魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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第23話「これ俺いる?」

本によって俺の生まれた原因を知ったからなのか......それともメルルに全て打ち明けてしまった罪なのか......最近は昔のことを夢に見ることが多くなった。

 

これは中学3年に上がったくらいの時だったと思う。

そのころになると、姉は虚空を見つめる回数が増えていたように思う。

 

「......そっか。メーちゃんも、ユーちゃんも......そっか。そういうことだったんだ。」

「姉ちゃん。どうしたの?」

「なんでもないわ!!」

 

 

そのころになると、高校はどこに行くだとか......将来に関するものが多かったように思う。他愛ない話から始まり、他愛ない話で終わる。

いつも通りの日常の......いつも通りだったつまらない風景。俺はそれをどこか得難いものだと思いながら過ごしていた。だって、俺は......俺たちは魔法が使えるから、いずれ国から殺処分されるか......メルルによって牢屋敷送りにされるか。

 

それを俺は知ってたから。

 

中学3年が終わりを迎えようとした春......俺はそれを姉に打ち明けようとして......。

 

打ち明けようとして......。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

【氷上メルル視点】

 

あの後、シェリーさんとハンナさんがほうきを使って空を飛んでましたが、見えるくらいの距離で降りていたので追いかけることが出来ました。

その後は皆さんでお話して解散しました。

 

その次の日、シェリーさんが図書室で暴れたことで看守の目が甘いことがバレて、倉庫も見つかって......夜間行動する方が多くなりました。

ルナさんは、その夜間行動の間......エマさんの様子をずっと見ていたと思います。

 

彼の様子も気がかりです。いつも通りサンルームで本の解読を行っているようですが、どこか目は虚ろのような気がします。......心配です。

そこから数日、特に目立ったこともなく魔女候補の皆さんも徐々に魔女化の兆候が現れているように見えます。

 

誰が顕著かと言われると......一番はハンナさんでしょうか?

でも......ハンナさんが人を殺す前に、シェリーさんがハンナさんを殺害するってルナさんが言ってましたけど......一体いつそれが起きるのでしょう?

ルナさんも詳しい日程は分かってないみたいで......何もできないのは歯がゆいです。

 

そうこうしているうちに、エマさんが高熱で動けなくなってしまいました。ハンナさんが監房にいた私とルナさんに声をかけた途端、彼はすぐさまエマさんを医務室へと運びこみました。

 

そういえば、彼は別れ際、こんなことを呟いていたと思います。かなり小さい声だったので、聞き取れたかは微妙でしたが。

 

「もう原作も何も関係がないのなら......俺が何をしていても構わないよな。」

 

 

彼は魔女化による殺人衝動がないと思いますが......一体何をするつもりなんでしょう?

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

【氷上メルル視点】

 

それから丸一日、エマさんは眠ったままでした。

ずっと高熱にうなされたまま、時折苦しそうな声を出していました。

ルナさんが見ていた限りでは、相当無理をしていたみたいです。それでもルナさんが止めようとしなかったのは、彼の知る物語に必要なことだったからでしょうか?

 

次の日の朝、シェリーさんが怪我をしたと医務室に来て、その傷を見てみれば......あまりに痛々しくて......まるで何かに貫かれたように傷からはとめどなく血があふれ出ていました。

治療の魔法である程度の傷を治した後、包帯でぐるぐる巻きにしてベッドにシェリーさんを寝かしつけました。

 

しばらくすると、エマさんの瞼が微かに動き目を覚ましました。

私は、やっと目を覚ましたエマさんに駆け寄りました。

 

「あぁっ......エマさん、目が覚めたんですね......!」

「ごめん、ボク、体調治ってなかったみたい......。」

「丸々一日眠っていたんですよ。相当体が限界だったのだと思います......。無理をしては、いけません......。私、エマさんに何かあったらと思うと......。自分の体を......大切にしてください!!」

 

 

そうして話し込んでいる間に、皆さん集まってきていたみたいで......外出禁止時間なのに、もう誰も規則を守ってる様子はありません。

でも、皆さんの魔女化は徐々に進んでいることは分かっているので、そこまで縛りつけなくてもいいとゴクチョーさんに伝えてあります。

 

賑やかな光景を見ていると、胸が痛みます。

でも、今回でこの痛みともおさらばです。やっと、今回で......大魔女様に会えるんですから......。

 

 

 

そういえば、ハンナさんとルナさんは......どこにいったんでしょう。

ナノカさんがいないのはいつものことですし......。

 

 

エマさんが何かに気づいた様子でキョロキョロとあたりを見回したのち、鼻をひくつかせ、声をあげました。

 

「このにおい......なに......?」

 

その瞬間、皆さんのスマホから一斉に通知が鳴り響き、ゴクチョーさんからのメッセージが表示されます。

 

『あの、朝からすみません......お知らせです。

ゲストハウスの方から、火の手が上がっているようです......』

『消化活動をはじめますが、皆さん、お気をつけください。はぁ、やれやれ......。』

 

そして、シェリーさんを除いた皆さんでゲストハウスへと赴きました。

エマさんは嫌な予感がしたように青い顔をしながら向かいましたが、私は別の意味で嫌な予感が止まらなかったです。

 

ルナさんは......どこへ行ったんでしょうか......。

 

 

嫌な予感というものは的中するようで......火精の間の前に彼はいました。

 

