魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
☆☆☆☆ケース1-宝生マーゴ-☆☆☆☆
「ウフフ。今日は私がルナちゃんの時間を貰っちゃうわね。」
「......マーゴか。思えば対面で話すことはあんまりなかったな。」
「そうね。お互い腰を据えてじっくり話すのはこれが初めてかしらね。」
「......何か話したいことがあるんだろ?聞かせてくれ。」
「話すことがないと会っちゃいけないのかしら?」
「......そういうことは言ってない。」
「ウフフ。ほんの冗談よ。」
そう言ってマーゴは妖艶に微笑む。ある程度俺の反応に満足したのか、懐からあるものを取り出した。
「......本?」
「ええ。前に見せた魔女について記載された本よ。解読していくうちに、面白い部分が見つかったの。」
そういって、例のサバトについて記載されてそうな箇所を開く。
「ここに書いてある儀式......サバトの儀式って言うのだけれど、この儀式は大魔女を呼ぶためのもの......らしいわ。」
「なるほど。ゴクチョーが初日に話してた大魔女が見つかれば......とかなんとか言ってたな。」
「ええ。それに、もう一つ興味深い項目を見つけたの。」
「どういうものが書かれてたんだ?」
「そこにはね、『13人の魔女を集めて、儀礼剣に祈りを捧げ......』」
(そこまで解読出来てたのか。2周目でみんなの力を合わせて解読するものだと思ってたが......マーゴ......恐ろしい奴。)
「そして、『その儀式の正当性を担保するために1人の大魔女が監督として見届けなければならない。そこで初めて依代にやどりし大魔女が蘇る。』と......ここまで読み取れたわ。」
???
は???
「は???」
「どうしたのルナちゃん?」
「ごめんさっきのところもう一回。」
「『依代にやどりし大魔女が』」
「もう少し前。」
「『儀式の正当性を担保するために1人の大魔女が監督として見届けなければならない』で、あってるかしら?気になるところは。」
「ああ、ありがとう。......解読ミスはなさそうなんだよな?その部分については。」
「ええ。今のところ妥当性は高いわ。」
(なるほどな。俺がいるから......いや、傍観の大魔女が島の外に行ったから原作と乖離しているんだな、そこが。それにしても、どうしてこの一文が付け加えられているんだ?これじゃ唯一傍観の大魔女の血を引き継ぐ俺がいなければサバトの儀式は不成立になるじゃないか。......今考えても詮無いことか。)
「わかった。つまり大魔女を呼び出すためには大魔女が必要になるんだな。」
「ええ。まるでパラドックスね。召喚するには召喚者が必要だなんて。」
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「マーゴは牢屋敷に来るまで、何してたんだ?ただの中学生ってわけでもなさそうだが。」
「あら♡乙女に秘密は付き物なのよ?」
「言いたくないなら言わなくていいよ。ちょっとだけ気になるし、話題になるかと思って。気に障ったなら謝るよ。」
「そこまでのことじゃないわ。ただ、人と話すことで生計を立ててたのよ。」
「なるほど。中学生以上の年齢に見えるからこそ......か。流石だな、マーゴ。」
「ウフフ。ありがとう♡......そういうルナちゃんは何をしていたの?」
「俺は......ただの中学生だったよ。双子の姉がいてさ、優秀でお転婆だった姉に振り回される毎日だったよ。」
「容易に想像できそうね。もしかして、姉も魔法が使えたのかしら?初日に自分以外にも魔法が使える人がいても驚いてなかったように見えたわ。」
「まぁ......姉も魔法は使えたよ。おそらく生きてたら俺と一緒か先に牢屋敷に来てたんじゃないかな。」
「生きてたらって......。」
「あぁ。事故で死んだよ。どうしようもない事故だった。俺の未来予知は姉の魔法と相性が悪くて、姉の未来だけは見通せなかったんだ。」
「そう......お姉さんの魔法は......。」
「......故人の魔法なんて気にしても仕方ないだろ?......姉の通夜が終わって、明日に火葬って時にここに拉致されたんだ。」
「それは......えっと......。」
「姉をまともに送り出す気持ちになれないままここにきてしまったから......ここから出れたら、姉の墓に行って別れを済ませたい......。」
「そう......叶うといいわね。」
「湿っぽい話になってしまったな。悪い、お前らの相談を受けるって言っておきながら、俺の話を聞いてもらって。」
「いいのよ。あなたの話が聞けて良かったわ。ねぇ、よければ私があなたのお姉さんの代わりをしても構わないかしら?」
