魔法少女?ノ魔女?裁判   作:まのさば脳焼き人間

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第34話「俺に任せて先に行け」

メルルを見過ごした

 

メルルの前に立った

 

 

メルルを見過ごした

 

⇒メルルの前に立った

 

 

「......ルナさん......どうして私の前に立つんですか?......邪魔を......するんですか?後もう少しで大魔女様に会えるのに......あと少しでこの500年の悲願がかなうのに......どうして?」

「マーゴ。......頼みがある。」

「......何かしら?」

「エマとココを連れてここから逃げてくれ。」

「......ルナちゃんは?」

「俺はメルルと少しお話する。」

「はっ!?ちょっ......ルナっち!?なんなの一体!?」

「ルナちゃん!!」

 

「いいから行け!!」

「......後でしっかりお話聞かせてもらうわよ!!それとお仕置き!!」

「......あぁ。その時はどんなお仕置きをされても構わない。」

 

 

そうしてマーゴが二人を連れて出ていく。

 

「ルナさん......どうしてこんなことしたんですか?どうして余計な手間を増やすんですか?もしかして、ルナさんは私の共犯者じゃ......なかったんですか?裏切ったんですか???」

「......少し話をしよう。500年の時を待ったんだ。少しくらい話をしても誤差じゃねえか?」

「......誤差じゃありません。私は、今すぐにでも大魔女様にお会いしたいんです!邪魔をするなら......ルナさんでも容赦しません。大丈夫です。少し痛めつけて行動できなくするだけですから......看守さん!」

 

看守が俺に向けて鎌を振りかざす。

俺はそれを魔法を使って狙いを外させた。

 

「......魔法......ですか。使ってるのを見るのは初めてです。」

「牢屋敷では誰にも見せてないからな、俺の魔法は。未来予知の魔法と偽ってたからこそだけど。そして、魔女化はエマたち人間魔女だけの特権じゃない。」

 

 

己のトラウマを掘り起こす。

 

姉の約束。

 

ハッピーエンド。

 

姉が辿るべきだった道。

 

俺がいてはいけない道。

 

俺が......今もなお歩んでいる道。

 

 

 

 

その全てを否定する!!

 

 

どれだけ自分の足で歩むのが怖くとも(歩きたくない)

 

どれだけ先の見えない暗闇であろうとも(前を見たくない)

 

 

 

俺は前へ進む。自分の足で先へ行く。(生きたい)

 

例え片割れの願いが踏みにじられようとも。(ハッピーエンドなんて知るか)

 

 

俺は、今を生きる。(俺だ)

 

 

 

 

肉体が白く発光する。

 

体を構成する要素が変容していく。

 

悍ましい感覚が全身を駆け巡り、すぐさま収束する。

 

魔女に......なった。

 

だれよりもトラウマを自覚し、誰よりもトラウマに目を背けてきたからこそ、簡単になることができた。

 

 

魔女化した(なった)......な。」

 

「ルナさん!?な......なんですかその恰好は!?」

 

「どうやら、俺も魔女になれたらしい。そして、魔女になったことで......俺の魔法がどこまで使えるか、なんとなく分かるようになったんだ。」

 

そうして、いつの間にか手に握られている杖を看守へと向ける。

 

「まずは手始めに......【発火】!!」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

逃げ出したエマたちは......細部は違えども、ルナが知る物語の道筋から大きく外れることはなく流れを沿うように出来事は過ぎ去っていった。

 

「ココちゃん。エマちゃん。ここに隠れてちょうだい。ココちゃん。決してメルルちゃんたちにエマちゃんを渡してはダメよ。なんだかとても嫌な予感がするの。」

「うぇ......あてぃし......あてぃし......うううぅぅ......。」

 

 

