魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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連続投稿です。
1話だけ見ても、切るかどうか判断を迷っている人に悲報なのか朗報なのか判別のつかない情報を与えます。


第一裁判終了まで執筆は進めてます。


これからは隔日投稿になりますが、第一裁判まではストックがあるので、それまでは楽しめると思います。


第2話「原作介入とか誰の許しを得て行っている」

 

その後、ゴクチョーの放送が終わった後、俺たちはラウンジに集められた。

道中は特に会話することもなく、みんながみんなを警戒しながらだったので特に会話は起きなかった。

俺はその間、ひたすら黒部ナノカに不用意でも触れられないよう距離を空けつつ移動していた。

 

何故なら、彼女は「幻視」の魔法を持つ。

 

幻視は、触れた相手の過去や未来の情報を得るというもの。これがこの世界の過去で完結するならまだしも、前世の魂まで読み取られたらこの先の流れが全てパーになってしまう。

それに、ただ触れただけでも俺が男だと黒部ナノカからバレてしまう。佐伯ミリアの幻視でさえ、おじさんが乗っ取った極悪人と決めつけていたのだ。男子がいると告発されて黒幕認定されてはたまったものではない。

 

ただ、一方。沢渡ココへの対応を俺は決めあぐねていた。

沢渡ココについては、「千里眼」という、沢渡ココの配信や写真を見ていると、彼女は俯瞰的に状況を見る事ができるという魔法だ。

魔女化した「千里眼」は第四の壁を超えてプレイヤーを認識していたような描写もあるし、最後のシーンに至っては魔女化せずともプレイヤーに証拠を提出させるシーンがあった。

 

ただ、今は俺そのものは原作の中にいるとして割り切り、そのあたりは俺らを神の視点から見ているプレイヤーに任せることにした。

道中、二階堂ヒロが桜羽エマを突き飛ばすのを一瞬見たため、今は1周目に相当するようだ。

そして、ラウンジに全員が入った後、俺はいそいそと黒部ナノカとは正反対の方にある壁についた。

 

(絶対に触れられる訳にはいかない。俺はただの空気と化すんだ。)

 

そう思ってると、近くにやたらカラフルな女の子が寄ってきた。

 

「ふんふんふーん。ふんふんふーん。」

 

城ケ崎ノアだ。彼女は俺の近くの調度品に興味があるのかペタペタと触っている。

 

「?……ふんふんふーん。ふんふんふーん。」

 

そして、こちらを見て首を傾げた後、すぐそばまでよってきてはトレンチコートをめくったり、流してたマフラーの先端を触ったりしていた。

(…別に、無理やりマフラーを取ろうとしてないし、元より城ケ崎ノアの行動を予測することは無理だ。俺が男子である秘密を守るくらいでいいだろう。)

 

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

「えーと、そこのトレンチコートの君。」

 

そして、しばらく蓮見レイアの演説と周りの自己紹介を聞き流していると、どうやら自分の番になったようだ。

相変わらず顔がいいなこいつ…。

 

「……何?」

 

努めて機嫌が良くないという雰囲気を出して返事をした。

ここで心象を悪くしておけば、「あいつと喋っても感じ悪くね?」となり話の輪に加わる確率が低くなって、百合を見つめる壁になれるという目論みだ。

 

レイアは少し気押されたものの、気合を入れて聞いてきた。

 

「君の名前を、教えてくれないかな。」

 

「…ルナ。天音ルナだ。天音でもルナでも呼びやすいように。」

 

努めて声量を少なく、それでいて全員に聞こえる程度の声で返事をした。

 

「ルナくんか。いい名前だね。」

 

君付けされ、バレたかとドキッとする。

 

 

大丈夫だ。彼女のこれは誰にでも付ける癖みたいなものだ。

 

「自己紹介は済んだ。もういいんじゃないか?」

「あははは…」

 

流石にレイアも苦笑いを浮かべる。

 

「えと、気を取り直して…最後に君の名前を聞いていいかな?」

 

そう言って蓮見レイアは俺のすぐ横に目線を合わせる。

最後に自己紹介していなかった子。城ケ崎ノアは、まだ俺の近くから離れていなかった。

 

「ん?名前?…のあはのあだよ。んーと、城ケ崎ノア。」

「そうか!…ルナくん、よく懐かれているね?」

 

そう言って俺に話を振ってくるレイア。

 

「俺にもさっぱりだ。」

 

