四葉の碧き猛獣   作:ビー玉

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今日、自分が平沢唯とロック・リーと同じ誕生日だと知りました。











では、どうぞ。


第7話

 

 

死、それは生命体の活動停止を意味している。

今目の前で、それが起こりかけている、他ならぬ自分の力不足のせいで。

 

 

 

 

 

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Side 深雪

 

流れ出す血と一緒に、命が流れていくのがわかる。

私、死んじゃうんだ・・・・・・

精神干渉系の魔法が使える魔法師に多く見られる『直感』を初めて感じながら、意識が薄れていく・・・・・・

最後に言えるとしたら一つだけ、ごめんなさい。

本当にごめんなさい、あなた達の人生を縛りつけて

ごめんなさ・・・・・

 

「深雪っ!」

 

その声とともに、兄の心が私に流れ込み、包み込んだ。

私のすべてが兄によって読み取られ、作りかえられる。

さっきまであった死の感覚が遠ざかっていく。

「深雪、大丈夫か!?」

目を開けると視界いっぱいに広がる、兄の心配そうな顔。この人のこんな感情溢れる顔は初めて見た。

「お兄様・・・・・」

無意識にこの言い方が声となって出た。違和感もなく、すんなりと頭の中に定着した。

最初からそうであったかのように。

横を見ると今にも、命の灯火が消えそうになっているお母様と桜井さん、夏音は私達の前にいるので顔は見えないが、そこから一歩も動いていない、まるで機能が停止した機械のように。服には10ヶ所以上の穴が開いている、だがそこから見える肌には傷ひとつない。お兄様が魔法を使ったのだろうか?だとしたらあの服は?

夏音の様子に疑問を覚えていると、兄はもう2人を直していた。

 

 

 

 

そのあと、すぐに風間さん達が来て、謝罪してきた。

「反逆者を出してしまったのは、完全に此方の落ち度だ。すまない。罪滅ばしにはならないだろうか、何なりと言ってくれ。出来る限りの事は叶えよう」

そう風間さんが言うと、お兄様が

「では、まずは家族をここよりも安全な場所に移してください。それと、軍の装備を一式貸してください。消耗品はお返しできませんが」

お兄様は、声を聞いただけでもわかるほどの激情を言葉の全面に押し出していた。

「やつらは深雪に手を出した、それだけでやつらが死ぬ理由としては十分すぎる」

「一人でいくつもりか」

「自分がこれからなすことは軍事行動ではありません、個人的な報復行動です。当然一人でいきます」

「駄目だ。俺も行く」

お兄様と風間さんの会話を遮ったのは、夏音だった。

ここにいる全員で否定的な態度を取る。当然だ、いくら体術が強くとも数でこられたら一瞬で殺されてしまう。

「だが・・・」

「だが、じゃない!護衛対象を守れなかったガーディアンになんの価値がある!!このままだと俺に一族の中での立場は無くなる!!だから、ここで何らかの価値を示さなければならない!」

初めて見た夏音の感情はいつも感じていた機械のような印象はなく、絶望と強い決意をもった人間の感情だった。

私は夏音の声に吃驚していたが、お兄様と桜井さんはその意味がわかるのか苦い表情をしている。

風間さんは、

「残念だが戦闘能力のない人間を戦場に連れていく事は出来ない」

「では、戦闘能力があればいいんですね?風間大尉」

「ああ、あるならば問題ない」

言外にお前には無理だと言いながら、風間さんは了承した。

「では、八門遁甲第一門、開門。開」

夏音のサイオンが急速に心臓へと集まっていく。何かの魔法だろうか、それとも体術?

風間さんはどういうものなのか知っているらしく、驚愕の表情をしている。

「第二門休門開、第三門生門開、第四門傷門開、第五門杜門開、第六門景門開!」

体から人間ではあり得ない量のサイオンが溢れだしてくる、さながら噴火のように。

「これなら、戦える」

そう言って夏音は、私たちでは視認できない速度で消えていった。

唖然としていた私たちは風間さんからの言葉で意識を戻す。

「それでは、それぞれの目的の場所に案内します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「やべえな、さっさといかないと」

そう俺は小さく呟き、全力で走る。走る、走る、走る、走る、走る、走る。

途中、他のシェルターで、倒れている執事っぽい人と、その執事に庇われたのか3人の無傷の小中学生らしき女の子の姉妹が、国防軍の服を着ている人間に連れていかれようとしていた。恐らく反逆者だろう。一旦止まり相手全員を蹴りで吹き飛ばす。キャスト・ジャミングを使っていたようだが関係ない。ちゃんと心臓や色んな内蔵が破裂した感触がしたし。

それに俺の八門遁甲は魔法式が心臓の上の胸に書いてある、演算なんて必要ない。

さっさといかないと俺の首が物理的に飛ぶ!

