魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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第14話「私たち...入れ替わってるうぅぅぅ!?」

ナノカが離反した次の日、朝食の席ではミリアは孤立していた。

それも当然だろう...ナノカによって入れ替わりの魔法をばらされ、少女たちからは黒幕の疑いがかけられているのだ。

 

俺はそんなことはお構いなしにミリアの正面に陣取って食事を始めた。

 

周りからはひそひそと何かを話しているような気配を感じる。

 

「......えっと...ルナくん?おじさんのことは構わなくていいんだよ?これ以上おじさんと一緒にいると、ルナくんもあらぬ疑いをかけられちゃうかも...。」

「俺がどこで食事をとろうと俺の勝手だ。一人で食事をするのにうってつけな...周りから距離が離れている箇所を見つけてそこに座っただけだ。......ミリアが可哀そうで構いに来たわけじゃない。」

「あっはは...そう...だよね。ごめん......。」

「......。」

 

そうして一言も喋らず、そこで食事は終わった。

食事中、エマが「一度みんなで話し合おう」と言っていたから、脱獄に関しての話し合いをするような場面だったはずだ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「おめえは違うだろーがよ!おっさんが来てんじゃねーよ!おめえはウチたちとは違うだろ!出てけよ!」

そして、ラウンジに来てみると、ミリアがアリサに詰め寄られていた。

 

こうして見てみると...俺もミリアの立場になっていた可能性があると再認識した。

周りの少女たちとは明らかに違う...中身も見た目?も男。

脱獄に協力するでもなく、一日ずっと快適な部屋で読書をしている。

話の輪に加わるでもなく、常に孤立している。

 

そう考えてみると、やはり俺もこの場にいるのは間違いなような気がしてならない。

 

「なるほど...アリサのいうことも一理ある。」

「...天音?」

「俺はお前たちとは違う、外も中も男だ。お前たちの集まりに来るべきじゃなかったな。」

 

そう言って俺は踵を返す。

ここに残って団結式を見届けたいが、居続けると団結式に加わってしまうことになりかねない。俺は、極力壁でいたいんだ......。

 

「あっ...おい待て天音!!」

 

そう言ってアリサもついてくる。

俺はアリサを無視していつも通りの解読をしようと図書室から本を持ってくる。

 

その間、ずっとアリサは「ウチが悪かった。あんな言い方してしまって。」とか「お前だけは特別だ。あのおっさんとお前は違うんだ。」とか「なぁ...ウチのこと嫌いになってたりしないよな?」とか...最後はアリサらしくないしおらしい態度だった。

俺が何の反応もしないのを見て、アリサも次第に黙るようになっていった。

 

サンルームにたどりついてもアリサは気落ちしたままだったので、流石に声をかける。

 

「別に...お前は当たり前のことを言っただけだろ。俺が周りと明確に違うのは分かってたし...」

「でも...ウチは天音のことは...信じてるから、天音は頭になかったっていうか......」

 

その言葉に思わず吹き出してしまう

 

「な...なんだよ。なにがおかしい。」

「いやなに...アリサ。お前って人を信じやすいし、ウブだよな。」

「なっ!?おめぇ...からかってんのか?」

「違う違う....確かに、ナノカからもたらされた情報は、ミリアが怪しいと思わされる内容だった。......だけどな、俺たちは大なり小なり人に打ち明けられないもんを抱えてここに連れてこられてるんだ。もし...ミリアが入れ替わりの魔法によってトラブルに巻き込まれて...それで、その瞬間だけナノカに幻視されてたとしたら...ナノカの早とちりかもしれない。俺はミリアの普段の言動から、あいつが女の子の体を使って何か悪さしようとしていたり、俺たちを貶めようと画策してるようには見えないな。」

「......。」

「ナノカもそうだけど、ミリアも...そしてこの牢屋敷に囚われたみんなの中に黒幕がいるなんて...俺は信じられない。きっと、黒幕として行動している人がいるにしても、何かしら目的があって行動してると思うんだ...」

「...そいつは...傍迷惑な野郎だな。」

 

そして、夕食時間になるまで、アリサと解読作業の続きに取り掛かるのだった。

 

(夕食後にはエマがマーゴの部屋を訪れるイベントがあったはず。何か防ぐのにいい手段はないものだろうか...)

