四葉の碧き猛獣   作:ビー玉

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今回、若干バトルシーンがあります。










では、どうぞ。


第6話

バカンス4日目

 

 

現在、午前10時沖縄県国防軍基地前に来ている司波夏音です。

何でこんな場所に来ているかと言うと、話の発端は朝の朝食時の時だ。

 

 

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今日の朝の天気は荒れていた、空は曇り、風が強く吹いている。

どうやら南側から、台風程ではないが強い熱帯低気圧が来ているらしい。この天気では深夜さんはあまり外に出たがらないだろう。海行くなど論外だ。

そうなれば、今日は1日フリーになる。その時は昨日思い付いた『固定』を応用した魔法に集中することができる。

昨日から徹夜して自分に魔法をかけたが、再現できたのは、喜怒哀楽の哀だけだ。次は怒の感情を再現するつもりだ。

十時間で4分の1だけ、肉体的には超再生のお陰で疲れないが、精神面では別だ。完璧に仕上げるのは1週間以上必要だろう。

「今日のご予定はどうなされますか?」

穂波さんが、深夜さんに焼きたてのパンを渡しながら聞いた。

「こんな日にショッピングも、ちょっと、ねえ?」

よし、このままなら今日はフリーになる!

「どうしようかしら?」

「そうですね・・・本日の天気や移動時間の事を考えれば、琉球舞踊の観覧が一番奥様も楽しめるでしょう」

穂波さんは壁のディスプレイを起動させる。

「衣装の着付け体験もできるそうですよ。ただ、・・・・・・この観覧は女性限定なんです」

俺と兄は男だ、当然この観覧が行われる場所には入れない。

「そう、・・・達也、夏音、あなた達2人は今日は自由にしていていいわ」

「はい」

「かしこまりました、奥様」

俺が返事のときに長台詞を言ったため、深夜さんが怪訝な顔をする、他の女性人もそうだ。だが、深夜さんは直ぐに納得したような顔をし、パンを食べた後に言った。

「確か昨日、風間大尉さんから基地の見学に誘われていたわね?いい機会だからいって来なさい、訓練にも参加させてもらえるかも知れないし」

「はい」

「かしこまりました、奥様」

俺達が返事をし、食事も終わりそうになる中、

姉が、

「あの、お母様。私も兄さんと弟に着いていってもいいでしょうか?」

と噛みながら言った。

「深雪?」

深夜さんは姉を不自然に思ったのか、首をかしげて不思議がる。

姉はその疑問にいいわけをするように言った。

「あっ、えっと、私も軍の魔法師がどのような訓練をしているのか、気になりますし、それにミストレスとして自分のガーディアンがどのくらいの実力なのかを把握しなければならないと思いますし」

「・・・・そう、感心ね」

深夜さんこの言葉に納得したのか姉の同行を許した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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こうして今日の予定が決まったのだ。

今は、防衛陸軍所属の真田さんに案内されている、ちなみに階級は中尉だ。

訓練場所についた。形は野球ドームのような形をし、上にはロープがかなり垂れている。

そこには、人がぶら下がっており一斉に魔法を使い降りていく。合計50人前後が一気に降りていく光景は何か圧倒されるものがある。

地面はある程度柔らかく作られており、少し強い勢いで落ちても大丈夫なようにはしてあるようだ。

 

 

 

 

ロープ降りの訓練が終わると次は組手、つまりは格闘技の練習だ。

正直、あまりこの組手をしている軍人達は強くなく、見ていてつまらない。おそらくここにいる兵士は皆、新兵なのだろう。新兵の魔法師でこれだけの数がいるのは流石は国境最前線なのだろう。

暫く訓練を見ていると、風間大尉が

「司波くん、見ているだけでは退屈だろう?組手に参加してみないか?」

と誘ってきた。ただ、誘われているのは兄で、俺ではない。

まあ、この中の人間の強さは50歩100歩の差であまり大きくない、俺が、組手に参加してもつまらないだろう。

それは兄にとってもそうなのか、2人を軽々と倒した後、3人目は、バカンス1日目に会った、桧垣ジョセフだ。最初は相手が魔法を使用したことによって苦戦していたが、グラム・デモリッションによって相手の体勢を崩し、そこに一撃を入れ組手が終わった。兄とジョセフが友情を育んだ後、通常の組手を再開しようとすると、

