チェンソーにかける愛   作:皮入れ大根

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学校の怪談大好き!


[第6話] 開放日和

デンジくんとパワーちゃんが、バディを組んでから数日後。

具体的には、ヒルの悪魔に散々シバかれたデンジくんが

病院の1室で目を覚ましたあたり…であろうか。

ここまでで、俺たちの計画は順調そのものだった。

 

まず、ライダーのウケが非常に良い。

インパクトと匿名性重視で、仮面ライダーならぬ馬面ライダーが生まれたわけだが

コレが見事、ガッチリとハマったのだ。

俺の、ドローン形態における攻撃力と機動力が想定を上回るパフォーマンスを発揮し

周囲への安全性にも配慮した活動*1を続けた結果――

 

新聞、TVにゴシップ誌。

連日連夜で話題は踊りに踊り、下手なインフルエンサーの存在などは

遥か彼方へ霞ませるほどの存在となっていた。

やっていることはほぼ、首座にふんぞりかえって高笑いをしているだけの

某悪逆皇帝と変わりはないのだけれど。

 

その上で、まだバズらせブースターが温存されている。

シーちゃんの正体バレ、という鬼札が。

ひいき目抜きにしても、彼女は超が付くほどの美少女である。

マキマちゃんをどうにかこうにかした後、頃合いを見て切るつもりだが

正直、どこまでの影響が及ぶかいい意味で予想がつかない。

 

そして、マキマちゃんの排除についても。

全く勘付かれることもなく――というのも、現時点では何もしていないので当然の話ではある――

依然変わらずに、決行の日を待つだけとなっていた。

仕込みは一瞬、決着も一瞬。

レゼちゃんがハッスルし始めた時には、全てが終わっていることだろう。

 

ぶっちゃけた話、ここまで来てやることと言えば

日々の鍛錬と、デンジくん周りに何かイレギュラーが発生しないかの監視。

特にその程度であり、暇を持て余していたとは言わないが

俺は、つかの間の安寧を享受していた。

していた、のだが。

 

現在地、とあるホテルの1室。

室内に立ち尽くすMAPPAの男女、内訳は俺とシーちゃん。

つまり、そういうことなのだった。

 

悪魔の気配がする、というシーちゃんの言を

どこか決意を固めたような真剣な雰囲気を

ホイホイと鵜吞みにしたのがよろしくなかった。

手を引かれ、建物内に連れ込まれ、気が付けばご覧のありさまだ。

未来の自分の気配を感じ取った…ってコト!?

 

部屋から逃げようと思えば、簡単にエスケープは叶ったハズ。

しかし、そうであるのがあたかも作法かのように

淡々と服を脱ぎ始めたシーちゃんを見た俺は

 

(畜生)

 

プールの中から妖しく誘う、レゼちゃんを見たデンジくんの気持ちが

"痛いほどに"分かってしまった。

愛し合う男と女なら、普通のことでしょ?と添えられたのはダメ押しとなる。

 

いや、丸っきり構わないのだ。

俺としての自意識も、宇枝慈郎としての身体も、間違いなく成人男性のソレであったし

何なら身体の方は、記憶によると既に経験もあった。

加えて、俺は推しに欲情できるタイプであり

よく言われる、リアル妹がいると妹モノではちょっと…といった風にもなりはしない。

 

こんな具合で、心も身体も狂喜に打ち震えてはいたものの

脳内において最も支配的であったのは、いいの?????という困惑の感情であった。

恋だの愛だのは時間の問題じゃないだろう、と

口から零れそうになる、"俺なんかが"に代表される失礼極まりない語彙を宥めていると

 

「シー君、来て?」

 

広げられる腕を前にして

ちっぽけな困惑は、一瞬にして銀河系の果てまで吹き飛ばされてしまった。

 

それから…それからはもう、何が何やら。

いつにも増して力強い抱擁と、情熱的な口づけから始まり

互いの舌が互いの口内をまさぐる内、どちらからともなく下腹部に手が伸びていく。

粘度を感じる水音の、響き渡る勢いが増したのは、戦闘開始の銅鑼代わり。

 

押し倒し、なおも各急所を執拗に舐りながら

甘く、愛おしい死の表面的な無表情を堪能する。

無機質で人形的な瞳の奥には、劣情の爆炎がごうと燃え盛っており

まるで裏付けるかのように、肉付きの良い両の足が頭に絡みつく。

 

窒息しそうな圧迫感と、濃厚な女の匂いに催促されるがまま

虎が骨から肉をこそぐように、舌を這わせて吸い付くうち

誰の目にも明らかな形で、シーちゃんは盛大に果てた。

眼前で惜しげもなく晒される痴態に、俺の獣性は決壊する。

 