俺はその間、いろいろ悩んだものの、あまり良い方法とは言えないものしか思い浮かばず、その準備の為に夕食時に行動を起こすことを決めた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

夕食後、エマたちはマーゴの部屋に来ていた。

 

「あの、マーゴちゃんいる?」

「いらっしゃい。開いているからどうぞ入って。」

 

エマたちはカーテンをたくし上げ、中へと入っていった。

 

 

俺はそれを遠くからじっと見つめていた。

(結局これくらいしか対策できるアイデアが浮かばなかったな...)

俺の手の中にはマーゴの部屋にあるはずのタロットカードが握られていた。

 

 

(頼む頼むお願いしますお願いします占いイベント起きないでくれぇ〜)

俺は必死にタロットカードに祈りを捧げていた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

【桜羽エマ視点】

 

「あなたたちのことを占ってあげても良かったんだけど、前に使ってたタロットカードがどこかにいっちゃったらしくて......無くさないように机の上に置いておいたのだけれど。」

「誰かが盗んだってことですの!?」

「以前ナノカさんのリボンがレイアさんによって拾われて殺人に使用されましたけど...もしかして、今回はタロットカードで殺人が起きるんでしょうか!!」

「殺人のトリックに使うにしてはニッチすぎるよ!?」

「そうねぇ...突飛な行動をする子は結構いそうだけれども......これ以上ここで話しても意味がないわね。占いはまた今度♡」

(正直、マーゴちゃんの占いで前は不安になったから、受けれなくてよかった。)

その後は簡単な話をしてその場はお開きになった。

 

もっと脱獄について話したかったけど、まだみんな具体的なことは浮かんでなかったみたい。

 

 

 

「......でも、マーゴさんのあり方が一番正しいかもしれませんね。」

「なんのことですの?」

「ストレスがたまればたまるほど魔女化に近づく。それならストレスのない生活を送れば良い。

マーゴさんや、ルナさんを見ていると、あの人たちはありのまま自由に生きていて、魔女化しそうにないなあって思って。」

「たしかに......。」

 

ボクはシェリーちゃんの意見に納得してしまう。ボクらは常に、強いストレスを受けながら生活していて、ストレスが高まれば魔女化も進んで、魔女化が進めば進むほど、殺人衝動も高まる...そっか。

 

「ここで過ごす日数が経つほど、魔女化が進んでいる。だからナノカちゃんは、時間がないって言ってたのかもしれない......。」

「そうですね。そして殺人衝動が高まっているナノカさんが行方をくらましている。次に出てくるときは、殺人者としてかもしれませんね。」

 

その後もボクらは他愛ない会話をしながら自分の房へと戻っていった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

俺は次の日、マーゴの部屋にタロットカードを返しに行った。もちろん見つからないように細心の注意を払いながら元の机の上に戻した。

昨日の会話を聞く限り、占いキャンセルは成功したらしい。

 

そして午後、解読に使う為に別の本を持ってこようとしたときに、マーゴから声をかけられた。

 

(まさか俺がタロットカードを盗んだことがバレたんじゃ?)

 

「ねぇルナちゃん...ルナちゃんもここの蔵書の解読をしているのよね?この本はもう読んだかしら?」

 

そう言って豪華な装丁の分厚い本...大魔女とサバトの儀式について書かれていた本を示してきた。なんだ...タロット盗みがばれたわけじゃないんだな。

 

俺はマーゴがその本の解読をしてもらうために、初日にその本を見つけ、手を付けないで置いた。予定通りマーゴが興味を示してくれたみたいで良かった。

 

「いや、その本自体には興味はあったけど...文字を読めるようになってから挑戦しようかと思ってな。」

「そう...もうちょっとでエマちゃんたちが来るから、その時にこの本を一緒に見てくれる?ルナちゃんがある程度読めたらもう少し面白い内容があるかもしれないわね。」

「...分かった。少し付き合ってやる。」

 

(今日は特に誰かと会う予定を立ててるわけじゃないし、何か原作のイベントが進む描写もなかったし、別にいっか。)

 

