最近気づいたにわかですがw
───ヒーローに最も必要な物は何だろうか?
正義感や判断力といった当人の資質だろうか?斜に構えた人なら資金力や政治力といった組織力に関わる物を挙げるだろうか?何にせよ万人の答えが一致する事はない。だが、全ての答えは戦闘力がある事前提の話だろう。力無き正義は無力であり、手札が無ければ判断のしようも無い。資金力や政治力に恵まれた組織もまた実働部隊が弱ければ張り子の虎に過ぎないだろう。
これは俺個人の意見ではなくヒーロー連盟全体の意見である。かつてヒーローがいなかった時代、ヴィジランテとして活動していた尊敬すべき先達が立ち上げたのがヒーロー連盟だ。オーバー様を筆頭に孤軍奮闘していた頃の苦労からバックアップの重要性は理解しているからこそ手を抜いたりはしない。それと同時に何処までも力こそが根幹であると身に染み込んでいるのもまた事実なのだ。
だからこそヒーロー連盟ではヒーローは戦闘力が重要視され、細々とした雑務の類はその他の職員がサポートする形式が取られている。まあ個人的にサポート体制に関しては言いたい事は多数あるが修正の効く範囲だろう。後輩ヒーロー達も続々育って来ている。俺もアラサーで後は肉体的には下り坂だが安心して後進に道を譲れるというものだ。
「ヒーローの戦闘で大爆発が起きたと報告が?!」
「戦闘が過激過ぎると苦情が止まりません!!!」
「ヒーローがヴィランを取り逃したそうです!!」
「……………………ハァ」
訂正、まだまだ引退はできそうにない。
◇
「では、反省会を始めます……君達、ヒーロートップ3の自覚ある?」
眼前で俺から視線を逸らすロボ一体、ナマモノ一匹、ハラペコ一人。誠に残念な話だが俺や一部の規格外を除けば連盟の最高戦力なのがコイツらだ。もはや新人とは言えないキャリアを積んでいながら連盟の頭を悩ます問題児達なのである。いや、ハラペコもといインパクトちゃんは問題児度で言えば数段マシなのだが創設者の血縁なのでどうしても厳しめに見ないといけない。俺って叱るの苦手なんだけどなぁ。
「じゃあまず、一番被害の大きかったメタルプリズナー君から罪状を話そうか」
「待ってくれ俺はわrプギャ!!!」
口答えするバカは拳で黙らせるに限る。
「誰が言い訳して良いと言った?経緯を正確に、そして簡潔に話しなさい」
「……っす、ヴィラン共を捌いてたら自爆されまシャアアー!!!」
はい、ダウト虚偽報告はいけない。嘘つきには踏みつけ攻撃の刑だ、ついでに床の修理費はコイツの給料から天引きしてもらおう。
「正確には貴方が打った流れ弾がヴィランの武器庫に当たって誘爆した、ですね。ヴィランが潜伏していたビルは半壊、放置するのは危険な為発破解体が予定されています。一般人への被害こそありませんが連盟の信用を損なう事件です」
「どうせ廃ビル何だし問題ぎにゃぁぁぁぁ!!」
「解体費用も馬鹿にならないのですよ?連盟の予算も無限では無いのです」
うん、どう言い訳してもアウトの所業である。いつの時代も信用と金の問題はとても重い、仮に新人ヒーローがやらかしたら除籍は免れないだろう。当人が築き上げた実績と
「質問を続けましょう、戦闘ログを見ましたが少数のヴィラン相手にあれ程の武装を使用する必要はありましたか?戦闘前にマツド博士から煽られていましたがまさかそのストレス発散の為等とは言いませんね?」
「……一つだけ言わせてくれ、1番悪いのはマツド博士たわば!!!」
「勿論そうですが貴方の責任が無くなる訳ではありません……そうそう、そのマツド博士ですが腕をへし折ったので多少は大人しくなるでしょう」
当然の事であるがヒーローとして一般人(笑)に暴力を振うのはアウトである。免職待ったなしの所業だが心配無用!人の目やカメラが反応できない速度でへし折ったので俺がやったという証拠はない。マツド博士も多方面に恨みを買っているのでまともに調べられる事もないだろうが。プリズナー君も床に埋まったままサムズアップをしているしヨシ!