「あてぃし......ルナっちのこと......今でもよくわかんなくてさ。黒幕に協力してたと思ったら裏切って......死にかけたりお嬢を殺したとか言ってたりしてたの思い出して......希望的かもしんないけど、どうしても最初からメルっちと協力してたように......思えんくて。何か......メルっちに協力する理由があるかもとか......考えちゃうんだ。」

「コ......ココちゃん......。」

 

 

「あぁ......もうダメ......あてぃし......あてぃし......もうダメかも......エマっち......約束......守れよ?」

「うん...うん!ここを逃げ延びたら......ココちゃんの推しに......必ず会いに行くから!!」

 

 

「誰よりも......エマちゃんは人を信じていて......誰よりも眩しく輝いて見えたわ。だから、エマちゃんを守って......あげなくちゃって。魔女にしちゃいけないって......思ったのよ。......お先に......失礼するわね。あの世にルナちゃんが来たら......あっちにいるみんなで......ルナちゃんをお仕置きしてあげるんだから......。」

「そんな!?マーゴちゃん!!マーゴちゃん!!!!」

 

 

そうして、エマは牢屋敷前へと戻ってきていた。

 

「ココちゃん......マーゴちゃん......う......あぁっ......あぁぁあああぁーっ!!。......うあああああぁ......ああぁぁあぁ!!。.....あ、あっ、あぁぁぁぅ......あぁああああ!!」

「......エ......エマ......か。」

 

その声は玄関口のすぐそばで聞こえた。さっきまで何もなかったはずなのに、ルナが傷だらけで倒れていた。

 

「ル......ルナちゃん!?い、いつのまに......その恰好はいったい......それよりもすごい傷!」

「看守に......やられた。あいつ、俺の魔法をおかまいなしで攻撃しやがって......チクショウ。」

「ど......どうしよう......今すぐメルルちゃんに......あっ...メルルちゃんは...黒幕だったんだ。う......ああああぁぁぁぁああ!!」

「泣くな。傷に響く。......殺されるかとも思ったんだけど、動けない程度の重症で放置されちまった。右腕も切り飛ばされちまったし......。」

「ルナちゃん......どうして......。」

「隠れるなら......裁判所の中が......いいと思う。俺は......少し......寝る。」

 

そうしてエマは、ルナを置いて、一人裁判所の中まで来ていた。

 

「エマさーん、ルナさーん......。」

 

少し眠っていたらしいエマは、その声ではっと目が覚める。

 

「エマさーん、だ、大丈夫ですか......?け、怪我とかしてないですか......?」

 

エマは裁判所の閉じた扉の隙間から廊下を覗き込む。そこにはメルルとゴクチョーと看守、それに看守に連れられてじたばたともがく【なれはて】となったココがいた。

 

「森で【なれはて】になっているココさんを見つけて、マーゴさんの死体を見つけて......。後はエマさんとルナさんだけなんです。ルナさん、失った右腕から血が零れ落ちていると思うので、早く処置してあげたいんですけど、見つけられてないんです。」

 

そして、エマに呼びかけ続けるも、エマはその場から動くことなくじっと脅威が過ぎ去るのを待つ。

しかし、エマにとっても見過ごせない出来事が目の前で起こる。

 

大魔女を探すために、そして、処分が決定されてた魔女候補たちを生かすために、魔女裁判というシステムを創り出したこと。なれはてになった魔女たちを凍結保存していること。そんな見当違いな優しさを見せつつ、看守に抱えられた【なれはて】のココにトレデキムを口に注ぎ込むメルル。

 

「あっ!!」

 

見つかった。

 

「あぁ......そこにいたんですね!!エマさん!!ずっと探していたんです......っ。さあ、大魔女様にお会いする為、魔女になりましょう!!」

「......ならない。」

「ふえ?」

「ボクは魔女にならない!!」

「......どうしてですか?エマさんが魔女になっていただくだけで、大魔女様がおいでになるんです。私が待ち続けた500年がようやく報われるんです。500年、魔女候補の皆さんの苦しみ続けた連鎖がようやく断ち切れるんです!!」

