魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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第33話「選択は自由」

これは語られることのない、殺人現場の舞台裏のお話である。

黒部ナノカが撃たれる瞬間から、黒部ナノカが殺される瞬間までの幕間のお話である。

 

 

「氷上メルル......あなたが......黒幕だったのね。」

「ナノカさん。背中から撃たれたにも関わらず、凄まじい執念ですね。」

 

「......大体幻視で見たわ。あなたがどうして私たちを集めたのか。どうしてこんな茶番劇を始めたのか。全ては元凶の大魔女を探す為......でしょ。」

「はい。私は大魔女様にお会いする為に......そして、あなたたちを救済するためにこの牢屋敷のシステムを作りました。」

 

「救済......ね。それは私たちが魔女として国に災厄をもたらすから......国から処分されるところを氷上メルルが牢屋敷という空間に隔離するから、私たちは見逃されている......ということかしら。」

「もうそこまで知っているんですね。そうです。私はあなたたちのことを救いたくて国から処分が決定していたあなたたちを殺さない為に牢屋敷に招待しているんです。」

 

「そうなのね。......撃たれたということは、私は口封じに殺されるのかしら。」

「本来であれば、そうしていたと思います。彼から情報を聞かされてなければ。」

 

「彼?」

「ナノカさんは知らないんですか?ルナさんは前世の記憶を持ってるんですよ?そして、私たちのことも物語として知っていたんです。」

 

「氷上メルル.....どうしてそれを。」

「彼、前世の記憶を持っていても、自身の出生までは知らなかったみたいで......自身の出生が記載された本を解読して、この先の未来が分からなくなって弱っていたんです。そこで、彼を私の共犯者にしてその未来を実現させると言ってあげたんです。そうして、彼と私は協力してこの計画を進めたんです。全ては大魔女様に会う為に。」

 

「そう。そういうことだったのね。私は......裏切られたのね。」

「いいえ、ナノカさんは裏切られていません。ナノカさん。私と一緒に共犯者になりましょう。共犯者になると言ってくだされば、撃たれた傷も治して差し上げます!!」

 

「黒幕に協力するくらいなら、私はこのまま死ぬわ。」

「そんなこと言わないでください!私は、ナノカさんにも生きて欲しいんです!」

 

「じゃあ......この質問に答えて頂戴。返答次第では回復を受けなくもないわ。」

「えっと......何を聞きたいんでしょう?」

 

 

 

「天音ルナが処分されるのはあなたでも変えられなかったの?天音ソレイユ、天音ルナ。どちらも牢屋敷に連れていくことは出来なかったの?」

「いえ。私が探したいのは大魔女様なので......男性の方は本来の規定通りに処分されても構わなかったんですけど、何かの手違いか、ルナさんが収監されてしまったんですよね。」

 

「そう...あなたは知らないのね......天音ルナが死ぬはずだった出来事。国が事故と称して殺そうとしたときに、天音ソレイユが代わりに犠牲になったこと。そのせいで天音ソレイユが死んでしまったこと。それらを知らないのね。」

「えぇ......!?そんなことがあったのですか......お可哀そうに。でも、私、ルナさんが牢屋敷に来てくれてよかったです。」

 

「???......じゃあ何?あなたは天音ソレイユが死んでも良かったっていうの?」

「?......えぇ......はい。ルナさんからお話を聞きましたが、ルナさんとソレイユさんは傍観の大魔女様の末裔ですよね?......その二人は魔女になっても確実に大魔女様ではありませんよね?人間の中にお隠れになった大魔女様は、人間の中にお隠れになられました。なら、その二人は本来牢屋敷に連れてくる理由はありませんよね?」

 

「......は?」

「でも、ソレイユさんにはお気の毒ですけど、私、ルナさんに出会えてうれしいです。だって......こんなにも、素敵な共犯者に出会えたのですから!!」

 

 

 

満面の笑顔で言うメルルとは対照的に、ナノカの表情は完全に抜け落ちていた。

 

ナノカのトラウマは、誰かに庇われること。

それは本来、自分が庇われたことがトリガーになるはずであった。

 

 

そして、魔女化は......トラウマを刺激されることで急速にストレスを感じ、ストレスから魔女化するというサイクルになる。

 

この時、ナノカの怒りは頂点へと達した。

それこそ、自身のトラウマと同レベルのストレスとなるくらいに。

 

