魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
裁判パートになります。
原作では主菜に当たる内容ですし本作も手を抜きたくない箇所にはなりますが、凝ってる他の二次作品見てると「よくそこまで作り込めるなぁ〜」と感動したりしますね。
私は主人公の発言や心理描写、それらに関わるところだけ力を入れて後はさっと流してます。
(正直手を抜かないと投稿ペースが維持出来ない......。)
裁判パートに不満を感じている方には申し訳ないのですがお付き合い下さいませ。
それでは本編どうぞ。
ゴーン......ゴーン
鐘の音が鳴り響く。
いよいよ3回目の魔女裁判。そして、俺の知る原作から踏み外すための第一歩が始まる。
今更遅いのかもしれない。犠牲者が出ている中で、自分の知る物語じゃない可能性が出てきてから、誰かを助ける為に行動するなんて......ただの自己満足なのかもしれない。
でも......もし、俺が知る物語からとっくに外れているのだとしたら......シェリーは友達の為に殺人を犯したのだから、裁かれる必要はないはずだ。
シェリーよりも......いつも誰かを助ける行動を見せておきながら誰のことも助けなかった俺が裁かれるべきなんだから。
メルルには、表面上......原作知識を共有したけれど、それだってもう俺にとってはどうでもよくなってる。
だってもう原作は原作。現実は現実なんだって自覚するしかないんだから......そう思った途端、俺はまともにみんなのことを見ることが出来なくなっていた。
バタフライエフェクトという言葉を聞いたことがある。
ブラジルで蝶が1匹羽ばたくことによってアメリカで台風が発生するような......小さな事がきっかけで遠く離れた場所で大きな事象へと変化することを言う。
俺の先祖が魔女の島から大魔女を連れ出した出来事は......蝶の羽ばたきよりも大きい変化をもたらすことは想像に難くない。
で、あるならば......その変化は目に見える部分として、俺がエマたちと一緒になって牢屋敷に収監されている状況。
目に見えない部分では......もしかしたら、人間による魔女の虐殺でユキが人間に対して憎悪を抱く前から......島から大魔女を1人連れ出したことに対して人間に怒りを
覚えていても不思議ではない。
そこからは推測になってしまう。
ヒロは死に戻りの魔法ではなく、幼少期に水難事故にあってないのかもしれない。
ユキはエマとヒロに会ってないのかもしれない。
エマのトラウマを作ってないのかもしれない。
エマに魔女殺しの魔法を渡してないのかもしれない。
そう考えた時、俺の知る物語は......ハッピーエンドの道標からありもしないハリボテの絵になっていた。
無自覚にみんなをどこへ行くかも分からないまま先導した笛吹き。
物語に傾倒しすぎて自分こそが正しい道を歩めると信じて周りを巻き込んだ気狂い。
少女たちの物語に乱入し未来予知で少女たちを破滅へ導く呪いを振り撒いた魔女。
最早俺にはもう......生きる意味も意志も......価値も......無くなっていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆
俺が入る頃には、全員揃っていた。
ゴクチョーが口を開く。
「遅かったですね、天音ルナさん。まぁ......全員揃ったことですし、ちゃっちゃと始めちゃいましょうか。それでは、魔女裁判開廷です!」
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「......まぁ、お嬢をヤった奴なんて、なんとなくみんなもうわかってるっしょ。」
「そうね。......今のところ、ルナちゃんが一番怪しいわね。ゲストハウスの前にいたことも含めて......。」
「マジか......マジなのか?」
