魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
独自設定が解釈違いやそういった独自設定そのものが嫌いな方はブラウザバッグしてください。
それでは本編どうぞ。
【氷上メルル視点】
「なぁ......メルル。......前世ってものを、信じるか?」
「はい?...ぜ、前世......ですか?」
「あぁ。前に生きていた記憶を引き継いで生まれてくることだ。人生2周目と捉えていい。」
「信じるかどうかは分かりませんが、前の人生が無念の死であれば...とっても素敵だと思います。」
私はこの島で人間によって命を落としていった大魔女様たちを思い浮かべながら彼に答えました。
「素敵なものなんかじゃねえよ。まあいい。とにかく、俺は......前世の記憶を持って生まれた人間だったんだ。」
「え!?」
「それにな......俺はその前世の世界で、この世界のことを物語として予め知っていたんだ。」
「はいいいい!?!?」
彼から告げられたものは、おおよそ理解に苦しむような内容でした。
「だから......お前がこの牢屋敷の管理者側だということも......そして、お前がなんでみんなを集めたのかも......そして、この先の出来事も全て知っているんだ。」
「そ......そんな。」
でも......そう考えれば、彼の行動はいくつか辻褄があうのも確かです。最初に取り乱したりせずに、ゴクチョーの牢屋敷の説明にも一切の反応を示さなかったこと......ヒロさんが暴れ出した時にアンアンさんとノアさんの視界を塞いだこと......その後すぐにエマさんがレイアさんと看守の間に割って入ろうとしたのを止めたこと......これらがもし......物語に直結するのであれば、予め知っていれば動けたことは確かです。
あれ?でも......。
「すみません......お聞きしますが、その物語は......あなたはいらっしゃいましたか?」
「俺の知っている物語には......俺はいなかった。」
「ですよね!......当初の予定としては、あなたではなく、あなたのお姉さん。天音ソレイユさんがここに来るはずだったんですから......。あなたはお姉さんの代わりを務めていたんですね!!」
そうです。彼には双子の姉......【未来視】の魔法を持つ天音ソレイユさんが、私と同室になる予定だったのですから。
「いや......俺の知っている物語には......俺の姉......ソレイユも、いなかった。」
「......え?」
それは......それはおかしいことです。だって、彼の姉が収監されるのはほぼ決まった話だったのですから。それはありえないことです。
「俺も......俺の姉も......もしかしたら、俺の一族全員が......俺の知る物語には最初からいなかったはずなんだ。」
「......どういうことですか?」
「図書館の本に......気になる本があったんだ。」
「えっと......これですか?」
そう言って、懐にしまっていた一冊の本を取り出す。
「ひぃっ......!!!」
「あ...ごめんなさい。怖がらせるつもりじゃなかったんです。」
「あっ......悪い...その本で......合っている。読めないようにボロボロにしたのに元に戻ってる。お前の魔法で直したのか。」
「それもご存じなのですね。」
本が直ってることに一瞬驚いた様子を見せるものの......彼は私の魔法だと瞬時に理解した様子でした。
「ああ......その本のタイトルは......【???】と【未来視】の大魔女 そして【転生者】」
「転...生...者??」
「ああ......どの本にも使われなかった単語だったけど、それさえ読めれば後はスムーズに読むことが出来た。」
「......何が......書いてあったのですか?」
私は......いよいよ彼の禁忌に踏み込みます。なぜ彼があんなにも錯乱していたのか......どうして、かなりのストレスを受けているにも関わらず、魔女化の兆候を見せないのか。
☆☆☆☆☆☆☆☆
その島で、私たち大魔女や魔女のみんなは幸せに暮らしていました。
時々、外の世界から人間がやってくるけれど......私たちは上位の存在だから、魔法を扱えない人間のことは見守るべきだと判断して、人間のことを見守り続けていました。
ある日、島に人間の男が一人、上陸してきました。彼は自身のことを【転生者】と名乗っていました。
「まのさば前日譚の.......監獄島じゃない、魔女の島に来れたのはラッキーだったな。原作のエマとかシェリハンとかの絡みは見れないのは残念だけど、メルルとかユキとかいるかな~?」
「そこの者......何をしにこの島に来られたのですか?今日は特に誰か来るような予定は立てられていなかったように思いますが。」
「おっ!ナマ魔女はっけーん。お~い!ちょっとお話いいか~い?」
「......???」
彼は軽薄そうに笑いながら......私たちと積極的に交流していきました。
彼は数日間滞在し続けました。彼からもたらされた歌や踊り......物語の数々は、すぐに私たちの間に浸透していきました。
特に彼と仲が良かったのが、【???】と【未来視】の魔法を持つ......傍観の大魔女。彼女は特に仲が良かったです。
ある日、彼は傍観の大魔女に提案しました。
「この島を出て......俺と一緒に暮らさないか?」
傍観の大魔女は大いに悩みました。人間のことは見守るべき下等生物。でも、彼のことを好いているのも事実。
「じゃあさじゃあさ......俺の寿命が尽きるまで、外で暮らしてみないか?100年も生きないだろうし、外の世界を少し体験するってことで......どう?」
傍観の大魔女はそれならまぁ...と了承を得ました。
そして、魔女の島から一人、大魔女が外の世界に旅立ちました。
その後、帰ってくることはありませんでしたとさ。めでたしめでたし。
