「もう諦めるのかい?」
「チッ...黙っ── ドカッ!
「ぐっ...!」
クソッ...体感じゃもう20分以上経ってるぞ....!血もないから回復は出来ない、故に銃の能力も使えない!何か解決策はないのか!
「ふふふ、今降参するなら遺書だけかかせてやろう」
「するわけねえだろ...!」
「そうか、なら続けるぞ」
バキッ!
「ガッ..!」
まただ...!こいつの異常なスピードは何なんだ!
「このままじゃあ一生私の玩具だぞ」
考えろ...!観察しろ...!何か弱点は...!
「ふむ、そろそろか」
時間の悪魔がボソッと呟いた、そろそろ...?
ちらりと時計に目をやると4秒経過している、再び奴を見ると腹の時計が少し逆向きに回転した気がした
再び壁の時計に目をやると時計は1時ちょうどを指している
「そういうことか....!」
ふむ、期待外れだな。おそらく銃の悪魔の能力だろうがあの指を飛ばす攻撃も十分避けられる。
「もう能力は見切ったよ、早く次の手を打ったらどうだい」
「お前の能力...その腹の時計と連動してるんだろ。5秒経過しそうになれば半時計周りに時計が周り、時が巻き戻る。つまり...時計回りにその腹の時計回せば、時間はより早く過ぎるんじゃないか?」
「...驚いた、それに気づいたのはここ100年で君を入れて3人目だ」
気づかれたか...だが奴に私に触れる術はない!このままここでゆっくり嬲り殺してやる!
「熊!」
「なっ?!」
後ろから手が?!コイツ、まだ手札を隠していた!
目の前の男は私に人差し指を向ける。その指を飛ばす技はもう見切った!
「カエル!」
そしてそいつはジャンプでこちらへ飛びかかる
コイツ...!一気に距離を...!?
「打て!」
まずい...!避けれん...!
「は?」
痛みを覚悟したがその痛みは訪れない
「ブラフだ」
その男、早川アキは私の腹に触れている
「回転!回せ!」
俺が能力を発動すると時間の悪魔の腹の時計が周りだし、壁の時計の秒針が高速で回り始める
「ぐっ...!」
「5秒経過、だな」
「...私の負けだ、約束通り貴様と契約しよう。ただ私の能力を使うなら私をお前の体に住まわせる必要がある」
「なんでだ?」
「私の能力は自分と自分に触れている者、指定した対象。それら以外の時間を操る。つまり自分自身を加速させることも、巻き戻すこともできない。私がやけに早く見えたのは私以外の時間の流れを遅くしたことで相対的に早く見えていただけだ。まぁ簡単に言えば能力を自在に使いたいなら私を貴様の体に住まわせ常に私に触れている必要があるのだ」
「じゃあ右目に住め」
「契約成立だな」
「...久しぶり...てほどでもないか」
「ふん...私を殺しに来たのか?」
「そんなつもりない事ぐらいわかってるだろ」
四方をコンクリートの壁で囲まれた部屋の中には、鉄の首輪をつけられ腕を壁に拘束されている眼帯の白髪の女、クァンシがいる
「来年の7月、人類に危機が訪れる。そのために戦力がいる、無理にとは言わないが協力してくれると助かるんだが」
「これは...上からの指示か?」
「いや、俺の独断だ。マキマが死んでからキナ臭くなってきやがったからな、なら俺個人で部隊を作った方がいい」
「...嘘つけ、牙の抜けた今のお前にそんな度胸はないだろ。」
「......ま、色々あんだよ」
「ミステリアスぶるな、気持ち悪い」
ドゴッ!