よりにもよってこの目の前の、人を模った醜悪な化け物は誰かが代わりに犠牲になった事を喜んだのだ。犠牲になって良かったと。死んで良かったと。

 

この目の前の醜悪な魔女は今すぐに排除しなければならない。

 

ナノカはそう感じた。

 

「......殺すわ。」

 

 

そして、ナノカの体が急速に魔女化していく。

 

「わっ......ナノカさん。すごい勢いで魔女化してます。で、あれば......魔女化している体には、これがよく効くことでしょう。」

 

 

メルルは懐から透明な液体が入った瓶を取り出して、その蓋を開ける。そして、ナノカに向けてその液体をまき散らした。

 

「うっ......何をしたの......氷上メル......ル!?」

「トレデキム。魔女を殺す薬です。経口摂取であれば数分で効果を発揮しますが、ナノカさんは魔女化によって肉体が一部崩壊しているので、魔女化した皮膚に触れるだけでも効果を発揮するかと思います。」

 

「そん......な。私は......まだ、復讐も......天音ルナに......真相を伝えても......いないの......に。」

「さようなら......ナノカさん。状況が違えば......私たち、もっと仲良くなれたかもしれませんね。......さて!急いで隠蔽しませんと!!ルナさんから仔細は聞いていませんが、彼が居なかったときの私はきっとこうしたと思いますから。」

 

そして、今回の事件が出来上がった。

 

あまりにもちぐはぐで......あまりにもお粗末で。でも結果だけは同じなだけの......あんまりな終わり方。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「私は、人間の中にお隠れになった大魔女様を探して......今回のように魔女因子の高い子たちを探してひとりひとり魔女にして確かめていました。皆さん、なかなか魔女になってくれなくて、その......申し訳ないのですが、たくさんストレスを与えなくちゃいけなくて......。とても、辛い作業でした......。皆さんを嫌な目に合わせるたびに心が痛んで......もうやめたいと何度も心が折れかけて......。ちゃんとやらないといけないのに......怖がりで、泣き虫で、こんな自分が大嫌いです......。本当にごめんなさい......。」

「はぁぁぁ!?いい加減理解できる思考回路で喋れよ!!その大魔女ってやつのために、あてぃしらは酷い目に遭わされまくってるわけ!?」

「そこまでして、なんのために大魔女を探しているの?」

「それ......は......私たち【魔女】にとって、大魔女様は、大切な存在、だからです。」

 

「おめえやっぱ魔女なんじゃねえかよ!」

「は、はい!ごめんなさい......っ、わた、わたわた私は、魔女です......っ。で、でも、みなさん囚人とは、ちょっとだけ違います。本物の魔女です。みなさんより、その、上の存在......。そして......その......ルナさんも......。」

 

「え?」

「は?」

「どういうことかしら?」

 

「......。」

 

俺は目を瞑り、沈黙する。

 

「わ、私は、人間が魔女因子によって魔女化している、いわば【人間魔女】とは違う、【真の魔女】......。そして、ルナさんは、私が追い求めている大魔女様とは別の、大魔女様の末裔......。【大魔女の血を引く魔女】です。なので、私たちはみなさんのように、【なれはて】にはなりません。」

 

「大魔女の呪いによって魔女にされた人間は、殺人衝動が高まり、理性を失った化け物になる。私たちはその犠牲者ということなのね。そして本物の魔女であるあなたと、大魔女の末裔であるルナちゃんは違う、と。」

「は、はい。そういうことです......。しかも私は大魔女様のお気に入りなので、魔女を封印する【魔女殺し】という特別な魔法も授かりました。」

「【魔女殺し】......?トレデキムと同じようなもの?」

「はい......。で、でもあの薬よりももっと強力で、全ての魔女が畏れている魔法なんです。な、なので実をいうと、私、みなさんが魔女になったら簡単に殺すことができるんです......。も、もちろんそんなことしませんけど......!」

「ルナっち......嘘だよね?」

「......。」

「ルナっち!!」

 

ココが俺の胸倉をつかみにかかる。そんななか、別のところで声があげられた。

 

「なんで!!」

 

 

エマがメルルに問いかける。

 

「なんでそんな、普通に話していられるの!?メルルちゃん、ずっとボクらを騙してたんでしょう!?友達だって優しくしてくれて、たくさん心配してくれて、それって全部嘘だったの!?」