「......あ。これって原作のまのさばに何か影響あるかな???ま、いっか。どうせ俺には関係のないことだし。」
彼の呟きは、航海の波にさらわれて消えました。
☆☆☆☆☆☆☆☆
【氷上メルル視点】
「......と、これが。この本に記載されていたことだ。まだ全部は読めてないけど......大まか何が起きたのかは理解できた。」
彼の口から語られたことは......私の知らない島にいた大魔女に関わる歴史でした。
私の知ってる大魔女様は......私から離れて、魔女因子を世界に拡散しに外の世界に行きました。その前に、他の大魔女を外に連れ出した人がいるなんて驚きでした。
(あれ?でもそれって......。)
私は彼に疑問を口にします。
「もしかして......あなたは大魔女様による魔女因子の覚醒で魔女候補になったのではなく。」
「血統による魔法の覚醒......だろうな。俺の魔法と俺の姉の魔法が記載されてたし、俺が物語に関わるイレギュラーが発生するとしたらそこしかありえない。」
「傍観の大魔女の血を受け継ぐ......れっきとした大魔女......。」
「人間の血が多いから......せいぜい魔女くらいではあると思うけどな。寿命が人並の......不思議な力が使える......なれはてにならない......魔女。それが、俺だ。」
「......だからストレスにより醜悪な化け物...魔女にならなかったんですね。」
得心がいきました。彼があそこまで......自身の出生という極限のストレスに苛まれてもなお、魔女化が見られなかったのは......他の......私の知ってる大魔女様と違い、祝福された魔女因子だったからなんですね。
そして、彼が憔悴したようにこちらに顔を向けてきます。
「だから......最初の転生者......俺の祖先が道を踏み外したからこそ、もう最初から俺の知る物語じゃなかったんだよ。」
「あ......そ......それは。」
「詳しく聞いてほしくはないんだが、その物語は最後、間違えなければハッピーエンドで終わるんだ。どうしようもない紆余曲折はあったけど、みんなが救われて、メルル......お前も大魔女と会える......そんなハッピーエンド。......最初から今まで、大まかなストーリーは一緒だったから......俺という異物がいても、俺がなんとか頑張れば、そのハッピーエンドにたどり着けると信じて行動していたんだ。物語のルートに......なるようにずっと......殺人も、裁判も、メルル...お前の唆しも......全部、全部見ないふりをしていたんだ。」
「そう......だったんですね。」
もし、彼にそんな記憶がなければ、これまでの事件も......これからの事件も、彼は痛ましい感情を湛えながらも、他の人と同じように疑心暗鬼になりながら魔女化を恐れていたのでしょうか。
「でも......最初から全部違っているんなら......もうハッピーエンドだと思ってたものはもう最初からないのかもしれない......もしかしたら連れ出したことが許されなくて元から救いなんてなかったのかもしれない......エマに、違う魔法を渡しているのかもしれない......ヒロの魔法が......俺の知る魔法じゃないのかもしれない。
そう考えた途端......俺は......俺が許せない!
これまで死んでいった......600人近い魔女候補のみんなから......恨まれて当然だし、ヒロ...ノア...レイア...ミリア...アンアン。俺が見捨てた子たちから責められても文句は言えない。
俺はもうお前が黒幕だと知っている。......もう殺してくれ。こんな薄汚れた......物語を壊した穢れた血を......断ち切ってくれ。」
彼は涙を流しながら、私に懇願してきます。
私は......
私は彼をそっと抱きしめます。
「......!?!?」
彼は何が起きたのかわかっていないようで、とても戸惑っています。
「話してくれて......ありがとうございます。私は......あなたを許します。
大丈夫です。これまで同じであるのなら、きっと......これからもルナさんの信じてる道はきっと続いています!
あなたが抱えているもの......私にも、背負わせてください。」
「......うぅぅ......メルルぅ......。」
「これからは......私たち、共犯者です!」
彼は、しばらく私の胸の中で静かに泣き続けました。
次回は11月24日になります。
さぁ、楽しくなってきましたね。
勘違いして欲しくないんですが、私はハッピーエンドの物語が大好きです。
ただ、物書きとして物語はコース料理だと考えてまして、フルコースで例えると今は魚料理くらいですかね?
二次創作の中にはコース料理ではなくビュッフェ形式。もしくは甘味処のようにデザートとコーヒーで勝負しているのもあるでしょう。
ただ私の性癖はフルコースでしか十分な味は発揮できないので、皆さんの中で「さっさとデザートをよこせ」という方は、残念ですが2~3か月後に本作を覗きにきてください。
Q.爪が伸びている気がするって主人公が言ってたけど?
A.プラシーボ効果です。
次回
第22話「思い出は暖かいとは限らない」
1周目終了後に書く話
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もう我慢できん!早く2周目に行け!
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1周目のIF世界線(ダイジェスト気味)
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姉が牢屋敷に行った世界線(1周目準拠)
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ルナの処刑シーン
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ルナの中学時代