魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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第31話「その結果がこれ」

俺の中でのステンドグラス破裂音の新事実が判明していようとも、裁判は続いていく。

 

「アリサちゃんがビンを炙ったのは、ラベルに書いてあったものを燃やしたかったからなんだ。ビンのラベルには、メルルちゃんの名前が書かれてたはずなんだ。」

「ラベルに......。」

「メルっちの名前が。」

「そう。死の間際、アリサちゃんはメルルちゃんが犯人だと疑われない為に......誰も巻き込まず、一人で死のうとしたんだよ......!」

「そんな......!」

「......そう......だったのね。......でも、エマちゃん。私にはまだ1つ気になることがあるの。それはね......動機よ。納得するためには......それについて、話す必要があると思うわ。たとえ自殺であっても。どうしてアリサちゃんは自ら死を選んだのかしら?」

「アリサさんの肉体面は魔女化が進んでいるようには見えませんでしたし、精神面も......ルナさんがアリサさんの支えになっていたように見えたので、とてもすぐに死にたいと思える状態ではありませんでした。」

「確かに最近はルナっちがみんなのメンタルケアしてたし、あてぃしらもそれに助けられてた節はあるけど......そう考えると唐突に自殺したとしか思えんって!!」

「ということは......誰かがアリサちゃんに自殺を唆した可能性もなくはないわね。」

「じゃあそいつが犯人ってこと!?」

「......。」

 

「???ルナさん??」

 

メルルは俺の様子に何か疑問を感じたような様子だった。

 

「メルル......1つ質問いいか?」

「はい......なんでしょう?」

 

「アリサは......昨日の夜、睡眠薬を欲していたか?」

「いえ......昨日の夜はあの言い争いがあってからアリサさんには会っていません。」

「......そっか。ありがとう。」

 

「ルナっち?」

 

 

 

俺はずっと考えてた。

 

今回の事件。何が違和感あったかと言えば、アリサの死体の状況だった。

 

原作では、アリサは魔女化したまま死んでいた。

 

今回......アリサは人のまま死んでいた。しかもトレデキム特有の目の鉱石化が発生していない状況で。

そして、おそらく昨日の夜に俺から走り去ったアリサは、予め知っていた睡眠薬を持って処刑台に行ったんだ。

俺が傍観の魔女の血を引く存在としった次の日、俺を看病しようとメルルからいくつか薬の位置を聞いていた。きっとその中に睡眠薬の場所も知ることが出来たはずだ。

 

 

 

アリサは......本当に睡眠薬のオーバードーズで死のうとしたんだ。

 

 

「発言させてくれないか?もしかしたら......俺が最後の後押しをしたのかもしれない。」

「いいわルナちゃん。でも、適当なことは言わないようにね?」

「分かってる。」

 

そうして俺は話を始める。原作では絶対にありえない......俺がいたことによるアリサの心境の変化さえも。

 

「アリサの言い争いの後......俺はアリサを追ったんだ。」

「えぇ......それは見ていたから知っているわ。アリサちゃんとは会えたの?」

「あぁ......会えた。そして、そこでアリサに殺されかけた。」

「ヤンキーに......!?」

「殺されかけたって!?」

 

みんな驚いた様子で俺を見てくる。

 

「アリサに啖呵を切った時、俺はアリサの憎しみを受け止めるって言ってたから......それで殺されるのも仕方ないと思ったんだ。」

「でも、ルナちゃんはここにいるじゃない。」

「あぁ。それでもアリサは俺を殺さなかった。その後またアリサはどこかに走り去っていったんだ。アリサは言ってたんだよ。いつ俺を......誰を殺すのか分からないって。苦しみながら。」

「ルナちゃん......。」

「考えてみれば、アリサは完全に俺に依存してたように思うんだ......俺が......アリサを変えちまったんだ。......俺が、アリサを自殺に追い込んでしまったんじゃないのか?」

 

 

 

「それは......それは違います!!」

「メルル......。」

「人と人とが関わり合って、その人の心を変えてしまうことが罪になるのなら......これまでの裁判でみんな罪を背負っていることになります!!」

「確かに......レイアちゃんがノアちゃんを殺す動機となったのは、ノアちゃんが注目されることが原因ね。この場合、ノアちゃんがレイアちゃんに殺人を唆したことになってしまうわ。」

「アンアンちゃんだって......ボクが脱獄しようと騒いだから、ボクを殺そうと行動した。ボクがアンアンちゃんを殺人に導いてしまったことになるよ。」

「怪力ゴリラとお嬢は......言う必要はないか。」

「だから!!ルナさんのせいじゃありません!!アリサさんは......自分の意志で、自殺を選んだんです!!」

 

 

「......ところで、質問してもよろしいでしょうか。1つだけ、気になることがあるんです。素人質問で恐縮ですが......良ければ私に教えてくれませんか?」

 