そういってやれやれと首を横に振った。

その間にもノアはトレンチコートに潜り込もうとしたり、ズボンの裾を引っ張ったりとやりたい放題だった。

 

(懐かれる理由は全くないはず。下手に拒否すれば変に注目されてしまう。ここは静かに時間が過ぎるのを待つか。)

 

そう思い、また目を瞑る。

レイアというと、中央に戻って演説を続けている。

 

「全員の名前が知れて何よりだよ。ここにいる意味は…」

 

それを聞いて否応なしに原作が始まってしまったと痛感する。これから起きることに、俺がいることで発生するイレギュラーがどこまで及んでいるか考えを巡らす。

 

まず、ノアはこちらに興味があるのかひっきりなしに服の装飾にちょっかいをかけている。

その他のみんなは思い思いに過ごしているが、マーゴだけはこちらを見定めるかのようにじっと見つめてきている。

そうやって他の人たちの動向を確認しているところに、バサバサと羽ばたきの音が聞こえてきた。

 

「あっ……人がいっぱい……。えっと、改めまして、……この屋敷で管理を任されているかわいいフクロウ、ゴクチョーと申します……

定時とかもあるので……さっさと説明していきますね……

あっと……すごく申し上げにくいんですが……皆さんは魔女になる因子を持っています。」

 

そこまで聞いたところで、俄かに周りがざわめきだす。

俺はというと、目を抑えながら天を仰いだ。

 

(魔女になる因子を持ってるのは知ってるけど、よりによって男子をここに置いとくのかよ。)

 

そしてゴクチョーの説明が続けられる中、色々とやりたいこととやるべき事が整理出来つつあった。

 

・まず一つ。原作介入はなるべくしない

殺人事件も魔女裁判も痛ましい出来事ではあるものの、それは魔女因子による憎悪や殺意の増幅によるものがほとんどを占める。目の前の出来事を防いでも、また別の殺人事件が引き起こされることは想像に難くない。

むしろ、原作に介入することにより未来が変わり、自身が知るハッピーエンドの未来が訪れない可能性がある為、最終的に全員を救うためには殺人事件や魔女裁判を含め、原作の流れを踏襲しなければならない。

 

・次に、黒部ナノカに触られないように立ち回る。

先ほども述べたが、黒部ナノカは【幻視】。

正直最終章で全部が明らかにされる可能性があるため、無駄な努力になるかもしれないが、それでも遡れるのは肉体に刻まれた記憶までと仮定しないと原作の流れに沿うなど夢のまた夢だ。

幸いにも、今世の記憶でやましいことは少なく、探られてもお涙頂戴展開しかない為、そこは無視できる。ただ、目下問題なのが、記憶を探られると俺が男だとバレてしまうことだ。彼女たちのストレスを上げないために是が非でもそれは避けなければならない。

 

・最後に、原作同様の殺人事件が発生する際は、確実なアリバイを用意する。

正確な日時は不明な為、そこはフィーリングに頼る他ないが、アリバイがないとそれだけで犯人扱いからの吊り対象となる可能性があるのだ。

途中でリタイアするなら潔く諦めるし、何なら3章目以外は惰性で進めてもいいのだが、章ごとの結末は見届けたいというのは、まのさばファンとしてやりたいことの一つに数えられる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

しばらくゴクチョーの説明が続いた時、そこに割り込むように声を上げる人物がいた。

 

「この世界を正すことができるのは、私だけだ。私はこの世の悪を排す。まずは…」

 

そう二階堂ヒロの声が聞こえた。そのままでも原作は進むが、何にもしないというのも目覚めが悪い。

せめてもの抵抗としてアンアンとノアの目を塞ぎ、惨劇を直接目にしないように行動する。

 

 

「…な、なんだ?……わがはいに…何かようか?」

 

アンアンのそばまで歩き、その目を塞ぐ。ついでに着いてきていたノアの目も塞ぐ。

 

「わぁ。…何も見えない」

「…な、何をする。て、【手を離せ!】。や、止めるのだ!!」

 

アンアンの魔法が発動する。それになんとか対抗して目を塞ぎ続ける。

 

「…っ!……嫌な予感がする。君たちが見ない方がいい出来事がきっと起こる」

 

そう言った束の間、ヒロが火かき棒を持って看守に殴りかかり始める。

 

「悪は死ね!死ね死ね死ね!」

 

距離は十分離れているが、それでも同じ部屋で起きている音は防ぎようがない。二人の耳にも惨劇の音が聞こえる。 

 

