々のツミカサネなんだとよ…とりあえず、こんなもんか?じゃー後でな~」
数日後、校内の風紀は乱れに乱れ、ついに戻ることは無かったらしい。
関係者たちは頭を抱えたが、生徒が悪魔被害に遭う確率は目に見えて下がり入校希望者が増えたことで、揃って苦虫を嚙み潰したような表情をしていた。
デンジ:原作主人公。高校ではっちゃけていい理由を自給自足していた。偶然だぞ(AA略
番外編に興味ある?
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R-18パートだけでいい
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