焦りに気を取られた俺は助けた相手も見ずに走る。

俺は後に後悔することになる。

なぜ、助けた相手をちゃんと見なかったのかと。

 

 

 

 

 

 

 

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私たちはお母様と桜井さんと共に指令室近くの部屋に来た。

そうするとお母様が唐突に、

「あなたにはそろそろ教えてあげてもいい頃かしらね」

と呟いた。

「まず、達也は、魔法師として欠陥品としては生まれました。あの子をそうしか生んであげられなかったことには責任を感じてはいるけれど、あの子がどうしようもなく欠陥品なのは事実。このモニターを見ていればわかるわ」

お母様がそう言ったためにモニターを見る、そこにはお兄様と夏音が映っていた。

モニターでは無人の荒野を進むが如く、一定の足並みで歩くお兄様と、一歩踏み込むごとに地割れを起こし、さながら猛獣のように駆けていく。

お兄様には銃弾も砲撃も届いていない。

砲塔を向けた戦車も、銃口を向けた兵士も、皆平等に消えていく。

他の兵隊さん達はそういうわけにもいかなくて、時々撃たれている人がいる。

撃たれた人にお兄様は左手を向け、何もなかったかのような状態に治す、いや、直していく。

「あの子ができるのは、情報体を分解することと情報体を元に戻すこと、この2つしか使えません。この中の魔法なら色々と使える見たいですが、結局はこの2つだけです。魔法とは情報体を改変し、事象を改変する技術です。だからあの子が使うものは正確には魔法ではありません。そんな魔法の使えない達也はこの四葉の中では生きていけない。だから私と真夜は、ある実験をすることにしました」

まさか、それって。

「人造魔法師計画、魔法師ではない人間に演算領域を植え付ける実験です。その結果あの子は1つを残し、全ての衝動を失いました。ただ、人工魔法演算領域は天然の演算領域よりも著しく劣っていたのです。だからあの子はガーディアンになったのよ」

お兄様はモニターの中で敵を次々に消していく。その顔にはなんの感情も浮かんでいない。

「あの子に残った唯一の衝動は兄弟愛」

もう、やめてください、お母様。

「妹と弟、つまりは貴女と夏音を守り、愛そうとする感情」

もう聞きたくありません。お願いします。

「それだけがあの子に残された感情なのですよ」

耳を塞ぎたかった。でも、そんなことが許されるはずがなかった。

もう聞きたくないはずなのに、聞いてしまう。聞いたらさらにショックを受けることなど、わかっているのに。

「では夏音はどうなのですか!なぜあんなに感情が薄いのですか!」

調度モニターでは夏音が映っていた。

「ああ、あの子ですか」

お母様は実の息子にはあり得ない声質で言った。

至極どうでもいいように、

「実験は最初で成功することなど殆どないのですよ?それにあの子の魔法、超速再生と固定は、どんなに頑張っても達也と深雪の劣化品、この兄弟の中では一番の不良品ですから」

つまりはお母様はこう言いたいのだろう。

この中で一番利用価値が無かったから、実験の第一号にした、と。

そのとき、私は気付いた、いや、気付いてしまった、と言うべきだろう。

その実験で感情を失ったのはお母様もなのだと。

モニターの中では、

お兄様は魔神となって戦場を歩く。

夏音は鬼神となって戦場を駆ける。

もはやただの虐殺が起こっていた。

 

 

 

 

 

 

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敵の兵が引いていく。それが目に見えてわかる。

明らかに敵の兵が少なくなっていく。そして敵の兵が100より少なくなると、ついに敵兵は降伏した。

味方の兵士が喜ぶのもつかの間、

「司令部より伝達!敵艦隊別動隊と思われる艦影が北方より接近中!僚軍の迎撃は間に合わず、20分後に敵艦砲射程内と推測!至急海岸付近より退避せよ!とのことです!」

八門遁甲により体ではなく、精神が限界を迎えつつあった、夏音は、うまく思考の働かない頭で聞いていた。

そして気が付いたら海岸に移動していた。

そしてこの場には5人しかいない。

俺、兄、風間大尉、真田中尉、そして何故か穂波さんがいる。

上空を見れば、視界いっぱいのミサイル群。

穂波さんは物理障壁を貼っているがこの数では、あまり意味がない。

—————そう言えば、パーティーや砂浜での借りをまだ返してなかったな。今のうちに1つ返しておくか。

そう心の中で呟き、胸の上にある魔法式を起動させる。この八門遁甲には、リミッターを外す以外にもいくつか魔法式が刻まれている。

そのうちの1つを使う。

「・・・・・朝孔雀」

空気を殴りつけることによって生まれた熱を、前方に飛ばす魔法だ。

飛ばした、高温で青くなった炎でミサイル群を破壊していく。

そして兄の魔法、マテリアル・バーストが発動し、爆音が轟き砲撃がやむ。そして

「まだ一艦、残っている・・・・・・!」

水蒸気によって雲っていた視界から一隻の敵艦が現れた。

兄のサイオンは、もうあまり残っていないし、他の3人は遠距離魔法が使えそうにない。

「兄」

「なんだ?」

「今から砂浜での借りを返す」

そう言い、リミッターを一気に外す。

「第八門死門開、八門遁甲の陣」

そう言って空気を蹴り、空を跳ぶ。

通常はこの死門を開けると、確実に死ぬのだが、超速再生を使い、30分までなら死門を死なずに使える。ただ、それは万全の状態での話で今の状態だと3分持てばいい方だろう。そして時間の許す限り敵艦の上で上昇をし、魔法を起動する。

残り一分半。

「レッドミーティア・・・・!!」

死門を開けることで使えるようになる魔法だ。

開発当初は夜ガイという名前だったらしい。

灰になること確定の熱を、超速再生と情報強化で耐える。

そして、夏音は赤い流星となった。

敵艦は破壊され、衝撃波が達也達の場所まで届く。

—————借りは全部、返したぞ。

海の中、薄れゆく意識の中確かに夏音は言った。

 

 

 

 

 

 

こうして歴史上初めて戦略級魔法、マテリアル・バーストとレッドミーティアが使用された。




途中の女の子はいったいダレナンデショウネ。

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