完璧すぎて疲れる執事は勇者の末裔   作:gp真白

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北の大地の弓術師と、属性の新たな数式

 

1. 北の大地への旅

シエルとの決闘を終え、裏の執事としての執務を続ける俺に、ある日マスターが新たな課題を課した。

 

「グリム、貴方の属性矢の技術は非論理的な領域に達した。しかし、その不安定さを克服し、勇者の一族の正規の技術を学ぶ必要がある。北の大地に住む弓術の大家、ライムの元へ行くぞ」

 

マスターに連れられて辿り着いた北の大地で、俺はライムという男に出会った。彼は、極寒の地で精霊の力を操るかのような静謐なオーラを纏っていた。

 

ライムが使うのは、属性金属器のゆかけという特殊な道具だった。

 

「お前のポーションで精製する属性矢は、純度が高くなる分、重さや安定性の制御が難しいだろう。このゆかけを使った方法こそが、勇者の一族では最も有名な、属性を安定させる技術だ」

 

2. ゆかけが示す「使い勝手の良さ」

早速、俺もその属性金属器のゆかけを使わせてもらった。

 

ポーションを飲むことなく、魔力を込めるだけで炎属性の弓矢を精製し、放つ。その矢は、普通の矢と変わらない重さで、驚くほど安定していた。続けて精霊属性の矢を放つ。その矢は狙った的を貫通したと思ったら、弓矢ごと跡形もなく消えていた。おそらく、精霊の矢は魔法防御を無視する魔法攻撃に近いのだろう。

 

俺の場合、弓矢の精製自体が詠唱のようなもので、ポーションを頼らなければ属性変化や混合属性の矢の精製をすることができない。この詠唱時間と不安定さが、シエルに指摘された最大の弱点だった。

 

それに比べ、属性金属器のゆかけは、普通の矢と変わらない重さで属性を付与できるため、使い勝手が格段に良かった。

 

3. ポーションとゆかけの混合

しかし、ライムは俺にポーションを使うことを止めなかった。彼は、**「勇者の技術は、常に新しい数式を求めるべきだ」**と諭した。

 

俺は、ゆかけを装備したまま、魔力増強ポーションと火炎属性ポーションを一緒に服用し、混合矢の精製を試みた。ポーションを服用することで、ゆかけの安定性を借りつつ、魔力そのものの純度と出力量を高める。

 

そして、放った混合矢は、的に当たった瞬間に大爆発を起こした。威力が桁外れで、従来の火炎矢とは比べ物にならない。

 

火力を高めるならば、やはりポーションで精製する矢が最高効率なのだろう。だが、この混合矢の精製はゆかけの補助がなければ、到底安定させることは難しい。ゆかけは使い勝手の良さと安定性、ポーションは桁外れの火力。それぞれの強みが明確になった瞬間だった。

 

4. 天才への誓い

その日の訓練の終わり、ライムが手本を見せてくれた。彼は、平気で矢を3本同時に引いて、放った。そして、その3本の矢は、百発百中で別々の的の中心に吸い込まれた。

 

「俺は、ゆかけとポーション、両方の強みを理解し、お前を教えることができる。だが、お前の非論理的な成長が、この弓術の常識をどう塗り替えるかを楽しみにしているぞ、グリム」

 

ライムは、「3本同時引き」という芸当を平然とやってのける天才だった。

俺は、自分のポーションの力と、ゆかけの安定性を融合させ、そしていつか、あの3本同時引きの芸当が真似できるまで、この北の大地で修行をやり遂げるしかないと、静かに心に誓った。

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