魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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皆様、お待たせいたしました。

お待たせしすぎてしまったのかもしれません。

お待たせしてなかったのかもしれません。


本編どうぞ


第20話「爆発オチなんてサイテー!」

起きると、そこは牢屋敷の玄関前だった。

今日は誰も外に出ていないのか...人の気配は皆無だった。

 

”うふふ......今日は一段と気分が良いわ。なんでかしらね......。”

 

知らねえよこの愉悦部。

 

”あなたが原作だと知っているものには、さっきのイベントはあったのかしら?”

 

あるわけねえだろ。もしあったらそれはもう俺の知らない物語だ。

 

”じゃあ、あなたが拘っている原作には戻れないのかしら。”

 

ナノカが言いふらすような性格をしていたら、戻れなかっただろうな。でも......ナノカは黒幕を突き止める為に単独で動いているからエマたちに情報がもたらされることはないはずだ。

 

”それって......もしもの話よね?もしかしたら、ナノカちゃんの気が変わっちゃうかも......それどころか、あなたは黒幕が誰かを知りながら何も動こうとしていないから、黒幕に復讐を企てているナノカちゃんに殺されてしまうんじゃないかしら?黒幕を陰から支援している共犯者...として。”

 

そうなったら......もう俺はこの世界を含めて、物語には余分だったと地獄で後悔し続けるよ。どちらにしろ、この周は予定通りであれば俺を含めて全人類が死んでしまうのだし。

 

”あら......そろそろ時間ね。もう少し魔女化してくれれば、会話も長くできるのだけれど......早く魔女になってくれないかしら?”

 

黙って消えてろ。俺は魔女になんかならねえ。

 

 

 

俺は天の声に悪態をついた後、気持ちを落ち着ける為に日課の解読を進めることにした。ただ、今読んでいる本がある程度解読を終えているため、図書館に新しい本がないか探しにいった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

図書館に着くと、そこにはマーゴ一人がもくもくと本を読んでいた。

俺はそれを無視して本を選んでいく。

 

 

「......?」

 

ふと、気になるタイトルがあった

 

【???】と【未来視】の大魔女 そして【■■■】

 

 

俺は、そのタイトルがとてつもなく気になった。

【???】は間違いなく、俺の魔法だ。それに【未来視】は姉が持っていた魔法だ。その隣に記載されている文字はこれまで一度たりとも見たことがない文字だった。

 

俺はその本を手に取り、マーゴに尋ねる。

 

「なあ、マーゴ。この本は読んだことがあるか?」

「...なぁにルナちゃん?......その本はまだ読んだことがないわね。」

「これから読む予定は?」

「ないわね。」

「じゃあしばらくこの本借りてくよ。何かわかったらお前にも伝える。」

「そう......ありがと」

 

 

なんだか素っ気ない態度だった。そう思っていると、マーゴから声を掛けられる。

 

「ねぇルナちゃん......あなたは絆って信じてる?」

「絆?」

「ええ......この牢屋敷にいてしばらく経つけど、みんな仲良くなったと思ったら、魔女による殺意で誰かを殺しちゃう。それなら......この牢屋敷にいて、絆なんて無いも同然じゃないかしら?」

 

あぁ~。そういえば、エマが今日の朝に脱獄の為に協力し合おうと声をかけて、結局みんなエマを突き放したイベントがあったんだったか。

 

きっと...マーゴはエマを突き放したのを多少なりとも気にしているのか......。そりゃそうだよな。詐欺師として活躍していたっていっても、まだ15歳の女の子なんだもんな。

 

「この牢屋敷に限って言えば......絆なんてものは無いに等しいけれど。それでも、周りと一緒に楽しいことをしたい奴が一人で鬱屈とするより、同じ仲間で楽しいことをしていた方が魔女にならずに済む。その楽しい輪が、この牢屋敷だと絆......と言えなくもないものなんじゃないか?」

「......そう。」

「まぁ......俺みたいな一人で過ごしたい奴が無理に周りと合わせようとしてストレスになって魔女化する例もあるかもしれないがな......。」

「ウフフ......そういうことにしといてあげる。」

「じゃ......俺はもう行くから。」

 

 

そう言ってマーゴと別れる。

 

 

