「は?」
『聞こえなかったか?もう一度言うぞ、公安を』
「聞こえてますけど意味がわからないだけですって」
『そうか、で襲撃するのは埼玉県にある第二六悪魔収容所、決行は日曜夜中俺とお前だけでやる』
「ちょっと待ってください!勝手に話進めないでくださいよ!」
『何か予定でもあるのか?』
「いや...その日はないですけど」
『なら決まりだな』
「デンジとパワーは連れて行かないんですか?」
『ああ、下手に騒ぐとマズいからな、なるべく人数は少ない方がいい、集合は22時に大宮駅前な。そこで詳細は話す』
「はぁ...」
...日曜は家探しに行かなきゃ行けねぇのに...
「お疲れ様です隊長」
夜の大宮駅前、ベンチに座る岸辺隊長を見つけ声をかける
「ん、お疲れ」
「計画の詳細は?」
「まぁ座れ、まず気になってらだろうがなんで公安を襲撃するのかって言うとな、簡単に言えば戦力を増やすためだ」
「戦力?なんで増やす必要があるんですか?そもそも隊長は公安所属なんですから襲撃する意味はなくないですか?」
「まぁ話すと長くなるんだが...
俺はお前らに支配の悪魔を引き渡した後、お前が銃の魔人になった時に逃げ出した未来の悪魔の捕獲の為、未来の悪魔に接触した。そこであいつは言った
「もし私を見逃してくれるなら代償無しで未来を教えてやろう」
まぁ当然ボコボコにして、殺さない代わりに未来を教える条件で試しに公安のお偉いさん方が気にしているノストラなんとかの予言は本当か尋ねてみたんだ。
「ノストラなんとかが言ってた予言は本当に起こるのか?」
「...正直に言うとわからない、何故なら私には1999年8月以降の未来が見えない」
「それはお前の能力の限界ってことか?」
「いや、前は10年先でも、100年先でも見ることができた、しかし1999年以降は何度試してもただ果てしない闇が広がるだけ、人類は生きているのかも、空から恐怖の大王がやってくるのかもわからない。だから答えはわからない、だが何かが起こるのは確かだ」
「それって人類が滅亡するかもしれないってことですか?!」
「人類だけで済んだら御の字だな、地球ごと滅ぶかもしれん。だからそれに対抗する為に戦力が必要だ。そして駒は手元に置いておきたい、だから悪魔収容所を襲撃し、そいつらを俺が管理、育成する。上層部の奴らに任せておいたら宝の持ち腐れだからな」
「そんな強引に...岸辺隊長なら上に言えば引っ張って来れるんじゃないですか?」
「いや、俺の権力でどうにかならない奴もいる、例えば武器人間とかな」
「武器人間ってまさか?!」
「そう、今日の目的は弓の武器人間クァンシ、そしてその愛人。他にも使えそうなのがいれば連れて行く」
「クァンシってサンタクロースの時の...!大丈夫なんですか?!」
「ああ多分大丈夫だろ」
「多分?!」
────────
暗闇の中フェンスに囲まれた倉庫のような建物と唯一灯りの灯る守衛室が山中にポツンと立っている
「すいません、手帳拝見させていただいて宜しいでしょうか」
「えーと、どこしまったっけな...あったあった」
守衛が窓口から珍しく帽子を目深に被った岸辺隊長の手帳を受け取ろうと手を伸ばす
「はーいありが──
ガベッ!」
岸辺隊長は伸ばされた手を一気にこちら側へ引き寄せ、それに引っ張られた守衛はガラス窓へ激突する
「よし行くぞ」
「可哀想に...」
「3つ数えたらドアの鍵を銃の能力で破壊しろ。そっからはスピード勝負だ、モニタールームを制圧して収容者リストを手に入れる。中の職員はなるべく殺すな」
「はい」
「3...2...1...作戦開始」
パァンパァン!
「フンッ!」
ドカッ!
鍵を破壊した扉を岸辺隊長が蹴破り中に入る
「モニタールームは?」
「すぐ手前の右のドアだ」
パァンパァン!
鍵を破壊しモニタールームの扉を開ける
「誰だ貴様ら!」
「手を上げろ!」
職員か...!装備はなし、素手でいける!
「ごめんよ、ちょっと用事があるんだ」
そう言って岸辺隊長は職員の首を掴み廊下の壁へ投げつける
「テープあるか?」
「はい」
机の上置かれたテープを手渡すと岸辺隊長は手際良く職員2人を拘束し、掃除用具入れとトイレに押し込んだ
「よし、リストも確保。目当ての奴は一番奥だな、あと他には...時間の悪魔...お前コイツと契約結べるか試してこい、無理に結ぼうとしなくても良いからな。俺はその間にクァンシと交渉してくる、20分以内に戻らなかったら様子見に行くからな」
「はい、お気をつけて」
鋼鉄の扉の前に立ち部屋の番号を確認する。
「2674...ここだな...」
重い扉がギィィと音をたて開く
「珍しい匂いだ...濃い魔人の匂いだが人間が混ざっているような、いつか会った武器人間とやらとも違う匂い...名を聞こう」
腹には高速で針が回転する骨で作られた時計、頭は哺乳類の肉食動物のものと思われる頭蓋骨、体中に濁った暗い紫色の体毛が生えている
「...早川アキ、人間だ。お前と契約しに来た」
「ほう、私にその嘘が通用するとでも?他の奴らは騙せたかもしれんが私にはわかるぞ。魔人のくせに契約ができるのか?」
「チッ...何故魔人なのに契約できているかは俺も知らん、だが今でも複数の悪魔と契約できている」
「ふむ、ものは試しだな。しかしそうなると契約の代償をどうしたものか...肉体は再生してしまうしなぁ...ではこうしよう、今から5秒だ。私がここの職員に頼んでもらったあの壁掛け時計、あの時計で5秒経つまでお前が死んでいなければ代償無しで私の力を使わしてやろう、1時ちょうどになったら始めるぞ、あと20秒だ」
5秒...!相当舐められてんな...!だが強い悪魔なら俺を5秒で殺すのは不可能じゃない...!
「あと10...9...」
剣を左手に持ち替え、右ての人差し指を時間の悪魔へ向ける
やられる前に...!コイツを倒す...!
「3...2...1...」
カウントが終わる直前に俺は未来の悪魔の能力を発動する
──直線で殴りにくる──
「そこだ!」
ドパァン!
「遅いよ」
「ガッ!」
おれは下からアッパーで殴られ天井に激突した
何故だ?!あの距離なら避けられないはずなのに?!
「不思議そうな顔だね、あれを避けられたのがよほど効いたのかな?」
「そんな喋ってていいのかよ...5秒経っちまうぜ...」
「ふむ、時計を見てみろ」
「なっ?!まだ1秒も経ってない?!」
「ふふふ、まだまだ時間はあるのだからせいぜい頑張ってくれたまえ」