俺は口を開く。
「お前らの中でもう答えは出てるんじゃないのか?議論の必要なく投票すればいいじゃないか。」
そうしてみんながその方向性に行こうとする中......。
「待ってください!!」
一人、声を上げる少女がいた。
「......シェリー。」
「先ほどエマさんからある程度のお話は聞きました。ゲストハウスの前で佇んでいたルナさんが最も怪しいと。」
「ああ。きっとそいつが遠野を殺したんだ。ならそいつを投票すればいいじゃねえか。」
「でも!!」
シェリーは......なおも声を上げる。
「議論しましょう。ハンナさんがどうして殺されるに至ったのか。死の真相を究明するんです。1時間あるんですから、議論してからでも遅くはないと思うんです。」
「シェリー...どうして......。」
俺は一瞬呆けるも、気持ちを切り替えて裁判に挑む。
「お前たちが何をどう議論したところで、結論は変わらないと思うがな。」
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「ではまず、起こったことを整理しましょうか!今回の被害者は遠野ハンナさん。被害者はゲストハウスで発見されたみたいですね。」
「ええ......。それについては私から説明した方がいいかしら?まだきちんと見ていない人もいるでしょうし......ね。
死体が発見されたのは屋敷のはずれにあるゲストハウスよ。そのうちの1つの、火精の間ね。死体は部屋の中で首をつられた状態で発見された......。死因は間違いなく【窒息死】よ。」
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序盤はハンナの死因をおさらいするところだったものの、議論は俺の知らない方向へとシフトしていく。
「つーか。ルナっちが可燃物を持ってたんなら、少なくとも放火はルナっちじゃね~の~?」
「放火と殺人が別だとすれば、ルナさんが放火犯の可能性は高いですね。」
「ねえルナちゃん......あの時、何をやっていたのか......教えてくれるかな?」
「いいだろう。俺があの時なにをしていたのか説明してやる。」
「まず俺は、深夜にハンナをゲストハウスへと呼び出した。ハンナを殺すために。」
「でもルナちゃん、深夜はゲストハウスに鍵がかけられていたのよ?それはさっき証明したことでしょう?」
「鍵については心配いらない。何故なら俺は牢屋敷の黒幕だからな。」
「く、黒幕!?」
「ああ。鍵の入手は『黒幕』*1であれば容易だろう?それで鍵が閉められた火精の間の鍵を開け、ハンナを呼び出し......絞め殺した。その後は、『梁に宙づり』*2にして火精の間に火をつけ証拠隠滅を謀ったのさ。」
「なんで...殺したんだよ......。」
「簡単な話さ。ハンナは浮遊の魔法を持つ。魔法が強くなれば、いずれ牢屋敷から自力で脱出することも『不可能』*3じゃなくなる。囚人が脱獄する可能性があるのなら、潰すのが黒幕の仕事だろう?
これが遠野ハンナ殺害事件の『真相』*4さ。単純明快でわかりやすい犯行だろう?」
パリーンッ!!
「ルナちゃん。真相がそうだとすれば......矛盾がある気がするんだ。」
クソッ!エマの推理力が上がっているとでもいうのか?
こんな原作にもなかった審問で反論してくるなんて.......。
「へぇ。矛盾ねぇ......さっきの言葉のどこに矛盾があるのか......教えてもらえるかな?」
「そ......それは、
ルナちゃんが放火したのが証拠隠滅だというのなら、あまりにも火元の火力が足りないんじゃないかな?現に僕らは全員火精の間が燃えてるのを朝に見ているし、ゴクチョーたちだってなんとか消火することが出来るくらいだったんだよ?証拠隠滅にしてはおかしいよ。」
「......それは証拠隠滅が間に合わなかったからだ......。」
「ちょっと待てよ。」
は?アリサ??
