魔法少女?ノ魔女?裁判 作:まのさば脳焼き人間
前回と同じように後書き書いてたら長くなっちゃいました。
読まなくても全く本編には影響ないので無視してしまっても大丈夫です。
それでは本編どうぞ。
☆☆☆☆ケース4-黒部ナノカ-☆☆☆☆
「天音ルナ......今日は時間あるかしら?」
「あぁ......ナノカか。今日のこの時間はみんなに一人で過ごしたいって言ってたから、誰も来ない予定だ。」
「そう。少しお話いいかしら?」
「それくらいなら......まぁ。」
そうしてナノカは予めそこにあったイスに座る。俺はイスを用意し、机を挟むようにナノカと対面して座る。
「この間まで様子がおかしいと思って......てっきり私が問い詰めたせいかと思ってたけど、どうやら元気になったようでよかったわ。」
「心配かけてすまなかったな。」
「それと......前のようなことはもうしないで頂戴。」
「あぁ。みんなからも怒られちまったからな。」
「そうじゃなくて......もう自棄になって自分の身を犠牲にしないで頂戴。あなたにいてほしい人だってここにはいるもの。」
「......もう無茶なことはしないさ。」
「......約束よ。」
「善処するよ。そういえば......ナノカと、こうして話すのは初めてだな。ずっとまともに話せてもなかったから。」
「そうね。ずっと牢屋敷に戻ってなかったし、魔女裁判くらいでしかみんなに会ってなかったから。」
「何か聞いてみたいことはないか?行動が大きく変わることは話せないが、日常会話くらいなら俺の知ってる物語に影響ないだろうし。」
「そう。なら、あなたの魔法......【???】について教えてくれるかしら?」
「俺の魔法?まぁ、それくらいなら。」
そうして俺はナノカに魔法について分かっている部分を話した。
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「......って感じだな。あんまり役に立たない魔法だと思ってるよ。」
「そう。......もしかしたら、その魔法、あなたが思ってるものと違うのかもしれないわ。」
「なんだって?」
「ここの調査を続ける中で、あなたにとても似た大魔女を幻視したわ。その子が使ってた魔法が【???】と【未来視】。周りからは【傍観の大魔女】とも呼ばれていたわ。」
「あぁ。きっと俺のご先祖様だな。俺もそいつに関する本を見つけた。容姿が似てるならもう確定でいいだろう。」
「そう。その大魔女は、特にあなたの魔法を別の用途で使ってたわ。」
そして、ナノカから魔法についての新しい見解を知らされた。
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「なるほど。その用途だとしたら傍観の大魔女と言われてるのも理解できるし、そう魔法を使うなら俺の使い方が違うってのも理解できるな。」
「ええ。もしかしたら......。」
「それ以上言うな。俺だってそれは初日に思ったんだ。でも、そういう目的で使っちゃいけないと思うんだ。」
「そう......。あなたがそう言うなら。」
「俺の魔法に別の使い方があったのを教えてくれてありがとう。」
「あなたの助けになったのならよかったわ。」
「俺も、ナノカの助けになりたいけど......どこまで話していいのか分からないから、答えられないんだよな。ごめんな。」
「いいのよ。私は私の実力で黒幕に辿り着いて見せる。」
「悪いな。この埋め合わせは必ずどこかでする。」
「えぇ。復讐を遂げたら......その時はあなたと一緒に......い、いえ。なんでもないわ。」
そう呟いた後、ナノカはまたどこかへと去っていった。
☆☆☆☆ケース5-氷上メルル-☆☆☆☆
「皆さん、なんだか明るくなられましたね。」
「そう......だな。俺との会話でストレスを軽減しているように見える。メルルはいいのか?ストレスを溜めさせて魔女化させていく方針とは真逆のような気がしてメルルから怒られないかドキドキしてたんだ。」
「えぇ。私は構わないのですが、ルナさんは......。」
「必ず起こさなければいけないイベントはしばらくないし、そこまで焦ることもないと思ってるよ。」
「それならいいのですけど......別の意味で危なそうな気はします。」
「危ない?」
「なんだか......皆さん、ルナさんをターゲットに......い、いえ。なんでもありません。」
「そ......そうか。あ、メルル。お前に聞きたいことがあるんだけど。」
「はい。なんでしょう?」
「これまでの牢屋敷で、思い出に残ってる魔女候補はいるか?どんな魔法を使う人がいたのか気になって......。」
「はい、一番は念写の魔法を持つあの子でしょうか?それとも、前の魔女候補にいたナノカさん......でしょうか?」
そうしてメルルからはこれまでに特徴的だった魔法を持つ子たちの話を聞くことが出来た。
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「思ったんだけどさ......【幻視】に【千里眼】。俺の姉が【未来視】......今回の魔女候補は黒幕のメルルがバレる可能性が一番あるんじゃないか?」
「みんなで協力すれば、そうなりますね。念写の魔法を使ったあの子は比べられないですけど。」
「......一発で黒幕だとバレるものを念写されたもんな。」
そこからは、あまり長く会話するとバレるとのことで、早々にメルルは帰っていった。
☆☆☆☆ケース6-紫藤アリサ-☆☆☆☆
「つってもよ。改めて天音に聞きたいこととか相談したいこととかないんだよな。」