「「ひぃっ」」

 

ノアとアンアンは怯えた声を出す。

俺はそのままノアとアンアンの目を塞ぎ続ける。

さらなる惨劇がすぐ後に起こった。

 

ザシュッ

 

ヒロの首が跳ね飛ばされた音だった。

しばらく無音が続いた後、ドサリとヒロだったものが倒れた音がした。

 

「キャアアアァァァァ!!!」

 

ハンナの絶叫が部屋に響き渡る。

目を塞がれている二人は顔を青ざめたまま俺の腰にしがみついてくる。

 

(分かってたとはいえ、人死にを見るのはかなり辛いな…)

 

そして、ゴクチョーは語り出す。

 

「うわ〜……死んじゃいましたね。掃除しなきゃ。

ああでも、魔女はこんな事じゃ死なないので、彼女は魔女じゃないと証明されたことになりますね。

やれやれ……よかったですね。」

 

その言葉に対して信じられないものを見るかのようにゴクチョーを見る面々。

 

(知っていたとはいえ、まるで殺した家畜がウイルスにかかっていなかったかのような言動だな。殺せなかったら魔女。殺せたら魔女じゃない。全く、魔女裁判とはよく言ったものだ。)

 

俺もゴクチョーをマジマジと見つめ続ける。依然として死体はそこにあるため、ノアとアンアンの目を塞いだままだ。

 

「あ、あと何個もすみません。最後に、みなさんに、もっとも大切なことを伝えておきます。

魔女になりつつあるものは、抑えきれない殺意や妄想につかれてしまいます。

面倒なことに、いずれ囚人間で殺人事件が起こるんですよ。」

 

「殺人事件っ!?」

 

シェリーが嬉しそうに声を上げる。

その言葉に俺も嫌なものを見る目でシェリーを見る。

ゴクチョーはその言葉に説明を続けた。

 

「そうなんですよ……毎度のことなんですよねぇ……流石にそんな危険人物とは一緒に生活できませんよねぇ。

というわけで殺人事件が起こり次第、【魔女裁判】を開廷します。

【魔女】になった囚人は…あのー……処刑しますので……。

詳しくは、魔女図鑑をご覧ください。では、私はこれにて……。」

 

そう言ってゴクチョーは通気口に羽ばたいていった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

 

 

その後、しばらく看守は二階堂ヒロの死体を片付けていた。

紫藤アリサは途中で逃げ出し、それに反応した看守に襲われかけた。そこにレイアが割って入った。

 

「待ちたまえ!」

 

そうして腰のレイピアを抜き、看守と対峙する。

 

「彼女に手を出すな!これ以上の悲劇は起こさせない!」

 

そこで俺は、この後のエマの行動を注意深く観察した。

(バッドエンドは、ここでエマがレイアを庇うと発生する。見守るのが正解のルートだ。この世界のエマがどっちの行動をするかで、俺の今後が大体決まる。

アリバイを作り出す程度で、全く原作に介入しないか、それともバッドエンドを防ぐために、記憶の限りあらゆる選択肢をフォローするか。)

 

エマは...

 

 

 

唐突にレイアと看守の間に向けて走り出した。

 

(馬鹿野郎が!!)

 

俺はその場から走り出し、急いでエマの首根っこを掴む。

 

「ぐぇっ!…」

「素人が!死体を更に増やす気か!?」

「だ、だって!!」

「よく見てみろ!」

 

そう言ってレイアの方に目線を向けさせる。

レイアは華麗な身のこなしで看守の鎌を避けてみせた。

看守も牽制程度だったらしく、追撃を入れる様子は見られなかった。

 

「さっきまでの自己紹介を聞いてなかったのか!?彼女は有名芸能人だ。あの程度の身のこなしはライブで日常的にやっている。」

「う、うん。ごめん……」

 

そう言って俺はエマを説得する。このまま傍観していたらバッドエンド直行だった。

 

(最悪を想定して立ち回らないといけない。最悪、エマを含め、全ての囚人が日常に潜む選択肢でバッドエンドを選択してしまう可能性を。)

 

それを俺が全てフォロー?

 

できらぁ!

いちファンとして何回も周回したゲームの選択を俺が全てフォローしてみせる!

 

そう心に決意した。

 

「…うわぁ。…すっごいことになってる……。」

「血が……血がこんなに……うっ…うぇ…」

 

手を退けてしまったことにより2名ほど惨劇を目撃してしまうのだった。

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