「いや......流石にそれは......マーゴに悪いし、みんなのことは......友達と、思いたいから。」
「そう、頼りたくなったらいつでもお姉さんに言ってね♡......あなたを温めてあげるわ♡」
「その機会は永遠に訪れないけどな。」
☆☆☆☆ケース2-沢渡ココ-☆☆☆☆
「あんさぁ、ルナっちに聞きたいことがあるんだけどさ。」
「その前に、俺からも一つ気になることがあるんだけどさ?」
「うん、何?」
「距離近くね?毎回飯食う時もそうなんだけど。」
今回、ココは相談したいことはベンチで話したいと言っていた。ベンチに座った瞬間、肩と肩が触れ合いそうなレベルで密着していた。
「何?嫌なの?」
「嫌じゃないけどさ。よくわかんなくて。初日に少し助けたくらいでここまで気を許すのかなって。」
「毎回飯時にあてぃしの話を聞いてもらってる上に、あてぃしの配信は皆勤賞じゃん。あてぃしにはそれで十分なんだっての。」
「いや......なんか他に理由とかない?」
「他の理由?......うーん。言語化が難しいんだけどさ......なんていうか、ルナっちに共感したっていうか......あてぃしの理解者はルナっちしかいないって......なんかわかんないけどそう感じちゃったんだよね。」
(もしかして......家族を理不尽に奪われたって部分を直感で理解した...とか?)
「そっ......か。」
「あとルナっちに見つめられると鏡合わせを見てるみたいでなんか気持ち悪くなるんだよね。」
(俺が過去にゲームでココを見てたから......とか?やっぱ千里眼ってどうなってるのかわかんねえな。)
「それはよくわかんないな。ところでココの聞きたいことってなんだ?」
「うーん。ルナっちって、推しとかいるん?その、理解者しかいないって感覚が推しがいるかどうかかなと思って。」
「推し......ね。」
(原作まのさばでも......俺はだれか特定の人物が推しって感じじゃなかったな。基本的にカップリングだった気がする。)
「いや......特にいないかな?」
「そう?あてぃしの予感だとルナっちは、かなりの単推し勢だと読んでるんだけど。」
「ん~。ココの定義から考えると、俺の推しは姉......になるのか?」
「ルナっち、おねえさんいたんだ。」
「あぁ、いた。」
「......えっと、あまり詳しく聞かない方がよかったり?」
「別に、もうすでに過ぎたことだし、誰が悪いってこともないし。」
そうして、俺は姉がどういう人物だったのか。姉と俺とのやり取りで印象に残っていたことを話した。
「なるほどね~。ルナっちの人たらしは姉譲りだったわけか。そりゃあ姉弟揃ってモテたんじゃないのぉ~?」
「俺がモテたかどうかは分からないけど、姉は男女問わずみんなに慕われてたね。何事も姉が中心になって、風紀委員長や生徒会長だった姉を、いつも俺はその陰で支えてた学生時代だった。」
「話聞く限りそんだけお転婆だったのによく風紀委員長とか生徒会長になれたね。」
「どんな素行不良の奴でも姉には敵わなかったからね。言葉でも暴力でも。」
「意外とパワフル~。」
「よく喩えられてたな。姉は太陽。弟の俺は名前通りの月だって。太陽は自分で輝けるけど、月は太陽の輝きなしでは輝けない。」
「あぁ~。なんとなく分かってきたかも。」
「ん?何が?」
「いや何も。......あてぃしは太陽よりも月の輝きの方が好きだけどね。ギラギラした明かりよりも銀色に輝く優しい光の方が好きだし。」
「まぁ、そういう人もいるよね。月の光の方が好きとか。」
「こいつマジで自覚ないのか......。」
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「なんか俺の話を聞いてもらってしまったな。ココも話したいこととかあるか?」
「あ!じゃあさじゃあさ、あてぃしの推しについて聞いてほしいんだけど。」
「いつ聞いても飽きないからな、ココの推しの話は。いくらでも聞きたい。」
「いいの!!まずあてぃしの推しはね......」
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「だから、あてぃしはここからでなくちゃいけないの。推しがどんどん弱ってるのをみるのは......もうやなの。」
「確かにそれなら脱獄したい気持ちにならざるを得ないな。でも、俺たちの魔女因子を何とかしない限り意味はない気はするけどな。外に出てもいつ魔女として災厄を振りまくか分かったもんじゃないから。」
「でも......でもぉ。」
「ココも、不意に魔女になって推しを傷つけることになったら嫌だろ?」
「推しを......傷つける!?そ、それは、い、嫌......はっ......はっ......はっ......」
まずい!!ココが過呼吸を起こしてる!俺の余計な一言でストレスが増してしまったのか!?