「そうじゃなくても、解読作業で俺はアリサにいつも助けられてるから、何かアリサが俺にしてほしいこととかあったら遠慮なく言っていいんだぞ。なんでも言ってくれ。」
「なん......でも。」
「あぁ、でも前のマーゴにされたときみたいなやらしいものはダメだからな。そういう関係にしたくないから。」
「わ......わかってるよ!!」
そうしてアリサは何か考えた後、遠慮がちに俺にお願いしてきた。
「じゃあさ......ウチにひ、膝枕......してくれないか?ほ......ほら。異性にしてもらうのって、きょ......興味......あったから。」
「男の膝枕でいいのか?それくらいなら......ほれ。」
俺はアリサからのお願いを叶えるため、ベンチに腰掛け、膝辺りのほこりを手で払い、手招きした。アリサは俯きがちになりながらも、俺の隣に腰かけ、その頭を俺のふとももに乗せてきた。
「どうだ?あまりいいものじゃないだろ?」
「......結構恥ずかしいけど......でも......なんかほっとする。」
「ここに来る前も、暇な時に姉にせがまれてやったけど......そんなにいいものか?」
「うん。いい......。」
そうしてアリサがリラックスした声で返事する。
俺は、フードの隙間から出ていたアリサの髪を梳く。
「......っ!!」
「あ......悪い。髪はダメだったか?」
「び......びっくりした......だけ。そのまま続けてていい。」
アリサから許可を得て、そのまま髪を梳き続ける。なんならフードの中に手を突っ込んで髪を梳く。とてもサラサラで、こんな酷い環境にも関わらず、まるでその酷さを感じさせない手触りだった。
俺はアリサに言葉を投げる。
「......最近どうだ?」
「どうだって......何が?」
「いや......もう7人も犠牲になって......もう半分しか生き残ってない。こんな環境でストレスが溜まらないわけがないから、魔女化も進行してるんじゃないかって心配で......。」
「あぁ。......確かに、時たま悪夢を見たり、現実を見るのが辛くなる時もあるけど......なんていうのかな......ウチは天音が生きてるって実感するだけで......それだけでどこまでも耐えられそうな勇気が湧いてくるんだ。」
「俺?」
「あぁ。おめえはあまりにもお人よしで優しすぎる。それこそ、どうしようもねぇ不良のウチを初対面で叱ってくれたり、構ってくれたりしてくれるし、友達思いの橘の殺人を庇うくらいには。そんなおめえが今までの殺人事件をわざと見過ごしてたとはウチは思えねえ。ウチはバカだからわかんねえけどよ。みんなの死に......これまでの殺人に、おめぇが見過ごしてきたことに意味があったんじゃねえかって思うんだ。」
「意味......ね。」
「あぁ......ウチらがなんでこんな魔法を持って......なんで牢屋敷に来てしまったのか......理不尽だと思って当たり散らかすのは簡単だけどよ。もし......そこに......いみが......Zzz。」
「......寝てしまったな。」
意味......ね。もはや最初から原作なんてものが存在しなかったこの世界に、どうして俺がみんなと出会えたのか。
俺はきっと......何かを為すためにここに生まれて......何かを為すためにここにいる。
『私が見た未来のハッピーエンドは...ルナに任せるね。...大丈夫...ルナなら...上手くできるよ...』
記憶がフラッシュバックする。一瞬だけ動悸が激しくなり体が発光しかけるも......気合で抑え込む。
分かってた。
俺の原罪は『原作知識』だけじゃないことを。
俺の原罪は......『soleil to luna-託されし者-』。
この世界の異物である俺が......唯一同じ世界で生きることが出来た姉から託された......姉の未来だったハッピーエンドを完遂すること。それこそが俺の唯一の目標にして俺のトラウマ。
だから、トラウマを自覚しながらも魔女化せずにいられたのは......俺がユキ由来の魔女因子じゃないことが理由ではなく......どんな状況であろうとも今はそのハッピーエンドへ至る只中だと暗示をかけ続けていたから。
ユキ由来の魔女因子じゃないから、醜悪な化け物になることはない......と、思うけど。俺も魔女因子を抱えている以上、精神を強く揺さぶられれば魔女に近づく。
その最後の最後の防波堤であり引き金が......姉との約束だった。
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原罪『soleil to luna-託されし者-』
タイヨウカラツキヘ
それはレールの上を盲目のまま歩いていた。
その半身が歩む筈だった道を
その未来が破滅と知っても、とうに迷子になってしまっても。
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俺はまた心に蓋をして......アリサの髪を梳き続ける。
それから2時間後......アリサの目が覚め、照れた様子でサンルームから退出していった。
☆☆☆☆ケース7-???-☆☆☆☆
思えば......お前ともこうして面とむかって話すのは初めてだな。
”あら?どういう風の吹き回し?最近は強くなった魔法を制御に全振りして私の声をシャットアウトしてたのに。おかげで寂しかったわ。”
......会話が俺の魔法と関係しているようなことを言ってたからな。あの本を見た後はどこまで魔法が使えるのかなんとなく理解できたからお前の声を閉じることは簡単だった。
色々と整理する時間はあったから、改めてお前のことを聞いときたいと思ってな。
”あハ!私のことが気になるんだ?何を知りたいの?”