「どうしてボクが犠牲にならなきゃいけないの!?そもそも大魔女って何なの!?全部メルルちゃんの妄想じゃないの!?」

「いるんです!!いるんです!!大魔女様はいるんです!!......あっ......そうだ。エマさんが魔女になって大魔女様がおいでになるのであれば、大魔女様と何か関係あるはずですよね?こちらの御方に見覚えはありませんか?」

 

そう言って、メルルは大魔女が写った写真を見せる。

 

ルナから聞かされていた情報から僅かな可能性から手繰り寄せた憶測に過ぎなかったもの。

 

でも......エマにとってみればそれだけで充分だった。

 

そこからのエマの豹変は早かった。

 

「嘘......そんな......その子は......ボクの友達......だ。」

「え?」

「ボクが......見殺しにした......あぁ......ぁあ!!ああっ!!!」

 

エマは魔女になった。

 

蝶のような......骨だけで構成された羽根を携えてその場に降臨する。

 

「あぁ......魔女になったんですね......やっと大魔女様に......あれ?大魔女様はどこに?」

「......かわいそうだね、メルルちゃん。ユキちゃんの声はボクにしか聞こえていないし、ルナちゃんが言ってたことは嘘だって......ユキちゃんは言ってるよ。」

「何を......言ってるんですか?」

「メルルちゃん。キミは......ルナちゃんに裏切られたんだ。キミがユキちゃんに......大魔女に出会う事なんてない。」

「どうして......どうしてそんなこと言うんですか!!わ......私は......ルナさんに裏切られてなんかいません!!もういいです。看守さん!!」

 

そうしてエマに看守をけしかける。看守が鎌を振り上げるよりもはやくそれは行われた。

 

「......死ね。」

 

その言葉が紡がれた瞬間。看守は力なく倒れる。

 

「そ、そんな。なんで、なんで......看守さん......っ......やだやだ、やだぁ......っ......ひ、ひどい、なんてことを......エマさんがやったんですか......っ。なんで......もう、わかりません......魔女を殺すなんて、一体どうやって......これじゃまるで。」

 

「魔女殺し。そんな魔法をもらったみたい。頭で、物事はしっかり考えられるんだ。不思議な感じ。ただ......感じたことのない気持ちが膨れ上がって収まらない。怒ってるし、憎いし、それに......こんな気持ち......なんていうんだろう。殺したい。そう。【殺したい】んだ。ボク......大魔女と友だちだったんだ。」

「ありえません。大魔女様が人間なんかと友だちになるはずありません。」

「ボクに、【魔女殺し】を授けてくれたんだ。」

「嘘です!魔女殺しは私が大魔女さまから授かった大切な力......。」

「それはニセモノだよ。......信仰心が作ったただの思い込み。残念だったね。......そうだゴクチョー。処刑台を用意して。」

 

突然呼ばれたゴクチョーは狼狽えて返答する。

 

「えっ......!?あ、あぁ、はい。メルル様。悪く思わないでください。」

 

そうして処刑台は用意される。地獄の窯のようにぐつぐつと煮えたぎるマグマのような液体が中でうごめいている。

 

「用意しました。では、私は......。」

「死ね。」

 

エマはメルルに向けて歩みだす。そのさなか、ゴクチョーは地面に落ち、動かなくなった。

 

「ねぇ、メルルちゃん。魔女は処刑しなきゃ。ほら、ちょうどそこに処刑台があるよ。ボクも一緒に死んであげるから。」

「ひっ......。」

 

「えっ?」

 

その声はどこから聞こえてきたのか、誰の声なのか。もう二人には興味がなかった。もう二人だけの世界になっていた。

 

「エ、エマさん......私、その、ごめんなさい......。そ、そうだ。一緒にここで生きていきませんか?私たち、きっとうまく。」

「ダメだよ。」

「えっ?」

「ボクはアリサちゃんを殺した......そしてユキちゃんを見殺しにした魔女。メルルちゃん、キミは数多の魔女候補を殺した魔女だ。魔女は......処刑しなくちゃ。大丈夫。ボクも一緒に逝ってあげるから。」