慌てて正面からココを胸の中に抱きしめる。このまま魔女化しても、なんとかココを抑え込めるように。
「ココ!落ち着け!!深呼吸するんだ!!」
「はっ......はっ......はっ」
「......吸ってぇぇぇぇぇぇ......。」
「はっ.......はっ......すぅ~。」
「吐いてぇぇぇぇぇぇ......。」
「......はぁ~。」
「......吸ってぇぇぇぇぇ......。」
「すぅ~。」
「吐いてぇぇぇぇぇぇ......。」
「はぁ~。」
ココの息が安定してきた、良かった。このまま魔女化するかと思ってひやひやしてしまった。
「......落ち着いたか?」
「う......うん。あ、ありがとう。」
「それはよかった。」
「ま、まぁ......ルナっちの匂いに包まれてある意味で落ち着かなくなりそうなんだけど。」
「!!あ、悪い。嫌だったか?」
「べ......べつにいやじゃ。もう少し......このままで。」
「分かった。しんどくなったらいつでも言ってくれ。胸くらいであれば貸すから。」
そうしてしばらく胸の中で深呼吸したのち、恥ずかしくなったのか足早に帰っていった。
☆☆☆☆ケース3-桜羽エマ-☆☆☆☆
「なんだかみんなルナちゃんを中心に明るくなっている気がするんだ。」
「なんだ?嫉妬か?」
「そ、そんなんじゃないよ!みんな明るくなっていいと思うんだ。もう7人もいなくなっちゃって、寂しくなっちゃったから。」
「そうか。7人も犠牲になったのか......。」
「うん。だから、ルナちゃんがみんなを笑顔にしてるみたいで、嬉しくなっちゃって。」
「心境の変化があったんだよ。未来を変えるのに1回の行動じゃなく、何度も行動することで変えられるかもしれないだろ?」
「うん!一緒に頑張ろう!!」
(一緒に頑張ろう...ね。いずれこの言葉にも裏切ってしまうのか。俺は。もし......アリサが処刑台メンテまで自殺しなかったら......俺が死ぬのも......ありか。あれは電気椅子でトレデキムを服用するだけで同じようなことが出来るしな。死にたくないけど、誰か死ぬ運命から外れてしまったら、俺が死ぬことで帳尻が合うのなら、もう死ぬのも怖くない。)
「ああ。......ところで、ここに来たのはそれを言いたかったからか?ほかに相談したいことがあれば聞くが。」
「そうだね。せっかくだから。」
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「なんども夢に見るんだ。中学時代、なんでボクが標的になったのかも分からないし、なんでそれを今夢で見るのかも分からないんだ。」
「......夢というのは、基本的にその日一日あった出来事を整理する時に脳が見せるもの......らしいんだ。」
「へぇ......。」
「でも、脳のメカニズムは解明されてない部分が多いし、ここは呪いがはびこっているから、そういう夢に干渉する魔法が残っていても不思議ではないよな。」
「そっか。詳しいんだね。ルナちゃん。」
「明らかに呪いとしか説明がつかない死に方をする奴に心当たりがあったからな。助けるのに気を揉んだのも1回や2回じゃない。」
「うっ......その節はごめんね?」
「過ぎたことだしもういいよ。......他に何か聞きたいことはあるか?」
そうエマに問うと、エマは赤面しながらもじもじした様子でぼそぼそ語りだした。
「えっと......この間のラウンジでのこと......。」
「その話はもうやめようか。エマはまだそういうの早いと思うし。」
「ルナちゃん......もしかしてボクのこと子供扱いしてる?」
「子供扱いも何も子供だろう。」
「そういうルナちゃんだって。マーゴちゃんたちも同じ年だよね?」
「まぁ......人生いろいろあるからな。エマはそんな特殊な人生送ってないだろ?刺激が強いからこの話はいつかまた......な。」
「えっと......うん。分かった。」