「次はマシュマロヘッド君、罪状を話しなさい」
「待ってよ?!僕はヴィランを血祭リャルレロ!!!」
「何事にも限度があるし、ヒーローにマーダーライセンスはありません」
正義を掲げた時に人は最も残酷になれるというがコイツは素で残酷なだけだ。ショック吸収がある上に再生能力もあるから折檻も難しい。一先ず頭を十回転程させてネジ切ったがすぐにくっついた。やっぱりチートだよコイツ。
「監視カメラの映像から倒れたヴィランへ執拗に攻撃しているのは分かっています。倒したならさっさと捕まえて次の現場に向かいなさい」
「いや、一罰百戒って言うじゃないですか?僕が泥を被る事で治安がよくにゃりゅぅ~!!!」
「泥被ってんのは連盟なんだよ。そういうのを気取りたきゃフリーでやれ」
最終的に責任を取るのは組織側である、個人に押し付けられる責任などたかが知れているのだ。そもそもコイツにそんな大層な思想はないから口から出まかせだろうけど。しかし、目つぶしも試してみたが効果薄いなぁ。どうやったらノックアウトするんだろう?
「はい、最後はインパクトちゃん。反省点を教えて」
「「待てやおっさん!!!」」
「貴方達も後数年でアラサーです。自分で若さをすり減らす真似は止めなさい」
日頃喧嘩ばかりの二人が随分息ぴったりな事だ。いつの時代も年上への悪口言う時は仲良くできるもんなんかね?まあ、一先ず二人とも殴っておいたが。
「おかしいだろ!!俺達には罪状だの仰々しいいい方してた癖にインパクトだけ特別扱いしてんじゃねぇ!!」
「そーだ!そーだ!女だけ特別扱いとか生々しいぞおっさん!!」
「特別扱いではありません、区別です」
何ともまあ的外れな指摘なこって。確かに若い女というだけで男の数百倍の価値があるし、インパクトちゃんみたいなグラマーなら尚の事だ。だが今回に限っては性別は全く関係ない。仮に所業が逆だったならば俺は容赦なくインパクトちゃんにも鉄拳を加えている。
「ではインパクトちゃん、反省点をどうぞ」
「……ガス欠で動けなくなってヴィランを取り逃しました。その後は味方に回収されています」
「バカ共、よく分かりましたか?インパクトちゃんは鍛錬不足や判断ミスで済む範疇。テメーらみたいに一面飾りそうな失態重ねた奴と同じ扱いになる訳ないのです」
これで同じ扱い出来る訳ないんだよ。つーか同じ扱いする奴はヤベー奴か脳タリンだろ?ぐぬぬって顔すんなよアホ共、しまいにゃ本気で殴るぞ。
「ああ、鍛錬は怠らない様に。後は自身の未熟さを受け入れて援軍要請を出す判断も思考に入れなさい」
「………はい」
しょんぼりとした姿を前に罪悪感が沸く。女の子相手はこういう時厄介だ。男なら容赦なく行けるんだけども。バカ共のいう様に贔屓にならない様に心を鬼にして対応しなければ。
「はーい、説教終了ー!罰に移りまーす、全員始末書ですね」
「うげぇ」
「あーい」
「はい」
やる気なさそうだなー。まあ気持ちは分かるがこれを機に多少は真面目になる様に祈ろう。宝くじくらいの期待度で。
「………………………あの何すかこれ?」
「冊子か何か?オイオイ耄碌するには早いんじゃなーい?」
「……私のは普通の始末書だ」
うんうん、ある意味期待通りの反応だ。ちったぁ礼節も覚えて欲しいもんだが俺は寛大に許そう。何事もメリハリ大事だからね。ここからは暴力以外で攻め立てるターンだ。
「何も間違っていませんよ?野郎共は始末書100枚です。書き終えるまで寝させないぞ♪」
一瞬場の空気が固まる、表情の読みにくい面をした面子からお前正気か?という雰囲気が漏れ出していた。無論正気だ、無駄に暴力に耐性のある連中に反省させるにはこういう方法の方が効果的だろう。
「いやあの、100枚も書いても無駄だと思うんすよ」
「無駄だからこそ罰になると思わないか?」
「ヴィ、ヴィランが出たらそっち優先ですよね?」
「他のヒーローが居るではないか。書け」
説得が不可能だと理解した瞬間、バカ共は逃げ出した。方や窓へ向かってジェットを吹かし、一方は壁を砕いて進もうと走り出す。全く別の方向に飛び出されては
「俺の能力を忘れましたか?セパレーション!!!」
ヒーローをやるからには何かしらの能力を持っている。身体強化だったり、炎や電気を出したりと能力は多種多様だ。俺の能力は分身、同スペックの自分を生み出す事が出来る。特殊な事は何も出来ないが数を用意出来るのは非常に便利だ。ヒーローは常時人手不足だからね。最後に休んだのいつだっけ?
「はーい、捕まえた。書き終わるまで俺も付き合うから頑張ろうな!」
「ふざけんな!一日二日で終わるかそんなもん!!!」
「能力が分身だけとか嘘だろ?!何でスーツ着てる俺より力強いんだよ?!」
「鍛えてますから」
「「答えになってねぇ!!!」」
何とか曜日が一周する前に終わった。後輩の指導も大変だね全く。
ジェネラルさんは緩く読めて面白いのでおススメです。