 

そして、エマは懐に入れていた透明な薬......【トレデキム】を口に含んで嚥下する。そして、メルルに一言

 

「死ね。」

 

そして、エマはメルルの手を引いて窯の中に身を投げる。

 

二人は熱に溶かされ、やがて二人がいた痕跡は何もなくなった。

 

 

気付けば、いつの間にか、血だらけで壁に寄りかかって倒れているルナがそこにいた。

 

「なぁ......これでよかったのか......ユキ。」

 

どことも分からない空間に語り掛ける彼。まるでそこに何かがいるかのような。

 

「なんで......ソレイユ姉ちゃんを知ってるかは......置いといて......お前にとってエマは親友だったんじゃないのか?」

 

「はぁ?どうでもいい?なんで......ソレイユが離れてしまってから惰性で生きていた......だって?......は?エマに魔法を渡したのは偶然?......下手なトラウマで人類が滅亡しないように自分がトラウマになれるようわざと自殺したって?」

 

「人間として死にたいって......思ったって......。」

 

「あぁ......なるほど。格が違うから姉ちゃんでもユキの未来が見通せなかったと。だから姉ちゃんはユキに興味を持ったのか。」

 

「クソッ......意識が朦朧としてきた。血が......足りてない。......もうじき俺も死んでしまうのかもな。......あの世に行く前に......もう一度......みんなに......謝らないと......。」

 

 

そして、彼の命は尽きた。

 

 

”ふふふ......あはは......あハハハハ......アッハハハハハ!!だから言ったじゃない!!私がこの島から離れる時、あなたに何て言ったかしら!!”

 

”......復讐なんて似合わないし絶対後悔するからやめときなさい......でしたっけ?”

 

”よく覚えているじゃない。どう?人間にばらまいた魔女因子によって人間はもれなく魔女になって死ぬ。いつか魔女殺しの魔法が継承されるときに。”

 

”......。”

 

”しかも、ユキ。あなたが呪われた魔女因子をばらまいたことにより、何の罪もない私の一族も魔女として処分されてしまうことになったわ。あなたが同性として恋をしたソレイユもその餌食♡。”

 

”......私のせいだとでも言いたいんですか?”

 

”いえ?魔女も、人間も、機関も、それぞれが正しいことだと信じて行動した結果よね?なら、これはユキ、あなただけが悪いわけではないの。因果は巡るものよ。”

 

”......私はあなたに出会いたくなかった。嫌いでした。......今の姿は無様なものですね。魔女として生きず、愛した人の死を看取ってから自死するなんて。そのうえ、みっともなく転生者の魂を依代にして現世を鑑賞するなんて。寄生虫か何かですか?”

 

”あなたも人のこと言えないじゃない。何なのよその姿。万年筆に宿るなんて。付喪神にでもなったつもりかしら。”

 

 

そこからは、聞くに堪えない大魔女同士の喧嘩が始まる。

 

まぁ、物語を締めくくるにはお粗末な始末で結末だった。

 

これで、この物語はおしま......。

 

”待ちなさい!!まだエンドロールには程遠いわ!!”

 

”ルナが死んだことで、私とルナの魔法がようやく一つになれたわ!!どうして私が大魔女クラスになったのかは分からないけど......。でも、使えるものは使わなきゃね!”

 

”あ、その前に......ヒーちゃんの持つ死に戻りを観測する前に、ルナが舞台裏でやってたことを赤裸々に告白しちゃうわ!!”

 

”ルナの持つ魔法...その正体は!!......あっ!?もうこんな時間!?私はここらで失礼するわ!!また後で会いましょう!!”




次回更新は12月24日になります。

次回
第35話「俺の魔法は」
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