完璧すぎて疲れる執事は勇者の末裔   作:gp真白

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賢者とホムンクルスの防衛線

憤怒との激突

グリムとマスターが氷の大陸へ旅立ってから数時間後、王都の東側の平原に**「憤怒」のサマエルが姿を現した**。彼の全身から噴き出す赤黒い魔力は空を覆い**、王都全体に激しいプレッシャーをかけた。

 

 

王都塔の制御室で、シエルは最終防衛ラインの演算を完了させた。その結果が、平原に展開する三人の戦線だった。

 

緑の錬金術師が最前線に立ち、精巧な天秤を空に掲げた。

 

「演算開始!生命の理、『恒久の平衡(パーマネント・バランス)』**!」

 

巨大な緑色の結界が王都を覆い、サマエルの憤怒の波動を吸収し始めた。しかし、緑の錬金術師の顔には冷や汗が滲んでいた。

 

「クソ!やはり、この憤怒の魔力は効率が悪い**!僕の生命の理でも、平衡を保つのに限界がある**!」

 

「馬鹿なことを言うんじゃない**よ、緑!」

 

クレナイが結界の内側に立ち、紅い魔力を全力で放出した。その魔力は結界の緑と混ざり合い**、防御を極限まで**「安定」**させた。

 

「情熱の理、『紅蓮の安定(クリムゾン・スタビリティ)』!お前の生命は私が絶対に燃やし続ける**!さあ、マモン王!行くよ!」

 

マモン王 vs. 憤怒:価値と破壊の衝突

マモン王はクレナイと緑の前に仁王立ちし、サマエルと対峙した。彼の巨体は純粋な武力を誇示していた。

 

サマエルは鼻で笑った。「ふん、金と富の守銭奴か。貴様の存在こそ、最も憤怒を買う****愚劣な価値だ!全て、破壊してやる**!」

 

「価値だと?俺の借りは必ず返す!その『義理』という価値を貴様の憤怒が打ち砕けるか、試してみるが**いい!」

 

サマエルの拳が唸りを上げ、王都をも砕く一撃をマモン王に叩き込んだ。王都の全ての存在を消し去ろうとする憤怒の一撃。

 

ドゴオォォン!

 

激しい衝撃波が平原を揺るがし**、緑の結界が大きく波打った**。しかし、マモン王は微動だにしない。彼の巨体には深い亀裂が走ったが、即座に黄金色の魔力が亀裂を埋めていく**。

 

「マモン王の理は**『絶対の耐久**』!自身の肉体を王都の富に例え、破壊されるたびに修復する論理だ!」緑が叫んだ。

 

サマエルの怒りは頂点に達した。「貴様のその****富と耐久が憎い!尽きることのない****価値の具現化め!永遠に怒り続けるぞ!」

 

クレナイと緑の絶妙な連携

サマエルの憤怒の魔力が急増し、緑の平衡の結界を内側から揺さぶる。結界が崩壊しかけたその瞬間**、クレナイの情熱が結界全体を覆った**。

 

「ここで潰えるんじゃないよ、緑!情熱は全ての揺らぎを焼き尽くす!」

 

クレナイの魔力は結界の不安定な部分を焼き、緑が演算する**『平衡』を強制的に維持させた。マモン王がサマエルの憤怒を引き受け**、クレナイと緑が王都を守る****鉄壁の連携が完成した。

 

「クソ…クソ…クソ!貴様らの卑しい****論理が憎い!」

 

サマエルは歯ぎしりしながら、一人では突破できない防衛線に怒りを爆発させた。

 

富と憤怒の因縁、マモンとサマエルの過去

マモン王とクレナイ、緑の錬金術師の鉄壁の防御陣は、サマエルの憤怒の猛攻を辛うじて食い止めていた。サマエルは破壊と懲罰の論理をもって結界を叩き続けるが、マモン王の耐久とクレナイの安定がそれを許さない。

 

「この…この!世界の富に巣食う****守銭奴めが!貴様の存在こそ、我々七天ホムンクルスの最も醜い****恥部だ!」サマエルは怒りに震え**、マモン王に向かって叫んだ。

 

マモン王は黄金の魔力で自身の亀裂を修復しながら、鼻で笑った。

 

「醜い?フン。相変わらず、高潔なふりをしているが、お前の憤怒はただの感情の暴走だ。価値の交換もできねぇ、非効率なだけの****無駄なエネルギーよ」

緑の錬金術師が解析を試みる。

 

「これは…ホムンクルス同士とは言え流石は七天の名を持つ者同士戦いの規模がこれまた大きい」

 

クレナイが同意するように頷いた**。「流石はビアスが作っただけの事はある。黒の錬金術師でもあるビアスは元七賢者でもありホムンクルスでもあるからこそこの世界の憎しみを罪としてホムンクルスに罰の感情を与えたのかもしれんの」

 

富の論理 vs. 憤怒の正義

マモン王はサマエルを挑発するように言った。「覚えているか、サマエル。七天の計画が始まろうとした****あの日、お前は俺に言ったな。『富は全ての災いの根源だ。貴様はいずれ**、その価値に溺れて計画を裏切る』と」

 

サマエルの憤怒の魔力がさらに強まった**。「事実だろう!貴様は己の富と支配の欲求に忠実で、ビアス様の目指す****『完全なる理**』を理解しようとしなかった。貴様の存在自体が、我々の計画における最も大きな不純物だったのだ!」

 

マモン王は拳を構えた。「フン。理屈はどうでもいい。だが、一つだけ言ってやる。お前たちの計画は価値のない****破壊にすぎない。俺の富は築く。お前の憤怒は壊す。それが俺たちの決定的な****違い**だ」

 

連携の危機と緑の焦り

二人の個人的な憎悪と論理の対立が戦場を過熱させた。サマエルの魔力が一時的に限界を超え**、連続した破壊の一撃がマモン王を打ち据えた。

 

「グッ……!チッ、こんなにも価値を無視した純粋な暴力だとは!」マモン王の巨体が数歩後退する。

 

「クレナイさん!増幅が限界です!マモンの耐久が修復を上回っている**!」緑の錬金術師の声に焦りが滲んだ。

 

クレナイは紅い魔力を歯を食いしばって放出し続けた**。「負けるものか!グリムが帰ってくるまで、この情熱は絶やしはせん**!」

 

かつては同じ目的を持ったホムンクルス同士の因縁が、王都の防衛線を最も厳しい危機へと追い込んでいた**。グリムとマスターは今、この激闘の裏で、極寒の地へ向かって**いた。

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