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「そろそろ時間だね。色々聞いてくれてありがとう。少し気持ちが楽になったよ。」
「これくらいお安いご用だ。あ、少し手を出してくれないか?」
「???......こ、こう?」
そう言ってエマは手のひらを上にして片手をすっと差し出してくる。
俺はその両手を包み込んで祈るように額に寄せた。
「え......えっと......ルナ、ちゃん?」
「......。」
そして、しばらく経って俺は手を離した。
「悪い。少し未来予知の精度を上げる為だったんだ。エマの未来はなんだか1番不安定だったから。」
「ボクの未来って不安定なんだ。」
「まぁ、1番可能性がある未来を見た限り、しばらくは平穏無事に見えたな。エマが誰かに殺される様子は見えなかった。」
「そっか......えっと、今度から見る時は事前に言ってね?ちょっとドキドキしちゃった。」
「あっ。悪い......。プライバシーの侵害な上に手を握るのとか不快だったよな?今度から気をつける。」
「い、いや.....!そうじゃなくて。えっと......特に用事が無くても手を握ってくれていいから。そ......それじゃあ。バイバイ。」
エマはその場を後にした。
未来予知は嘘っぱちだけど......あの様子を見る限りしばらくは何事も起こらなさそうだと安堵する。
俺の魔法が強まった事により、上手く制御出来たようでホッとしていた。
次回更新は12月6日になります。
今回出た各キャラの主人公に対する印象です。
・マーゴ
「これまで私たちを騙してたり嘘ついてたり、まだ何か隠してそうな気はするけれど、親身になってお話を聞いてくれる姿が1番自然で嘘の気配も全く感じられなかったわ。素の彼は元々こういう......人と向かい合って話し合う事が性に合っているし、誰かとお話しすることが大好きな、どこにでもいる普通の男の娘よ♡
なら、常にその姿勢で親身に話を聞いてくれたアリサちゃんが彼のことを好きになるのも仕方ないわね。」
・ココ
「配信始めると一番最初に来るのがルナっちなんだよね。最近はルナっち以外見てくれる人はいないし、ルナっちも同接が自分しかいないと思ったら配信に向かって喋るからあてぃしも配信で返事しちゃうんだよね。ルナっちは配信に話しかける奇人だし、あてぃしはコメントも何もない状態から誰に向けて話してるのか分からない配信残るし......意味わからんアーカイブが残るから最近はアーカイブ消してるんだよね。もう配信じゃなくてルナっちに直接話したほうよくね?」
・エマ
「いつもルナちゃんには助けられてるし、この間は身を挺してボクを守ってくれてからルナちゃんの顔を見るとドキドキしちゃうんだ。いつもなんだかんだ言ってボクたちが困ってたら手を差し伸ばしてくれるし、無理やり連れ回しても嫌な顔しながらも付き合ってくれるし。いい子なんだと思う。裁判の時もいつも最悪の事態にならないように予め行動していてすごいなぁって思ってたんだ。最近は、みんなルナちゃんとお話しして明るくなってるのを見るとルナちゃんは凄いんだって思うと同時に、心が少しだけチクっとするんだ。なんでなんだろうね。」
・万年筆
「顔がソレイユに似ているだけの愚か者ですね。ソレイユの弟で無ければエマの手を握った時点で呪い殺して差し上げたのに。最初から私を呼び出す方法を取ってたらソレイユに免じて慈悲の一つでも考えなくもなかったんでしょうけど、知ってる物語のレールから外れることが怖かったのでしょうね。安牌を取ったあなたの末路は背中を刺されて死ぬか干からびて死ぬかの2択です。異論は認めません。
あぁ、それと、島からあの大魔女を連れ出した事に関してはそこまで思い入れはありません。だってあの子、ずっと私たちが何かしら失敗する度にゲラゲラと笑っていたんですもの。あの連れ出した転生者には『よくできましたね』スタンプを差し上げます。」
次回
第28話「今日は平和に終わりそうだ」