「あぁ......みんな......集まったのか。」

「......は?」

 

誰がその言葉を発したのかはわかりません。

何故なら燃える火精の間に、爆竹とマッチを持ったルナさんが佇んでいました。その瞳は、どこか空虚ながらも縋るような......あの時のような瞳だったように思います。

 

「もしかして......。」

「そんな......嘘だよね......。」

 

みんなが呆然とルナさんを見つめる中......。

 

「何やってんだよてめぇ!!」

 

アリサさんが彼に詰め寄ります。彼は全く動じずにアリサさんの瞳をじっと見つめていました。

 

「きっとこうすることが......より良い未来になるから。」

「は?意味わかんねぇ!!ちゃんとウチらに分かるように説明しろよ!!」

「それよりいいのか?このままじゃ中は大変なことになるぞ?」

 

「ハンナちゃん!ハンナちゃん!!」

 

エマさんがドアノブに手をかけようとして、高熱を帯びているうえに鍵がかかって開くことが出来ない様子です。すかさずアリサさんがルナさんの胸倉を掴んでいた手を離すと、ドアの前に立ちました。

 

「おい桜羽どけ!開けてやる!」

 

アリサさんはドアに向けて強い炎を放ちました。

たちまちドアは崩れ、中に入れるようになりました。

 

そして、それを目にしました。

 

ベッドメリーのようにくるくるとまわる、梁から吊り下げられた人形たち。

梁から吊り下げられた......ハンナさん。

 

首にかかったロープがハンナさんの生命活動を終了させているのは、明らかでした。

だらりと弛緩したその体は、まるで美しいお人形のようでした。

 

「うわあああああああああぁあぁぁ!!あぁっ、あああああああぁぁぁ!!あぁぁああああああああっ!!」

 

エマさんの喉からは、悲痛な叫びが絞り出されています。

今まで友達だった方の死にざまを見せられることは、エマさんにとってかなり辛く、ストレスとなるはずです。

 

そして、アリサさんによってエマさんは部屋の外に出された後、予想していた通り、皆さんでルナさんを取り囲んでいました。

 

「おめぇがこれをやったのか!!天音ェ!!!!」

 

アリサさんがルナさんの胸倉を掴みます。

 

「あてぃしは信じたくないけど......でもルナっちが一番怪しいのは確かなんだよね。」

「やっぱり何か企んでいたのね......こんなことならもう少し早くみんなに伝えてれば......。」

「ル......ルナさん......」

「なんで!!ねえなんでよ!!返してよ!!!ハンナちゃんを返してよぉ!!!」

 

皆さん、怒り心頭なのかルナさんに様々な言葉を浴びせてます。

私は......どうして彼がこんな行動をするのかわかりません。これは彼が嫌いな物語に介入する行為なんじゃないでしょうか?

 

どうして......。

 

「......。」

 

彼は何も言いません。何も映さない瞳でアリサさんを見つめます。

 

また、ゴクチョーさんからのメッセージが届きました。そこでようやく彼が口を開きます。

 

「ゴクチョーからの通知だろ?ラウンジに行こうぜ。」

「チッ!!」

 

そして、アリサさんが手を離し牢屋敷へと向かいます。

 

 

ゴクチョーさんからはまた魔女裁判へと向けた説明がなされました。

・【魔女裁判】は正午に行う。

・【火精の間】の消火活動は監視フクロウたち総出で行われ、捜査の為に立ち入ることが出来ること。

 

それ以外はいつも通りの説明で終わりました。

 

彼に詰め寄ろうとするアリサさんやマーゴさんがいましたが、彼はそれを手で制します。

 

「お前たちは捜査でもなんでもやってろよ。俺はシェリーを医務室へ運ぶ。俺は医務室から動かないからな。お前らの捜査の邪魔はしない。」

「天音......てめぇ!!」

「アリサちゃん......ここで言い合いしても意味がないわ。捜査に行きましょう。」

「え~。ルナさん、私は名探偵なんですよ?じっとしていられるわけが......。」

「黙って運ばれてろ。メルル......医務室に先に行っててくれ。」

「は......はいぃ~。」

 

私は先に医務室へ向かいます。その後、すぐにお姫様だっこで抱えられたシェリーさんが入ってきます。

 

 

「ルナさん。やっぱり人たらしの才能ありますね!!」

「そんな才能はいらない。さっさとベッドで大人しくしてろ。」

 

そう言いつつ、彼はシェリーさんをベッドに降ろします。

 

「あ!メルルさん!!少し彼とお話したいので、出てもらってもいいですか?二人きりで話したいので!!終わったらチャットしますね!」

「......???わ、分かりました。」

 

何の話をするのでしょう。私はそのまま外に出ます。

 

それよりも......このままじゃ彼が魔女として処刑されてしまいます。どうにか阻止する手立てはないものでしょうか?

 

 

私は彼を助ける案を考えるものの、話し合いがすぐにすんだのかその後すぐシェリーさんから終わったと連絡が入るのでした。




次回更新は11月28日になります。

次回
第24話「囚人の運命は俺が変える!」

1周目終了後に書く話

  • もう我慢できん!早く2周目に行け!
  • 1周目のIF世界線(ダイジェスト気味)
  • 姉が牢屋敷に行った世界線(1周目準拠)
  • ルナの処刑シーン
  • ルナの中学時代
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