「おい風間、この人の集まりは何だ?」

「ああ、柳か、今調度部下と見学者が組手をしていたところだ」

そう言って現れたのは、身長180センチ後半の色黒でしなやかな筋肉—所謂細マッチョ—の付き方をしている。

風間大尉とタメ口で話しているところを見ると、友人関係らしい。

「ほお、じゃあ見学者の方が3連勝したのか」

「ああ、やってみるか」

「当たり前だ。・・・・・・ん?」

風間大尉と話していた柳さんがこちらを向く。

「おい、チビ。お前、あっちの奴より強いな?組手やろうぜ」

そう言っていきなり組手を始めようとする。

さっきまで近くにいた兵士達は一斉に10m程離れる、やはり俺の感じた通り、相当強いのだろう。

別にやらなくてもいいのだが、奴は俺をチビと呼んだ、それだけで受ける理由になる。それに俺はチビなんかじゃない、他人よりも成長期が来るのが遅いだけなのだ。断じてチビではない。

俺は頷き腰を落とし膝を曲げ少し前屈みになった状態で腕をブラリと下げる。

一応毎日、型の練習をしているがそれは九重八雲に教えられた型で、その前までは、構えなどとっていなかった。いや、取り方がわからなかったの方が正しいかも知れない。

とりあえず組手が始まってから少しだけ待って見たが、相手は迎撃するつもりなのか動く様子はない。

とりあえず瞬歩と持ち前の身体能力を使って後ろに回り込み首裏に手刀で攻撃する。だが、当然のように止められ、直ぐに拳が来る。この距離では地面に足が着く前に当たってしまうため、空中で体勢を変え、腕の部分を掌で足場にし、跳び、踵落としをくらわせる、が、その攻撃も勢いがつく前に足首を掴まれ投げ飛ばされる。

飛ばされた速度が速く、空中で体勢を変えられないため、前転の要領で地面を回り、着地する。だが体勢は崩したままで膝をついて、頭が下がっている。

そして、頭を上げた瞬間に相手のやや大振りの蹴りが来た。横に転がりながら避けた後、足払いをする。相手の体が浮いているところを勢いをつける溜めにもう一周し、両足の足裏で、蹴り飛ばす。

そのあとはかなり無理してさっきの蹴りをしたので俺も受け身も取れずに倒れる。

直ぐに立ち上がり相手を見るが、もう立ち上がりかけている。これで最初とほぼ同じ状態に戻った、仕切り直しだ。

さっきから攻撃をしているがやはり此方が圧倒的に不利だ。リーチと重さが違いすぎる。

こっちの攻撃は恐らく全く効いていないだろうし、こっちは一撃でも貰えばアウトだ。このままじゃじり貧になる。

そして次は相手が動き出そうとしたとき、

「そこまで!」

風間大尉の声でこの組手が終わった。

周りが唖然としている、勿論兄と姉もだ。

その後は色んな人に誉められたが、精神的に疲れ過ぎたためあまり覚えていない。

気付いたら別荘の中にいた。

 

 

バカンス4日目終了。

 

 

 

 

 

 

バカンス7日目。

 

 

この2日間は雨で特にすることもなく全員が家の中にいた、今日は晴れている。俺もこの2日間で基本的な感情の再現が出来ている。後は調整をするだけだ。

そして調度全員で昼食を食べたころにテレビで、

『東方海域から侵攻』

『宣戦布告はなし』

『潜水ミサイル艦を主兵力とする潜水艦隊による奇襲攻撃』

『現在は半浮上状態で攻撃中』

全員に緊張が走る。穂波さんはすぐに四葉の実家に連絡し、避難場所を確保する。

昨日とは違う軍の施設、防衛シェルターに案内された。風間大尉達もこの建物の上の指令室にいるらしい。

そして避難してから少しすると建物の中に発砲音が響く。どうやら銃撃戦をしているらしい、安全確保のため、深夜さんが兄を警戒にいかせた。

そしてそのすぐ後に、兵士達がきた。金城一等兵が隊長らしい。

「皆さんを地下シェルターにご案内します。ついてきてください」

「すみません、連れが1人、外の様子を見に行っておりまして、息子を見捨てて行くわけには参りませんので」

「しかし・・・・・・」

深夜さんがそう言うと、兵士達が相談をし始め、部屋に不穏な空気が流れる。

「ディック!!」

そう叫んで入ってきたジョセフに金城一等兵がいきなり発砲した。それに気づいた他の兵士がアンティナイトを使う。

そして、サイオン波の抵抗力の弱い深夜さんと穂波さんは倒れる。

それを助けようと姉が魔法を使い相手を凍らせる。慌てて俺が姉の前に入るが、遅かった。敵の発砲してきた銃弾はほとんどが俺にあたったが、そのうちの5発程が俺の後ろにいる3人に当たる。

崩れ落ちる姉を見て、俺は直感的に分かった。

姉はもう助からない。

姉は致命傷だと。

 

 

 

 




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