ゴクチョーが声を上げる。

全員がアリサの自殺で納得しかけたところでの発言に、さしものマーゴも訝しげな視線を向ける。

 

「......何に答えればいいの?」

「それは......【処刑台】についてのことです。」

「......どういうこと?」

「些細なことではあるのですが......。不正がないことを確かめる為にもどうか私に【真相】を教えてくださいね......。」

 

ゴクチョーが昨日と今日に処刑台の動作した履歴が残っていることについて、全員に向けて質問する。

そして、エマが......自身が動かしたと正直に発言する。

地下施設の存在がエマから明かされ、ココが、エマが黒幕じゃないかと疑いをかける。

 

そして、マーゴがアリサの死因はオーバードーズではなく、凍死になるのではないかと意見を述べる。

適切な処置をすればアリサを助けることが出来たのではないかと。

 

 

全員の息を飲む音が聞こえた。

 

 

(......原作では、アリサはトレデキムで即死してから地下に行って凍らされてるから、エマが殺したわけじゃなく、黒幕のメルルが直接的に殺していた。......でも、今朝の様子は明らかにトレデキムで死んだ様子ではなかった。......エマが......トドメを刺してしまったことになってしまってる......。俺が......アリサの精神面を安定させてしまったこと......その結果として、アリサの延命どころかエマの過失致死を成立させてしまった......。俺が......俺が余計なことをしなければ......。)

 

俺が後悔に苛まれる中、議論は最終場面を迎えていた。

 

 

「違うよ......!ボクはアリサちゃんを殺してなんかない!

 

それに......ボクはそのボタンがなんのボタンかもわからなかったんだ!

 

仮にアリサちゃんが凍死していたとしても......殺す気なんてなかった!!」

 

「......【過失致死】。ねえ、ゴクチョー。【事故で殺してしまった】ときは、どうするべきなのかしら......?」

「......選択はお任せしますよ。あなたたちが決めることですから。」

「......そう......。」

「で、でもアリサちゃんは睡眠薬を自分で飲んだはずだよ!最初から自殺をしようと思っていたはず......!少なくとも、ボクはアリサちゃんを殺そうと思って殺したわけじゃないし......!」

「で、ですが......。アリサさんが早く見つかって処置できていれば助けられたかもしれません......。」

「で、でも......それは......!こ、これは......事故だよ......!たまたまアリサちゃんが処刑台にいただけで......!」

「......本当かよ。」

「え......?」

 

 

そこから、全員でエマを糾弾する流れとなった。いくつもの意見がエマへと突き刺さる。エマは必死に否定する。

 

「違う......ボクはやってない!!......た、助けて!!ルナちゃん!!」

 

そして、俺に助けを求めてくる。俺はずっと、エマを擁護するための意見をひねり出すため、頭を押さえながら言葉を発しようとした。

 

しかし

 

「そうやってルナっちに助けを求めようとするの、マジで反吐が出るわ。ルナっちでもアリサの死に際しか見れねえんだし、昨日の夜から24時間経過してねえ時点で凍死しかありえねえんだよ。」

「死んだ状況や死のうとした動機まで自殺としか思えないし、自殺だったなら今の時点でまだ生きてないとおかしいわ。論理的に考えても、いくら彼でもエマちゃんが犯人の状況を覆すのは無理よ。」

「エ...エマさん......。」

 

 

「では皆さんの意見も固まったようですし、そろそろ投票に移るとしましょうか。」

 

ゴクチョーからの無慈悲な宣告が響き渡る。

 

「みんな、話を聞いてよ!」

 

「それでは投票をどうぞ。」

 

「違うんだ!!」

 

 

 

そして、全員がエマへと投票する。

 

魔女が選出され、エマが看守に拘束される。

 

そして、処刑台がせりあがってくる。

 

 

そして

 

 

 

そして

 

「ぎゃあああああああっ」

「これは一体どういうことなの!?」

「あ、あ、あああああぁっ」

「うっ......。」

 

 

原作通り、そこにはナノカの死体が倒れるようしてそこにあった。

 

 

(仔細はメルルに話してない......ここまで原作通りであれば、ここに来た当初の俺であれば、「計画通り」とか思ったんだろうか......。ただ......ここまで結果だけが変わってないのに不安しかないのは......俺がみんなのことをもう好きになっているからなのか......俺がいることで見えないところが変わっているせいなのか......。)

 

そして、エマの全力の抗議により、5回目の魔女裁判が開かれる運びとなった。




次回更新は4日後の12月18日になります。

2日後にはなんかあるんじゃないですかね?私は知らないですけど。
こんなタイミングにね、息抜き回とか作るわけないじゃないですか。
18歳未満の方にはね、何のことか分からないと思いますが、実際本編更新は4日後なのでお待ちくだされば。

次回
第32話「別れの挨拶はいらない」
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