完璧すぎて疲れる執事は勇者の末裔   作:gp真白

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愛の砂上の楼閣と、情熱の帰還

 

氷の雪山で、マスターは全てを守る****『愛と白の理**』の障壁を展開し、黒の錬金術師****ビアスの猛攻を受けていた**。グリムはスリムを抱え、雪山の斜面を駆け下りていた。

 

愛の障壁、傾く論理

マスターの**『フラッシュラッシュ』は、ビアスの黒の魔力を激しく対消滅させ**、一瞬、ビアスの動きを止めた。その力は、スリムが予想していた以上の純粋さを持っていた。

 

しかし、ビアスはすぐに状況を分析した。

 

「フム……なるほど。消滅の理を愛の執着で無理矢理制御しているか。だが、所詮は力の扱いもろくに知らない赤子が暴走しているようなものだ」

 

ビアスは真正面からの力の衝突をやめ、周囲の環境へと黒の魔力を流し込んだ**。

 

「貴様の理は純粋でも、貴様を支える****基盤は不純物だ」

 

雪山の表面がビアスの魔力によって液体のように不安定に歪み始めた。マスターは足場を失い**、障壁の制御が乱れる。優勢だった状況は一気に傾き始め、障壁にひびが入り始めた。

 

「くっ……足場が**……!」

 

グリムの怒号と決別

その頃、グリムはスリムを抱え、必死の思いでヒョウガの街に戻っていた。街の港には、王都へ向かう****定期便の船が停泊していた。

 

グリムはスリムを降ろし、息を整えた。「スリム、ここでマスターを待つ。お前は先にあの船で王都に向かってくれ*」

「だったら、僕もここで待つよ。マスターさんが危険な目に遭っているのに」スリムはふらつきながら言った。

 

グリムはその言葉に怒鳴りつけた。「ふざけるな!**」

 

雪山の方から聞こえる****対消滅の轟音が、グリムの怒りを増幅させた。

 

「何のためにマスターが今、ビアスを引き付けてるか分からないのか**!?俺たちを逃す為に身体を張ってくれてるんだ!」

 

グリムはスリムの襟首を掴み、強い視線で見つめた**。

 

「お前は一刻も早く****王都に行ってもらう必要がある。お前の知識と理が**、これからの戦いの全てを決めるんだ**。俺もマスターが逃げて来たところで、一緒に王都を目指すつもりだ」

 

グリムは力を込めてスリムを船の方向へ押しやった。

 

「さっさと船に乗って王都に行ってくれ**、そこには俺たちの仲間がいる。あとは頼んだぞ**」

 

スリムはグリムの決意を理解し、唇を噛み締めて船へと向かった。グリムはスリムが船に乗り込んだのを確認すると、荒々しく包帯の巻かれた****左腕を握りしめ**、再び雪山の麓へと駆け出した**。マスターを見捨てる訳にはいかない。今度こそ**、一瞬の隙を作ることさえできれば**。

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