「......そういや、ウチは夜に【大きな音】を聞いたな。ちょっと寝つきが悪くて外を歩いてたんだ。」
「あら、規則違反よ。」
「ああ?現行犯じゃねーんだからいいだろ。時効だ時効。それはともかく......音は2回のタイミングで聞いた。【1時に1回】。【2時に何度か】......。どっちも外で聞こえた音だ。もしこの音が犯行に関係があるのなら、証拠隠滅には十分すぎる時間がたっている。証拠隠滅が間に合わなかったっていうならロジックは通らねえ。」
「それは......それ、は......」
「ルナちゃん。あなたが犯人であるのなら、その音がなにか。その音がどういった目的で発生させられた音なのか答えられるわよね?あなたが直接出した音であれば、自供してるんだから別に隠す必要ないじゃない。仮にあなたに関係なかったとしても、犯行中に鳴った音であれば気になって様子を見るのは必然よね?それとも......隠す必要があるから答えられない、とか?」
「......黙秘権を行使するのも自由だろ?その議論はしなくていいだろ。」
「議論するかどうかは私たちが判断するのよ。......ねぇルナちゃん。何を隠しているのかしら?」
「ぐっ......。」
俺は何も答えられない。もし、俺が犯人ならば、その音を出す必要が全くないからだ......。
ここで嘘をでっち上げたところで、嘘に対して嗅覚の鋭いマーゴと......当事者のシェリーから矛盾を指摘されかねない。
俺が答えに窮していると、またもシェリーから助け舟が出された。
「一旦アリサさんにその音が出た状況を聞いた方が早そうですね!」
「そうね。......じゃあ、アリサちゃん。その音について詳しく聞かせてくれないかしら。」
そして、アリサが聞いた音についての説明をする。
(もう俺が殺したって結論でいいじゃねえかよ。どうして神様は原作の流れを踏襲しようとするんだよ......。)
パリーンッ!!
「アリサちゃん......爆竹の音じゃなかったのかも......。それは銃声だったんじゃないかな?」
「は?夜中に銃声なんて......一体誰が......」
「......ナノカちゃんだよね。」
「......ええ。そうね。」
「じゅ...銃を!?夜中になんで撃ったんだよ......!お前まさか、また誰かを......!」
「べつに隠すつもりはなかったの。ただ......誰が襲ってきたのか見極めたくて......。」
「......【襲ってきた】?黒部、お前が襲われたってのか?」
「......何者かが闇に紛れて、倉庫を漁ってたの。私はそれに気付いて起きたんだけど......。向こうに気付かれてしまって、相手はこちらに襲い掛かってきた。だから反撃をしたの。それだけよ。この事件には何の関係もない。」
「ナノカさんは本当のことを言ってますよ!だって、襲ったの、私ですし!!」
・
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シェリーが銃を持っているナノカが殺人を犯すことを危惧して、先んじてナノカの銃を奪おうとした。そして、ナノカが反撃を行い、ナノカは右腕を......シェリーは左足を負傷した。
結局、音は犯行に関係なく、鍵を持っていたと主張した俺以外に殺人が出来るものはいないと議論が進み......最終的には俺が一番怪しいというところに落ち着いた。
落ち着きかけた。
「じゃあやっぱり黒幕と自供したルナちゃんが犯人になるのかしら?鍵の閉まった部屋に出入りする方法なんて、黒幕が鍵を持ち出すくらいしかないものね。他に『気になるところ』も特にないかしら?......あら?今日はかなり早く議論が終わったわね。犯人に自供してもらうととてもやりやすいわぁ。」
パリーンッ!!
「ねぇマーゴちゃん。犯人の痕跡とまでは言えないけど、誰にも議論されていない怪しい物はあるはずだよ。」
「あら?あの部屋には他に何も残っていないと思ったけど?」
「そうだね。【あの部屋】に痕跡はなかったかもしれない......。でも【ゲストハウス】に誰かが入った痕跡は残されていた。それは、これだよ。」
そういってアリサを模した人形を取り出すエマ。
「ウチの......人形?」
「うん。この人形が、地精の間で見つかったんだ。」
「これには血がついてる......。つまり誰かがそこに入った痕跡が......。」
「それがそこにあるわけねぇだろ......!」
「えっ......。」
「それは昨日、魔法の実験に使ったのよ。......火精の間でね。」
「......詳しく聞かせてもらえるかしら。」
俺は声を荒げる。
「ちょっと待てよ。それは......。」
「ルナちゃん。申し訳ないのだけれど、ちょっと黙っててくれるかしら。今容疑者のあなたが話した部分以外にも怪しいものが出てきているの。......最悪、共犯の可能性があるわ。あなたが犯人だったとしても、そうじゃなかったとしても、場をかき乱しているのは事実だもの。犯人だと自白したあなたの言葉にはもう信ぴょう性はないわ。だから.....悪いのだけれど、少し静かにしてもらえないかしら?」
は?