絆......か。2周目ヒロが「絆は毒だ」と言っていたが、今の俺にピッタリだと思う。

俺はみんなのことを一歩引いてみてる。それはみんなを守りたいという気持ちだと思っていたけれど......踏み込みたくないという気持ちなのかもしれないな。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

本の解読は、かなりの時間を要している。

 

そもそも今まで見たこともないような固有名詞がたくさんあるというのもあるが......。

 

 

ザクッ......ザクッ......。

 

「はぁ、はぁ.....。」

 

エマが熱で倒れてから、ある場所を掘り続けているからだ。

 

俺はこのバッドエンドはよく知っている。

(なんだよ爆発オチって。爆弾なんて誰が用意したんだよ。)

 

俺はエマが爆弾を掘り当てる可能性を考慮して、こうしてエマに出来るだけ近く、それでいて気付かない位置で常に待機している。

 

 

カチンッ

 

 

俺はこの音を聞いて、すぐに飛び出した。

 

しかし、少し出遅れたのか、エマがそれを取り出そうとしているのが見えた。

 

(間に合え間に合え間に合え間に合え!!!)

 

俺は無我夢中でエマにとびかかり、全身を使ってその場を離れる。

 

「ぐぇっ......。」

 

そして、エマの全身を覆うように体を抱きしめる。

 

「ちょ......ちょっとルナちゃん!?!?」

 

 

その直後......。

 

ドゴーンッ!!

 

地を揺らすほどの轟音が轟いた。

 

エマが掘っていた穴が、下半身を優に埋めるくらいの穴だったおかげで、その穴の中で衝撃が轟いた。おかげで穴の外への影響はそこまで大きいものじゃなかった。

 

腕の中でエマが「ひぃっ!!」と恐怖にひきつった声を上げる。

 

 

「良かった......良かった......。」

 

俺は安堵したまま、エマの背中をなで続ける。

ここでエマが死んでしまったら、全員助かる3周目の道が閉ざされるところだった。本当に良かった。

 

 

「え...えと......ルナちゃん。もう離して大丈夫だから。」

「ああ...悪い。」

 

 

そうして俺はエマから離れる。

 

「ところで、どうしてここに?さっきまで気配も何も感じなかったのに。」

「少し嫌な予感がしてな。未来予知が発動したんだ。......気配を感じなかったのは、お前が肉体的に弱ってるからじゃないか?最近熱を出してたろ?」

「そっか......そうかも。」

「もう死の危険はなくなったからな。俺は行くよ。危険はないから安心してくれ。手伝いたいのは山々だが、俺の方もやることがあるから。」

「えっ......ま、待ってよ。」

 

俺はその声に構わずその場を後にする。これ以上エマに関わると......俺の原作踏襲ルートに迷いが生まれてしまう。なんてったってあれは......最終的にエマに全人類の殺害を唆すんだから。

 

 

他に気になるバッドエンドは......シェリハンバッドエンドか......。あれは本当にバッドエンドなんだろうか?でもシェリハンがいないと3周目のシェリー魔女化が無理ゲーになるからな......謎であっても防がないと。

 

俺はまた本の解読に戻るのであった。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

それから数日。解読に集中することが出来たおかげでおよそ大体の内容を理解することが出来た。

 

 

出来てしまった。

 

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!」

 

 

無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった無駄だった

 

 

 

俺は解読した本をビリビリに破り捨て、壁に頭を打ちつける。

 

全ての常識が足元からガラガラと崩れ落ちていくような感覚だった。

 

俺の今までやってきたことは全て無駄だった。

 

俺がやってきたことはただの張りぼてだった。

 

俺の信じた道...その全てが嘘偽りであるのなら......俺は何のためにヒロやノア。レイアにミリア、アンアンを見殺しにしてきたのか。なんのために黒幕のメルルを野放しにしてきたのか。

 

 

何のために、諦観した感情のまま......1周目だからと自分の命すら捨てる覚悟で物語通りにしようと奮闘していたのか。

 

 

何のための......原作知識なのか。

 

そんな考えで仲良くなった子たちを見殺しにしてきた俺は醜悪な化け物......魔女なんじゃないのか?

 

 

そんな奴はこの世に存在していいのか?

 

 

良いわけがない。

 

 

 

そんな存在は最初から消えるべきだ。

 

 

 

 

 

消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ

 

 

”あははははハハハハハハ!!”

 

「お、おま......お前ええええぇぇぇぇぇ!!!!」

 

”だからいったじゃない。原作なんて関係ないって。ここはあなたが生きている世界だって。”

 

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!