そしてエマたちが合流する。

「マーゴちゃん、今日はなんで図書館に......?...あっ、ルナちゃんもいるんだね。」

「ウフフ、今日は彼にも手伝ってもらう予定よ......。図書館の本を調べてまわったのだけれど、興味深いものを見つけたの。彼は図書館の本の解読作業をしていたみたいだから、損はさせないわ。」

「まぁ...危険性はなさそうだしな。俺も少し気になる。」

 

マーゴは予め用意していた分厚い装丁の本を取り出す。

 

「この本には、魔女のことが記されているの。今のところ、この本以外で魔女のことを記した本は、私は見つけられてないわ。ルナちゃんの方はどう?」

「俺もとくには。単語単位で一部解読が出来ているけど、魔女について書かれてそうなものはないな。」

「ほうほう、どれどれ~。」

 

そう言ってシェリーは本を開き適当にページをペラペラめくる。

ハンナは慌てたようにシェリーの行動を止めにかかる。

 

「あっ、あなた乱暴に扱わないでくださいまし!?本が破壊されてしまいますわ!?」

「......私のことなんだと思ってるんです?それにしてもこの本、私には読めないみたいです。」

 

その言葉につられるようにエマは本を覗き込む。

 

「ふふ。どう?不思議な文字でしょう?」

「マーゴちゃん、まさか解読できるの!?」

「いいえ、できないわ。ルナちゃんはどう?」

「まぁ...おそらくこの島のみの独自言語だろうな。ラテン語に似ているけど、ラテン語の表現ではありえない箇所もいくつかある。」

「ルナちゃんは読めるの!?」

 

エマが驚いたようにこちらを見てくる。

俺はその言葉に対して肩をすくめた。

 

「少しだけな。ただ、確定していない情報だから、お披露目はまた今度......」

 

そう言ってひとさし指を自分の口に当ててウインクする。姉ちゃんがよく俺に得意げにしていた時にやっていた癖だ。

 

「......うっ...。」

「......あなた本当に刺されるわよ?」

「たらしこむのがお上手ですね~。」

 

え?俺の姉ちゃんって周りからそんな印象持たれてたの!?

そ...それはともかく。

 

「...ごほん。...この本は特に図解が多いな。」

「そうでしょう?だから魔女について書かれているって分かったのよ。ほら、この絵を見て。これなんかは私たちの魔法について描かれてるんじゃないかしら?」

「あ!本当です!この絵の女の子、ちょっと浮いてる!」

「興味深いでしょう?私たちの魔法がどう進化するか読み解けるわ。」

「この本の情報が正しければ......わたくしの魔法は強くなったらもっと上空を飛べますわ!」

 

そこからは原作の流れと同じだった。原作が目の前で起きていることに内心とても感動していた。

 

 

「文字さえ解読できたら...ルナちゃん。ここで急に読めたりしない?」

「無茶ぶりをするな。今読んでもこの本を占有するし、この本の解読は後でにするよ。それまでマーゴたちで読んでくれ。」

 

おれが原作に出ていた本を原作キャラ差し置いて読みふけるとかありえない。

 

”原作なんて気にせずみんなと関わればいいのに...その方が楽しいですよ”

 

うるせえ、俺は壁になって原作キャラの絡みを見るんだ。




次回更新は11月10日になります。


ハーメルンにてまのさばオリ主モノが増えてきましたね。読んでて大変面白いものがたくさんあるわけですが、一つ懸念点があるとすれば、ルナたその能力をさっさと開示しないといずれ誰かの作品の第1話目とかで能力被りが発生しそうで怖くて怖くて。

主人公の能力開示は何話目とはまだ言えませんが(というかそのあたりの話はまだ書いてない)、今のペースだと12月中旬くらいに主人公の能力開示がなされるんじゃないかなぁと。



頼む...誰も【???】の魔法でオリ主モノを書かないでくれ......。
(身勝手な願い)
(だったらはよ更新ペース上げろ)
(はよさっさと主人公の能力開示しろ)



それと、今回から次回タイトルだけでも開示していきたいなと。いつ失踪するのか分からない本作ではありますが、タイトルを見て次回までドキドキしてもらえたらなと。
てことで

次回
第15話「鉱山にはカナリアを連れてくらしいよ?」
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