クァンシはスルリと拘束を抜け岸辺を思い切り殴る
「グッ...殴らないでくれと言っただろ」
「何年前の話をしている」
「というか何故拘束を抜けれるのに大人しく捕まってた、魔人娘たちが原因か?」
「....彼女の死体が隣の部屋にある。どうやら私が部屋を出ると隣の部屋ごと爆発するらしい」
「なら話は早い、死体を外に運び出す。協力するか決めるのはその後でいい」
「ああ」
部屋の外からコツコツと誰か歩いてくる音がする
「岸辺隊長、時間の悪魔との契約無事終わりました」
「それはよかった、今から外に運ぶものがあるから手伝え、隣の部屋のやつだ」
「この部屋ですか?」
「ああ」
扉を開けるとそこには透明なケースに入った4体の死体があった
「うおっ!」
「それがさっき話したクァンシの愛人の死体だ、外に運んでおいてくれ」
「はい、...よいしょっ冷たっ?!」
「死体だからな、腐らないように冷やしてんだろ、ほらさっさと運ぶぞ。終わったらさっきの部屋に戻ってこい」
運び終わりクァンシの部屋に戻ると彼女が話しかけてくる
「ちょっとそこの君、さっき時間の悪魔と言ったかい?」
「ええ...それが何か」
「時間の悪魔、今ここに呼んでくれるかい」
「え....いいですけど...おい!時間の悪魔、聞こえてんなら出てこい」
地面に黒い穴が空きそこからゆっくりと時間の悪魔が出てくる
「久しぶりだな...クァンシ」
「ああ、できればそのツラ見たくなかったけどな」
「...何故私を呼んだ」
「質問だ、お前に死者を蘇らせることはできるか」
「無理だな、私だけでは。魂の悪魔がいればできるかもしれんが」
「魂の悪魔がいればできるんだな?」
「ああ、肉体を私が戻し、そこに魂を呼び戻す事ができれば可能かもな。だが私は10秒しか時を戻せないからな、死後10秒でないと無理だな」
「.....」
「まあ、私がそれを聞いてやる道理もないがな、ふふふ....ヒッ!」
「なっ....!俺の剣!いつの間に!」
ニタニタと笑う時間の悪魔の喉元にいつの間にか俺から奪った剣を突き立てる
「協力しないならお前に最大限痛みを与えてから殺す、現世に来た瞬間どこにいても貴様を見つけて殺す、姿を変えても、矮小な存在になっても、何度でも殺す。そうされたくないなら考えてから発言しろ、お前に拒否権はない」
「チッ.....だがどうするつもりだ、だが能力の限界は私にはどうも出来んぞ」
「岸辺、収容されている悪魔のリストはあるか」
「ん」
紙を渡すとクァンシはリストを一瞬みて、次の瞬間消えた
「アキ!走れ!逃げるぞ!」
外を目指し全力で廊下を走り抜ける
ドォン!
後ろから爆発音がし背中に熱い感覚が走る
「はぁ....クァンシ....こっちは50過ぎてんだぞ、あんま走らせるな」
外に出ると悪魔の死体の山の前にクァンシが寄りかかっている
「甘えるな、それくらい出来ないならさっさと隠居してな」
「それをどうするつもりだ?」
いつの間にか俺の横に立っていた時間の悪魔がクァンシに問いかける
「今狩ってきた施設内の悪魔達の死体だ。お前これ食え」
「む....しかし私に飯を献上するならナイフとフォークくらい用意して─」
「いいから食え」
「モガッ...!」
悪魔のの死体を無理やり口に押し込み飲み込ませる
「時間、戻せ。できる限り長く、君は時計見ていてくれ」
「私になんたる狼藉....!一度だけだぞ!」
少し不思議な感覚がした後、時計を確認する
「何秒戻っている?」
「11秒ですね」
「やはり銃の肉片程じゃないが悪魔を食えば能力は強化できるらしい、岸辺さっきの話、協力してやる。その代わり狩った悪魔の死体はこっちに流せ、コイツに食わせる」
「よし、じゃあ勘付かれるまえに退散するか。アキ、運転頼んだぞ」
「えっ帰りも俺ですか」
「クァンシと二人でも気まずいだろ」
「まぁそうですけど....はぁ....明日起きれるか?...」
時間の悪魔
100年前から現世にいる。人工物は自然の物より廃りが早く時間の流れを感じられて好きなので人類にはなるべく存続していて欲しいと思っている。それはそれとしてを悪魔なので人を痛ぶる、人と戦うのは好き。指定した対象と自分、自分に触れている者以外の時間を最大10秒巻き戻す、遅くする、早くする能力が使える。巻き戻った地点から巻き戻した秒数分能力は使えなくなる。指定できる対象の数、大きさに限度は無い。