「う、嘘なんかじゃありません......っ!大魔女様が必要だったんです。大魔女様さえ見つけられたら、みなさんにとっても、きっと救済になるはず、です......っ。だから私、辛かったけれど、いっぱい、いっぱい頑張りました......。お料理をひどいものにしたり、娯楽室にホラー映画を増やしたり......。嫌な気持ちになってもらわなきゃって、とにかく必死で......。一緒に生活しなきゃ、みなさんが嫌がること、わからないって思って。だから一緒に囚人になって、みなさんと親しくなろうって......。」

「それで囚人に混ざっていたわけね。毎度そうやって参加していたのかしら?ずいぶん熱心なことね。ルナちゃん?」

「......。」

 

俺は尚も沈黙する。

 

「何か勘違いしているようですけど......ルナさんは黒幕としてずっと協力していただいたわけではありません。今回ルナさんにお会いして、大魔女様の末裔と知って、わたしと共犯関係になっていただきました。ルナさんが言うには、今回で大魔女様とお会いできるとおっしゃっていたので。」

「つまり......未来予知の魔法が黒幕に渡ったってわけね。」

「ルナさんには、何度も私のやっていることを見逃していただきました。」

「えっ?」

「最初はレイアさんが目立てないことを悔しがっている様子に気付きました。目立っている彼女を殺さないと、一番になれないよ?かわいそうに......って言ってみました。」

「は......?」

「もしかして、メルルちゃん......殺人をそそのかしていたの......?そこまで......?」

「アンアンさんは、とてもエマさんに怒っていらしたので......せっかく彼と仲良くなれたのに、あの泥棒猫は彼の命もろとも奪い取るつもりだよ?このままだと、彼、死んじゃいそう。......って言ってみました。」

「!?」

 

「???」

 

ん?なんだそれ?そんなの俺の記憶にないぞ?そんなに早くから原作ブレイクしてたのか......。

 

「シェリーさんには......。」

「もういい!もう聞きたくない!やめてよ!!」

「ゴクチョー!!さっさとコイツ処刑にしろよ!!コイツ魔女だったんだろ!!そこのメス男子も同罪だろ!!知ってて見逃したんだからよ!!」

「いや、まぁ......ルナさんは処刑してもしなくても構わないんですが......私はメルル様の使い魔でして......。流石に主を処刑するのは躊躇するというか......。主催者権限で勘弁してもらえませんか?すみません......。」

「はぁぁぁぁ!?」

「まぁ、みなさんが納得できないなら、処刑してもいいんですけど、時間の無駄っていいますか......。」

「メルルちゃんは【なれはて】にならないということよね。死なないし、化け物にもならない。それならたしかに時間の無駄ね。」

「グスッ...スンッ......。これまで、囚人として魔女裁判に参加して......魔女として処刑されたことは、何度かあります......。痛いし、辛いし、今回はもういいです......。ルナさんから、大魔女様に出会う方法を教えていただきましたから!!」

「......その方法は何かしら?」

「それは......エマさんが魔女として覚醒することです!!」

「ボクっ!?」

「はい!!本当は辛いんですけど......友達から裏切られる気持ちは一番のストレスになると思って、今まで黙っていました。本当に辛かったです。......さぁ、エマさん!魔女になりましょう!!」

「何言ってるの!?ボクは魔女になんてならないよ!!いい加減にして!!」

「エマっち......。」

「エマちゃん......。」

 

「うーん。困りました。魔女になっていただかないと......私、困ってしまいます。このままでは、手足をちぎって痛みのストレスで魔女になっていただくほかありません。」

「ひぃ!?」

「マーゴさん......ココさん......邪魔......しないでくださいね......。もし、邪魔をすれば、命の保証ができませんから。」

 

 

そして、メルルがエマに看守と共ににじり寄っていく。

 

俺は......。

 

 

メルルを見過ごした

 

メルルの前に立った




次回更新は12月22日になります。

アンケートの結果次第では24日更新エピソードがこっちだったりあっちだったりします。


次回
第34話「俺に任せて先に行け」

クリスマスエピソードについて。

  • 本編早く進めてくれ。今大事なとこなんだ。
  • 番外編でクリエピは必要だろ。
  • あっち(R18)の続きがはよみたい。
  • あっち(R18)でクリエピしてくれ。
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