お前は一体なんなんだ?この島にいた大魔女の一人だとおもうが......。
”もうわかってるんじゃないの?”
傍観の大魔女......。
”せいか~い。”
俺のご先祖様か。ところで、最初に話してきた丁寧語はどうしたんだ?口調がまるっきり違ってるじゃねえか。
ただあの子のマネをしていただけよ。でも、口がかゆくなってきたからやめたわ。やっぱり私はこの口調があってるみたいね。
なんだそれ。てか、俺がこの島に来る前にも魔法を使ってたが、姿は見えなかったぞ。
”当たり前じゃない。中途半端な魔女見習いごときの魔法で私の姿を見るなんて傲慢よ。でも、どうしても私の姿を見たいなら、今なら全力で魔法を使えば姿を見ることができるわよ?”
いやだよ。代償が重すぎる。
”それくらいなら私がなんとかするわよ?”
それでも嫌だ。俺が魔法を使ってるのを他の人に見られたくない。
”強情ね。まぁいいわ。それで?ほかに聞きたいことは?”
いつからだ?いつから俺を認識していた?
”最初から?生まれた瞬間から私の魔法が使える素質が双子揃ってあるなら気になるじゃない”
つまり全部見ていたってことか。でも俺はお前を知覚しなかったぞ?
”声が聞こえるようになったのはつい最近よ?牢屋敷送りにされた後、あなたは常に精神的に揺さぶられ続けて......ノアちゃんの死が迫っていることに罪悪感を感じてようやく私の声が聞こえるようになったの。”
なるほどな。どうりで魔法を使わなくても声が聞こえるわけだ。いや......ここに来たばかりのころは完全に御しきれてなかったからか。魔法の操作の幅が広がってお前の声が聞こえるようになって、魔法の完全制御でお前の声をシャットアウトできたってことか。
”もう少し魔法が成長すれば、全盛期の私が使ってた魔法と同じくらいのものが使えるはずだけど”
これ以上魔法が成長したら魔女になるだろ。俺は魔女にならない。
”ほんとに残念。あなたならお似合いなのに。”
はっ。お前のようなまさしく傍観の大魔女と言われるような嫌みったらしい魔女は原作で処刑されて当然だ。どうして先祖の転生者はお前に好意を抱いたんだろうな?
”後から聞いたけど顔が好みだったらしいわよ?”
顔......え?それだけ?
”ええ。島から出たら毎日喧嘩したわぁ。その分、その夜は燃えたんだけど♡”
いらんいらんいらん。先祖のそういう事情とかまじでいらんって。
”あら。ごめんなさいね。......ねぇ、ちょっと気になったのだけれど......あなたはどの娘が一番好きなの?”
???
”とぼけないで頂戴。あなた、いろんな娘に粉かけてたじゃない。”
粉って......俺はただ、困ってる子を見過ごせないだけだよ。しかも、ここに来てからは原作知識と称して色んなものを見過ごしてきたんだし。
”思わせぶりな態度は余計に相手を傷つけるのだけれど......もしかして、あなたそういった自覚ないのかしら?”
???