1つに、なった。

繰り返し繰り返し、破城槌のように叩きつけ

何度も何度も、城内を灼き尽さんと火を放ち

正面から、背後から、地中から本丸を攻め立てた。

 

破損を察知するや否や、槌はすぐさま研がれ始める。

巨きな武器を下から見上げる形で

より突破能力を向上させんと、先を窄めながら。

メンテが明けたなら、即座に追撃の態勢を整える。

 

永遠にも思える官能の果てに、意識は拡散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつしか、1つは2人に戻り

しかし未だ、一糸纏わぬままベッドの上で抱き合っていた。

 

「シー君、これヤバい…かも。バカになる。貴方に、抱かれることしか考えられなくなる」

 

「シーちゃん待って。マジで。今、そんな嬉しいこと言われると俺もヤバい」

 

我ながら盛んというか、節操がないというか。

未だ続く反応に、呆れ混じりで返答したのだが

俺は見逃さなかった。

シーちゃんが、細めた横目でねめつけつつチロりと舌なめずりをかましていたことを。

似た者同士のバカ2人としか言いようがない。

 

「シー君。大好き。私は今、間違いなく貴方を愛している」

 

「俺も。シーちゃんには、一生そばに居てもらいたいな」

 

軽くキスを1回。

強い意志を持ってベッドから起き上がり、サッとズボンをはいた俺は

自販機で飲み物でも買ってくるよ、と言い残して一人で部屋を出た。

廊下を歩いていくうち、冷静になって行けば行くほど

自分の顔が真っ赤になるのが分かった。

 

(ホントにマズい。今日明日くらいは、シーちゃんの顔を直視できないかもな)

 

エレベーターのボタンを押しながら、そんなことを考えていると

ある違和感に、否が応でも気付かされた。

確かに先ほど押下し、今も何度か試してはみたのだが

ボタンが点灯していなかったのだ。

それだけではなく、エレベーターの昇降音も聞こえてこない。

 

すわ故障かと思った俺は、まあボロいホテルだしなと思い直し

脇にある階段を下りていくことにした。

ここは地上8階だが、自販機は1階にしか設置されていない。

少々面倒臭くはあるもの、シーちゃんを待たせるのも悪い。

俺は小走りでひたすら下に向かった、ハズだった。

 

「…あれ?」

 

再び生じる違和感。

流石にもう、1階には辿り着いている頃なのだ。

ふと手すりから下を見下ろすと、見下ろす…と。

 

「あー…そういうこと?いや、参ったな」

 

階段が、無限に続いていた。

比喩ではなく、本当に底が見えない。

 

「なるほど、そうなんのね。バタフライエフェクトというか、噓から出た実というか…」

 

襲撃まで1部には不干渉を貫く、とは一体何だったのか。

いや、確かに不可抗力ではある。

入り口を通る際、ホテルの名前がMORINでないことはしっかりとチェックしていたのだから。

これがもし、想像している通りのケースに巻き込まれてしまったのだとしたら

怪奇現象は永遠の悪魔が引き起こしている可能性:大だ。

 

考え得るパターンとしては、ライダーの影響が濃厚か?

要は、東京中の悪魔という悪魔をぶっ殺して回る彼女を見て

あの野郎は、すっかり芋を引いたのだ。

それで潜伏先をより目立たないホテルに変えたところへ、俺たちがやってきて

興奮した死の悪魔にビビり散らかした結果、思わず能力を発動させてしまった…とか。

 

何の根拠もない推理だが、筋が通ってしまう。

なに、これがもし真実からそう遠くない位置を射抜いているのであれば

根拠は向こうからやってくることだろう。

 

「悪魔め!ワシにビビって浮きおったわ!ガハハハハハ!!」

 

「違う違う、私の力!私のゴーストが捕まえたの!」

 

そら来た、何というタイミングの良さ。

徹頭徹尾、巻き込まれた一般人を装うか。

はたまた、シーちゃんと一緒に引きこもり続けるか。

いっそ開き直って、デンジくんと一緒に大暴れするか。

考えはまだ纏まってないんだけどな…と、響き渡る声に俺は小さくため息をつくのだった。

*1
エレクトロン焼夷弾は効力半径が狭い。




宇枝 慈郎:オリ主。やらかした(5話振り3度目)。未成年なんとか罪で逮捕だテメエ!!

死の悪魔:最強の悪魔。1話後に捕食する姉。俺でなきゃ見逃しちゃうね。

パワー:血の魔人。コーラルリリースした変異波形の末路。風呂とトイレを意識出来てえらい。

姫野:4課のデビルハンター。社交性のあるメンヘラ。葉隠透のコスプレが得意。

姫パイどうする?

  • 生きろ、そなたは美しい
  • 死んでくれ姫野、若く美しいまま
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