は???
まてよ。
待ってくれよ。
このまま議論が進めば......どうなる?
ほとんど原作と同じような内容に修正されているような議論内容......。
だとしたら
シェリーが魔女として処刑される。
やっぱり......俺には原作改変なんてものは出来ないんじゃないか?
何を頑張ったところで......何もかも原作通りに進んでしまうなら......。
俺のこれまでの誘導の意味は......。
俺がここにいる意味は......。
俺が生きている意味は......。
どこにあるんだ???
☆☆☆☆☆☆☆☆
議論は瞬く間に進み......シェリーが新たな容疑者として擁立されたのだった。
「......犯人が花を潰したのには理由があったんだ。それは犯人が建物をいれかえたときの状況を考えればわかるよ。犯人が花を潰した......地震みたいな音がした時刻は夜の【2時】だったよね。時間からして辺りは真っ暗なはず......。無造作に置かれた花に気付かず潰してしまっても何もおかしなことはないよ!」
「桜羽エマの推理が正しいなら、ゲストハウスの床下......。地面の設置部分あたりを調べれば赤い塗料が検出できそうね。」
「ボクたちの中に、建物を動かせるような魔法を使える人はいない......。だから......シェリーちゃん。キミが!」
「ちょっと待ってください!......はぁ。そもそも私が持ち上げて確認しないと塗料がついているかなんて調べられないとは思いますが......。でも仮に、そこに塗料がついていたとして......。【私にしか動かせないから、私が真犯人】......エマさんの主張は本当にそれでいいんですか?」
「まぁ......黒幕だと主張したルナちゃんの説明は穴だらけの矛盾だらけだったから、もうルナちゃんが犯人だと言えない状況になっちゃったけど。後でルナちゃんには......どうしてそんなことを言ったのか問い詰めないとね♡」
「それに、私の潔白は、メルルさんが証明してくれますよ。」
「わ、私......ですか......?」
「はい!それじゃあ説明しますね!私にはそんなこと......逆立ちしたってできないって事を!」
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・
「私は、1時にナノカさんに『撃たれました!』。足を怪我した私には、建物を持ち上げることは出来ません!!」
パリーンッ!!
「で......でもシェリーさん!!あの時の足の怪我......。ルナさんが以前受けた銃創とは違ったような気がするんです!!」
え?
メルルが......反論した?
あ......。
そういえば俺......ナノカに一度撃たれていたんだった。
そっか。そこを指摘したのか......メルルは......。
「あっ!?」
シェリーがしまったという表情をした。
「シェリーちゃん。キミが......後から自傷したのなら......この事件の辻褄は全て通ってしまうんだ。」
「......忘れてました。ルナさん......あの時撃たれていましたもんね。もうここで議論はおしまいでいいですよ。時間は......55分。」
そしてシェリーは......俺に向けて笑顔でサムズアップしてみせた。
「おめでとうございますルナさん!あなたの容疑が晴れて、真犯人が暴かれましたよ!!」
「なんで......なんでだよ、シェリー。」
俺はもう涙が止められなかった。
次回更新は11月30日になります。
次回
第25話「俺には何も変えられない」
1周目終了後に書く話
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もう我慢できん!早く2周目に行け!
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1周目のIF世界線(ダイジェスト気味)
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姉が牢屋敷に行った世界線(1周目準拠)
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ルナの処刑シーン
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ルナの中学時代