”これは将来大変なことになりそうね。まぁ、あなたの原作知識が正しければもう将来はないのでしょうけど。”
どうだろうな。もう原作じゃないのかもしれないし、まだ原作は地続きなのかもしれないし。
そんなことを考えてる間に、天の声は聞こえなくなっていた。
休憩時間の終わりの音が鳴り響いても、俺はその場から動かずぼーっとしていた。
(なんだか、こういう穏やかに過ごす日々も悪くないな......今まで死んでいったみんなのことを思うと後悔が押し寄せてくるけど。)
ただ......それはただの嵐の前の静けさだということを......いずれ痛感することになるのであった。
次回更新は12月6日になります。
今回出た各キャラの主人公に対する印象です。
・ナノカ
「他人の人生を盗み見る私が、とやかく彼のことを言う資格はないわ。でも、一つだけ確かな事は、彼の前世の記憶は祝福であると同時に呪いでもあるの。恐らく彼の前世は幸せに往生したのでしょうね。彼は他の人にその幸せを味わって欲しい一心で常に誰かの為に行動することが前提となっていた。そして彼の姉はそんな彼の危険性を知っていた。だから、天音ルナを飼い殺そうと思って姉は嫌いな未来予知を駆使して親の貯金の極一部から資産形成を進めてた。もちろん親から許可を貰ってだけど。彼の記憶から見た姉の行動はそうとしか考えられなかった。
でも、彼は今ここにいる。
牢屋敷にいる彼と飼い殺された彼。果たしてどちらが幸せだったのか。」
・メルル
「彼に前世の記憶があり、そこで私たちの事を一方的に知っていたというお話を聞かされた時は驚きでしたが、彼が傍観の大魔女様の末裔だという事実も同じくらいに驚きました。大魔女様からはその手のお話は全く聞いてない為、あまりいい思い出ではないのでしょう。本来であれば天音ソレイユさんが来るはずでしたが、何かの手違いなのかまるで女の子のような見た目をした、天音ソレイユさんにそっくりな男の子が来た時はてんやわんやしました。
でも、私は彼と出会って良かったと思いました。なんていったって彼は私に、大魔女様にも会うことが出来るって言ってくれましたから!こんなに素敵な共犯者と出会えて、私!幸せです!!」
・アリサ
「なんつーのかな。あいつは最初、打算ありきでウチを叱ったと思うんだ。何の目的で叱ったのかはわかんねーけど、ウチとの関係を続けたいわけじゃないのは感じたんだ。それでも、ウチに役割とか与えたりウチから近づいても嫌な顔せず受け入れたり......そうやって過ごすうちに、いつしかウチも、あいつが困ってたら助けてあげたくて、あいつの力になってやりたくて、あいつの喜ぶ顔が見たい。そう思い始めて、ウチはあいつに......天音に恋しちゃってんじゃないかって......あいつが好きなんじゃないかって思っちまって。でも、ウチはこんなクソみたいな環境であいつと結ばれたいとか考えてねえ。ここをみんなで出た後に、あいつに気持ちをぶつけるんだ。だから、この気持ちは今だけは、胸の中に留めておくんだ。」
・傍観の大魔女
「ルナちゃんもそうだけど、ソルちゃん......ソレイユね。ソルちゃんも、生まれたときから魔法を自覚していたわ。生まれた時には弱すぎるその灯りは、5歳になるころには使うのに十分な力を秘めていた。ルナちゃんはルナちゃんで前世の記憶があるからほとんどの物事が既知だったし、ソルちゃんも未来視を使えばあらゆる物事は既知になったから、どっちも一人の時はつまらなさそうにしていたわね。私の魔法は自身の中で相互干渉を起こさないように互いに効果の影響を受けないようにしていたけど、それがかえってあの双子に互いに依存させるような関係にさせてしまったわ。ソルは唯一未知のルナに......ルナは唯一自分の魔法に影響がないソルに......あの時が一番ハラハラしたわ。危うくキスするんじゃないかって関係まで近づいていたもの。まあ、そうなる前にソルちゃんは事故で死んじゃったけど。でもソルちゃんが死ななかったらルナちゃんが死んでいたんだし、どうあっても片方は救えない命なのは可哀そうよね。
一時期ソルちゃんは魔法の暴走時に見た、月代ユキを魔法で感知して会いに行っていたこともあったわね。私は万が一にもユキに感知されたくなかったからソルの様子を見に行く事は無かったけど、ユキに会う度に段々人間らしさが増していった気がするのよね。
元々ソルちゃんが持つ未来視の魔法は、無制限に未来を見て、自分の行動で分岐する未来さえも見通す事が出来る強い魔法よ。ソルちゃんはその分岐する未来を自由自在に操ってたからこそ、ソルちゃんは『分からない』事が分からなかったのよ。そこが人としてズレている部分となった。恐らくユキはそこを治してくれたのよ。ソルが人として生きていけるように。
ま、死んだから意味がなくなったのだけれどね。」
次回
第29話「運命の奴隷」
追記
予定変更です。次回は描写しきれず蛇足と切り捨てられた本編の幕間のお話を入れます。
「いつか他キャラの絡みは描写するやろ」の精神でやってたら気づいたらここまで先延ばしにしてしまいました。読者の皆様には読みづらい文章をお出ししてしまい大変申し訳ございませんでした。
主人公の魔法に関する部分の幕間はもう少し後になったら書きます。次回は単純な人間関係です。