 

なんどもなんども頭をうちつけ、ついには血が噴き出してぶつけた個所に鈍痛が走る。それでも俺はやめなかった。やめられなかった。

 

「ル...ルナさん!?!?」

 

誰かの声が聞こえた気がした。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

【氷上メルル視点】

 

エマさんの体調がなかなか戻らず、以前サンルームに置いたハーブの中に解熱に効果があるものがあったと思い出し、サンルームに来ていました。

今日はここにルナさんが来ているのは確認していましたから、ルナさんから許可をもらってそのハーブをいただくつもりです。

 

サンルームに着くと、何やら硬い物をぶつける音。そして......ルナさんの絶叫が聞こえてきました。

 

「......るさいうるさいうるさい!!!!!!」

「ル...ルナさん!?!?」

 

そこには、絶叫しながら何度も壁に頭を打ち付けているルナさんがいました。壁には血が付着して、ルナさんの額からもとめどない血が流れています。

私は無我夢中でルナさんを止めようと羽交い絞めしました。

 

「ルナさん!!もうやめてください!!!!」

「......メ...メルル...か。」

 

そういう彼の顔は......まるで今まで信じていた神に裏切られたかのような......これから何を信じていけばいいのか分からないような......迷子の顔をしていたように思います。

 

「メルルぅ......。」

 

そう言ったっきり、彼は気を失ってしまいました。

 

一体何があったのか周りを見てみると、散乱した花瓶や植木鉢の中に、ビリビリに破り捨てられた本が一冊そこにはありました。

私は能力でその本を直して懐にしまい、彼の傷を止血程度に治し、医務室へと運びました。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

【氷上メルル視点】

 

医務室は......とても静かなものでした。最近のエマさんは医務室と自身の監房を行ったり来たりで、今日は自身の監房で過ごすとのことでした。

 

彼をベッドに横たえさせ、目を覚ますのを待ちます。

 

「......ん......ここ、は。」

 

それから数時間すると、彼が目を覚ましました。それでも瞳はどこか虚ろのままでした。私はできるだけ優しく声をかけます。

 

「お目覚めになられましたか。お体の具合はどうですか?」

「......あぁ、メルルか。悪い......世話をかけたな。体のほうは何とも......。」

 

なおも彼の表情は虚ろのままです。殺人事件が起きようとも、処刑が起きようとも彼は苦しい表情を見せることはありましたが、こんな表情は今まで一度たりとも見る機会はありませんでした。

私は意を決して彼に聞きます。

 

「すみません。言いたくなければ言わなくて大丈夫です。あの時、何があったんですか?」

「えと......それは......その。」

 

彼は言うのをためらった様子を見せます。当然です。あんなに錯乱していたのですから......もしかしたら、私でも把握していない彼の禁忌に触れられるチャンスかもしれません。ですが......返答は違ったものでした。

 

「もう......俺一人では抱えきれないのかもしれない......でも......これを聞いたら、メルルは俺のことを殺すかもしれない......。」

「......え?」

 

もしかして......あの本には、私と大魔女様について記されている書物だったのでしょうか?

 

それにしては......様子がおかしかったような。普通、私と大魔女様のことが記されていれば......私から離れるはずです。人は、黒幕の私の近くにはいたくありませんから。あの念写の魔法を持つあの子だって、私と大魔女様。そしてゴクチョーの写った写真を私に突きつけたとき、その写真をもらおうとしたら逃げ出したのですから。私は看守に命令して彼女を殺して、血に塗れたその写真に魔法を使ってきれいにして、今も肌身離さず持ち歩いています。

 

でも、彼の表情は......なんというか......すがるようなものを感じます。

 

 

「でももう......メルルに殺されてしまった方が......楽なのかもしれないな......。」

 

そして、彼の口から語られる内容は......およそ普通の人が持つべきではない業。そして、とある大魔女が残した原罪のお話でした。




次回更新は11月22日になります。

楽しくなってきましたね。

次回
第21話「もうなにもみたくない」

1周目終了後に書く話

  • もう我慢できん!早く2周目に行け!
  • 1周目のIF世界線(ダイジェスト気味)
  • 姉が牢屋敷に行った世界線(1周目準拠)
  • ルナの処刑シーン
  • ルナの中学時代
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